反乱を起こしてから3週間以上、ワグネル創始者プリゴジンの行方がわかっていない。そしていま、死亡説が飛び交っているのだ。

「プリゴジンを目にすることは二度とない」

海外のメディアに、アメリカ軍陸軍のエイブラムス元大将はこう話したという。

「公の場でプリゴジンの姿を目にすることは、もう二度とないだろう。彼はすでに死んでいると思う」

これ自体は推測にすぎないが、プリゴジンの死亡説を裏付けるように、ここに来てワグネルの新たなトップが就任するとの噂がある。その人物の異名は「白髪」を意味する“セドイ”、ワグネル創設メンバーのひとり、アンドレイ・トロシェフだ。

反乱の5日後、プーチン大統領がプリゴジンたちワグネル幹部と会った際、プーチンは“セドイ”こと、トロシェフのトップ就任を提案したという。プリゴジンはこれに同意しなかったという。それ以来、ブリゴジンの変装写真などは表に出てきたが、詳しい消息はわからないままだ。

いっぽう、ブリゴジン氏に一味した将官グループへの捜査も、風雲急を告げている。

◆数千人・数万人が取り調べを受けている?

プリゴジンと近いことから、共謀した疑いが持たれているのがスロビキン将軍(ウクライナ侵攻の元副司令官)である。そのスロビキン将軍に二重スパイの疑いが出てきている。ロシアメディアでは、国防省からの仕事として、ワグネルとのパイプ役を命じられていたというのだ。スロビキン将軍は特別軍事作戦だけでなく、シリアでも戦闘経験を持つ経験豊富な指導者で、ワグネルとの交流経験もあるため適任だったからだ。

いっぽう、アメリカCNNは、スロビキン将軍が、ワグネルの秘密のVIPメンバーだったと報じた。英シンクタンク「ドシエセンター」が入手した文書では、スロビキン将軍を含む30人以上の軍や情報当局の高官が、VIPとして登録されていたことが判明したという。スロビギンには、ワグネルとの関係を巡って拘束情報が出ているのは間違いない。訴因はワグネルの反乱の動きを、事前に知っていたという理由にほかならない。

いまクレムリンでは、とてつもない規模の捜査が行われているようだ。

親クレムリンの政治コンサルタントのセルゲイ・マルコフは、テレグラムで「スロビキン将軍が尋問されている。彼だけではない。大規模な捜査が始まった。ロシア連邦保安庁(FSB)の数百人の捜査官が、数千人を取り調べることになる。あるいは数万人になるかもかもしれない。プリゴジンと接触した将軍や将校は全員尋問されるだろう」と指摘している。

ウクライナのメディア「キーウ・ポスト」は「モスクワ治安筋の話として、スロビキン氏は現在逮捕されていないが、捜査には協力している(6月30日)としているが、大規模な捜査が行われているのは間違いない。

プリゴジンのクーデターは、ショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の解任をプーチン大統領に訴えるのが名分だった。プリゴジン氏はロシア軍の支持を得られると見込んでクーデターを起こしたが、スロビキン将軍はプリゴジン氏のはしごを外し、投降を呼びかけたのだった。現在、プーチン氏の命を受けたFSBが、裏切り者をあぶり出している。クーデターをきっかけに、プーチン氏は「中枢にメスを入れることができるし、疑心暗鬼が解消されることになる」と語ったという。

◆独裁者は裏切り者をけっして許さない

かつて、ヒトラー暗殺計画(1944年7月20日事件=ヴォルフスシャンツェ総統大本営爆破)では、事後に数千人が逮捕・処刑されたと言われている。ブリゴジンの反乱も、プーチンと会談するなど平和裏に収められた形だが、そのことがブリゴジンの命運を決めた。いくらおもねってみても、独裁者は反乱者をけっして許さないのだ。

もっとも、ヒトラー暗殺計画はイギリスによるものもふくめると、じつに42回あったとされている。これらの大半は戦後に判明したものである。

すでにウクライナのゼレンスキー大統領に対する十数回の暗殺計画が阻止された(英国情報部)ことを考えると、現在のプーチン大統領も暗殺未遂に遭遇していても不思議ではない。5月30日に起きたモスクワ郊外ノボオガリョボへの8機の自爆ドローンは、明らかに大統領公邸を狙ったものだった。

ここから先はロシア国内、わけてもクレムリン内部の反乱に注目である。

すでにオルガリヒのうち、戦争に疑問を持つ者たちは秘密裡に殺され、ブリゴジンに一味した将官たちは連座する運命にある。だが、ロシア国内においても、反乱の芽はつぎつぎに起きるはずだ。反乱が軍部とクレムリンに波及したときこそ、確実にウクライナ戦争は終局する。

◆プーチン逮捕はあるか?

もうひとつ、プーチン大統領をめぐって政治焦点化しているのが、新興5か国(BRICS)首脳会議への出席だ。

プーチンには、ウクライナへ侵攻(子供の連れ去りなど)で、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ている。(BRICS)首脳会議の会場となる南アフリカは、ICC加盟国である。理論上、南アフリカ裁判所はプーチンが来訪したら逮捕しなければならないのだ(条約履行義務)。

南アフリカのラマポーザ大統領は「プーチン氏を逮捕すればロシアと戦争になる恐れがある」との見解を示した。ラマポーザ大統領が地元裁判所に提出した文書をロイターなどが7月18日に報じたものだ。

BRICSは中国・インド・ロシア・ブラジル・南アフリカで構成され、南アフリカが今年の議長国を務めている。ラマポーザ大統領は、プーチン氏が訪問した場合でも逮捕を回避できるようICCと協議していることを明らかにした。 

南アフリカでは与党のアフリカ民族会議(かつてのネルソン・マンデラ大統領も所属した政党)がロシアと友好関係にあり、ウクライナ侵攻でもロシアへの表立った批判を避けていた。そのいっぽうで、野党は政権の親ロ姿勢を批判しており、プーチンが入国した場合に逮捕するよう政府に求め、地元裁判所に訴えを起こしている。プーチンが逮捕を怖れて会議に出席しないようなら、国際的な求心力も喪失することになる。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年8月号 岸田政権の対米隷属と“疑惑の銃弾”の真相/神宮外苑再開発「伐採女帝」小池百合子と維新の敗北/LGBT理解増進法の内実/ジャニーズ「再発防止チーム」が期待できない理由他

国民の大多数から「無実なのに死刑囚にされた冤罪被害者」と認識されている袴田巌さんの再審がついに行われることになった。袴田さんは1966年の逮捕から現在ま
で57年にわたり、殺人犯の汚名を着せられてきたが、無事に再審が行われれば、無罪判決を受けることは確実だとみられている。

 

小西秀宣氏。現在は弁護士をしている

このような状況の中、過去に袴田さんに対し、無実の訴えを退ける判決や決定を下した裁判官たちはどのような思いで、どのように過ごしているのだろうか。当連載では、該当する裁判官たちの中から存命であることが確認できた人たちに対し、公開質問を行っていく。

7人目は小西秀宣氏。東京高裁の裁判官だった2004年8月26日、安廣文夫裁判長、竹花俊徳裁判官と共に袴田さんの第一次再審請求の即時抗告審を担当し、袴田さんの即時抗告を棄却する決定を出した人だ。

◆「小西氏の略歴」と「小西氏への質問」

小西氏は1949年3月27日生まれ、広島県出身。安廣裁判長らと共に袴田さんの即時抗告を棄却する決定を出した後、法務省人権擁護局長、広島地裁所長、東京高裁部総括判事などを歴任し、2014年3月27日付けで定年退官。現在は弁護士となり、広島市中区東白島町で『小西法律事務所』という事務所を営んでいる。

広島県公安委員会で委員を務めているのをはじめ(現在は3期日で、任期は今年7月8日まで)、公益財団法人交通事故紛争処理センターの理事や中国電力の企業倫理委員会の副委員長にも就いており、公共的な仕事に積極的に取り組んでいる様子が窺える。

なお、広島県公安委員会のホームページでは、「公安委員会の役割」について、以下のように説明されている。

公安委員会は、警察の民主的管理と政治的中立性を確保するために設けられており、警察を管理する機能とともに、県民の良識を代表して警察の業務に県民の考えを反映させるという役割も持っています。

そんな小西氏に対しては、以下のような質問を書面にまとめ、郵便切手84円分を貼付した返信用の封筒を同封のうえ、『小西法律事務所』に特定記録郵便で郵送し、取材を申し込んだ。回答が届けば、紹介したい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【質問1】

袴田巌さんは再審が決まり、無罪判決を受けることが確実な状況となりました。小西様はこの状況をどのように受け止めておられますか?

