広島市では、河井事件で辞職した市議の穴を埋める補欠選挙が相次いでいます。第一ラウンドは安芸区で行われ、定数1に4人が立候補。自民主流派の推す元市職員が圧勝。自民党主流会派に入会しました。第二ラウンドは安佐北区で4月15日告示、24日執行で行われます。定数2に以下の7人が立候補します。

無所属新人の会社社長山下正寛さん(45)、無所属新人の大学教授原田佳子さん(69)、共産党新人の党県委員清水貞子さん(75)、無所属新人の会社社長三宅朗充さん(56)、無所属新人の元県議正木篤さん(71)、無所属元職の酒店経営加藤万蔵さん(76)、無所属新人のオンライン学習塾経営大田清さん(49)です。

このうち、大田さんは第一ラウンドの安芸区補選につづく挑戦。正木さんは、2011年に県議に当選も無免許運転が発覚。2年以上も議席に居座ったあげく、2013年にリコールされました。その後も何度か選挙に立候補され、「一定の票」は得ています。

◆「過疎化」に相次ぐ水害が追い打ち

安佐北区は広島市の最北端に位置します。人口は可部線の可部駅を中心とする可部地区と芸備線沿線の高陽地区のニュータウンに集中しています。

他方で、冬には雪が多いときには数十センチも積もるような山岳地帯も抱えています。1990年代など、一時期は人口が20万人に迫るか、という勢いを見せていた安佐北区ですが、最近ではニュータウンで高齢化が進行。また、年配者は介護や医療のサービスが受けやすく買い物も便利な広島市の旧市街に回帰。いわゆる子育て世帯も南の安佐南区の方が便利ということで、そちらに新居を構える方も多く、過疎化が進んでいます。そこへ広島土砂災害2014,西日本大水害2018が追い打ちをかけました(写真は西日本大水害2018での安佐北区口田地区の被災現場)。筆者もボランティア活動中に倒れ、伊藤昭善市議に救護をいただいた思い出があります。その伊藤市議が河井事件でお金をもらい、現在は辞職せずに裁判闘争をされているのには筆者も文章ではとてもではないが表現できぬ複雑な想いです。

◆立憲民主党、連続不戦敗で野党支持者はカオス状況

今回の補欠選挙では、野党第一党の立憲民主党は候補を出していません。市議補選の第一ラウンドである安芸区に続く不戦敗です。これでは、とくに野党を支持している有権者は選びようがないのも事実でしょう。共産党の候補も出ておられます。

しかし、複数区で支持政党以外の公認候補に投票というのは難しい。そして、本選挙でライバルにもなるし、参院選ではライバルの足腰を補強する結果になるからです。立憲民主党幹部も、現職市議は別の保守系無所属候補、森本・宮口両参議院議員もさらに別の保守系無所属候補を消極的に推すというカオス状況です。党利党略以前に自分たちが、一定のアンチ自民票を得て、議席を防衛できさえすればいい。自分の政党でもライバルにもなる議員が生まれるのはのぞまない。

一方で、自民党は自由に保守系無所属候補を立候補させておいて、あとから追加公認したり自民党会派に入れたり。なぜ、広島で野党が弱く、与党が強いか。その背景のひとつを今回、かいまみました。

◆筆者は長年「食」で地域貢献の原田候補を応援

過疎化、災害に政治腐敗。地域課題が山積する中で、生活に困っている人も、コロナの前から増え、コロナが追い打ちをかけている状況は安佐北区も例外ではありません。そんな安佐北区でフードバンクの活動に長年携わり、困窮者への食料供給や食育に力を入れてきた大学教授です。

さて、なぜ、筆者は原田候補を応援するのか?

広島県、とくに広島市内の政治や選挙はこれまで政策の議論がおきざりにされてきました。国会、県議会、市議会ともその傾向は強く、選挙結果の大勢は政策の議論よりも、組織(力)で決まってしまっていました。

また、与野党関係なく、新規に政治に参画しようとする人に冷たい傾向を感じてきました。その結果、県議選では無投票、という選挙区も多数出る始末です。

一方で、こうした「組織本位」の広島の政治文化への反発の勢いあまって、「若ければ誰でもよい」的な流れも市民の間に一定程度強まったのも理解できます。

こうした流れを県議選安佐南区や参院選2019における河井案里さんや、そして、彼女のバックともいわれる安倍晋三さんらがうまくつかんだとみられます。しかし、その結果が大買収事件でした。

世襲や高級官僚「ばかり」だった広島与党本流にも、いわゆる「労働貴族」の影響がつよい野党にも、もちろん、「まったく新しい」を偽装していた案里さんにも、不足していた要素を大幅に広島の政界に補充し、広島の政治をリニューアルすることが、国政、地方関係なく大事ではないでしょうか?

今、原田よしこさんのような、長年、地道に一つの課題にじっくりと取り組んで来られた方を政治に送ることもその具体策のひとつである。そのように筆者は確信しています。

コロナの前から厳しく、コロナが追い打ちをかけ、さらに戦争による食料危機などがトドメをさしかねない庶民のくらし。フードバンクに取り組んで来られた原田さんの力がいまこそ、広島に必要ではないでしょうか。


◎[参考動画]原田よしこ候補の公式チャンネル

◆初々しい原田候補の出発式

原田候補は告示のわずか1ヶ月前に立候補を決断しました。困窮者への食料配給作業を続ける傍らでの選挙準備を拝見し、頭が下がる思いです。

15日、可部3丁目の事務所で出発式が行われました。無所属の女性広島市議、立憲民主党衆院候補、国政地方とも立候補経験のある筆者(れいわ新選組所属)を除けば、いわゆる素人の方ばかりです。それがいいのです。初々しさを醸し出していました。筆者ふくむ政党関係者も、挨拶などで、でしゃばることなく、一般市民と同じように候補の話をうかがい、そして黙々と地味な作業に徹しました。

原田候補も時々原稿に目をおとしながら緊張してしゃべっておられましたが、フレッシュな感じがしました。

子育て世帯向けには学校給食保護者負担ゼロ。

そして、高齢者に元気を!

安佐北区が2014、2018と大きな水害に見舞われたことに関連し、気候変動対策にも触れました。

そして政治を分かりやすく語ることで、クリーンな政治を、と訴えました。


◎[参考動画]筆者撮影の動画

◎原田よしこ候補の政策とプロフィール https://haradayoshiko.net/ 

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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