《緊急アピール》『LGBT異論』9月28日発売! 軌を一にして発生した、寄稿者の森奈津子さんに対する理不尽な言論弾圧攻撃を弾劾する!! 鹿砦社代表 松岡利康

昨年LGBT法成立直後に発行された『人権と利権』、本年8月に刊行された、博覧強記、語学堪能、そして医学の知識を駆使し斉藤佳苗医師が一気に書き綴った大部の書『LGBT思想を考える』に続く『LGBT異論』が9月28日発行の運びとなりました。

 

かつてオウムによって殺されようとしつつもカルトと果敢に闘ってきた滝本太郎弁護士、現代フランス文学のレジェンド堀茂樹慶応大学名誉教授、フェミニズム界で孤立しつつも、その腐敗と復活のために闘う千田有紀武蔵大学教授らを中心として多くの方々に執筆、寄稿をいただきました。

内容は多様でぎっしりながら、定価990円(税込み)とお買い求めやすい価格でもあり、ぜひご購読ください。

以下のように緊急事態発生のため、ここでは、本書『LGBT異論』の詳しい内容は省きますが、寄稿者の一人、森奈津子さんは、昨年『人権と利権』を編纂し当社より発行、大きな話題となりました。またここ数年、いわゆる「しばき隊大学院生リンチ事件」について被害者支援、真相究明、加害者糾弾について「別個に進んで共に撃つ」形で共闘してきました。

そして、このたび、9月20日に本書の内容を情報公開した直後、森奈津子さんに対して理不尽な攻撃が勃発したのです。あろうことか森さんが講師を引き受けた、「千葉県人権啓発指導者養成講座」の「女性に関する人権」のテーマの講座に対し、これに不満を持つ徒輩が、森さんを勝手に「差別者」認定し講師を解任するように千葉県に迫ったのです。

特に、本年3月、共同代表による性加害で逮捕者を出した「TransgenderJapan」など、わざわざ要望書を千葉県に持参し直接申し入れています。そんなに森さんの発言に困ることがあるのでしょうか?

くだんの「TransgenderJapan」はみずからの団体の幹部が逮捕されたことをどう反省したのか? それを対外的に真摯に明らかにするのが先決で、それなくして他人の講座にちょっかいを出す資格などありません。

[左]「TransgenderJapan」はわざわざ千葉県庁に要請書を持って申し入れに行っている/[右]「TransgenderJapan」共同代表(当時)逮捕のネット記事

森さんは昨年、LGBT法案の委員会審議で滝本太郎弁護士と共に参考人として呼ばれ発言するほど、当事者としてLGBT問題、女性の人権について発言する知見と資格があります。

出版社としては著者を防衛することは当然であり、この件に対しては断固連携して闘います。

こういうことで、日頃は綺麗ごとばかりを宣う「LGBT法連合会」や、これを支持する政党、立憲、日共、社民、れいわは、どう動くのか? ことは一人の有能な知識人の「言論の自由」を潰しかねない重大な問題なのだ、わかっているのか!?

◆「しばき隊大学院生リンチ事件」の加害者側人脈の蠢動を許すな!

私たちの物事を見る指標に、くだんの「しばき隊リンチ事件」があります。ここで加害者側に立った徒輩(またこれにつながる者)らが森さん攻撃に与していることは決して偶然ではありません。今回の犬笛を吹いたのも、しばき隊のボス野間易通です。

LGBT問題にしろ、今回の問題にしろ、野間易通はじめ、リンチ事件加害者側につながる、いわゆる「しばき隊」(~系)の人物が蠢いているのは偶然でしょうか?

野間易通がリークし、リンチ加害者と昵懇の者が拡散

リンチ事件について私たちは真相究明として6冊もの本を出しました。毎回リンチ直後の凄惨な顔写真を付け、リンチの最中の阿鼻叫喚の音声データを付けたものもあります。このリンチ事件は、将来ある大学院生(当時某国立大学大学院博士課程在学)の人生を狂わせました。被害者はいまだにリンチのPTSDに苦しんでいます。不憫です。

いまだに「リンチはなかった」などと吹聴している者がいますが、まさに「偽造するスターリン学派」(トロツキー)です。

今また、LGBT当事者として長年活動してきた森さんの、ささやかな言論の場さえ奪おうとするLGBT活動家やしばき隊(~系)活動家らによる理不尽な攻撃には、少々の意見や考え方の違いを越え一致して反撃しなくてはなりません。ことは憲法21条「表現の自由」に関わる深刻な問題なのです。

◆しばき隊(~系)活動家やLGBT活動家は「左翼」でも「極左」でもない!