【質問2】

小西様が委員を務めておられる広島県公安委員会のホームページでは、「公安委員会の役割」について、以下のように説明されています。

〈公安委員会は、警察の民主的管理と政治的中立性を確保するために設けられており、警察を管理する機能とともに、県民の良識を代表して警察の業務に県民の考えを反映させるという役割も持っています。〉

小西様が裁判官だった頃に出された、袴田巌さんの無実の訴えを退ける内容の決定については、広島県民の良識に沿うものだと思われますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

※小西氏の生年月日と出身地、異動履歴は『司法大観 平成十九年版』と『新日本法規WEBサイト』の情報を参考にした。

▼片岡健(かたおか けん)
ノンフィクションライター。編著に『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(リミアンドテッド)、『絶望の牢獄から無実を叫ぶ―冤罪死刑囚八人の書画集―』(電子書籍版 鹿砦社)。stand.fmの音声番組『私が会った死刑囚』に出演中。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ―冤罪死刑囚八人の書画集―」[電子書籍版](片岡健編/鹿砦社)

地元住民や地元市議会の反対も押し切って三原市の水源地のど真ん中に広島県(湯崎英彦知事)が許可してしまったJAB協同組合が経営する本郷産廃処分場。2022年9月から一部操業してしまいました。そして6月には住民側調査で基準越えの汚染水も確認されました。

◆断罪された広島県の「穴だけ」産廃行政

その産廃処分場の設置許可取り消しを住民らが湯崎知事に求めていた裁判で7月4日(火)広島地裁の吉岡茂之裁判長は知事に対して許可取り消しを命じる判決を言い渡しました。おさらいしますと、法によれば調査しないといけない処分場近くの井戸を調査せず、また農業用水に使われている川への影響調査も不十分なことが「県知事の判断の過程に看過しがたい過誤・欠落がある」と指摘しました。「ザル」というよりも「穴だけ」の行政が断罪されました。

◆原告の要請受け、県も重い腰

原告住民側は4日の判決後、県庁を訪問。広島県(湯崎英彦知事)に対して判決を受け入れて産廃処分場設置許可を取り消すとともに、操業を今すぐ止めさせること、排水の水質検査をすることなどを要求しました。

その際、廃棄物対策課長にも汚染水の匂いをかいでいただくとともに、産廃処分場の様子を撮影したビデオを視聴していただきました。そして、7日(金)には、廃棄物対策課長が住民側に回答。それによると、国の基準を上回る排水が県の検査でも出たため、6月29日に県の東部厚生環境事務所が産廃搬入停止を行政指導していたとのことです。県の内部ですでに29日にやっていたことを、4日の時点で本庁の課長が把握していなかったというのもちょっと呆れた話ではあります。情けないことではありますが、一応、県としてやっと重い腰をあげたということです。

 

産廃搬入の様子(原告団共同代表の岡田和樹さんのフェースブックより)

◆行政指導無視し、産廃の搬入

しかしながら、原告団共同代表の岡田和樹さんによると、7月8日(土)も、産廃の搬入は続きました。(右写真)。この日の午前中に県が電話で午後に立ち入り検査をする旨伝えたところ、県職員が行ったときにはゴミはすべて土で覆われていたそうです。まさに、業者は完全に県をなめています。

◆安佐南区上安でも広島市民に大迷惑をかけた事業者

産廃処分場を運営するJAB協同組合は東京に本社があります。広島の政治を仕切っている宏池会系の議員がこの組合のトップを務めたこともあります。このJAB協同組合は1993年に広島市安佐南区上安に産廃処分場を設置。やはり国の基準を上回る汚染水を流出させるなどの問題を起こし、指導を受けました。さらに、その近隣に熱海土石流(2021年)の三倍もの不適切な盛り土が1998年ころまでに行われていました。

その「犯人」は不明とされています。しかし、そんなことをする動機や能力がある主体は周辺ではJAB協同組合しかない、と地元住民はいいます。

そして、同組合は2016年、2020年にその不適切な盛り土の上に産廃処分場を拡張。所有権を外資系企業に売却しています。

外資系企業は盛り土のことはしらなかったと主張。また、盛り土の大部分が所有者不明のため、広島市は、とりあえず3000万円を負担し、緊急に安全対策工事を行うことを7月7日(金)、発表しています。

もちろん、盛り土を不問にしたうえ、市に情報共有しなかった県、十分に確認しなかった市にも問題はありますが、JAB協同組合が金儲けの為なら何でもあり、のような開発を続けていた企業体質も問われます。

◆産廃業者に舐められる湯崎県知事、しゃんとせい!

広島県の湯崎知事は、11日の記者会見で「排水についてはきちんと是正して、基準内に収まるようにしないといけないし、住民にも説明していきたい」と述べています。しかし、上記にみられるように、当該の産廃業者は、県の指導を無視していますし、安佐南区・上安の処分場でも見られるように反省が見られません。是正とか説明とか、そんな生ぬるい言葉が通用するような相手ではありません。 

◆間髪入れず、住民ら「処分場の土地買い上げ」など知事に要請

こうした状況の中、原告住民も迅速に行動しておられます。原告団は11日、湯崎知事に対して判決に従って改めて処分場許可の取り消しをするよう求めました。

 

さらに、処分場の土地を県が買い上げることで水源の保全をするよう求めています。そして、水質汚染の原因究明と水質の改善、さらには環境手続条例の制定を求めています。

土地の買い上げについては、判決後最初の週末で、原告側内部で話し合い、要望事項として決めたものです。

岐阜県御嵩町の産廃問題では、最終的に処分場の土地を業者が県に無償寄附するという決着となりました。ただ、今回の広島・本郷産廃処分場の場合、県が違法とは言え、許可を出してしまい、それにより、業者も操業してしまったという既成事実があります。なかなか、無償寄附しろと言われても業者は同意しないでしょう。残念ながら買い上げと言うのが一定の落としどころではないか。筆者そう考えます。その際、県知事や知事をチェックできなかった県議らの給料を連帯責任でカットして一部を充てる、引退した元議員には自主的なカンパ(引退していれば公選法上の問題はない)を求めるというのも一案ではあると考えます。

◆県知事に舐められる議会、そして県民

県民を代表して知事をチェックすべき議会もほとんど機能していません。そもそも、議会が機能していれば、議員提案でも、産廃処分場を厳しく規制する条例を出して可決していたでしょう。4期目に入った湯崎英彦知事も議会を完全に舐めています。だから、JAB協同組合のような問題のある事業者の処分場を水源地ど真ん中に許可するという愚行が起きる。もちろん、知事は、県民も舐めていると言わざるを得ない。地元住民が猛反対して三原市議会、竹原市議会が全会一致で反対決議を出したものを平気で許可したことにそれは現れています。

最近の知事は、農業ジーンバンク廃止も一方的に決めて一方的に説明、病院統廃合問題も一方的に案を決めて、一方的に説明など、木で鼻を括る対応が目立ちます。
こうした構造を打破しなければならない。産廃問題はとくに、待ったなしです。原告住民の行動に敬意を表します。

 

◆知事に控訴断念求める署名を!

現在、インターネット上でも知事に法令順守の産廃行政にするとともに、控訴断念を求める署名運動が起きています。知事が業者に行政指導を無視された状態で、控訴して許可を取り消さない、という判断を知事がすればますます、知事は産廃業者に舐められる。それを県民が許せば、ますます知事は県民をなめてしまう。そんな悪循環を止めましょう。右のQRコードからもご賛同いただけます。

【賛同いただきたい要望事項】

1.広島県行政として、法令遵守に立ち返り、県民の信頼回復に努めること。
2.控訴せず、直ちに許可取り消し処分を行うこと。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年8月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)

私が編者をつとめた『人権と利権』(鹿砦社、税込990円)は、おかげさまで5月23日の発売直後より話題の書となり、ネット書店では幾度も品切れと入荷を繰り返し、6月末に配信開始のKindle版をはじめとする電子書籍も、売れ行き好調と聞く。

寄稿や対談でご協力くださった方々と共に力を合わせ、俎上にあげたのは、弱者の人権保護を叫ぶ次の三つの勢力だ。

① 若年被害女性支援団体である一般社団法人Colabo。そして、若草プロジェクト(一社)、BONDプロジェクト(NPO)、ぱっぷす(NPO)。

② LGBTの人権のために闘うLGBT活動家とLGBT団体。

③ 在日外国人差別に対抗するために生まれた、旧レイシストをしばき隊(現C.R.A.C)。別名カウンター、ANTIFA。

出版妨害を警戒しての緊急出版だったが、抗議らしい抗議は、鹿砦社に届いた一通のFAXのみだったと聞く。
 
ところが、発売から一ヶ月近くが経過した6月19日、突然、Colabo代表の仁藤夢乃氏が、ツイッターで『人権と利権』の表紙を批判(ウェブ魚拓https://archive.md/jVcWu)。しかも、私をブロックした状態で、だ。

