「京都俳優放火殺人事件」再審請求のための情報提供のお願い 尾﨑美代子

2003年1月16日、京都市下京区の俳優の平野義幸さんの自宅で火災が発生し平野さんと内縁関係にあった女性が焼死しました。その後、平野さんは放火・殺人罪で逮捕・起訴されました。

 
平野義幸さん

平野さんは1992年から大地義幸の名前で俳優活動を始め、「新・仁義なき戦い」「荒ぶる魂」などに出演していました。しかし、火災事故が起こる数年前、平野さんは、妻、親友だった菅原文太さんの息子さん、先輩俳優らを立て続けに亡くし自暴自棄になっていました。そんな時、平野さんが再び俳優業をやれるよう背中を押してくれたのが焼死した女性でした。「恩人を殺せる訳がない」。平野さんは一貫して無実を訴えています。

しかし、京都地裁は平野さんに懲役15年を言い渡した。15年と短かったのは、裁判官の中に平野さんは無実と主張した人がいたのではと、当時の弁護団は述べていましたが、その後大阪高裁は「平野さんが反省してないから」と無期懲役を言い渡しました。その後最高裁で刑が確定、平野さんは現在徳島刑務所に服役しています。

平野さんには、同じ放火殺人で娘を焼死させたとして逮捕された東住吉事件の冤罪犠牲者・青木恵子さん(その後再審で無罪が確定、国賠で一部勝訴)が定期的に面会に訪れています。筆者も青木さんを通じて平野さんを知り手紙のやりとりなどを行っています。

そして現在、青木さん、平野さんの無実を晴らすために、現在青木さん、映像ジャーナリストの二村昌弘さん、そして原審を担当した堀和幸弁護士(京都弁護士会)らとともに再審に向けた準備を進めており、その第一歩として、以下の実験を行う予定です。

警察、検察は、当時ストーブはついてなかったが(極寒の京都でそんなことがあるでしょうか?)、平野さんが女性を焼死させるため灯油をまき、火をつけたと主張。一方、平野さんは2階のストーブ近くに灯油がこぼれていたため危険だと思い、1階に灯油を拭くタオルなどを取りにいったが、その間に2階で何らかの原因で火災が発生、女性が焼死したと主張した。

火災発生時、平野さんは必死で女性を救助しようとし、自身も火傷を負っています。しかし、2階は既に火の海で救助出来ず、その後表にでて周囲に救助を求めました。平野さんが燃え盛る家に入ろうとするので「このままではヨシ君(平野さん)が危ない」と近所の人たちが平野さんに膝カックン(膝の後ろを押してひざまずかせる)して止めていたことも確認されています。

今回行う予定の実験と、そのための2つの情報提供を堀弁護士が訴えています。多くの皆様に読んで頂き、情報提供にご協力をお願いしたいと存じます。どうぞ宜しくお願い致します。 

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【情報提供のお願い】

 
シャープ石油ストーブ「HSR-24L」取扱説明書

平野義幸さんの再審請求を担当している弁護士の堀和幸です。前回に続いてのお願いで恐縮ですが、2点、情報提供していただきたいことがあり投稿させていただきました。

【1】シャープ製・石油ストーブ提供のお願い

平野さんが放火したとされた部屋には石油ストーブがありました。この石油ストーブが、再審請求する際に大きな役割を果たすと考えているのですが、残念ながら現物はすでに廃棄されています。もし同型の石油ストーブをお持ちで、不要だという方がいらっしゃいましたら、ご提供いただきたいと考えております。

「シャープ製 石油ストーブ/型番:HSR-24L」
(2000年販売開始、2007年に製造打ち切り)

【2】石油ストーブの構造に詳しい技術者の方を探しています

もう一点は、このシャープ製の石油ストーブの設計、製造に関わっていた技術者の方を探しています。石油ストーブの構造や「対震自動消火装置」についてぜひお話を伺いたいことがあります。現在、シャープは石油ストーブの製造を行っていないため、技術的な問い合わせに対応できないと言われています。もし該当する技術者の方がいらっしゃいましたらご連絡いただけると幸いです。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

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▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』