前半にノックアウト(TKO)が集中、女子だけでも活気ある興行となったが、計量失格が三名、欠場一名、王座決定戦はチャンピオン誕生成らずで、プロモーターにとっては悔しい興行。

◎GODDESS OF VICTORY Ⅱ / 4月14日(日)GENスポーツパレス16:30~19:55
主催:エスジム、ミネルヴァ実行委員会 / 認定:NJKF / 前日計量12:00

(戦績はプログラムより今回の結果を加えています。試合順は中止カードを省いています。生年月日は割愛します。)

◆第13試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級王座決定戦3回戦

1位.NA☆NA(元・Champ 2022.6.5~11.13防衛無/エス/ 53.46→53.3kg=1.14kg超、計量失格/減点2、8オンス)18戦11勝5敗2分
        vs
2位.上野hippo宣子(ナックルズ/ 52.05kg/6オンス)22戦4勝15敗3分
勝者:NA☆NA / 判定3-0
主審:岡田敦子
副審:児島28-27. 中山28-27. 少白竜28-27 

上野hippo宣子が勝利した場合のみ王座認定となる試合。

パンチの攻防から組み合うとNANAのヒザ蹴りと崩しが発揮され、上野宣子は転ばされる。離れてもNANAが先手を打つパンチと蹴りが優る。中盤以降も組み合うとNANAのヒザ蹴りと崩しで圧力を掛ける。

余裕無い上野はパンチ中心に攻めるが、NANAは打ち合いに応じ蹴りを加え主導権を支配し実質フルマークの判定勝利も王座は空位のままとなった。

NANAが上野hippo宣子を振り落とした首相撲の技

NANAの右ミドルキック。終始圧倒して減点を巻き返した

◆第12試合 女子46.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・アトム級チャンピオン.Nao(AX/ 45.9kg)6戦6勝(2KO)
        vs
ミネルヴァ・ピン級5位.上真(ROAD MMA/ 45.5kg)13戦4勝9敗
勝者:Nao / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:児島30-28. 中山30-27. 岡田30-27 

ローキックから前蹴りなどNaoが上手さを見せ、更にハイキックと組んでのヒザ蹴りで優り、ヒザ蹴りに行く体勢から振り回して転ばせる。力の差は明らかだが、上真も諦めず蹴りを返していき、Naoはノックアウトには至らないが、テクニックで上回って大差判定勝利となった。

チャンピオンの上手さが光ったNaoの左ミドルキック

Naoの蹴り足をキャッチした上真だが、Naoの勢いを止められず

◆第11試合 女子48.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ライトフライ級5位.青木繭(take1/ 48.0kg)9戦5勝(1KO)4敗
        vs
ミネルヴァ・アトム級5位.Marina(健心塾47.4kg)8戦3勝(1KO)5敗
勝者:青木繭 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:児島30-29. 椎名30-28. 岡田30-28 

Marinaはパンチで出るも、蹴りから組み合ってのヒザ蹴りは青木繭が優る。離れた距離ではMarinaの蹴りも活きるが、次第に青木の圧力が増していき判定勝利。

33歳対17歳の戦い、青木繭の連打でMarinaを突き放す

◆第10試合 女子46.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・アトム級2位.祥子JSK(治政館/ 45.15kg)25戦7勝17敗1分
        vs
ミネルヴァ・ピン級1位.斎藤千種(白山/ 45.9kg)8戦4勝4敗
勝者:斎藤千種 / 判定0-3
主審:中山宏美        
副審:少白竜29-30. 椎名29-30. 岡田28-30 

パンチと蹴りから組み合う両者。離れてパンチと蹴りの斎藤千種が徐々に圧力掛けて出る。蹴りが少ない祥子。パンチのヒットと積極性で斎藤千種が上回り判定勝利。

斎藤千種の左ストレートが祥子JSKにヒット、我慢比べは斎藤千種が優った

◆第9試合 女子ピン級超3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ピン級6位.世莉JSK(治政館/49.1→48.81kg=3.45kg超/減点2、8オンス)10戦3勝5敗2分
        vs
AZU(DANGER/46.1→45.61kg=250グラム超/減点1、6オンス)10戦2勝7敗1分
引分け 0-1
主審:児島真人
副審:少白竜28-29. 椎名28-29. 中山28-28 