ちなみに、ツイッターで著名人がこのような名指しの批判をした場合は、それが「犬笛」の役割を果たし、手下のような有象無象が対象の人物を叩こうと群がり、ネットリンチ状態になるのが常ではあるが、どうしたことか、私のところには一人も批判者は来なかった。

[左]謎のタイミングでの『人権と利権』表紙批判ツイート。6月15日には参議院で四党(自・公・維新・国民)合意案でのLGBT理解増進法を通すべく、LGBT当事者である森が日本維新の会の参考人として答弁したことで、どこからか「叩き指令」でも出たのだろうか? [右]ブロックの壁の向こうであれこれ言われましても……(困惑)

それに続き、今度は、「週刊金曜日」が『人権と利権』の広告を掲載したことを仁藤氏に抗議されたとかで、植村隆代表が謝罪。その様子は、仁藤氏が6月27日に写真つきで誇らしげにツイート。

[左]全員がいい笑顔すぎて、正直、ジワりました[右]「週刊金曜日」誌面だけでなく、公式サイトでも謝罪

そして、植村氏は「週刊金曜日」におわび広告を出したうえで、コラム「ヒラ社長が行く」でもColaboに謝罪し、『人権と利権』を重ねて批判。

7月7日にはわざわざ兵庫県西宮市の鹿砦社を訪ね、旧知の間柄であった松岡利康代表に絶縁宣言。つまり「今後は広告掲載はお断り」ということだ。なんだそりゃ?(苦笑)

植村隆氏のコラム「ヒラ社長が行く」vol.223。仁藤氏に叱られてからはジャンピング土下座並みの素早い対応

植村氏の弱腰かつ非礼な対応に関しては、鹿砦社松岡代表が、次の記事で批判を展開している。

【緊急報告!】『週刊金曜日』6月16日号掲載の鹿砦社広告について──『金曜日』への筋違いの抗議に抗議し、一方的に「おわび」文を掲載した『金曜日』のメディアとしての自律性と主体性の喪失を批判します!

【緊急報告!】さらば、『金曜日』! 「私はあなたの意見には反対だ。 だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」(ヴォルテール)『週刊金曜日』6月16日号掲載広告問題続報

また、ルポライターの黒薮哲哉氏も、「MEDIA KOKUSYO 」にて「週刊金曜日」とColaboを批判、植村氏と仁藤氏に質問状をメールしている。

『人権と利権』の書籍広告をめぐる『週刊金曜日』植村社長の謝罪、市民運動に忖度してジャーナリズムを放棄

『人権と利権』の「差別本」認定事件、Colabo代表・仁藤夢乃氏と週刊金曜日・植村隆社長に質問状を送付、具体的にどの箇所を問題視したのか?

『人権と利権』の「差別本」認定事件、週刊金曜日・植村隆社長から回答、Colabo代表・仁藤夢乃氏は回答せず

そして、こちらは、『人権と利権』で私と対談してくださったジャーナリスト・須田慎一郎氏の動画。人気You Tube番組「別冊!ニューソク通信」の一本だ。


◎[参考動画]【左派VS左派】仁藤夢乃・Colabo問題が原因で左派分裂!?リベラル本「週刊金曜日」が窮地に追い込まれた“お詫び騒動”とは?

『人権と利権』にご寄稿くださった三浦俊彦東大教授も、須田氏の動画をブログ「三浦俊彦@goo@anthropicworld」でご紹介したうえで、皮肉たっぷりにコメント。

広告:サラシ・ノゾキ・ヤラセ・オワビ・トリケシ
https://blog.goo.ne.jp/3qaiujrrwc87ph/e/1fb94a7b1a7d22037918360842a83629

黒薮氏に遅れて私も、コラム「ヒラ社長が行く」の中で特に理解に苦しむ点をピックアップし、植村氏に質問状をメールしたので、皆様にもご覧いただきたく思う。以下がその文面である。

*     *     *     *     *

植村 隆 様

 はじめまして。
 『人権と利権』(鹿砦社)の編者を務めました、作家の森奈津子と申します。
 突然のメール、失礼いたします。

 貴誌「週刊金曜日」が『人権と利権』の広告を掲載したことで、多くの抗議があり、また、Colabo代表の仁藤夢乃氏からの抗議に対しては植村様直々に謝罪されたとのことですが、残念ながら、私はツイッターでは仁藤氏にブロックされているため、他の方々からその「事件」をお知らせいただきました。
 仁藤氏にブロックされていることからもおわかりいただけるかと思いますが、私は仁藤氏から直接の抗議は受けておりません。
 そんな状況の中、私は「週刊金曜日」7月7日号掲載の植村様のコラム「ヒラ社長が行く」vol.223を拝読し、首を傾げざるをえませんでした。
 大変失礼ながら、理解不能な点だらけでしたが、お忙しいことと存じますので、以下5点に関し、質問をさせてください。

質問1
 コラム「ヒラ社長が行く」の中で植村様は、『人権と利権』を「一般社団法人『Colabo』の仁藤夢乃代表やLGBT関係者を誹謗中傷する書籍」と評されていますが、Colaboの会計に不明な点があることを指摘・批判するのは、決して誹謗中傷ではないと、私は考えます。確かにColaboが掲げる若年被害女性支援の理念は素晴らしいものです。しかし、だからといって、全面的に礼賛しなくてはいけないとなると、それは単なるカルトではないのでしょうか?
 一体『人権と利権』内のどの部分が仁藤夢乃氏への誹謗中傷であると、植村様はお考えになりますか?
 また、「この部分は誹謗中傷ではなく、正当な批判や論評」とご判断する部分がありましたら、ご教示いただければと思います。

 

『人権と利権』の表紙デザインに関してはこのような解釈も……

質問2
 植村様がコラム内でおっしゃっている「LGBT関係者の皆様」とは、どなたのことですか?
 「異性愛者関係者の皆様」「シスヘテロ関係者の皆様」という表現同様、「LGBT関係者の皆様」などという言葉は、私は見たことも聞いたこともございません。植村様は、同じ表現を、「週刊金曜日」のおわび広告でもされていますので、ケアレスミスのたぐいではなく、本気でそのような表現をされているのだと、私は判断しました。
 なお、私は90年代なかばにバイセクシュアルとしてカミングアウトした作家です。デビューは1991年ですが、それ以前には、会社員をしながら、ゲイ&レズビアン解放運動の末端で活動をしてきました(当時はLGBTなどという言葉はありませんでした)。その後も、東京都青年の家事件の抗議集会に参加したり、性的マイノリティ団体の会合に出席したり、団体が発行するミニコミ誌を購読したりしてきました。
 およそ35年前から性的マイノリティの運動に関わってきた私ですら、「LGBT関係者の皆様」などという表現は見たことも聞いたこともありません。『人権と利権』で誹謗中傷された「LGBT関係者の皆様」とは一体何者なのでしょうか?
 どうか、私が納得できる形でのご返答をお願いいたします。もし、可能であれば、その方々のお名前もご教示いただければ、幸いです。

質問3
 『人権と利権』の表紙デザインに関し、植村様のコラムには「同書の表紙には、Colaboのバスの写真。それが傷つけられているように見える」とありますが、実際には、バスの写真の前に置かれたガラス板が割れたデザインであると私は判断しますが、いかがでしょうか?
 また、ある方は次のようにツイートしています。

 「人権と利権」。Colaboバスが破壊されていると見間違えて糾弾しているアホが多い。実際は手前に配置されたガラスだけが割れてる。近年「不可侵と信じられてきたものをガードしているバリアが崩壊しつつあり、不可能だった議論もできるようになった」現状をよく表現できている優秀な作品だろう。
https://twitter.com/nekohachi1/status/1671080920219279365
(ウェブ魚拓)https://megalodon.jp/2023-0710-1752-13/https://twitter.com:443/nekohachi1/status/1671080920219279365

 他にも、バスの背後に巨大なレインボーフラッグが配置されていることから、「LGBTの人権を叫ぶ者たちが、女性の人権を叫ぶ者を抑圧している状況(=女性スペース問題)を示している」と解釈した方もいました。割れたガラスから「利を求める者たちがColaboに群がり、ピザを切り分けるようにColaboを切り分けようとしている状況」と解釈している方も、ネットで目にしました。
 デザインはひとつでも、解釈は様々です。植村様は、これを「傷つけられたバス」と解釈し、さらには、「ナイフでバスが傷つけられた事件は実際に起きており、それを想起させる」とまでおっしゃっていますが、それはいささかうがちすぎであり、印象操作であるとのそしりもまぬがれないのではないかと、私は愚考いたしますが……。
 なお、Colaboのバスが傷つけられた卑劣ないやがらせは私も存じあげていますが、それがナイフによる犯行であると、なぜ、植村様はご存知なのでしょう?……という些末な点は、置いておくといたしまして。
 植村様は、『人権と利権』表紙デザインに関してご自身とは違う解釈をされる方々に対しては、どうお考えですか? 愚かであると思われますか?
 あるいは、解釈は様々であるとご判断されますか? だとしたら、『人権と利権』の表紙デザインを悪意があるものと決めつけるのも、早計ではございませんか?
 その点をどうお考えであるのか、植村様の解釈をお聞かせいただければ、幸甚です。

