まず、全国の皆様に対しては、筆者の地元・広島選出の岸田総理の暴走や迷走により、多大なご迷惑をおかけしていますことを心からお詫び申し上げます。

 

迷走が止まらない岸田総理と腹心で旧統一協会との関係も明らかになった市議の政治活動用ポスター

軍拡やそのための増税、あるいは、介護保険改悪、医療費負担増についてはまさに暴走です。

一方、核廃絶をライフワークとしながら、核兵器禁止条約に入らない、それどころか、オブザーバー参加すらしないのは「迷走」と言えるでしょう。

その総理の迷走がもうひとつ増えました。「産育休中にリスキリング」です。「子どもが小さい時の育児中に勉強どころではない。」という怒りの声が上がったのは当然です。筆者には子どもはいません。しかし、それでもその程度のことは7歳下の妹が生まれた時の我が家の様子などから想像がつきます。「聞く力」があると自慢する総理なら、「異次元の少子化対策」とおっしゃる総理なら、当然、その程度のことは認識しておられるのではないか?どこに耳をつけておられるのでしょうか?

◆総理こそリスキリングが必要だ

そもそも、育児休暇を「休暇」と称することが間違いかもしれません。筆者は、広島県が主催する男女共同参画を学ぶエソールひろしま大学を長年受講してきました。そこでお世話になった大学教授(男性)は「『育児労働』と呼んだ方がいいのではないか?」とおっしゃっていました。筆者が河井案里さんに選挙で挑む2011年以前のことですから、12年以上経過しています。

◆育児そのものがリスキリングという発想転換も必要

また、そもそも、育児とは、真面目にやれば、いわゆるマルチタスクでしないといけない。そういう訓練を経ていることは、実は会社での仕事にも生きてくる部分も大いにある。そのことも最近では注目されています。すなわち、育児そのものがリスキリングになるともいえるのです。また、商品・サービスの開発の面でも「近頃の子どもの需要」をつかむことは大事です。

総理の議論は、「育児休暇=無為な期間であり遊んでいる期間」のような前提が暗黙のうちにあると言わざるを得ません。全く問題外であり、総理こそ、リスキリングが必要なのではないでしょうか?

◆低賃金を自己責任に転嫁する総理は「重症の新自由主義患者」だ

上記の論点については、マスコミや野党はもちろん、若手や女性の議員を中心に自民党内からさえも突っ込みが入っています。筆者は、今回強調したいのは、総理が賃上げ、特に(男性の育休取得促進が事業者に義務付けられた今でもそうはいっても育児の多くを担わされている)女性の賃上げを「リスキリングしない女性の自己責任で解決すべき」ととらえていることが明らかになったということです。

広島弁でいえば、「あんたら、勉強せんけん、給料が上がらんのじゃ。育児休暇中に遊んどらんと勉強しんさい!」ということです。

これは実は、インターネット上で自称お金持ちの人が低賃金の介護労働者や保育労働者、あるいは非正規公務員に「文句があるなら勉強したらいいのに」というのと一緒です。まさに新自由主義だ。総理は、「新自由主義脱却」を一時は叫んで自民党総裁選挙、そして衆院選2021を勝ち抜いてこられました。しかし、今の総理は正真正銘の新自由主義者である、と言わざるを得ない。というか、新自由主義者であることの自覚症状もない「重症患者」かもしれません。

◆ケア・教育・食料etc. 確保へ「有無を言わせぬ賃上げ」の勢い必要

いま、例えば、広島の介護現場などは給料が低すぎて外国人労働者(ほとんどが20-30代の女性)がどんどん東京に流出しています。こういう中で、サービスの崩壊を防ぐには勉強どうのこうのではなく、有無を言わさず給料を上げるくらいの姿勢が必要です。

あるいは、教員も含む公務員も非正規が多くなっています。自治体によっては(民間への業務委託、指定管理者も含むのでしょうが)「6割が非正規」(当該自治体の市議)というところもあります。教員など仕事がきついのに、安い給料でこき使われたら定着しないのは当然です。「だめだ!こりゃ!と塾の先生になる人も多い」(前出市議)なのです。

その結果、介護や保育、あるいは教育、そして市民、県民の悩みにこたえるサービスが確保できなくなる。それにより、「自分はお金持ちだから大丈夫」と高をくくっていた人たちも含めて、慌てることになるのです。

民間に目を転じても、第一次産業(広島の場合はカキ打ちが代表的)がこのままだと労働者流出で成り立たなくなくなる農業や漁業への所得保障、コスト補償などによる食料安保政策で労働者の給料を上げられるようにすべきでしょう。

◆賃上げと教育無償化で基本は十分

また、そもそも、賃上げをして労働者が経済的な余裕を持つ。教育を無償化する。これにより、リスキリングをしたい人はしやすくなるでしょう。現状では、そもそも、育児中の人でなくとも、賃金が低すぎるうえ、時間がなくて学びなおしどころではありません。

ありていに言えば「貧乏暇なし」状態です。これを打破することで、育休中の人ももちろん、勉強したい人はしやすくなるでしょう。「ことさらに」育休中の人をターゲットにしてリスキリングなどと迷走する必要はないのです。

◆「政商コンサルばかり儲かるだけ」恐れ

皆様も「職場や地域で外部講師による研修を受けたけど、全然仕事に役立たなかった」というご経験がある方も多いのではないでしょうか?

例えば、広島県の平川教育長がお友達の会社に研修を多数、外部委託しています。教育委員会には教員の研修の為に指導主事がたくさんいるにもかかわらずです。

「平川教育長は、何のために県費を使っているのだかさっぱりわからん」という声が県内で噴出しています。

現状の日本や地元広島の政治の腐敗ぶりをみると企業が国の補助を受けて行う「リスキリング」においても、広島県教委で起きているようなことが起きる可能性は極めて高いと言わざるを得ません。何のことはない。

企業なら売り上げの改善、行政なら住民サービス、教育ならこどものためになっていなくても、漫然と政治や行政の「えらい人」たちと親しい業者は儲かる。そんな事になりかねません。

◆欧州では職業教育は行政と労組の仕事

なお、欧州では、ざっくり言えば職業訓練、職業教育は行政の仕事であり、また、労働組合の仕事でもあります。国によっては労働組合から職人を派遣する、という形式を取っている場合もあります。

日本のように「勉強しないと給料が上がらんぞ」と総理が脅し、そして、効果が怪しいコンサルが儲ける、という構図とは雲泥の差があります。

労組の再生については、筆者も労働組合の幹部として取り組んでいきますが、総理は政治家です。筆者も政治家として、行政がもっと教育に責任を持つよう、教育無償化含めて全力を挙げていく覚悟です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士 1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。2023年広島県議選にも立候補。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)。
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月刊『紙の爆弾』2023年6月号