 
森さんへの不当な県知事の発言に抗議する千田有紀教授。「ぽんたCafe」は千田教授のアカウント

ついでながら、森さんには常々申し上げているのですが、しばき隊(~系)活動家やLGBT活動家は「左翼」でも「極左」でもありません。単なるゴロツキ暴力集団にすぎません。昔風に言えば「反革命」「修正主義」ということでしょうか(古い!笑)。

「左翼」「極左」とはまず権力に対して闘うことが基本ですが、彼らが権力と闘っていることなど見たことが在りません。かつては「警察のみなさん、ありがとう」などと中核派や新左翼系ノンセクトグループを暴力的に弾圧する機動隊に「ありがとう」などとエールを送っているのです。こんな「左翼」「極左」はありえません。

学生時代、少なからず「左翼」「極左」の活動に関わった私や滝本太郎弁護士としては、彼らを「左翼」、さらには「極左」などと呼ぶのはおこがましいです。まだ曲りなりに権力と闘っている中核派を「極左」というならわかりますが(ちなみに中核派の杉並区女性議員は区のLGBT条例に反対しました)。

森さんや読者のみなさん、これからは彼らを「ゴロツキ暴力集団」と呼びましょう! 決して「左翼」とか「極左」と呼ばないように!

森さんの問題、今現在、まだ流動的ですが、注視していきましょう! 講座の予定は来週10月2日、この週末から週明けにかけて大きな動きがあるものと予想されます。もし理不尽な処置がなされたならば断固一致して抗議しましょう!

(松岡利康)

【続報!】先にご報告した、森奈津子さん女性の人権講座解任問題ですが、昨日9月26日夕刻、中止が決定、千葉県のHPで公表されました。

※令和6年10月2日(水曜日)に全日警ホールで開催を予定しておりました千葉県人権啓発指導者養成講座 1「被差別部落出身者に関する人権」「女性に関する人権」については諸般の事情により中止となりました。

とのことですが、詳しい説明はありません。「諸般の事情」って何?

また、昨日、滝本弁護士らが千葉県庁を訪れ上申書を提出したとのことですが、一顧だにされず、あっというまの決定でした。

滝本弁護士の側近の方によれば、

知事には会えず、担当部署の人が対応したそうです。(逃げたか?)
画像を送ります。
いつものことといえばいつものことですが、こんな適当な部屋で。
県の担当者からは、その場で中止が確定していると告げられました。
「今回の中止は知事がxで発信する直前の20日頃から、
担当に苦情がたくさん入ったため、安全に出来ないので中止」と、
「安全面の考慮」という逃げの常套句での説明でした。

 

憲法問題にも抵触する問題ですから、本件に対しては断固弾劾しなくてはなりません。

さらに展開あれば継続的にご報告いたします。

※               ※               ※

 

『LGBT異論 キャンセル・カルチャー、トランスジェンダー論争、巨大利権の行方』
女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会=編著 

A5判 164ページ(本文160ページ+カラーグラビア4ページ) 
   定価990円(税込み)  
   紙の爆弾10月号増刊 9月28日発売

【内容】
1: [対談] 堀茂樹×滝本太郎 世界を席捲する新たなカルト=「性自認」思想の現在
2: 千田有紀 フェミニズムの再生を求めて
3: 井上恵子 東京大学三浦俊彦教授の記事に対する東京大学関係教員有志声明の批判──その問題点
4: 杉島幸生 『トランスジェンダーになりたい少女たち』から考える
5: キャロライン・ノーマ オーストラリアにおけるジェンダーイデオロギーから子供たちを救おうとする私の妹の闘い
6: 滝本太郎 LGBT理解増進法について
7: 滝本太郎 前提として知っておきたいこと
8: 滝本太郎 2つの考え方の図
9: 三浦俊彦 LGBT支援のための前提条件
10: 森奈津子 男性器つき女性を誕生させたい政治家たち
11: 滝本太郎 性自認主義の進展──特例法について司法の状況
12: 玉置祐道 女性スペースの管理と法律の現状と問題点
13: 益田早苗 LGBTQ当事者の子育て:子どもの安定した生活と最善の利益を守る
14: 郡司真子 学校で危ない性教育?
15: 滝本太郎 性自認至上主義は、カルト的な思想運動である
16: 斉藤佳苗 『LGBT問題を考える』を出版して

