重森の前蹴りを掴んで凌ぐシラー

重森の右ミドルキックをキャッチし、パンチを打ち込むシラー

好ファイトが続出したTITANS NEOS、新メインイベンター重森陽太は苦戦を導く引分け。続くHIROYUKI、髙橋亨汰、喜多村誠、泰史も上位に繋がる結果となる勝利。いずれラジャダムナン王座を狙うリカルド・ブラボは他団体チャンピオンに痛い判定負け。

◎TITANS NEOS 26 / 9月1日(日)後楽園ホール17:00~20:35
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

◆第11試合 61.5kg契約 5回戦

WKBA世界ライト級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/61.2kg)
VS
シラー・ワイズディー(元・ラジャダムナン系バンタム級C/タイ/61.45kg)
引分け1-0 / 主審:椎名利一
副審:桜井48-48. 宮沢49-48. 少白竜48-48

いつもの前蹴り、ハイキックの鋭さを見せる重森は初回、すでに主導権を導く勢いがあった。しかし、シラーは怯まずローキックを中心にパンチを振って前進してくる。

時折、ボディーブローを炸裂させたシラー、重森は動じなかったが、やや効いたか

重森のしなやかなミドルキックは勝利を導く技、前半は調子良かったが・・・

時折、派手な技を繰り出す御茶目なHIROYUKI、回転後ろ蹴りを見せる

第2ラウンドには、長身の重森も更に出てくるシラーにヒジ打ちを合わせ、額(右眉上)をカットさせた。ここから逆転に勢いを増してきたシラーは重森の前蹴りやミドルキックを掴んでかわし、徐々に距離を詰めパンチを打ち込む流れに変わっていく。

度々ボディーブローも貰ってしまう重森。第4ラウンド以降、前進止まないシラーを調子付かせてしまい、結果は引分け。48-48の二者は2・3ラウンドが重森、4・5ラウンドがシラーの前蹴り対策がそのまま採点に表れていた。

◆第10試合 55.5kg契約3回戦

日本バンタム級チャンピオン.HIROYUKI(=茂木宏幸/藤本/55.2kg)
VS
KING強介(元・レベルスムエタイ・スーパーバンタム級C/fighting bull/55.4kg)
勝者:HIROYUKI / TKO 3R 1:11 / 主審:仲俊光

パンチとローキックが軸の攻防で、KING強介の出方を伺いながら、自分の技を試すHIROYUKI。

第2ラウンドには接近したところでヒジ打ちがヒットし、強介は左目尻を小さくカット。

次のラウンドに繋ぐとパンチで出てきた強介に右ヒジ打ちを同じ箇所に当てると強介の傷が深くなり、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップとなった。

正攻法の左ミドルキックでもKING強介を圧倒したHIROYUKI

◆第9試合 67.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原/66.75kg)
VS
J-NETWORKウェルター級チャンピオン.峯山竜哉(WSR・F西川口/66.85kg)
勝者:峯山竜哉 / 判定0-3 / 主審:桜井一秀
副審:椎名28-29. 宮沢28-29. 仲28-29

このクラスになると蹴りの重さが際立つ交錯。リカルドのミドルキックに対し、峯山の返す蹴りも重く、互いの攻防の中にも峯山の左ミドルキックが引き立つ勢いがあった。

第2ラウンドには接近したところで峯山の左ストレートがヒットしてリカルドがノックダウンを喫する。巻き返しに出てくるリカルドに応戦する峯山。リカルドは必死の形相でパンチや組み付いてヒザ蹴りを連打。猛攻を掛けたリカルドだったが巻き返しならず、判定負けを喫した。

リカルド・ブラボからダウンを奪い勝利した峯山竜哉

◆第8試合 61.5kg契約3回戦

日本ライト級チャンピオン.髙橋亨汰(伊原/61.45kg)
VS
ラックチャイ・ジャルンクルンムエタイ(タイ/61.25kg)
勝者:髙橋亨汰 / 判定3-0 / 主審:少白竜         
副審:椎名29-28. 桜井29-28. 仲30-28

ラックチャイは前回、重森陽太に敗れるも前進衰えないタフさが印象付いた。高橋は前蹴りやハイキック中心に先手を打って攻める。

接近するとヒジを振って来るラックチャイには油断ならないが、ヒザ蹴りやハイキック、ヒジ打ちの応酬となっても高橋は怯まず応戦し、ラックチャイのバランスを崩し競り勝つ。

高橋の攻める手数は重森陽太に負けない勢いを見せた。

重森戦では敗れたが、タフなラックチャイを追い詰めた髙橋亨汰

ラックチャイの前進を止めた前蹴りが顔面を捉える

喜多村のヒジ打ちが連打されていく

◆第7試合 70.0kg契約3回戦

喜多村誠(前・日本ミドル級C/伊原新潟/69.8kg)
VS
LBSJウェルター級チャンピオン.喜入衆(NEXT LEVEL渋谷/69.7kg)
勝者:喜多村誠 / 判定3-0 / 主審:宮沢誠
副審:桜井30-28. 少白竜29-28. 仲30-28

第1ラウンドの蹴り中心の攻防から喜多村が徐々に前進を強める。第2ラウンドにパンチの応酬で喜入は右目下を小さくカット。喜入も前進し、ヒジ打ちで圧力を掛けるも、冷静な喜多村はヒジ打ちを返していくと喜入の額の辺りも大きくカット。

第3ラウンドには喜入がラッシュを掛けてくるが、喜多村は接近すれば叩きつけるヒジ打ちで何度も喜入の前頭部を攻め込むと、喜入の額の負傷は3箇所ほどに増え、かなりの流血。

