日本人は、本当に忘れやすい。安倍晋三が前に首相だった時に主張していたのは、「再チャレンジできる」社会だった。だが、今回の衆院選では「再チャレンジ」とは一言も言わなかった。それは、そうだろう。「社会じゃなく、てめえの再チャレンジだろう」と言われるのが、オチだからだ。
それで、「日本を、取り戻す」と言い換えた。こんな簡単なレトリックに騙されてしまうのだから、日本人はお人好しすぎる。
結局のところ、取り戻すのは、自民党の政権と、自分の首相の座。ちゃっかり、自分の「再チャレンジ」を安倍晋三はやり遂げた。

「いくら安倍総理誕生の前祝い、つまりご祝儀相場だとしても、ちょっと株価が上昇しすぎではないかな。なにか目に見えない動きが水面下であると思う」(証券ジャーナリスト)

「安倍総裁が金融緩和を打ち出してからというもの、閉塞していた株価市場が動き出した。つまり、景気がよくなると投資家が判断して売買を開始したのです」(エコノミスト)

当初はそんな声が上がるほど続伸した東京株式市場は、12月19日の段階では、日経平均株価の終値は前日比127円31銭値上がりの1万0050円32銭、TOPIXは同14.16ポイント高い831.01で引けた。東証1部の出来高は概算で21億2010万株、売買代金は1兆0166億円と大商いだった。

だが、その後下落。21日の東京株式市場で日経平均株価の終値は、前日比99円27銭(0.99%)安い9940円06銭となった。

やはり、ご祝儀相場だったのだ。

自民党の高村正彦副総裁は 「いつかやらなくてはいけない公共事業であれば、不況の時にやるのが財政上もいいし、景気回復に結びつく」と強調。「人の命を守るような防災、減災(事業)はいつかやらなければならない」と話した。
防災や減災のための設備投資はおおいにやるべきだと思う。

しかし、本当に自民党が再び始める公共事業は、バラまきにならないのだろうか。
国民はこの点を注視しなくてはならない。
総選挙の結果は、自民党への期待ではない。
自民党の得票数は、前回よりも減っている。
凋落した民主党と乱立した「第3極」が票を食い合い、政治不信で棄権と無効票が増えたために、議席の面だけで自民圧勝になった、という認識を安倍総裁は忘れてはならない。

(鹿砦丸)