《新刊案内》『LGBT異論 キャンセル・カルチャー、ジェンダー論争、巨大利権の行方』女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会=編著 9月28日発売‼

オウムに殺されかけながらもカルトとの闘いを続ける滝本太郎弁護士、我が国を代表する現代フランス文学研究家・堀茂樹慶應義塾大学名誉教授、フェミニズム研究の第一線で闘う千田有紀武蔵大学教授、ご存知作家森奈津子らを中心として多様な言論・主張をまとめた『LJBT異論』が9月28日に発売の運びとなりました。ぜひご予約を!

※               ※               ※

『LGBT異論 キャンセル・カルチャー、ジェンダー論争、巨大利権の行方』
女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会=編著
 

A5判 164ページ(本文160ページ+カラーグラビア4ページ) 
   定価990円(税込み)  
   紙の爆弾10月号増刊 9月28日発売

 

【内容】
1: [対談] 堀茂樹×滝本太郎 世界を席捲する新たなカルト=「性自認」思想の現在
2: 千田有紀 フェミニズムの再生を求めて
3: 井上恵子 東京大学三浦俊彦教授の記事に対する東京大学関係教員有志声明の批判──その問題点
4: 杉島幸生 『トランスジェンダーになりたい少女たち』から考える
5: キャロライン・ノーマ オーストラリアにおけるジェンダーイデオロギーから子供たちを救おうとする私の妹の闘い
6: 滝本太郎 LGBT理解増進法について
7: 滝本太郎 前提として知っておきたいこと
8: 滝本太郎 2つの考え方の図
9: 三浦俊彦 LGBT支援のための前提条件
10: 森奈津子 男性器つき女性を誕生させたい政治家たち
11: 滝本太郎 性自認主義の進展──特例法について司法の状況
12: 玉置祐道 女性スペースの管理と法律の現状と問題点
13: 益田早苗 LGBTQ当事者の子育て:子どもの安定した生活と最善の利益を守る
14: 郡司真子 学校で危ない性教育?
15: 滝本太郎 性自認至上主義は、カルト的な思想運動である
16: 斉藤佳苗 『LGBT問題を考える』を出版して

 

日本にも進出する情報統制機関 政府・企業・組織「検閲産業複合体」の脅威 青柳貞一郎 『紙の爆弾』10月号の注目記事

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは10月号(9月7日刊行)の注目記事を紹介します。

◆日本にも進出する情報統制機関 政府・企業・組織「検閲産業複合体」の脅威
 取材・文◎青柳貞一郎

 
 

 米国で明かされた「検閲産業複合体」の存在

国境なき記者団が毎年発表する国別「報道の自由度ランキング2024」で日本は70位。戦争中のウクライナ(61位)にも劣ります。

一方、米国は55位。米国は憲法修正第1条に「言論の自由」が保証されているはずですが、2017年にオバマ大統領は、国家授権法(NDAA)に従って、米国にとって都合の悪い情報を選択・排除する連邦機関を作り、「Global engagement center(GEC。Engagement=関与)」と無難な名称を付けて、主に自国民を対象にしたプロパガンダ戦争に利用するため稼働させました。

それ以降、CNNやワシントンポスト、NYタイムズといった米国大手メディアはGECの検閲通りの情報発信をするようになり、これらのニュースを「権威」として受け売りする日本のメディアも(情報の真偽と関係なく)そのまま垂れ流すことになります。

米国でX(旧ツイッター)の検閲状況について詳細に報告したジャーナリストのマット・タイビ氏は、このGECやFBI、国土安全保障省などと政府が援助するシンクタンク、スタンフォード・インターネット・オブザバトリーなどの中立に見える非政府組織、大学、民間ファクトチェッカー会社などが統合的にフェイスブック、X、グーグル、ユーチューブなどのソーシャルメディア・プラットフォームを提供する民間企業に対する検閲を行なっており、検閲される企業側も一般の投稿を削除する役割を持つため、それら全てを民衆(社会)の意見や見解をコントロールする機能を持っているとして、「検閲産業複合体」(Censorship industrial complex)という名称で紹介しました。

