テレビ朝日系『痛快!ビッグダディ』に出演した大家族の父、林下清志さん(48)が7月25日、今度は番組で紹介した節約レシピをまとめた『ビッグダディ痛快レシピ29』(小学館、890円)を発売した。
「元妻の美奈子さんが出した自伝本『ハダカの美奈子』と、ビッグダディこと林下清志がリリースした自伝本『ビッグダディの流儀』はともに20万部を超える勢いだ。元妻の美奈子さんは芸能プロダクションに所属して、イベントや本のサイン会などに引っ張りだこで、林下氏も本業の接骨院の運営がままならないほど講演やインタビュー対応で多忙だ」(芸能ジャーナリスト)

「ビッグダディ」の子供たちは、合わせて14人。林下清志氏が8人、清志氏と別居している美奈子さんが6人の子供を育てている。
「これだけ少子化が叫ばれている時代で、大家族はもう稀有な存在だ。だからこそ一日中、カメラを回し続けるだけの番組が成立して人気を呼んでいたのだろう」(テレビ局関係者)
それにしても、ビッグダディ関連ビジネスには、えげつなさを感じる。
「美奈子さんは、九州から都内に引っ越して、芸能活動をしている。林下清志さんの娘の写真集もオファーがきており、もはやアイドル一家となってしまった感じだ。あえて言うなら、パンダを見たいようなもの。果たして大家族というだけで、そこまでもちあげるだけの価値はあるのだろうか」(前出・芸能ジャーナリスト)

私は、ちょっとちがう角度で「ビッグダディ」の一家を見ている。
このブームは、もはや父性と母性がもはや欠落した、日本の家族に対するノスタルジーの追及である。子供を殺す両親、両親を殺す子供のニュースが当たり前に流れる昨今。普通に「子供の面倒をみる」両親がもはや特別なものとなり始めているのではないか。知人は言う。

「あの『ビッグダディ』については、多くの子供を育てる楽しさと苦しさが共存している。もし自分が大家族の親だったらどうするのか、という観点で見ると勉強になるのではないですか」
確かに、『ビッグダディ』には古きよき時代の両親の力強さと愛が存在する。
しかし、もし親の愛情に飢えた視聴者が、その心の隙間を埋めようと「ビッグダディ」のファンになっているとしたら、また、そうした愛情に飢えた人たちが「ビッグダディ」商法に踊らされているとしたら、まことに悲しいかぎりである。

(鹿砦丸)