ウェイトオーバー同士は的確なヒットは少なく引分けに終わる

◆第8試合 女子43.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ピン級4位.AIKO(AX/ 43.0kg)15戦7勝7敗1分
      vs
町屋杏(Bushi-Doo~武士道~/ 42.8kg)6戦3勝(1KO)3敗
勝者:AIKO / 判定3-0
主審:岡田敦子
副審:少白竜30-28. 児島30-28. 中山30-28 

◆女子スーパーフライ級3回戦(2分制) 珠璃が体調不良により中止

ミネルヴァ・スーパーフライ級6位.珠璃(闘神塾)vs YURIKO・SHOBUKAI(尚武会) 

◆第7試合 女子44.0kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ピン級10位.UveR∞miyU(T-KIX/ 44.0kg)8戦3勝5敗
      vs
Honoka(健心塾/43.5kg)6戦3勝1敗2分
勝者:Honoka / 判定0-3
主審:少白竜
副審:岡田28-30. 児島28-30. 椎名28-30 

◆第6試合 女子スーパーフライ級3回戦(2分制)

響子JSK(治政館/ 51.9kg)7戦1勝5敗1分
      vs
鈴木咲耶(チーム鈴桜/ 51.5kg)1戦1勝
勝者:鈴木咲耶 / 判定0-2
主審:中山宏美
副審:岡田29-30. 少白竜29-30. 椎名29-29 

◆第5試合 女子ピン級3回戦(2分制)

aimi-(DANGER/ 44.8kg)7戦1勝3敗3分
       vs
友菜(Team ImmortaL/ 45.36kg)5戦1勝3敗1分
勝者:友菜 / 判定0-3
主審:児島真人
副審:中山26-30. 少白竜26-30. 椎名26-30 

◆第4試合 女子(ミネルヴァ・アマチュア特別ルール)50.0kg契約2回戦(2分制)

堀田優月(闘神塾/ 49.4kg)
      vs
QueenBee夏美(拳伸/ 49.8kg) プロ3戦3勝(1KO)
勝者:堀田優月 / 判定3-0
主審:岡田敦子
副審:中山20-18. 少白竜20-18. 児島20-18 

アマチュアながら堀田優月が先手を打つスピードとテクニカルな技で優って判定勝利。

◆第3試合 女子スーパーフライ級3回戦(2分制)

松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/ 52.16kg)4戦2勝2敗
        vs
Muuparまどかポンムエタイジム(ポン/ 51.55kg)1戦1敗
勝者:松藤麻衣 / TKO 3ラウンド56秒 /

初回からヒザ蹴り中心で攻め、ラストラウンドでほぼ一方的な中、スタンディングダウンを奪った松藤麻衣。更にヒザ蹴りからパンチ蹴りに繋いで2度目のスタンディングダウンとなるレフェリーストップ。

TKO勝利の一人、松藤麻衣がヒザ蹴りで圧倒して勝利を導く

◆第2試合 女子フライ級3回戦(2分制)

二ノ峰香奈子(KFG URAWA50.45kg)2戦1勝1敗
        vs
DJナックルハンマーyokko(team Almerrick/ 50.65kg)2戦2敗
勝者:二ノ峰香奈子 / TKO 1ラウンド46秒 /
主審:少白竜

蹴りから右ストレート、更に圧倒したところに右ストレートでレフェリーストップ。

TKO勝利の一人、短い時間ながら二ノ峰香奈子がyokkoを連打で勝利を導く

◆プロ第1試合 女子48.0kg契約3回戦(2分制)

小日向未結(空手道禅道会駒ヶ根道場/ 48.0kg)3戦3敗
      vs
杉田風夏(谷山・小田原道場/ 47.95kg)1戦1勝
勝者:杉田風夏 / TKO 1ラウンド1分31秒 /
主審:中山宏美

ヒザ蹴りでノックダウンを奪った杉田風夏。更にヒザ蹴りから顔面前蹴りで2度目のノックダウンを奪ったところでノーカウントのレフェリーストップ。

TKO勝利の一人、顔面ヒザ蹴りを浴びせた杉田風夏、女子としては過激だった

オープニングファイト アマチュア「EXPLOSION.40」 5試合  

◆第5試合 44.5kg契約2回戦(90秒制)

