昨日お伝えしたように、『タブーなき原発事故調書 超A級戦犯完全リスト』(鹿砦社)を取り上げた「ラジオキャンパス」という高校生向けの進路情報番組が、そのことによって番組ごと打ち切りになる、という事態がFM熊本で起きた。FM秋田とFM新潟では、その部分のみが音楽に差し替えられた。

京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏を中心に、大手メディアでは語られない原発の真実を伝えていた、毎日放送のラジオ番組『たね蒔きジャーナル』は9月29日で打ち切られた。

この夏が過ぎて、原発がなくとも電力は足りることが明らかになり、野田首相は「安全保障のため」すなわち、潜在的核武装国として日本があり続けることのために原発が必要、という本音まで語り出している。
ここに来て、原子力ムラのメディアコントロールの、必死の巻き返しが始まっている。

だが一方、ネット上では、『タブーなき原発事故調書』の取次による委託配本拒否の情報に限っても、かなりの広がりを見せている。

『税金と保険の情報サイト』という一見、原発とも社会問題とも関係なさそうなサイトでも、10月27日、「官民一体で検閲国家へ! 書籍問屋が『原発本』取り扱い拒否」として、その事実を伝えている。以下、内容を抜粋する。
「書店に本を卸す取次大手トーハンが、原発の裏側などを描いた書籍『タブーなき原発事故調書~超A級戦犯完全リスト』の取り扱いを拒否した。公序良俗に反する書籍でもないものを取次会社が拒否するのは、きわめて異例」
「同書は、原発が抱える問題に鋭く切り込むもの。原発推進派の政治家や財界人、東電経営者や極端な東電寄り姿勢が批判されている御用学者、労働組合関係者など、多くの問題人物をあぶり出す項などをもうけている」
「これまで取次が拒否されてきたのは、ほとんどの場合、自治体などの条例によって不健全図書に指定されたもの。その多くはわいせつな書籍や、やくざを礼賛するものだ」
「トーハンはプライバシーを理由にしているが、鹿砦社ではこれまでにもプライバシーが問題になった書籍が数多く出版されている」
「ジャニーズ事務所に所属するタレントや、宝塚歌劇団所属女優の住所などを記載した『おっかけマップ』は有名だが、こういった書籍は裁判沙汰になったものの、取次会社が配本を拒否することはなかった」

全体として見ると、取次はプライバシーを理由にしているが、実際には、大手メディアで報じない原発のタブーに同書が容赦なく切り込んだことで、委託配本拒否の扱いになったのでは、と類推できる内容だ。

ビジネスの話題を主に扱う『Business Journal』のサイトでも、10月23日、「取次大手トーハン、書店への原発関連新刊本の配本を拒否!?」として、橋本玉泉氏が、この事態を報じている。
取次が今回のような措置をとったケースとして、2008年、コンビニエンス業界最大手のセブンーイレブンを題材にした『セブン-イレブンの正体』(金曜日)の例を紹介。各方面から批判を受けたため、後に撤回しているが、セブン-イレブンを経営するセブン&アイ・ホールディングスCEOである鈴木敏文氏がトーハンの出身であり、セブン-イレブンがトーハンとの業務上の関係が深いことなどが理由と考えられた、と説明されている。
取次による委託配本拒否が、きわめて利害関係に添って行われることがある、という証左であろう。

上記の記事の他、この問題を扱った『週刊金曜日』『アサヒ芸能』の記事もネット上にアップされ、個々人のブログにコピペされるなどして、広がっている。

私たちは今、本気になって原子力ムラと闘っていかなければならない。
日本がなぜ原発を導入したか。そこには、様々な要因が絡み合っている。
『タブーなき原発事故調書』でも紹介しているが、原発を日本に持ち込んだ張本人である中曽根康弘は「四国・高松にいた時広島に落とされた原子力爆弾の原爆雲を見たことが、のちに原子力発電に力を注ぐきっかけとなった」と語っている。
高松から本当に原爆雲が見えたかどうかは疑問だが、この言葉には、彼の心情が凝縮されている。
原爆によって負かされた惨めな敗戦国のままでいたくない、原子力を操れる国民になって誇りを取り戻したい、という気持ちだ。
メディアを通じた「原子力の平和利用」キャンペーンもあり、多くの国民もその心情を共有した。

しかし、福島第一原発事故のもたらした災厄を見るならば、原子力に国民の誇りを見出すなど、全く間違っていたと言える。
その意味で、福島原発事故は第2の敗戦とも言っていい事態だ。
今、戦後史を見つめ直し、根本からやり直す覚悟を固めなければ、日本は、まるで意味のない国と見なされるだろう。

市民一人一人が、原子力ムラの解体に取り組んでいかなければならない。
そのために、『タブーなき原発事故調書』が一助となればと願っている。

今回、『タブーなき原発事故調書 超A級戦犯完全リスト』が書店に配本されるのは、事前に心ある書店からご注文いただいた冊数を指定配本するなど発行部数の一部(10数%程度)にしかなりません。できるだけ鹿砦社販売部(sales@rokusaisha.com)に直接ご注文をお願いいたします。直接お申し込みの方には早速発送します。送料サービス/代金後払いです(冒頭の表紙写真をクリックすることで、販売ページに飛ぶこともできます)。

(FY)