この複合体は、豊富な資金を元に政府や権力者側にとって都合が悪いとされる情報を検閲・削除するとともに、民衆が信ずるべき“情報”を作成・拡散させる機能も持つとされます。

2023年3月9日、米国下院「連邦政府の武器化に関する特別小委員会」で証言した環境活動家でジャーナリストのマイケル・シェレンバーガー氏は、政府機関、学術機関、非政府組織などの拡大ネットワークがCOVIDの起源、ワクチン、バイデン親子のビジネス取引に関するメール問題、気候変動、再生可能エネルギーなどに関する問題について2016年から2022年の間に米国市民を積極的に検閲していた実態を、56ページに及ぶレポートで報告しました。

その中で彼は、世界対テロ戦争中に米軍が開発した、確立された心理操作の方法と、人工知能を含むコンピュータサイエンスのツールを組み合わせて、政府が「ファクトチェック」を装い検閲を行なっていると指摘しています。

そして検閲産業複合体はジャーナリストやソーシャルメディアに対して「正確な情報は偽情報」であり、「有効な仮説は陰謀論」であり、「検閲を強化することで報道が正確になる」と信じ込ませてきました。

 日本にも導入される検閲産業複合体

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n9c22237c5644

▼青柳貞一郎(あおやぎ・ていいちろう)
医師。医療・軍事ジャーナリスト。東京医科大学名誉教授。温暖化とコロナに流されない市民の会代表。ブログ https://blog.goo.ne.jp/rakitarou

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年10月号

『紙の爆弾』2024年 10月号

『さらば日大!』和田秀樹医師が暴く日本大学と「医学部」「医師界」の闇
旭川女子中学生凍死事件 再調査委員会が隠した社会の病巣 山田寿彦
安倍・岸田軍拡43兆円の無駄遣い 隠蔽主義の「カルト集団」防衛省・自衛隊 清谷信一
日本にも進出する情報統制機関 政府・企業・組織「検閲産業複合体」の脅威 青柳貞一郎
広島市の妨害を民衆が打破 平和記念式典「反戦集会」 浅野健一
“勝ち目”のあるうちに退いた 岸田文雄首相「退陣表明」の裏側 山田厚俊
僚支配・憲法無視・米国追従 「能動的サイバー防御」とは何か 足立昌勝
国民より先に米国に“退職報告”していた岸田首相 
ウクライナの侵攻を「越境攻撃」と呼ぶ欺瞞 木村三浩
兵庫県知事パワハラ疑惑は「維新的」政治家の成れの果て 吉富有治
大屋根リング・会場周辺で“実測” 灼熱の大阪・関西万博 横田一
米大統領選の隠れた争点 日本製鉄のUSスチール買収計画 浜田和幸
子宮頸がんワクチンを打ってはいけない理由 「ワクチン添加物」という“毒” 神山徹
IOCの体質こそ根本原因 パリ五輪ボクシング“染色体問題”の本質 片岡亮
“性加害”補償進まぬウラで 旧ジャニーズと離脱組「TOBE」の明暗
地獄の黙示録1984+40 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 52 プレサンス元社長事件 尾崎美代子

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DG578D28/

『紙の爆弾』2024年10月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

10月号では、インターネット空間における国家の関与に焦点を当てました。そのひとつは、政府や企業、政府が支援するNGO、大学などが一体となって構成された「検閲産業複合体」。すでに日本社会において“公式”と異なる情報や見解が「偽情報」「誤情報」として「ファクトチェック」にかけられ、検閲・削除が行なわれていることは、少なくない人々が実感しているところです。

本誌2023年11月号に登場した原口一博衆院議員(元総務相)は、「日本ファクトチェックセンター(JFC)」が憲法21条「検閲の禁止」に違反するのではないかと指摘。2020年、総務省は「インターネット上のフェイクニュースや偽情報への対応」として、米国コンサルティング会社に丸投げする形で、2025年までにネット上の偽・誤情報対策技術の社会実装に向けた開発・実証事業を創設すると公表しています。

戦争を煽り利権化する「軍産複合体」のように、企業・組織・機関が政府と具体的に結びつき、「検閲」を産業化する構造が、我々の社会をより深くコントロールしようとしています。

同時に日本政府は、国家安全保障戦略の一部として、国の重要インフラへのサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の構築を進めていますが、これは政府やそれに準ずる機関が相手のサーバーに侵入(攻撃)する行為です。