質問4
 植村様は『人権と利権』に関し、「同書は、LGBTは『生産性がない』という趣旨の発言で批判された杉田水脈氏を繰り返し擁護する」と記されていますが、それのどこがいけないのでしょうか?
 拙稿「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」では、杉田水脈議員批判が、立憲民主党の尾辻かな子議員(当時)の印象操作ツイートによる大衆扇動であることを、きちんと証拠を並べて論じました。まさに、植村様による批判「同書は、LGBTは『生産性がない』という趣旨の発言で批判された杉田水脈氏を繰り返し擁護する」というような、特定の人物を悪魔化して一切の擁護を受けつけない姿勢をこそ、私は批判しております。
 また、LGBT当事者である私が、LGBTの運動にしばき隊/C.R.A.C./カウンター/ANTIFAと呼ばれる過激な活動家が入り込み、LGBT当事者をおびやかしている現実を憂い、LGBTの運動に自浄作用を求めて、なにがいけないのでしょうか?
 LGBT当事者すらLGBTの運動を批判してはならないというのであれば、それこそカルトではないのでしょうか?
 その点について、ぜひとも、植村様のご見解をお聞かせください。

 

Colabo弁護団の太田啓子弁護士も森をブロック

質問5
 「ヒラ社長が行く」vol.223では触れられてはいないことですが、植村様のご見解をうかがいたい「事件」がございます。
 『人権と利権』で私と対談してくださった加賀奈々恵(ななえ)富士見市議に対し、Colabo支持者(しばき隊系活動家含む)から激しい集団ネットリンチがなされ、それは加賀市議が新型コロナで療養されている間にも続きましたが、これを植村様はいかがお考えですか?
 この集団ネットリンチには、Colabo弁護団の太田啓子弁護士も加わっていたと、私は聞き及んでおります。「聞き及んでおります」というのは、私はツイッター上では太田弁護士にブロックされているからです。つまり、太田弁護士からは私へは、一切の抗議はありませんでした。
 なお、植村様は把握されていることと存じますが、『人権と利権』では加賀市議は主に埼玉県のLGBT条例と女性スペースについて問題提起されており、Colaboや仁藤夢乃代表に関しては一切触れてはおられません。真っ向からColabo問題をとりあげ、批判したのは、ジャーナリストの須田慎一郎氏です。

 以上、お忙しいことと思いますが、ご返答をお待ちしております。
 まことに勝手ながら、お返事は一週間後の7月18日までにお願いいたします。

 2023年7月11日
 森奈津子

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森奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』
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▼森 奈津子(もり・なつこ)
作家。1966年東京生。立教大学法学部卒。1990年代よりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラー等を執筆。ツイッターアカウント:@MORI_Natsuko
https://twitter.com/MORI_Natsuko

G7サミットで得られた内閣支持率を元手に、総選挙に打って出ようとした岸田政権は、マイナンバーカードの不備で失速。解散は先送りになった。解散自体が自民党総裁選挙を足固めであって、いわば党利以前の私欲にすぎなかったところに、現在の政権のもろさがある。

ここで付言しておけば、日本社会のデジタル化はほぼ不可能だと、われわれは以前から提言してきた。ネットおよびIT経験で、それなりに標準的な水準に居ると「自賛」している筆者ですら、マイナンバーの取得に大変苦労した。筆者の周辺にいる高齢者たちで、ITやSNSを満足に使えている人は極めて少ない。

国民総背番号制の試みは1970年に始まり、90年台の住民基本台帳の失敗を経て、今回が三度目の挑戦である。

なるほど理論的にはカードを一元化し、免許証や健康保険証を統合するのは一見簡単にみえる。しかしこの間の「他人のデータが出てきた」「医療現場では使えない」現象は、デジタル技術とセーフティシステムの難しさを物語っている。写真認証は本当にできるのか? 筆者の手元にあるマイナンバーカードの写真は、駅前の身分証写真用のポラロイドで撮った、じつに解像度の悪い代物である。こんな写真で登録していいのかと思うほどだ。

さりとて、スマホで撮った画素の低い写真を、これまた簡易プリンターにすぎないPC印刷で仕上げるくらいしか、いまや方法がない(かつて愛用した一眼レフを使うのに、2000円以上するバッテリー電池を買い、高額となったカラーフイルムを現像するのは、いかにも不経済だ)。デジタル技術は政治家が思っているほど利便性がなく、使う側の国民も途方に暮れる現実がある。

◆公明党と自民党の蜜月の終わりは、国土交通相ポストの帰趨だ

マイナンバーカードの愚痴に話は逸れたが、岸田政権が解散に踏み切れなかった理由はもうひとつある。東京都議会レベルでの公明党との与党提携の崩壊のきざしである。

国政選挙並みの試金石と言われた都議補選(大田区・改選数2)の結果については、『紙の爆弾』(8月号)の「小池百合子と維新の敗北」(横田一)に詳細が解説されているが、そこで指摘されているとおり「公明党支援なしの影響」が政治的な注目点だった。

都レベルでの自公提携の崩壊は、東京28区(練馬区東部)で自民党が公明党候補を認めない方針に始まった。この東京28区は10増10減によって新設された選挙区だが、足立区議選(自民大敗・公明躍進)など統一地方選の総括から、都レベルでは公明党が立候補を取り下げるかたちでの自公提携は、これ以上看過できないところまできているのだ。これが公明党側の理由だ。

いっぽう、自民党が公明党との提携をスポイルしたい背景にあるのは、もっぱら公明党が独占してきた国土交通相ポストだと言われている。公明党は第三次小泉内閣の北側一雄、第一次安倍政権の北芝鐵三いらい、国交相を自公政権の定番ポストにしてきた。とくに第二次安倍政権以降は、太田昭宏、石井啓一、赤羽一嘉、斎藤鉄夫と、4期連続で独占してきた。この権益が、自民党政治家たちの不満を買っているのだ。

国の基本インフラをささえる公共事業の要が国交省であり、その決定権をにぎるのが国交大臣だからだ。国家予算の大半でもある公共事業はしかし、同じく大きな比重をしめる社会保障費(全国一律の医療費・保険費・福祉費など)とは異なり、個別の事業者が参入するいわば利権が発生する事業である。参入企業はそれぞれに後援会組織を社内につくり、政治的代理人(多くは自民党議員)を支援している。つまり国交省をめぐる基本構造が自民党政治なのである。

いっぽうの公明党も、地域政治を実現するには道路や下水道といった、住民生活に結びついた基本インフラをみずから采配することが不可欠なのだ。ここに自公政権のアキレス腱がある。秋の解散も内閣改造も、この国交相ポストがキーワードになると指摘しておこう。

◆互いに心中したくない維新と小池

もうひとつ、注目しておきたい政局がある。

「小池百合子と維新の敗北」は大田区都議補選の政治的焦点が、神宮外苑再開発問題であったことを指摘する。再開発の背後に、いまや国民的な嫌悪感をもって語られる森喜朗の暗躍があったことに、有権者は敏感に反応したと言っていいだろう。トップ当選の無所属候補は、都民ファーストを脱党した森喜朗の利権告発者だった。

さて、小池党と維新の会の蜜月が噂されて久しいが、今回の選挙で都民(大田区民)は維新に拒否反応をしめした。この結果を見て、政治判断に長けている小池百合子は維新との距離をとりはじめるであろう。小池百合子の狙いは、維新や国民との野合ではなく、自民党政治への軟着陸だと言われてきた(各社政治部記者)。このラインは間違いのないところだが、政変に近い局面が顕われたときに、その判断力がふたたび問われると予告しておこう。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年8月号 岸田政権の対米隷属と“疑惑の銃弾”の真相/神宮外苑再開発「伐採女帝」小池百合子と維新の敗北/LGBT理解増進法の内実/ジャニーズ「再発防止チーム」が期待できない理由他

瀬戸口勝也は大田拓真を迎え撃つも強打は不発、ムエタイ技に阻まれる。
木下竜輔は練習中の鼻骨骨折による欠場。
アマチュアを含め女子試合が5試合。沖縄の七美はAYAを伸び有る蹴りで主導権奪って存在感増す判定勝利。
重森陽太がフリーとなって御挨拶。今後の展望を語る。

◎MAGNUM.58 /7月9日(日)後楽園ホール17:30~20:20
主催:伊原プロモーション /認定:新日本キックボクシング協会

◆第11試合 58.0kg契約3回戦

日本フェザー級チャンピオン.瀬戸口勝也(横須賀太賀/39歳/58.0kg)
       vs
大田拓真(前・WBCムエタイ日本フェザー級C/防衛1度/新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身/57.8kg)
勝者:大田拓真 /判定0-3
主審:椎名利一
副審:中山28-30. 宮沢27-30. 桜井27-30

