民主党は「骨抜き、中身なし、先送り」の感が否めない、庶民を苦しめる議論をまたひとつ始めた。2月9日、民主党は社会保障と税の一体改革調査会(会長・細川律夫前厚生労働相)役員会で、年金保険料と税金を一体的に徴収する「歳入庁」の創設に向けたワーキングチームを設置する方針を決めた。近く議論の初会合を開くという。
「まあ、簡単に言えば年金の未納問題を解決すべく、とりたてを税務署がやるというわけです。とりたてのノウハウは税務署のほうがありますからね」(全国紙社会部記者)

民主党の2009年衆院選マニフェスト(政権公約)では、新年金制度案ですべての人が同じ年金制度に入って所得に比例して保険料を支払う仕組みとするため、旧社会保険庁と国税庁を統合し、歳入庁を創設することになっている。これは、「マニフェストでは無視できない喫緊の課題である」(民主党幹部)という。

年金の未加入者は、約340万人いると言われている。厚生労働省は、自営業者らが加入している国民年金の保険料の納付率が低下していることを受けて、来年度から保険料を 強制的に徴収する専門の職員を460人採用し、納付率の向上を目指すことにした。
「この秋から、悪質なケースについては専門チームが取り立てを行います。厚生年金の場合は、滞納期間が2年以上で、滞納額が1億円以上のケースが対象となっています。国民年金の場合は、こちらも滞納期間が2年以上で、被保険者本人または連帯納付義務者の直近年間所得が1000万円以上のケースが対象です。厚生年金・国民年金どちらの場合も、資産の名義を書き換えたり、会社に使途不明の資金があるなど、悪質なやり方で資産を隠匿しようとしているケースのみに強制徴収が行われる予定です」(市役所関係者)

こんな声もある。
「自民と公明が作った『100年あんしんプラン』は、年金の貯蓄の147兆円を取り崩せば成り立つと思われてきたが、それは神話にすぎず、すぐに崩壊した。いっぽうで、340万人のために、抜本的な見直しをして、国庫で補てんして月7万円にしようなんていうのも夢物語だ。
「政府はそろそろ『国民は一生働け』と宣言するか、消費税を18%程度まで上げないと、年金が成り立たないと宣言すべきです」(アナリスト)
ある朝、取り立ての係官がチャイムを鳴らす。
「あなた、年金を収めていませんね。差し押さえを執行します」とやられる日が来るかもしれない。
「今まで、年金の取り立てを放置しておいたツケがまわってきたのです。本当は年金の貯蓄を切り崩して年金支給にあて始めた2003年ごろに始めるべきとりたてのスキームなのです」(国税関係者)
それにしても、年金を管理する窓口と税金の窓口が別になっているゆえに納税には「多少は、融通がきいた」面は否定できない。国庫が逼迫しているとはいえ、ツケを払うのは常に国民だ。
ならば民主党よ。「野党さま、議論しましょう」ではなく、「これがベストだ」という年金プランをすぐに作れ、と言いたいが「ドジョウ政権」では無理なのだろうな。

(渋谷三七十)