憲法や、強制捜査における「令状主義」に反しないのかといった議論は、政府の中に見当たりません。要するに、政府側は「誤情報防止」や「防衛」の大義名分の下で、情報統制からサイバー攻撃までやり放題となっているということです。

そうした中、今月号では体制による“言い換え”問題に、いくつかの記事が触れています。「監視カメラ」は「防犯カメラ」として、その本質が隠されているように、前述の「能動的サイバー防御」は「アクセス・無害化措置」と言い換えられ、相手方サーバー侵入という現実が隠されています。

ロシア・ウクライナ戦争でも、ロシアは「侵略」で「ウクライナによる侵攻」は「越境攻撃」です。そしてマスコミは自民党総裁選を「次の首相を決める」と同党の広報に丸乗りし、次の選挙に向けて宣伝協力を続けています。

『さらば日大!』(ブックマン社)で日本大学の問題を明らかにした和田秀樹医師は、本誌インタビューで、体制に従順な「日本の医者」を、その入口である「医学部」から分析。加えてコロナ(mRNA)ワクチン問題も絡め「自分でデータを探す」ことの重要性について提言しており、これは先に述べた国家ぐるみの情報統制に、私たちがどう対抗するかということにも通じます。

アメリカではジョー・バイデン大統領撤退により、米大統領選の民主党候補がカマラ・ハリス副大統領に変更。これに関して本誌連載のKダブシャイン氏が、見逃せない指摘を行なっています。ほか、マスコミで語られない「岸田軍拡43兆円」の無駄遣いといえる中身、朝日新聞が本誌5月号記事を批判した「旭川中学生凍死事件」、子宮頸がんワクチンをはじめとした「ワクチン添加物」の危険性など、今月号も独自の視点からレポートをお届けします。

全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年10月号

『紙の爆弾』2024年 10月号

『さらば日大!』和田秀樹医師が暴く日本大学と「医学部」「医師界」の闇
旭川女子中学生凍死事件 再調査委員会が隠した社会の病巣 山田寿彦
安倍・岸田軍拡43兆円の無駄遣い 隠蔽主義の「カルト集団」防衛省・自衛隊 清谷信一
日本にも進出する情報統制機関 政府・企業・組織「検閲産業複合体」の脅威 青柳貞一郎
広島市の妨害を民衆が打破 平和記念式典「反戦集会」 浅野健一
“勝ち目”のあるうちに退いた 岸田文雄首相「退陣表明」の裏側 山田厚俊
僚支配・憲法無視・米国追従 「能動的サイバー防御」とは何か 足立昌勝
国民より先に米国に“退職報告”していた岸田首相 
ウクライナの侵攻を「越境攻撃」と呼ぶ欺瞞 木村三浩
兵庫県知事パワハラ疑惑は「維新的」政治家の成れの果て 吉富有治
大屋根リング・会場周辺で“実測” 灼熱の大阪・関西万博 横田一
米大統領選の隠れた争点 日本製鉄のUSスチール買収計画 浜田和幸
子宮頸がんワクチンを打ってはいけない理由 「ワクチン添加物」という“毒” 神山徹
IOCの体質こそ根本原因 パリ五輪ボクシング“染色体問題”の本質 片岡亮
“性加害”補償進まぬウラで 旧ジャニーズと離脱組「TOBE」の明暗
地獄の黙示録1984+40 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 52 プレサンス元社長事件 尾崎美代子

連載
あの人の家
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コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
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The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
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《新刊案内》分断と混迷にあるLGBT問題に大胆かつ詳細に異議を提起! 気鋭の女性医師・斉藤佳苗さんの渾身の著『LGBT問題を考える 基礎知識から海外情勢まで』が8月27日発売開始! 鹿砦社代表 松岡利康

A5判で総ページ350ページ余に及ぶ気鋭の女性医師・斉藤佳苗さんの渾身の著『LGBT問題を考える 基礎知識から海外情勢まで』が8月27日に発売となります。

分厚い本のためリアル書店ではほとんど配本されませんのでアマゾンなどネット書店、あるいは鹿砦社販売部(sales@rokusaisha.com) まで予約注文お願いいたします!

内容的には太鼓判を押します! 久し振りに刺激的な本を作りました。ぜひご一読を!