新日本キックボクシング協会の看板を背負った剛腕・瀬戸口勝也にKO勝利の期待が掛かったメインイベント。昨年10月23日に王座初防衛した試合以来となり、コンスタントに試合をこなしてきた大田拓真と比べれば、ややブランクの影響もあっただろうか。

ニュージャパンキックボクシング連盟のエース格、大田拓真は、2月26日に大翔(WSR・F荒川)に判定勝利。5月13日にはメキシコでIRON FIST イベントに出場し、2ラウンドTKO勝利(IRON FISTムエタイ世界スーパーフェザー級王座決定戦 5回戦)。王座奪取はしたが、更なる上位への通過点である。

大田拓真のハイキックが瀬戸口勝也の顔面を掠める

大田拓真は開始から左ジャブを活かし、自分の距離を保って蹴りとパンチでリズムを作った。瀬戸口は様子見から徐々に接近しパンチ強打を狙うが、大田が組み付けば崩し転ばせ、ヒジ打ちで瀬戸口の右目尻をカットし、時折ハイキックも見せる多彩な戦略で主導権奪った大差判定勝利。瀬戸口勝也の圧力掛けて出る強打は脅威だったが、大田拓真の牙城を崩すことは出来なかった。この試合も5回戦として後半へ長引いていけば、両者にとってKOに繋がる展開が見られたかもしれないだろう。

打ち合いに持ち込みたかった瀬戸口勝也(左)

組み合えば崩し技が優った大田拓真(右)

◆第10試合 58.0kg契約3回戦 木下竜輔欠場

代打出場=バンソーン・サマット(タイ/57.55kg)
      vs
NJKFフェザー級6位.坂本直樹(道場373/57.35kg)
勝者:坂本直樹 /TKO 3R 0:46 /
主審:少白竜

坂本直樹がパンチと蹴りでの様子見から、バンソーンは特に怖いものは無いと見たか、徐々に圧力を増して飛び蹴りも見せて行く。気を付けるべきはヒジ打ちも、第3ラウンドには距離を詰め、右フックでバンソーンを倒すと、カウント中にレフェリーストップされて終了。

坂本直樹がバンソーンをロープ際に追い込んでボディーブローを打ち込む

坂本直樹が右フック一発でバンソーンを倒した直後

◆第9試合 女子バンタム級3回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級4位.AYA(BLA-FREY/52.65kg)
        vs
ミネルヴァ・スーパーバンタム級6位七美(真樹ジムオキナワ/53.3kg)
勝者:七美
/判定0-3
主審:中山宏美
副審:椎名27-30. 宮沢29-30. 少白竜29-30

長身を活かした七美のハイキック、ミドルキックが攻勢を維持し、AYAの踏み込んでのパンチを前蹴りで拒む。女子でもパワーある攻勢で、終盤のヒザ蹴りの攻防では七美の勢い優る底力を見せ付けて終了。

男並みにパワーある左ミドルキックを蹴り込む七美(左)

試合終了寸前でヒザ蹴りの猛攻を掛けた七美(右)

◆第8試合 56.0kg契約3回戦

赤平大治(VERTEX/55.75 kg)vs 川端駿太(SHINE沖縄/55.3kg)
引分け 三者三様
主審:桜井一秀
副審:椎名30-28. 中山29-30. 少白竜29-29

開始からパンチと蹴りの攻防激しい展開。決定打となるダメージを与えるに至らない一進一退の展開の中、幾度か赤平が飛び蹴りを見せるが主導権支配するに至らず終了。

◆第7試合 ウェルター級3回戦

亜維二(=小林亜維ニ/新興ムエタイ/66.5kg)vs 宮平将詞(SHINE沖縄/65.75kg)
勝者:亜維二 /KO 1R 1:59 /
主審:宮沢誠

開始後、左フックの相打ちに宮平がスリップダウンも効いたような尻もち。更に蹴りからパンチの打ち合いは亜維二の勢いが増し、右ストレートがヒットすると効いた様子で後退する宮平をニュートラルコーナーに詰め連打すると、レフェリーはスタンディングダウンを宣し、再開後も亜維二はダメージ深い宮平に青コーナーに詰めて怒涛の連打。

レフェリーが再度スタンディングダウンを宣したところで、陣営からタオル投入による棄権で終了。

亜維二と宮平将詞の相打ち、宮平にダメージがあったか

ニュートラルコーナーに追い詰めてスタンディングダウンを奪う寸前の亜維二

◆第6試合 50.8kg契約2回戦

渡邊匠成(伊原/50.4kg)vs 明夢(新興ムエタイ/50.55kg)
引分け 1-0 (20-19. 19-19. 19-19)

◆第5試合 64.0kg契約2回戦

勇生(富山ウルブズスクワッド/63.2kg)vs 梅沢遼太郎(白山道場/63.35kg)
勝者:勇生 /TKO 2R 0:23 /ヒジ打ちによる額カット、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ

◆第4試合プロ 女子51.5kg契約3回戦(2分制)

オンドラム(伊原/51.45kg)vs NAO.YK(YK/51.15kg)
勝者:NAO.YK /判定0-3 (29-30. 29-30. 29-30)

◆第3試合 女子アマチュア35.0kg契約2回戦(2分制)/12ozグローブ)

西田永愛(伊原/34.95kg)vs 菊池柚葉(笹羅/34.15kg)
勝者:菊池柚葉 /判定0-2 (19-20. 19-20. 19-19)

◆第2試合 女子47.0kg契約3回戦(2分制)

aimi-(DANGER/45.85kg)vs Marina(健心塾/46.4kg)
勝者:Marina /判定0-3 (29-30. 28-30. 28-30)

◆第1試合 女子アマチュア50.0kg契約3回戦(2分制/12ozグローブ)

堀田優月(闘神塾/48.75kg)vs 野澤柚羽(Grabs) Kickboxing/48.9kg)
勝者:堀田優月 /TKO 2R 1:28 /パンチ連打でレフェリーストップ

フリーとなった重森陽太、古巣の新日本キックボクシング協会で御挨拶に立つ

《取材戦記》

重森陽太が新日本キックボクシング協会のリングに帰って来て御挨拶に立った。一旦去ったエースが帰って来たような雰囲気である。

来月9日に「KNOCK OUT」興行に出場の予定。幾らか王座獲得経験あるタイトップレベルとの対戦を控えているが、重森は「今後どのような道に行ったらいいのか迷っていた時に、伊原会長から『お前はキックボクシングを続けなさい。今迄頑張って来たのだから、お前の好きなようにやりなさい。』と激励の言葉を頂き、背中を押されました。」と感謝を述べた。

更に「今後もどんどん強い選手と戦うことで、世間でも認知されるキックボクサーになることが新日本キックと伊原代表へ出来る最大の恩返しだと思っています。」と語った。

新日本キックボクシング協会は2019年からの分裂とコロナ禍による影響、そして幾名かの選手の脱退が起こり、エース格に成長した重森陽太は今年2月19日にラジャダムナンスタジアム・ライト級王座挑戦も、チャンピオンのジョーム・パランチャイに判定負け。その後、協会から伊原稲城ジムの脱退があり、重森陽太は脱退した稲城ジムからの離脱で、個人でもフリーとなりました。

新日本キックのリング上での御挨拶となった流れでは、伊原信一代表との長年の絆が有って、フリーでやるなら新日本キックのリングも選択肢の一つでしょう。世間でも認知されるキックボクサーになるにはフリーでなく、練習環境が整ったジム所属が必要になると思いますが、今後の戦い方に注目です。

バンソン・サマット(BangThong Samat)はバントーン・サーマートか?正確な発音をタイ陣営に聞こうとしたところ、タイでのリングネームは全く違うようで、バンソン・サマットの正確な発音までは時間が無く聞き取ることが出来ませんでした。忘れなければ次回までに聞いておきたいものである。バンソンの次の試合があるかは分かりませんが。

次回、新日本キックボクシング協会興行は10月15日(日)にTITANS NEOS.33が後楽園ホールに於いて開催予定です。次代のメインイベンターを育てられるか、新日本キックボクシング協会の踏ん張りを注視したいところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

「少子化の真実」。これをテーマにした投稿がネット上で話題にのぼっていたので、今回は書評を休み、この問題について語りたい。

◆金と希望とがそろわなければ出産への挑戦など不可能!

