子供の頃はウォークマンが憧れの機器だった。今となっては、カセットテープなんて随分不便なものだったと思ってしまうが、それが普通の時代においては、その環境での楽しみもあった。まずテープに録音する曲順を考える。これが楽しい。私が本格的に音楽を聴くようになった80年代終わり頃には、既にCDがレコードにとって代わっていた。CDの曲順そのままにテープに入れるのもいいが、テープの長さの都合もあるし、好きじゃない曲を前の方に入れると早送りする手間が増える。特にテープの1曲目のヘビーローテーション率はものすごく高くなるので、相当に好きな曲を入れる必要もある。CDもテープも好きなだけ買えなかった中学生ぐらいまでは、レンタルしたCDをどのようにテープに割り振るかが、大変重要なのだ。

高校に入って、CDウォークマンを買った。といってもソニーの製品ではなかったので、正確には「ポータブルCDプレイヤー」だ。いちいちテープにダビングしなくても、その日の気分でCD2,3枚カバンに詰めて、CD音質を通学中に聴ける。片道40分ばかりの電車通学が楽しくてしょうがなかった。学校よりも、行き帰りにイヤホンで音楽を聴くために、通学をしていたような記憶すらある。

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