なお、偶然ながら協調関係にある雑誌『情況』も、9月28日発売の夏号でトランスジェンダー特集を行っています。併せてご購読ください。

斉藤佳苗『LGBT問題を考える 基礎知識から海外情勢まで』

福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか ── 《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判〈3〉 大今 歩

《3》「福島県民健康調査」における小児甲状腺がん発見は「過剰診断なのか」

高野らが甲状腺がんの「多発見」は「過剰診断が原因だ」と述べる根拠を検討する。

 
高野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八著『福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか』(あけび書房 2021年)

(1)甲状腺がんは低危険度がんで進行は極めて遅く、その多くは生涯にわたって無害に経過する。これに対して甲状腺がん外科医の清水一雄検討委委員は2016年9月の第24回検討委において、2年程度で35ミリに増殖したがんについて、「これはちょっとアンユージュアル(普通ではない)という感じもする」と驚きを隠さなかった。(和田真『DAYS JAPAN』2018年8月増刊号)。このようながんを見つけることが「過剰診断」であるとは到底言えない。
 
(2)諸外国でもすぐに手術を行うのではなく、経過観察も選択肢となっている

経過観察が選択肢になっていることは良いことだと思う。手術は常に危険を伴い、患者にメリットをもたらすとは限らないからである。しかし、そのことと甲状腺検査の中止とは関係がない。甲状腺がんが発見された患者に選択肢を示して選べるようにすれば良いだけのことである。

福島県で甲状腺がんと診断された患者の大半の手術を執刀している鈴木真1教授(福島県立医大)は2018年末までに180人のうち、リンパ節転移があった患者は72%、組織外浸潤も47%あり、11人が再手術を受ける必要があったという(白石草・同前)。また前述の山下俊1も2020年3月4日「子ども脱被曝裁判」の福島地裁における尋問で、摘出手術したがんに手術の必要がなかったケースはないことを認めている(添田孝史『東電原発事故10年で明らかになったこと』平凡社)。

このように手術を受けた患者にとって「過剰診断」は当たらない。

(3)「過剰診断」は重大な被害に結びつく

高野は「過剰診断」について次のように述べている。
①世間一般では明日をも知れぬ命とみなされてしまう。
②進学・就職・結婚・出産などにハンディをもたらす
③「手術するかどうか」に決断を迫られる。
④治療を受けなければ「がんを治療せず、放置する厄介な子」と誤解される(高野徹『日本リスク研究会誌』)Vol28 No・2)。

第33回検討委(2018年12月27日)において、メンバーが甲状腺診断の被害のデータを求めたところ、高野は「甲状腺がんが発見された人が口を揃えて言うことは検査を受ける前に戻りたいと(中略)、これを強く訴える」と答えた。

この発言に対し、前述の成井香苗委員は「超音波検査に具体的な病気としての被害があるのかと思ったが、今のお話だと心理的被害なので、それならば心理的ケアをきちんとやるべきだということの方が本筋だと思う」と述べた(平沼百合『科学』2019年3月号)。

高野が述べる健康調査がもたらす重大被害の①②④は周りの偏見であり、甲状腺がんの性質を粘り強く説明していくことにより解消できるし、本人の被害も小さくできる。また③は前述の通り、手術のメリットやデメリットを本人や周囲が判断すべきことで被害とは言えない。発見により本人の健康を守るメリットに繋がるかもしれないからである。

むしろ被害をもたらすのは福島原発事故により甲状腺がんに罹患することそのものである。前述の「子ども甲状腺がん裁判」原告Aさんも「待望の大学進学を果たしたものの、肺に転移・再発して辞めざるを得なかった」と述べている(松本徳子・前掲)。

(4)国際的にも「過剰診断論」は認められている

まず、高野らはIARC(国際ガン研究機構)は2018年「被曝の可能性がある場合でも、甲状腺超音波検査を始めとしたがん検診的なことはするべきではない」と提案した。だから国際的評価は決まっているとする。

しかし、IARCには日本の環境省が36万ユーロを拠出した。そして、原発事故後の甲状腺検査のあり方を検討する専門グループを設立したが、報告書の策定に関わったメンバーは原子力問題に関わりの深い専門家ばかりで、事務局は日本人スタッフが担っていた報告書をお披露目する国際シンポジウムでコーディネーターを務めたのは前述の山下俊1だった(白石草『世界』2021年3月号)。

IARCの報告書は環境省が費用を拠出して「被曝安全神話」に立つ日本人スタッフが中心になってまとめた可能性が高い。

もう1つ高野らがその主張の正しさの裏付けとしているのが2021年3月10日、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)が発表した報告書である。

