原発に関する映画を数多く撮っている、鎌仲ひとみ監督の『内部被ばくを生き抜く』を見に行った。大田区産業プラザ内の会議室が、上映会場だった。
パソコンで再生したDVDをスクリーンに映す、という上映で、画面の端にマウスポインターがずっとかぶったままだったのが気になったが、内容的には、きわめて貴重なものだった。

広島の被爆者を診察し続けてきた肥田舜太郎さん、チェルノブイリやイラクで医療支援を続ける鎌田實さん(諏訪中央病院名誉院長)、福島で除染に取り組む児玉龍彦さん(東京大アイソトープ総合センター長)、チェルノブイリの小児科医師スモルニコワ・バレンチナさんのインタビューを中心に映画は作られているが、その内容は傾聴に値するもので、参加者が10名程度だったのは、残念だった。

映画が終わると、司会者が言った。
「スペシャルゲストをお呼びしております。休憩を挟んで、交流会を行います」
司会をしていたのは、環境党の代表だという、渋谷誠氏である。

交流会が始まった。佐藤氏というスペシャルゲストが話を始める。
福島第一原発の事故に触れた後、話し始めたのは、「ドナリエラ・バーダウィル」についてだった。
イスラエルの死海で生息する藻の一種が、ドナリエラ・バーダウィルだという。
これを製品化したのは、岐阜にある日建総本社という会社で、イスラエルのエイラットに工場があるとか。
話を聞いているうちに、佐藤氏は日建総本社の社員であることが分かった。

チェルノブイリ原発事故で被爆した子供たち1001人が、イスラエルの国立ハダサ病院に収容されたが、ドナリエラ・バーダウィルを投与したところ、ガンを発症して死亡したのはただ1人だったという。

放射能被曝に対処できるというわけだ。
福島原発事故の後、日建総本社は福島県庁を訪れて支援を申し入れたが、断られたらしい。
「お役所仕事だから、そういうことには触れられたくなかったようです」というのが佐藤氏の説明だ。

催眠商法でも始まるのかと思ったが、淡々と説明が続くばかりだった。
調べてみると、日建総本社はネットワークビジネスで第24位にランクインしている。
パンフレット類やネットでの宣伝では、放射能被曝への効果があるとは謳われていない。
その部分は口コミで行うということなのだろうが、鎌仲ひとみ監督の力作『内部被ばくを生き抜く』を利用していることには、憤りを感じずにはいられない。

(深笛義也)