「ほとんどいじめじゃないかね。いったい、国民をあげてお笑い芸人をいじめて、何が楽しいのかね」(識者)
実母の生活保護費受給について、河本準一が5月29日、レギュラーを務める日本テレビ系「火曜サプライズ」(火曜、後7・00)で、冒頭から謝罪した。河本は「私事ではありますが、皆様、お騒がせして申し訳ありませんでした。これからがんばっていきますので、よろしくお願いします」と語った。やや疲れた表情だったが、緊張した様子で、一気に謝罪の言葉を残した。

「生活保護費の不正受給については、海外からやってきて日本人と結婚し、母国に送金しているような不良外国人の連中のほうがよほど問題だ。片山さつき議員はしてやったりと各地で称賛されているようだが、国益を考えた場合どうだったのだろうか」(全国紙記者)
なるほど生活保護受給者は200万人を突破して過去最多となり、国家財政の見地からも不正受給は大きな社会問題だ。河本を批判する政治家がいる一方で、報道自体が河本個人の問題に集中しすぎているという擁護論もある。ネットであれ、新聞であれ、そのあたりの井戸端であれこれ騒ぎすぎだ。
いずれにせよ、これを契機として運用や法律そのものへの反省と改善が必至なのは間違いないのだが…。

「累積で10兆円も未納になっている年金のほうが問題ではないのかね。そもそも、未納の10兆円を回収できれば、理論的には消費税をあげなくてすむ」(シンクタンク)
これはひとえに、民主党が計算している年金の制度にかかわってくる問題だ。
民主党は2009年の衆院選で、「全員に月額7万円の最低保障年金を実現」をキャッチフレーズに支持を拡大し、政権交代すれば、すぐに月額7万円が給付されるようなイメージを国民に植え付けてきた。

「しかし、新しい年金制度に移行するのには、40年かかる。その間、未納だった人たちはどうすればいいのか。それにしても財源が示されていない。マニフェスト破りをどう説明するのか」(自民党市議)
簡単に、「年金は全員に7万円」という。しかしよく聞けば、40年先だという。これでは「やるやる詐欺」と言われてもしかたがない。こういうのを「お里が知れる」という。
岡田克也副総理は年金については訂正に訂正を重ねた。たとえば5月22日午後の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で、与野党が年金改革案で合意した場合は、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げた最低保障年金創設を中心とした新年金制度案を撤回する考えを示している。

連合も民主党を見切り始めた。
「新しい政治の幕開けに期待した熱い思いは残念ながら冷め、失望や落胆に変わった」(4月28日、連合の古賀伸明会長)

お笑い芸人の生活保護費の問題は、確かに問題提起となったのだろう。しかし片山さつきよ、してやったりとあちこちのテレビ番組で吠えているが、「年金未納、許すまじ」と今度は吠えてみよ。それでこそ、野党が野党として機能するときである。たかだかお笑い芸人をスケープゴートにして浮かれていては、政権交代はほど遠い。なにしろ政党といったときに「政党=マニフェストを破る嘘つき」という認識が、どこかの政党のせいで一般には広がりつつあるのだから。

(渋谷三七十)