同報告書は公衆の被曝線量推計値を2013年の報告書より大幅に減少させたうえで、「甲状腺がんは被曝問題とは考えにくい」「発生率の増加は過剰診断が原因」「子どもの甲状腺がんは予後が良い」などとした。

しかし、キース・ベーヴァ―ストック博士は「UNSCEARに専門家を派遣しているのは、ほとんどが原子力を推進利用している国である。いわば密猟者と猟場番人が同1人物という形なのである」(「福島原発に関するUNSCEAR2013年報告書に対する批判的検証」(『科学』2014年11月号)。

[注]キースベイバスドック博士はロンドン大学卒業後、英国ハーウェル原子力研究所で電離放射線の公衆衛生及び労働衛生に与える影響に関する広範な研究を行う。1991年~2003年、世界保健機構(WHO)欧州地域事務所で放射線防護プログラムを指揮。WHOでは特にベラルーシにおけるチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの増加をいち早く発見し、世界の注目を集めた(同前『科学』)。

事実UNSCEARの2017年~19年の日本代表は、放射線医学研究所(放医研。1950年に設立された放射線の人体への影響などを研究する組織)の本部長補佐、明石真言であった。彼は2011年9月、日本財団の国際専門家会議で「チェルノブイリに比べれば大した事故ではなく、将来的にも健康に関する心配は何もない」と断定した。その後も明石は検討委や環境省の「専門家会議」(放射線によるがん多発を否定)(2013年~14年)のメンバー(和田真『DAYS JAPAN』2017年4月号)。

そしてUNSCEARの上級顧問を務め、2020年報告の取りまとめに携わった。このようにUNSCEARによる「2020年報告」も「被曝安全神話」を唱える高野と同じ立場の日本の「専門家」が深く関わっているのである。

◆おわりに

本書の主著者である高野徹らの検討委により、2021年4月から小児甲状腺がんの学校検診はなくなり、福島県立医大に同意書を出した者のみの検診となってしまった(黒田節子『人民新聞』2022年1月5日号)。

本書の「過剰診断論」は福島原発事故による健康被害を否定し、東電をかばい、「被曝安全神話」を広める。甲状腺がん検査の縮小は事故と甲状腺がんの関係の解明を困難にする。

そして、「被曝安全神話」は「原発安全神話」につながり、政府が進めようとしている原発再稼働や小型原発開発を許す役割をしかねない。しかも本書の執筆者の中には児玉一八のように原発反対を唱えてきた良心的な学者も含まれている。そのことは現在の危機的状況を如実に示している。

子ども甲状腺がん裁判が「過剰診断論」を打ち破って国や東電により甲状腺がんに罹ったことを認めさせ、責任をとらせることを願ってやまない。

◎大今歩 福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか
     《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判

〈1〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50162
〈2〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50167
〈3〉http://www.rokusaisha.com/wp/?p=50170

本稿は『季節』2022年秋号(2022年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)
A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!
《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

◎『季節』創刊10周年特別企画『脱(反)原発のための季節セレクション』(仮)
出版のためのクラウドファンディングご支援のお願い

https://readyfor.jp/projects/kisetu_nonukes
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/
◎鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000748

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

モディ政治の光と影  グローバル・サウスの盟主インドの実相(浜田和幸) / 被害額は昨年から倍増! オンライン詐欺の実態と”野放し”の理由(片岡 亮)『紙の爆弾』8・9月合併号の注目記事

月刊『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号分お得です)。ここでは8・9月合併号(7月5日刊行)の注目記事2本の一部を紹介します。

◆モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主インドの実相
 取材・文◎浜田和幸

 
 

かつて一世を風靡した「ノストラダムスの大予言」より、はるかに速いスピードで世界の流れは変わってきています。このフランス人医師にして占星術師が1555年に書き残した予言では、「2024年には中国が第3次世界大戦の口火を切る」とされていました。それだけ、中国が国際社会に影響力を行使するようになるとの見立てだったと思われます。確かに、このところ中国の技術力や軍事力はアメリカを凌駕する勢いを見せています。

