暴力団を扱った雑誌や漫画の販売中止を福岡県警が県内のコンビニに要請したのは、表現や出版の自由を保障した憲法に違反するとして、作家の宮崎学さんが県に550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(原敏雄裁判長)は3月29日、請求棄却の一審福岡地裁判決を支持、宮崎さんの控訴を棄却した。対象となったのは竹書房のコミック「四代目会津小鉄 髙山登久太郎」だった。

「原作を読んでいないで判決を出している感がする。冗談ではない。これでは表現の自由を損なうおそれがある」(識者)
これでは、テレビで「仁義なき戦い」すら見ることができなくなるのではないか、と思う。
「原作から漫画にするのは、たいへんな労力がいる。漫画家をも冒涜しているのではないか」(出版関係者)
もちろん、ヤクザが主人公の小説や漫画がすべていいとは思わない。
だが、言論や表現の自由をふみにじった判決である。

宮崎さん側は「要請とは名ばかりで、実際は強制だ」と主張したが、原裁判長は「コンビニ各社の店舗に対する『適切な措置を講じてほしい』との要請にとどまっている」として退けている。
原作は、戦後、在日だった主人公が苦労して上り詰めていく人生譚であり、決してヤクザを礼賛しているわけではない。
「これで表現の自由が侵されて、出版社はますますヤクザものが出しにくくなるな」(編集者)

担当した編集者は「要請であって、強制ではないというのが福岡県警のロジックです。出版社ではなく、流通を狙うとはものすごく狡猾なやりかたです。まことに残念きわまりない話で、出版そのものを否定しているといっても言いすぎではない」と語る。
ただでさえ、表現の自由が脅かされている出版界には暗いニュースだ。

(鹿砦丸)