江幡ツインズ、今回出場の睦(むつき)は毎度のムエタイテクニシャンとの対戦で一進一退の苦戦する薄氷の勝利も5連勝、そのひとつ前の7月27日にはラジャダムナンスタジアムではTKO勝利し、経験を積み重ね、ムエタイ王座再挑戦を狙っています。

◎TITANS NEOS 20 / 9月18日(日)17:00~20:20
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

江幡睦の攻め続けたミドルキック、怯まなかったホントーンレック

◆54.0kg契約 5回戦

WKBA世界バンタム級チャンピオン.江幡睦(伊原/53.85kg)
VS
ホントーンレック・チョー・ファープリアンシー(タイ/53.7kg)
勝者:江幡睦 / 3-0 (48-47. 49-47. 49-47)

ホントーンレックは元・タイ国ムエスポーツ協会スーパーフライ級チャンピオンで、2年前に江幡ツインズ弟・塁と対戦し、接戦の判定負けを喫している33歳。侮れないベテラン相手に初回、江幡睦は左フックでダウンを奪うも、その後、一進一退の攻防。危ないヒジやハイキックも貰いかけ、またその逆に仕掛けるヒジや蹴りもあり、勢い衰えぬホントーンレックに手を焼き、互いに主導権を掴めないまま終了。

側転ハイキックで翻弄する作戦も、マットに手を付いては駄目とレフェリーに注意を受けることになるホントーンレック

渡辺の精神力で粘る勝負も小林の積極性に優れず引分けで雪辱成らず

◆69.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.渡辺健司(伊原稲城/68.9kg)
.VS
小林準(RIKIX/69.0kg)
引分け / 0-0 (29-29. 29-29. 29-29)

渡辺は昨年12月に敗れた相手と再戦も、勝ちは拾えず。しぶとさ、粘りは一級品ながら36戦して13回目の引分け。

強い斗吾が見られた一発で仕留めたボディブローで悶絶

◆73.0kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.0kg)
.VS
ペットウボン・ソー・ボーロークラビー(タイ/72.65kg)
勝者:斗吾 / KO 1R 2:36 / カウント中のタオル投入

斗吾がボディブロー一発で悶絶の久々のKO勝利。

90kg超えの戦い、天田ヒロミここにあり。倒すか倒されるか、我慢比べの打ち合いを制す

◆ヘビー級3回戦

天田ヒロミ(天田F&BS/92.5kg)
.VS
マウロ・エレーラ(アルゼンチン/98.5kg)
勝者:天田ヒロミ / 判定2-0 (29-28. 29-29. 30-29)

我慢比べの打ち合いの戦いをスタミナ勝負の僅差で粘り、勝利を導いたのは天田ヒロミ。

◆64.0kg契約3回戦

石井達也(藤本/64.0kg) vs 春樹(横須賀太賀/64.0kg)
勝者:春樹 / TKO 2R 2:03 / ドクター勧告によりレフェリーストップ

怪我で休養が続いていた石井達也が、春樹のバックハンドブローでダウン。足元フラつくダメージと、顔面カットによりドクターチェック、そのままレフェリーストップとなりました。更なる上位を目指していた中での敗戦は痛いところでしょう。春樹は日本タイトル戦線へ再浮上成功。

まさかのダウンを奪って「やった~」という表情の春樹、元チャンピオンを倒す波乱の結末

好戦的で打ち合った中でのHIROYUKIのローキック

◆54.0kg契約3回戦

HIROYUKI(藤本/54.0kg)vsジョッキーレック・ケーウセン(タイ/53.85kg)
勝者:HIROYUKI /判定 3-0 (30-29. 30-28. 30-29)

HIROYUKIは2年前に敗れた相手に雪辱。先手を打って試合をコントロール。反撃されても、たじろがずヒジでカットさせる攻勢も見せて結果は僅差ながら、成長の見えた勝利。

◆ミドル級3回戦

日本ミドル級1位.今野顕彰(市原/72.57kg)vs2位.本田聖典(伊原新潟/72.3kg)
勝者:今野顕彰 / TKO 1R 1:17

今野がヒジで本田の額をカットし、あっけなくドクター勧告によりレフェリーストップ

他、6試合は割愛します。

HIROYUKIの飛び蹴り。リズムに乗れば大胆な技も躊躇なくこなせる図太さを持つ

伊原ジムメイトとは若い絆のチーム

◆江幡ツインズ──本当の伝説の始まり

TITANS NEOSが第20回目を迎え、やがて10年が経つことに時の速さを感じます。2007年9月に江幡ツインズがデビューし、満9周年。2013年3月には睦が先に殿堂ラジャダムナン王座挑戦、9月のTITANS NEOS.16ではツインズでラジャダムナン王座に挑戦。2015年3月には睦が3度目の挑戦。あと一歩までいった試合もありつつ、獲れそうで獲れないのがムエタイ王座。首相撲の技術とポイント重点の置かれ方、そしてタイ選手の本場二大殿堂タイトルが懸かった時は他の試合にはない本気度が増し、勝って得るものの大きさ、負けて失うものの大きさがそこにあります。

他の価値の低い試合ではこれが逆になり、“勝って得るもの無し、負けて失うもの無し”では世界の称号が懸かっていても、計量を大幅にオーバーして来る選手もいるほど真剣度の違いを感じることがあります。と言っても普通に強いのがムエタイボクサー。タイトルが懸かろうと懸かるまいと、元チャンピオンやランカー、地方チャンピオンなど強いタイ選手に挑む江幡ツインズも向上心と集中力は生半可なものではないでしょう。

「新しい伝説を起こします」と、かつてマイクで語った江幡ツインズにとって目指すは再度のラジャダムナンスタジアム王座であり、現状ではこの道しかありません。これを兄弟で獲り、それから先が本当の伝説の始まりでしょう。

石井宏樹が引退して以降は、江幡ツインズが新日本キックのエース格であることは変わりない中、梅野源治が10月23日にディファ有明でのREBELS興行でタイ・ラジャダムナン系ライト級王座挑戦する同じ日に、江幡塁は新日本キックMAGNUM.42で、5月29日にタイ・ラジャダムナンスタジアムで判定で敗れた相手のセーンピチット・STDトランスポートと雪辱戦を行ないます。ノンタイトル戦ですが、日本のエース格争いでは負けられない、密度の濃さの戦いでしょう。

伝説を起こすという点ではプロモーターとして、小野寺力氏のKNOCK OUTイベント発表がありました。新しい道を切り開き、そこではテレビ放映での毎週レギュラー放送がある中で、契約選手らのメインイベント争奪戦が巻き起こりそうですが、新日本キックでの江幡ツインズとして新しい伝説を起こすことは、ラジャダムナン王座奪取、現地での防衛、2階級制覇、ルンピニー王座との統一、本物の強い男がファンの期待に応える道は、ここまで挑めれば一般マスメディアも注目することでしょう。また江幡ツインズだけではない若い世代も育ってきているので気を抜けない、次なる新日本キックのエース格争いも話題になってきます。

新日本キックボクシング協会次回興行は10月23日(日)後楽園ホール夜の部(17:00~)に於いてMAGNUM.42の開催で、ムエタイ王座を目指す江幡塁、重森陽太、緑川創、勝次らが出場。その中、緑川創は現役ラジャダムナン系ウェルター級2位と対戦。続いて、11月6日(日)ディファ有明(16:00~)に於いてKICK Insist6が開催され、瀧澤博人がノンタイトル戦ながら、現役ラジャダムナン系スーパーバンタム級チャンピオンを迎える大一番となります。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」