該当の投稿では、政策となっていることもSNSのリベラル系アカウントで言及される内容でも「子育て支援」一本槍だが、実際には少子化の原因は未婚化であり、その要因は若者の貧困であると社会学者は説明していることに触れられていた。

この投稿に対し、さまざまなコメントがつけられる。たとえば、少子化対策を学者でなく自民党の政治家がおこなっていることで、夫婦別姓ですら実現しない現状を嘆く声があった。予算内で解決できる問題しか拾い上げず、反対意見の出ない対策しか打たないのではないかという意見も出ている。これは、少子化対策に限ったことではないだろう。また、出生率について触れる人もいた。

「人口動態統計」をまとめた厚生労働省のデータ(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-07.html)によれば、出生数は1950年の約234万人、73年の約209万人などと比較すると激減ともいえるように、2019年には約87万人にまで落ち込んでいる。

出生率、合計特殊出生率の推移:1950-2019(厚生労働省)

いっぽう、1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す「合計特殊出生率」に目をうつすと、1950年こそ3.65とかなり高くなっているが、73年でも2.14、75年には2.00を下回り、1999年にはすでに1.34にまで下がっている。2019年では1.36だ。

そして、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」をもとに、2040年には出生数74万人、出生率1.43になると推計されている。つまり、未来も現在同様、出生率は下げ止まるなか、出生数は減少の一途をたどると予測されているのだ。

より貧困だった戦後に触れ、未来に対する希望がなければ出産しないという問題を取り上げるコメントもあった。

◆相対的貧困率を参考にみる貧困のリアル

相対的貧困率については、たとえば首都大学東京(現・東京都立大学)子ども・若者貧困研究センター長の阿部彩氏が詳細を研究している(https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/5th/sidai/pdf/anzen/01/04.pdf)。

相対的貧困率の推移:1985-2015(厚生労働省)

相対的貧困率とは、収入から税金や社会保険料を引いた手取り収入である「可処分所得」を世帯人員の平方根で割って調整した、「等価可処分所得」に満たない世帯員の割合のこと。これが1985年には12.0%だったのに対し、2000年の15.3%まで上がり続け、03年には14.9%へと下がるものの再び2012年の16.1%にいたるまで上がり続けた。

いっぽう、「年齢層別の貧困率の推移」を見ると、男性では「1985年から2012年にかけて、20-24歳をピークとする『山』が出現。逆に、55歳後半から上昇していた貧困率の『山』が徐々に減少」と説明されている。これでは、貧困化を若年層が訴えても、政治・会社・社会を中心となって動かすような世代や立場の人に理解されることは難しいだろう。意図的に無視されているのかもしれないが。

女性も同様に「1985年から2012年にかけて、20-24歳をピークとする『山』が出現」と説明されており、「高齢期の貧困率は、2015年にも存在するが、1985年よりも高い年齢層で上昇する」と加えられている。

世帯構造別の1985年と2010年代の比較では、男性の場合、勤労世代の貧困率は、ひとり親と未婚子のみ世帯などで大きく上昇。単独世帯、夫婦と未婚子のみなどの割合が増えている世帯でも上昇傾向にあるとのこと。女性では、単独世帯の貧困率は下降しているもののいまだに3割。子どものいる世帯は上昇傾向。ひとり親と未婚子のみ世帯の貧困率は、貧困率がさらに高くなっている。

つまり、夫婦のみか3世代世帯で、誰かが高収入を維持するか共働き、なおかつ食べさせなければならない子どもがいない世帯でなければ貧困に陥りやすいということになるだろう。やはり、結婚したくてもできない、子どもをもちたくてももてないという人が少なからず存在することがわかる。

◆現在と未来の選択肢とは

冒頭の投稿に対するコメントでも、最低賃金の引き上げ、非正規雇用の規制、ブラック企業の撲滅、富裕層への課税を提案するものもあった。これらを求め続けることは重要だが、なかなか実現されることはない。むしろ逆行するような政策が目立つ。

背景としては、まず、労働法制の改悪・規制緩和の歴史があった。特に80年代後半以降、バブル崩壊とともに、賃上げ率は下がり、失業率が上昇。その後、派遣やアルバイト、パートといった非正規雇用の労働者が急増していった。企業はリストラを断行し、非正規雇用で労働者を使い捨てにする。非正規雇用の労働者の割合は、厚労省のデータ(https://www.mhlw.go.jp/content/001078285.pdf)によれば、1984年に15.3%だったのが、2019年の38.3%をピークに22年も36.9%と高い状態となっている。

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移:1984-2022

その前の時代から、労働運動というものは展開されてはきた。派遣も「派遣村」を機に、問題視する声はあがった。ただし、近年ではパートやアルバイトが増加しており、筆者も過去にフリーランスの労働組合を設立して活動していたが偽装請負も蔓延した。

政治は企業や富裕層の声にばかり耳を傾け、労働運動ですら御用組合が跋扈。そしてこんにちにいたる。

地方に暮らしていると、小中学校の統廃合が進み、子どもどころか人間自体の減少を実感する。未来予測の数値をながめれば、限界集落化直前というわけだ。

たしかフランスで以前、4人産めば働かなくても暮らしていけるような社会保障的な制度があったと耳にしたことがあったが、調べてもなかなか情報を得られない。ただし、ハンガリーで類似のものがあったので、紹介する(https://comemo.nikkei.com/n/nb01fe91dec15)。

40歳未満で初婚であれば約360万円を借りることができ、第一子を出産すると返済が3年間猶予される。その3年以内に第二子を産めば、さらに3年猶予されるうえ、120万円程度の返済が免除される。第三子も産めば、全額免除。日本価値で約1000万円となるそうだ。4人産めば、約2000万円となることもあるらしい。

もし、この社会に上記の制度があったら、個人的には「やけくそ」と面白がる気分とで、今からですら4人以上産むことに挑戦してみようという気にもなるかもしれない。父親がすべて異なってもよさそうだし(笑)。

そもそも地球は人口過多で、発展する国々の増加にともなう食糧危機すら叫ばれる。世界中のそこかしこで人口減少が起こっていることは驚くに値しないことかもしれない。

それでも、社会を現実的に保持するため、国家が存続するなら政治に訴えながら、個人的には食べ物を少しずつでも自力で入手しながらコミュニティの助け合いシステム強化を試みるしかないと考えている。実際には、自らの死後に家やモノがどうなるかという問題をつきつけられはするわけだけれど。

この国の1人当たり実質GDPは2022年、35位となっている。もはや、おりていく社会の見本を目指すという選択をするときがきているのではないか。その前にできることをまたそのままにするなら、「失われた40年」も目前だ。中間層をあつくすることが最適な対策であるという声も無視し、大企業や富裕層、そして政治は外ばかり向いている。権力者が問題だらけであることは、各国をみても同様。ならば、もう私たちは、やっているふりを受け入れ続けることはやめ、「勝手にやって」いい段階ではないか。

▼小林 蓮実(こばやし・はすみ)
1972年生まれ。フリーライター。労働・女性運動を経て現在、農的暮らしを実現すべく、田畑の作業、森林の再生・保全活動なども手がける。地域活性に結びつくような活動や起業も準備中。この国の婚姻制度・家制度に違和感を抱き続ける。未婚、「子なし」。
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国民の大多数から「無実なのに死刑囚にされた冤罪被害者」と認識されている袴田巌さんの再審がついに行われることになった。袴田さんは1966年の逮捕から現在まで57年にわたり、殺人犯の汚名を着せられてきたが、無事に再審が行われれば、無罪判決を受けることは確実だとみられている。

 

林欣寛氏。現在は札幌高裁の事務局長をしている

このような状況の中、過去に袴田さんに対し、無実の訴えを退ける判決や決定を下した裁判官たちはどのような思いで、どのように過ごしているのだろうか。当連載では、該当する裁判官たちの中から存命であることが確認できた人たちに対し、公開質問を行っていく。

6人目は林欣寛氏。2018年6月11日、その4年前に静岡地裁(村山浩昭裁判長、大村陽一裁判官、満田智彦裁判官)が認めた袴田さんの再審を取り消す決定を出した東京高裁(裁判長は大島隆明氏)の裁判官の一人だ。

◆「林氏の略歴」と「林氏への質問」

林氏は1978年9月6日生まれ、愛知県出身。大島裁判長らと共に袴田さんの再審を取り消す決定を出した後、2020年4月1日に司法研修所の教官に異動し、2022年4月8日からは札幌高裁の事務局長を務めている。

「司法研修所の教官」は、司法試験に合格した修習生を指導する職で、「高裁の事務局長」は管内の司法行政(たとえば裁判官や職員の人事関係事務、会計事務、一般の庶務など)の責任者だ。つまり、林氏は東京高裁の裁判官として袴田さんの再審を取り消す決定を出した後、法廷で人を裁く仕事をしていないのだと思われる。

そんな林氏に対しては、以下のような質問を書面にまとめ、郵便切手84円分を貼付した返信用の封筒を同封のうえ、札幌高裁に特定記録郵便で郵送し、取材を申し込んだ。

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【質問1】

袴田巌さんは再審が決まり、無罪判決を受けることが確実な状況となりました。林様はこの状況をどのように受け止めておられますか?

