PRIMA GOLD杯決勝戦は昨年10月12日の開催予定が台風19号による影響で延期され、準決勝の6月15日から約8ヵ月経ての開催。ウェイト的にやや不利と見えた清水武は筋力アップに時間を掛けることが出来たものの、その成果を活かすことが出来なかった。

Japan Sift Land杯は、予定どおりの日程で昨年12月14日から始まり、決勝進出かそれまでに敗れればそこで引退を宣言していたテープジュン・サイチャーンと村田裕俊の二人が12月の初戦(準々決勝)で対戦。敗れたテープジュンはその場で引退セレモニーを行なった。そしてこの日、「引退挨拶で喋ることを準備をしていた」と言う村田裕俊は遠藤駿平を僅差で破って決勝進出を決め、有終の美を飾りたい村田の決勝戦の相手は髙橋亮となった。

その髙橋亮はローキックでコッチャサーンの脚を殺し快勝。髙橋三兄弟がエース格を担うNKB興行に於いて順当な優勝へ、どちらにも大きな運命が掛かる一戦となる。

NKBウェルター級王座決定トーナメントは、また新しい時代を担う世代の戦いに移っている中、すでに若くない30~40歳代4選手によるトーナメントとなった。他(多)団体チャンピオンと競り合うことが出来るかは難しいところ、決勝戦で勝ち上がれば、NKBの面子を守る、その試練が待っているだろう。

◎交戦シリーズ Vol.1 / 2月8日(土)後楽園ホール 17:15~21:00
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆13. PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント決勝 5回戦

NKBミドル級1位.田村聖(拳心館/31歳/72.3kg)
    VS
清水武(元・WPMF日本SW級C/sbm TVT KICK LAB/32歳/72.5kg)
勝者:田村聖 / TKO 1R 2:04 / 主審:前田仁

開始早々から田村の右ローキックが清水の右脚を狙うヒットが数発続くと、早くも足運びがおかしい清水。

田村聖もローキック狙い、開始から早くも右ローキックが清水武にダメージを与える

清水武の右脚に集中した田村聖の右ローキック

田村は蹴りの流れから右ストレートを打つと、清水はまともに貰いノックダウンを喫する。

ゆっくり立ち上がるも脚がふらつくとカウント中にレフェリーストップとなって、田村聖が優勝を果たした。

田村聖が蹴りを意識させ右ストレートを打つと清水武はバッタリ倒れた

PRIMA GOLD杯は田村聖が目出度く優勝

◆12. Japan Sift Land杯59kg級トーナメント準決勝3回戦

決勝戦で戦う村田裕俊と髙橋亮が健闘を誓った

NKBフェザー級チャンピオン.髙橋亮(真門/24歳/58.9kg)
    VS
コッチャサーン・ワイズディー(元・ルンピニー系SB級7位/タイ/21歳/58.5kg)
勝者:髙橋亮 / TKO 1R 1:13 / 主審:佐藤友章

髙橋亮も開始早々から左ローキックで鋭くコッチャサーンの脚にヒットすると数発で棒立ち状態。

連続してローキックを貰ったコッチャサーンは早くもノックダウン。立ち上がるも髙橋亮のローキック追撃にコッチャサーンのセコンドからタオル投入による棄権をレフェリーが受入れ試合は終了した。

あっけなくダウンしたコッチャサーン、髙橋亮の蹴りの強さ発揮

◆11. Japan Sift Land杯59kg級トーナメント準決勝3回戦

接近戦になれば村田裕俊のヒザ蹴りが炸裂

MA日本ライト級チャンピオン.遠藤駿平(WSR・F三ノ輪/21歳/59.0kg)
    VS
NKBフェザー級2位.村田裕俊(八王子FSG/30歳/59.0kg)
勝者:村田裕俊 / 判定0-2 / 主審:亀川明史
副審:仲29-29. 前田29-30. 川上28-29.

離れた距離での互角に渡り合う蹴りとパンチの攻防も、村田はいつもながら蹴りから接近してヒザ蹴りの連係が上手い。更にヒジ打ちで遠藤の眉間の上をカットする。

最終ラウンドは遠藤の前進でやや押されるも、崩し転ばす技や蹴りの的確さで僅差ながら村田裕俊が勝利を掴み決勝進出、この日の引退からは逃れた。

村田裕俊の左ストレートが遠藤駿平の胸板にヒット

ロープ際に押されても右ミドルキックで返す村田裕俊

◆10. NKBウェルター級王座決定トーナメント初戦(準決勝)3回戦

準決勝を勝ち抜いた村田裕俊に勝利者賞を贈呈したジャパンシフトランド代表

NKBウェルター級2位.稲葉裕哉(大塚/32歳/66.68kg)
    VS
同級3位.笹谷淳(TEAM COMRADE/44歳/66.68kg)
勝者:稲葉裕哉 / 主審:鈴木義和
副審:馳29-29(10-9). 佐藤彰彦30-29(9-10). 佐藤友章28-30(10-9).
3R引分け三者三様 / 延長R 2-1

決定打の少ない中、笹谷がやや攻めの勢いがある流れ。審判構成によってはここで結果が出たかもしれないところ、三者三様の採点で延長戦が行われた。

ここから積極的に出た稲葉。執念が優った稲葉が勝利を掴む。

稲葉裕哉が執念で延長戦を制した

NKBウェルター級王座は稲葉裕哉と蛇鬼将矢で決定戦が行われる

◆9. NKBウェルター級王座決定トーナメント初戦(準決勝)3回戦

NKBウェルター級4位.蛇鬼将矢(テツ/30歳/66.68kg)
    VS
同級5位.SEIITSU(八王子FSG/41歳/66.3kg)
勝者:蛇鬼将矢 / KO 1R 1:01 / 主審:仲俊光