中西瀬彩(健心塾/ 43.4kg)vs 池田想夏(MIYABI/ 43.9kg)
判定:池田想夏 / 判定

◆アマチュア第4試合 40.0kg契約2回戦(90秒制)

瀬川柚子心(寝屋川TEAMBADASS/ 38.0kg)vs 野中あいら(HIDE/ 39.0kg)
勝者:瀬川柚子心 / 判定

◆アマチュア第3試合 37.0kg契約2回戦(90秒制)

菊池柚葉(笹羅/ 37.0kg)vs 西田永愛(伊原越谷/ 36.9kg)
引分け

◆アマチュア第2試合 32.0kg契約2回戦(90秒制)

SARA(Team S.R.K/ 28.9kg)vs 夢々(KANALOA/ 30.0kg)
勝者:夢々 / 判定

◆アマチュア第1試合 55.0kg契約2回戦(2分制)

松田沙和奈(拳之会/ 55.0kg)vs 安東美弥(OGUNI/ 55.0kg)
勝者:安東美弥 / 判定

《取材戦記》

世莉JSK vs AZU戦は実質、ライトフライ級vs ミニフライ級の戦い。両者ともに計量失格は珍しい。減点は相殺すれば世莉がマイナス1点だが、ペナルティーの影響を残す形で、それぞれの減点が明記。

更に第1ラウンド序盤に世莉の左グローブがスッポ抜けるアクシデントがあった。腕か脚のサポーターが落ちたかと思ったらグローブとは。誰からも抗議も正式な警告も無かったが、当然しっかり縛れば手首で固定され、紐をテーピングすれば抜け落ちることは無いだろう。世莉はウェイト差によるペナルティーの8オンスグローブだったが、軽量の女子だから手首が細くて8オンスでは大き過ぎたかという考え方もあるが、プロボクシング関係者に聞くと「規定どおりならそんなことは有り得ない。」という回答でした。しっかり縛っていなかったことに加え、チェックが成されていなかったかと思われます。

プロ第1試合から3試合はKO(TKO)決着。アクシデントはあったにせよ、他は判定結果でも活気ある試合が続きました。

その興行の印象を、ツルザップ放送局の鶴谷剛氏は、「前半は神興行、後半は熱くテクニカルな試合。首相撲有り、活気あったのは顔面ヒザ蹴り有りのミネルヴァだからでしょう!」と回答。

ミネルヴァ実行本部長の竹越義晃氏は、「今回は計量オーバーや日が迫っての欠場が有って困惑しています。上野hippo宣子選手にはチャンピオンベルト獲って欲しかったですね。テクニック的に足りなかったところは、前に出ているだけだったので、もっと蹴って欲しかったですね。」という回答には、せっかくのタイトルマッチを正規に戦い、どちらかがチャンピオンベルトを巻く姿を披露して盛り上げて興行を締め括りたかったことでしょう。

王座は獲れなかったが勝利したNANAは「取り敢えずポイント取れて良かったです。どこかで落としていたらと思うと怖かったです!」と言うように実戦的にはフルマークで行かなければ勝利とならない中の勝ちに行った展開は見事だった。

今後、タイトルマッチについては先行きは解らない様子で、「運営側とお話していくだけですね!」と漠然としながらも上を目指す意気込みがある回答でした。

上野hippo宣子は「相手は強かったです。足りなかったものは…そうですね…気持ちでしょうか。また前向きに頑張ります!」と負けて悔しい涙ながらの状態からサッと切り替えて落ち着いた回答をしてくれました。

帰り際、たまたま声を拾わせて頂いた祥子JSKは、「練習して来たことがもうちょっと出したかったのですし、用意してきたものまだいっぱいあったんですけど、なかなか出し切れなかったです。次戦はまだ確定はしていないんですけど次の試合に向けて頑張ります。1年ちょっと休んでいたんですけど、これからはコンスタントにまた試合たくさんしたいと思っているので頑張ります!」

タイトルについては遠慮がちながら「狙いたいと思います!」と語った。

負け越している選手は多いが、発展途上の女子競技。まだまだ未知の部分は多くも選手人口も増えつつある中、女子だけの興行も増えていくでしょう。

NJKF興行は5月26日(日)にGENスポーツバレスに於いてDUEL.30と、6月2日(日)には後楽園ホールに於いてNJKF本興行、CHALLENGER2024.3rdが開催予定です。 

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

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