【質問2】

林様は、大島隆明裁判長らと共に袴田さんの再審を取り消す決定を出されたのち、2度の人事異動で「司法研修所の教官」と「札幌高裁の事務局長」に就いておられますが、この2つの職はいずれも、法廷で人を裁くことをしない職だと思われます。林様がこのような職に就かれていることは、袴田さんの再審を取り消す決定を出されたことと何か関係があるのでしょうか? 何か関係があるのであれば、どのような関係があるのか、具体的に教えて頂けましたら幸いです。

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この質問に対して、林氏からは以下のような回答が郵便で届いた。なお、林氏に郵送した「郵便切手84円分を貼付した返信用の封筒」は、回答と一緒に返送されてきた。

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令和5年7月3日

片岡健様

札幌高等裁判所事務局総務課

事務連絡

あなたから当裁判所に送付された2023年5月22日付け林欣寛宛ての書面に同封されていた郵便切手84円分(返信用封筒に貼付)を返送いたします。
なお、本件についてお答えできることはありません。

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林氏については、追加取材をすることを検討している。

※林氏の生年月日と出身地、異動履歴は『司法大観 平成二十八年版』と『新日本法規WEBサイト』の情報を参考にした。

▼片岡健(かたおか けん)
ノンフィクションライター。編著に『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(リミアンドテッド)、『絶望の牢獄から無実を叫ぶ―冤罪死刑囚八人の書画集―』(電子書籍版 鹿砦社)。stand.fmの音声番組『私が会った死刑囚』に出演中。

「絶望の牢獄から無実を叫ぶ―冤罪死刑囚八人の書画集―」[電子書籍版](片岡健編/鹿砦社)

地元住民や地元市議会の反対も押し切って三原市の水源地のど真ん中に広島県(湯崎英彦知事)が許可してしまったJAB協同組合が経営する本郷産廃処分場。2022年9月から一部操業し、2023年6月にはBODやCODが基準値を上回る(住民の岡田和樹さんら調べ)汚染水が流出してしまいました。

その産廃処分場の設置許可取り消しを住民らが求めていた裁判で7月4日(火)13時10分、広島地裁の吉岡茂之裁判長は知事に対して許可取り消しを命じる判決を言い渡しました。

◆ずさんな業者の調査を鵜呑み、県知事の判断の過程に大きな誤り・欠落

 

吉岡裁判長は「処分場の許可に至る広島県知事の判断の過程には看過しがたい過誤・欠落がある」と指摘。

具体的には業者JAB協同組合による生活環境影響調査が、

・法によれば調査しないといけない処分場に近い既存の井戸が調査されていない。専門家の会議の中でも近い井戸がないか?と聞かれても業者は「井戸はない」と主張し、県もスルーしてしまった。実際には井戸があることが発覚した時も、井戸の持ち主が即答を避けただけなのに「調査を拒否された」ということにしてしまった。

・農業用水に使われている川への影響の調査の仕方もおかしい。処分場の調整池から水が流れてくる近くで調査をしないといけないのに、取水口を5つも経た700mも下流でしか調査していない。

ことが、「水質に関する必要十分な把握と言う不可欠な前提が欠けている」と判断されました。

この日は、筆者も傍聴に行きました。判決を言い渡した吉岡茂之裁判長は、昨年2022年6月には、操業差し止めを求める仮処分申請を却下していました。また、同裁判長は、今年2023年5月には故・後河内真希先生の労災認定を却下しています。さらに伊方原発広島裁判では、運転差し止めの仮処分申請を却下した「前科」もあります。従って「これは、今回もダメ(不当判決)かな」とひやひやしていました。
13時10分、吉岡裁判長が言い渡した判決は「被告・広島県知事に許可を取り消すことを命ずる」というものでした。原告住民に喜びが広がりました。

◆住民に5年以上の闘いを強いる広島県

これまでの経過をおさらいしますと、2018年4月にJAB協同組合が三原市と竹原市の水源地のど真ん中である三原市本郷町南方に産廃処分場の計画を発表。このJAB協同組合が広島市安佐南区上安に設置した産廃処分場では、いい加減な処分方法で、汚染水を流出させる、また、処分場の真下が元保安林の上に不適切な盛り土をした場所だったことが発覚する、など問題が続発しています。その上、JABはこの処分場を拡張した上で所有権を外資系企業に数百億円で売却しています。金儲け中心の事業体であることがうかがわれます。

当然、住民は猛反対をしますし、三原市議会、竹原市議会でも産廃処分場には対する決議が可決されます。

だが、2020年、広島県はJAB協同組合に産廃処分場をつくる許可を出してしまいます。これに対して住民が2020年7月15日に許可取り消しを求める行政裁判を起こしたのです。その間、2022年9月に産廃処分場は稼働し始め、群馬や長野など遠方から産廃が運び込まれてしまっています。そして、ようやく、今回、地裁レベルでありますが、産廃処分場の許可を取り消すよう裁判所は県に命じました。

しかし、広島県がこの判決を受け入れずに控訴すれば、原告住民はさらなる闘いを強いられます。そうこうするうちにも、県外からも含めて産業廃棄物が搬入され、水の汚染がさらに広がることになります。

◆酷い事業者にいい加減な県、そして住民の地道な努力が「勝因」

判決後、原告団長の山内静代さんは「一致団結して闘ってきた原告の皆様に感謝したい。地元の皆様は『家の前を30トントラックが毎日通過するのを見るのはつらい』とおっしゃる。水質汚染はどこまで広がっていく。命にかかわる産廃問題を他人ごとと考えないように、我が事と考えるようにマスコミの皆様にもお願いしたい。」と訴えました。

原告弁護団の山田延廣弁護士は「原告の岡田さんがわたしに相談してこられたとき最初は断った。裁判をささえるだけの運動がつくれるか心配だったからだ。しかし、三回も来られて「絶対運動をきちんとします」と言われてお受けした。」

「今回は許可取り消しになって当たり前の裁判だった。業者のJABもあまりにもひどいことをしてきたからだ。そして県も、JABのいい加減な調査をうのみにしていた。(その上で)皆様が、専門家を訪ねて、水質検査などお金がかかることもしてこられた。やるべきことをやってこられたことが勝訴につながった。」と振り返りました。

原告団の藤井弁護士からは、判決文について詳しい報告がありました。

「普通は、裁判所は行政が適正だというなら適正だというのが普通だ。吉岡裁判長は行政に甘く判断する方だがその吉岡裁判長がこうなので、広島県はよほどひどいということ。」などと指摘しました。

◆産廃担当課長に汚染水の匂いを嗅いでいただき、対策を迫る

 

原告側は判決後、広島県(湯崎英彦知事)に対して判決を受け入れて産廃処分場設置許可を取り消すよう要請しました。県の担当課長らが対応しました。

県の担当課長は「弁護士と相談して決定したい」。「なるべく早い時期に方針を決める」と繰り返しました。

原告側は、「判決では看過し難い過誤、欠落があると、言われている。許可処分を取り消す判断をしただけではすまない。谷に産廃も埋められている。一般論として取り消した場合は後始末をきちんとさせないといけないのでは。」と迫りました。

また、「産廃処分場に対して立入検査したか?」と問うと、「東部厚生環境事務所が行っている」と回答しましたが、原告側が「東部厚生環境事務所に聞いたら『行っていない』」と追及すると県側はシドロモドロになってしまいました。

「県民誰一人取り残さないというのが湯崎知事の第一声だったはず。だが、我々は取り残されていた。」と参加者から声があがりました。

そして、課長らに汚染水の匂いを嗅いでいただきました。

また、処分場に隣接する地権者が産廃処分場の様子を映したビデオをお見せしました。

 

そのビデオにはトラックで運び込まれた産廃が、ザルと言われている目視の展開検査(廃掃法で義務付け)すらせずに一挙に谷に放り込まれている様子が映し出されていました。

課長らは黙っておられるばかりでした。

そんななか、川下で農業を営む男性は、「近所では農業をやめるという話になっている。なんとかしてくださいよ。あなたが県の環境責任者でしょう。あなたがしゃんとしないでどうするの? 」と迫りました。

「一刻の猶予もならない。もし許可されていなければあの里山は素晴らしかったのですよ? 命が奪われるかの瀬戸際。猶予も許せない。」と別の住民女性も迫りました。

「県もJABに騙されたのでしょう? 井戸水で生活する人はいないとか水質は大丈夫とか言われたのでしょう?」。

「県もJABを訴えるべきでしょう? 「産廃処分場は県会議長(経験者)の土地。JAB協同組合は元衆院議員が理事長でしょう? 大きな力に勝てないのでしょう? 」
などと、別の男性もたたみかけました。

こうした声を受けて課長は、「声をきかせていただきありがとうございます。みなさまの不安がおこらないようみなさまの不安が解消されるよう対応します。」と答えるのが精一杯でした。