蛇鬼が蹴りからパンチの連打で早々にノックダウンを奪い、立ち上がったところを更にパンチ連打を浴びるとSEIITSUは蹲り、カウント中にタオルが投入される棄権となり、レフェリーが試合を終了させた。

蛇鬼将矢がSEIITSUを仕留めにかかる

◆8. ライト級3回戦

NKBライト級3位.野村怜央(TEAM KOK/29歳/61.2kg)vs聖(KSK/22歳/61.0kg)
引分け1-0 / 主審:川上伸
副審:佐藤彰彦29-29. 馳29-28. 佐藤友章30-30.

◆7. 59.0kg契約3回戦

KEIGO(35歳/58.75kg)vsガオパヤック・ワイズディー(タイ/21歳/58.6kg)
勝者:ガオパヤック / 判定0-3 / 主審:仲俊光
副審:亀川27-30. 鈴木28-30. 川上27-30.

◆6. バンタム級3回戦

NKBバンタム級4位.海老原竜二(神武館/28歳/53.3kg)
    VS
古瀬翔(ケーアクティブ/24歳/53.5kg)
勝者:海老原竜二 / KO 3R 2:43 / 3ノックダウン / 主審:佐藤彰彦

◆5. フライ級3回戦

NKBバンタム級5位.則武知宏(テツ/25歳/50.75kg)vsTOMO(K-CRONY/37歳/50.6kg)
引分け1-0 / 主審:鈴木義和
副審:川上29-28. 仲29-29. 高谷29-29.

◆4. ライト級3回戦

NKBライト級5位.パントリー杉並(杉並/27歳/60.95kg)
    VS
マサ・オオヤ(八王子FSG/45歳/61.23kg)
勝者:パントリー杉並 / 判定3-0 / 主審:馳大輔
副審:佐藤彰彦30-26. 佐藤友章30-27. 亀川30-27.

毎度の打ち合いに出る激戦展開するパントリー杉並。ベテランのマサ・オオヤを苦しめ、ノックダウンを奪うもマサオオヤの有効打(パンチかヒジ)で額を切ったパントリーは流血しながらの攻勢。仕留めるに至らずもパントリー杉並が大差判定勝利となった。

◆3. ウェルター級3回戦

宮城寛克(/赤雲會/28歳/66.68kg)vsゼットン(NK/48歳/66.6kg)
勝者:宮城寛克 / KO 3R 0:52 / カウント中のタオル投入 / 主審:高谷秀幸

◆2. 55.0kg契約3回戦

龍太郎(真門/19歳/54.5kg)vs加藤和也(ドージョーシャカリキ/25歳/54.9kg)
勝者:加藤和也 / 判定0-2 / 主審:亀川明史
副審:鈴木30-30. 佐藤彰彦29-30. 佐藤友章29-30.

◆1. フライ級3回戦

會町tetsu(テツ/31歳/50.7kg)vs舟本空明(治政館16歳/50.4kg)
勝者:舟本空明 / 判定0-3 / 主審:前田仁
副審:川上29-30. 馳27-30. 仲27-30.

PRIMA GOLD杯トーナメント表

《取材戦記》

PRIMA GOLD杯は田村聖が晴れて優勝し、長引いた決勝戦を無事に締め括りました。
NKBウェルター級王座決定トーナメントも、昨年10月12日に予定されていましたが、今回の2月8日に延び、他にも延期やカード変更も起こる調整の苦労があったようでした。

PRIMA GOLD杯はミドル級で行われ、リミットは規定どおり160LBS(72.57kg)。ミドル級と言いながら“73.0kg契約”とか言わないか、昨年4月の初戦前に当時の広報担当に聞いたところ、「正規のミドル級で行われます。」と言う規定どおりの回答でした。

今回のJapan Sift Land杯は59kgリミットで開催。プロボクシングの階級呼称を使いながらリミットを変えるのは正しくはないが、スーパーフェザー級(-58.97kg)と言わないのはリミット超えしているという自覚があるのでしょう。数値(キログラム)で区切るならそれも結構なことだが、元からスーパーフェザー級でもよかったかもしれない。「ノンタイトルでも負ければ王座剥奪」のチャンピオンの義務から外れるには、もう少し幅を持たせて60kgリミットでもよかったかもしれない(この辺は外部者の勝手なひとりごと)。

Japan Sift Land杯トーナメント表

日本キックボクシング連盟も設立当初から、統一・分裂・合併、何度も起こった離脱の流れの中、当然ながら設立に至った当時の経緯を知らぬ若い世代が台頭してっ来ている中、小さな組織のイベントの範疇で統一戦には程遠いものの、若い世代による幾つかのトーナメント戦が盛り上げを見せました。今後も、かつて業界一丸となった昭和の「1000万円争奪オープントーナメント」に導かれるような発展に期待したいものです。

日本キックボクシング連盟次回興行「交戦シリーズ2nd」は4月11日(土)に後楽園ホールに於いて、二つのトーナメント、NKBウェルター級王座決定戦とJapan Sift Land杯決勝戦が開催されます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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