更にパンチや蹴りで圧倒する喜多村だが、諦めない喜入はスピード、パワーが鈍っても攻め返してくるが、喜多村の圧倒した展開は変わらず判定勝利した。

叩きつける喜多村のヒジ打ちの嵐

顔面の数箇所から出血した喜入衆

喜入が流血しながらバックハンドブローを打つ

◆第6試合 スーパーフライ級3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/52.1kg)
VS
老沼隆斗(レベルスムエタイ・スーパーフライ級C/STRUGGLE/52.0kg)
勝者:泰史 / KO 2R 2:57 / 主審:椎名利一

両者好戦的な蹴り合いから、老沼が先手を打って出る流れ。しかし泰史が徐々にパンチで追いはじめ、第2ラウンドにボディーブローからヒザ蹴りでノックダウンを奪うと、更にヒジ打ちを折り混ぜながら右ストレートで2度目のノックダウンを奪う。

諦めない老沼はリズムを変えたいが泰史が更に接近してパンチ連打を打ち込むと老沼は力尽きたように崩れ落ちたところで3ノックダウン。泰史のKO勝利。

老沼を追い込んだ泰史のパンチ

◆第5試合 フェザー級3回戦

日本フェザー級2位.瀬戸口勝也(横須賀太賀/56.75kg)
VS
NJKFフェザー級7位.小田武司(拳乃会/57.0kg)
勝者:瀬戸口勝也 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:椎名30-26. 少白竜29-26. 宮沢30-26

第1ラウンドに小田がローキックで出るも、瀬戸口が得意の重いパンチ連打が圧倒し、2度のノックダウンを奪うが、ノックアウトには至らず。第2ラウンド以降も小田は打たれながら打ち返す踏ん張りも目立ったが逆転には至らず、瀬戸口の大差判定勝利となった。

◆第4試合 ミドル級3回戦

日本ミドル級1位.本田聖典(伊原新潟/72.4kg)
VS
ポーンパノム・ペットプームムエタイ(タイ/70.45kg)
(プーケット県パトンスタジアム・ウェルター級C)
勝者:ポーンパノム / TKO 3R 0:39 / 主審:桜井一秀

◆第3試合 フライ級3回戦

日本フライ級2位.空龍(伊原新潟/50.6kg)vs阿部秀虎(鷹虎/49.85kg)
勝者:空龍 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名29-27. 仲30-28. 桜井30-27

◆第2試合 フェザー級3回戦

日本フェザー級6位.平塚一郎(トーエル/56.9kg)
VS
JKIフェザー級8位.千羽裕樹(スクランブル渋谷/56.95kg)
勝者:千羽裕樹 / TKO 3R 1:21 / 主審:宮沢誠

◆第1試合 70.0kg契約3回戦

大久和輝(伊原/69.75kg)vs NJKFウェルター級3位.JUN Da雷音(E.S.G/68.25kg)
勝者:大久和輝 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:少白竜29-27. 29-28. 30-26

《取材戦記》

「初秋のチャンピオンカーニバル」というサブタイトル。日本のキックボクシング界、どこに行ってもチャンピオンだらけのカーニバルという印象があるが、この日のマッチメイクに於いても激しい戦いが続きました。

重森陽太にとっては後半追われての引分けは悔しい結果。「どんな強い選手でも必ずKO勝ちをして興行を締めなければならないという使命感はありました。このような結果になってしまったのはまだまだ不甲斐ないと思っています。次は必ず結果を残したいと思います」とマイクで語った重森陽太。結果を残す次なる強豪相手は誰になるか、プロモーター次第だが、できればWKBA王座を、防衛期限を待たずにこなしていって欲しいと願うところ。これは全ての現・チャンピオンに言えることで、これが老舗王座の価値を高めることでしょう。

次回新日本キックボクシング協会興行は、10月20日(日)に後楽園ホールに於いてMAGNUM.51が開催。勝次(=高橋勝治)が一階級上げて、WKBA世界スーパーライト級王座決定戦に出場。対戦相手はリカルド・ブラボと同じアルゼンチン出身のアニバル・シアンシアルー選手に決定した模様。

3月3日のWKBA世界ライト級王座決定戦でノラシン・シットムアンシーに敗れ、4月20日のREBELS興行での宮越慶二郎にも敗れて2連敗中の中、次戦で結果を残せるか。そしてその先を視野に期待したいものです。

メインイベントは当初の予定どおり、江幡睦がタイ国ラジャダムナンスタジアム・バンタム級王座に4年ぶり4度目の挑戦。チャンピオンのサオトー・シット・シェフブンタムは1月23日に当時のチャンピオン、ゴーンサック・ソーサタラーから判定で王座奪取し、6月27日にはゴーンサックを3ラウンドTKO勝利で返り討ちにし、現在6連勝中で、江幡睦戦は2度目の防衛戦となります。

江幡睦にとって過去最強の難敵襲来のかなり厳しい予想となるも、“どんな技でも倒せる”という勢いで、“今度こそ奪取”の期待も高まる江幡睦です。

今回のサオトーは双子の弟で、兄は現在スーパーバンタム級のサオエークで、元・ラジャダムナン系スーパーフライ級チャンピオンの実力者。この先、江幡ツインズとサオエーク・サオトーツインズのタイトル絡みの対決も期待されます。

塁が戴冠の「KNOCK OUT」ベルトとWKBAのベルトを持つ江幡ツインズ、ラジャダムナン王座へ向けた二人の挑戦が続く

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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