原告側は「操業を今すぐ止めるよう県知事に伝えてください。」と念を押し、要請行動は終わりました。

◆失神KO負けの知事よ これ以上の悪あがきはおやめなさい

上記でご紹介した通り、広島県に対して三原市の本郷産廃処分場の許可取り消しを命じた裁判長は失礼ながら、これまでは「権力忖度」で悪名高い吉岡茂之裁判長でした。しかし、今回ばかりは、さすがの吉岡裁判長も「業者による調査は生活や環境への影響について正確な把握が欠けていて、知事の審査や判断の過程には欠落がある」と断じざるを得なかったのです。

それだけ、広島県知事・湯崎英彦さん率いる産廃行政はお粗末であり、今回の湯崎県政の問題が噴出したと言わざるを得ません。当初は、「誰一人置きざりにしない」などと気勢を上げていたのも今は昔。筆者もあのときはそんな湯崎さんに期待して一票を入れてしまいましたが、ガッカリです。湯崎英彦、一票を返せ、と言いたい。

とはいえ、吉岡裁判長にも、今回、許可取り消しをするくらいの判断力があるなら、なぜ、去年の6月の段階で、事業者に対して処分場の操業を差し止める仮処分を認めてくれなかったのでしょうか?文句の一つは申し上げたい。あれから1年余りの間に、汚染水が噴出してしまったのですから。

筆者の元上司でもある広島県の湯崎知事に申し上げます。

あの吉岡裁判長でさえ、広島県を勝たせることはできなかったのだ。ボクシングでいえば、失神KO負けと言って良いでしょう。ボクシングでいえば、「失神KO負け」と言って良いだろう。ボクシングで判定に相当する状態に持ち込めれば、日本の権力者がお得意(?)の八百長判定で県勝訴に持ち込むこともできたろうが、失神KOされたのではそうはいきますまい。

あなたがすべきは、そのことを深刻に受け止め、今すぐ産廃処分場の許可を取り消すこと、そして、後始末をきちんとするように事業者に命じることです。そして、事件の背景となった、日本でも最も緩すぎる広島の産廃規制を強化することです。それができないなら即刻退陣されることです。

確かに日本の裁判は三審制です。しかし、三審制の本来の意義は人権保護です。これ以上、操業をさせてこれ以上人権侵害を拡大させれば、湯崎知事、あなたはそれこそ切腹ものですぞ。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年8月号

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

本年も7月12日がやって来ました。鹿砦社にとっても私個人にとっても重要なメモリアルデーでした。事件があった2005年の7・12から早18年が経ちました。再来年で20年となります。会社にとっては壊滅的打撃を被りましたし、また私にとっても人生最大の苦難でした。毎年この日を迎えると、「よくぞ生き延びてきたな」と、いささか感傷的になると共に、まだこの世界でやることが残っていると思います。いい機会ですので、われわれの会社・鹿砦社の社史を簡単に振り返ってみましょう。

◆創業の頃

当社の創業は1969年(昭和44年)、70年安保を前にして国内のみならず世界中が騒然としていた時代です。沖縄はまだ米国領、ベトナムでは戦争が続いていました。最初の出版は、マルクス経済学者、中村丈夫編『マルクス主義軍事論』、時代を象徴するような本です。鹿砦社という社名も中村丈夫先生が命名されました。「鹿砦」とは、辞書を紐解けば鹿の角などで作った「山城」、今で言えば「バリケード」(死語?)ということですが、敵の攻撃や理不尽なことに対してはバリケードをこしらえ徹底抗戦せよ、という意だと解釈しています。

その後、『ブハーリン裁判』『クロンシュタット叛乱』『マフノ叛乱軍史』『左翼エスエル戦闘史』(これらは風塵社で復刊されています)等々、ロシア革命の捉え返しを中心として革命の意味を問い直す出版を続けます。当時関係した方々はほとんど亡くなられていますが、『続・全共闘白書』を編纂された前田和男さんは今でも生き残り老戦士として頑張っておられます。この頃はまだ私は入社しておらず熱心な一読者でした。一読者が、読んでいた本の版元の代表になるとは皮肉なものです。

しかし時代が70年代、80年代と推移するにつれ、こうした本も売れなくなり経営も厳しくなっていきます。

最初の出版『マルクス主義軍事論』とその広告

◆私が経営を引き継いでから

そうした中、80年代後半に私が経営を引き継ぎ、しばらくはそうした路線を踏襲していましたが、やはりにっちもさっちもいかなくなり、ちょっとした縁で一気に芸能暴露本路線へ転換、一時はこれが成功し「暴露本出版社」として世間に名を挙げます。これが性に合ったのか芸能路線は、いわゆる暴露本のみならず今に至るまで継続しています。それまでの鹿砦社をご存知の方には驚かれましたが、私にとってはロシア革命も芸能も等価とみなしています。

今、社会的に問題となっているジャニー喜多川未成年性的虐待問題も、『週刊文春』がキャンペーン始める以前の90年代半ばからパイオニア的に相次いで出版しています。なので、今春突如日本で報道され大きなインパクトを与えた英国BBCのドキュメントも最初当社に問い合わせがあり、簡単なレクチャーと当時の多くの書籍・資料を送り協力した次第です。現在多くの日本のマスメディアが20年遅れで採り上げていますが、こうしたマスメディアの態度が性的虐待の被害を広めたといえます。遅いです! 私たちは少部数ながらどんどん出版を世に訴えていたのですから。その後、唯一、採り上げたのが『週刊文春』でした。

また、芸能暴露本と同時並行的に継続していた社会問題書もラジカルに出版を続け、あまり知られていませんが出版差し止め5度、遂には代表の私が「名誉毀損」に名を借りて逮捕されるという前代未聞の事件になります(2005年)。捜査は取次3社(トーハン、日販、旧大阪屋)や製本所、倉庫会社はじめ取引先など広範囲に及び、特に取次3社は検察の求めに軽々に応じ販売資料を提出するという愚を犯しました。平素は「言論・出版の自由」を叫びながらこの体たらく、頑と拒否してほしかったところです。いや、拒否すべきでした。

鹿砦社弾圧を報じる朝日新聞(大阪本社版)2005年7月12日朝刊

結局6カ月余り勾留され有罪判決(懲役1年2カ月、執行猶予4年)と600万円ほどの高額賠償金を課せられ(刑事、民事とも最高裁で確定)、会社は壊滅的打撃を被ります。ちなみに、これまで1億円を越す訴訟費用(賠償金含む)を使いました。

それでも読者や取引先、ライターの皆様方のご支援で奇跡的に復活し、事件前の水準を遙か凌駕する売上を上げるに至ります。べつに自慢するわけではありませんが…。一方当時本件を指揮した神戸地検特別刑事部長は別件の証拠隠滅で逮捕、失脚し、また刑事告訴し高額訴訟を提起した遊技機(パチンコ/パチスロ)メーカー創業者社長は政府高官への贈収賄容疑で海外で逮捕、遂には自らが作り育てた会社からも放逐されます。「鹿砦社の祟りか、松岡の呪いか」と揶揄される所以です。

◆新型コロナ来襲! 再び苦境に

そうして新型コロナ禍──またまたどん底に落とされました。手持ち資金数千万円をあっというまに溶かし、さらに新たな負債を積み上げながらも、ここでも読者、取引先、ライターの皆様方のご支援で、ようやく苦境を脱しつつあります。当社は土壇場に強いといわれますが、さすがに齢70を越すと、体にも心臓にもよくありません。

前述の「名誉毀損」弾圧事件の直前に月刊『紙の爆弾』を創刊しましたが、モットーは「タブーなき言論」です。創刊時には「ペンのテロリスト」と自称していました。

最近では『紙の爆弾』の増刊号で森奈津子=編『人権と利権--「多様性」と排他性』を発行いたしました。「顰蹙は金を出してでも買え」とは幻冬舎・見城徹社長の名言ですが、本書も四方八方から顰蹙を買い、あっというまに完売です。「炎上商法」を意識したわけではありません。

2019年、創業50周年を皆様方に祝っていただき、年が明けたら新型コロナ襲来です。コロナが来なければ、左団扇で後進に道を譲り勇退していたでしょうが、コロナによる(だけでもありませんが)打撃で背負った負債を消していくために、まだまだ「老人力」でもって奮闘しなければならないようです。昔風に言えば「闘争勝利!」です。

当面の目標は再来年(2025年)の月刊『紙の爆弾』創刊20周年ですが、満身創痍の50年余の社史を想起するに、冒頭に記したように、よくもここまで生き延びてきたものだと、あらためて感傷的になります。

7月12日、運命的な逮捕から18年が経ちました。いろいろあった鹿砦社の歴史の一端を紹介させていただきました。

歴史の彼方に忘却されつつある〈7・12〉のことを想起いただければ幸いです。

(松岡利康)

10周年に、大学の後輩で書家の龍一郎が贈ってくれた書

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年7月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)

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