去る6月14日からイタリアで開催されたG7首脳会議でも、「中国やロシアの脅威にどう共同で対処するか」が大きなテーマになったほどです。言い換えれば、第二次世界大戦後、そして冷戦を経て誕生した「アメリカ一強の時代」に挑戦しているのが中国というわけです。その観点からすれば、ノストラダムスの未来予知能力は確かなものだったといえそうです。

実は、アメリカが牽引してきたG7の政治・経済・軍事力は低下する一方と言っても過言ではありません。その象徴的な出来事が、ウクライナ戦争で実施された欧米諸国によるロシアへの経済制裁の思わぬ大失敗でしょう。ロシアはまったく影響を受けていないどころか、逆にウクライナ戦争以前と比べ、格段の経済成長を実現しているからです。

今やロシアはドイツを抜き、世界第5位の、そして欧州最大の経済大国となっています。一方、ロシアへの経済制裁に加わったイギリスに至っては過去300年で最悪の経済不振に陥っているではありませんか。

IMF(国際通貨基金)はロシアの2024年の経済成長率を2.6%と予測し、昨年の見通しの倍へと上方修正しているほど。イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙も欧米の予測の誤りを指摘しています。

要は、G7の国々は政治的な思惑やアメリカへの配慮からか、ロシアや中国に対しては冷静さを失い、感情的な“上から目線”に囚われているようです。その結果、「圧力をかければロシアも中国も言うことを聞くはずだ」といった希望的観測の虜になっているように思えてなりません。

日本の岸田文雄政権もアメリカへの忖度があるせいか、プーチン大統領に対する非難を強め、ロシアとの貿易通商を制限すれば、彼らを停戦交渉のテーブルに着かせることになるはずだと思い込んでいるようです。「プーチンのロシアは苦境に追い込まれている。経済が疲弊し、国民の不満も高まっている。あと一歩でプーチンは敗北を認めるだろう」。そんな根拠なき楽観論から、いまだに抜け出せないでいるのがG7の指導者なのです。

現実はその逆で、ロシア経済の復活は目覚ましく、G7首脳会議とほぼ同時期にロシアで開催されたBRICS外相会議では「アメリカはすでに頼りにならない」と、バイデン政権と距離を置く動きが顕著です。いわゆる「グローバル・サウス」諸国もBRICS加盟に舵を切るようになってきました。岸田首相はそうした国際関係の地殻変動に関心が薄いようです。

世界銀行の最新のデータは衝撃的なものでした。2024年のロシアの経済力は5.95兆ドルで、日本の5.87兆ドルを抜いています。しかも、ロシアには統計に表れない地下経済が39%もあるのですが、日本には10%しか潜在力がないとされています。ロシアは日本を抑える経済力を秘めているわけです。

 中国を越えるインド

さらに侮れないのが、BRICS諸国の潜在力でしょう。その意味でも、グローバル・サウスの中心的役割を果たそうと積極的に動いているインドに注目する必要があります。

国連の最新の人口統計予測によれば、この4月末、「インドの人口は中国を凌駕した」と報告されました。2024年末のインドの人口は14億2900万人で、中国は14億2600万人と予測されています。

このままでいけば、インドの人口は2063年には17億人を突破するといわれます。インドで最も人口の多いのは首都のニューデリーで、3000万人を超えています。

しかも、インドの特徴は若年層の大きさです。中国では人口の15%弱が65歳以上で、この比率は年々増加しています。日本同様、高齢化が急速に進んでいるわけです。

一方のインドは女性が平均して6人の子どもを出産してきました。やはり人口の多さは経済力にも影響します。インド国立銀行の予測によれば、GDP(国内総生産)ですでにイギリスを抜いており、ドイツや日本をも間もなく追い抜き、29年にはアメリカ、中国に次いで世界第3位の経済大国に躍り出るとのこと。今後10年以内に、インドのGDPは現在の3.4兆ドルから8.5兆ドルに急増すると見られています。

ちなみに、今年の経済成長率は7%と予測されています。そうしたインドの未来に期待し、アップルを筆頭に欧米の企業は、この人口超大国への投資と工場進出の動きを加速中です。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏も頻繁にインドを訪問し、自社工場を視察した折に、モディ首相との歓談を重ねています。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ne76c35f62e9a

◆被害額は昨年から倍増! オンライン詐欺の実態と”野放し”の理由
取材・文◎片岡亮(ジャーナリスト)

 
 

 「人を騙しやすい」現代社会

インターネットを悪用した詐欺被害の総額は昨年1年間で772億円。前年から倍増で、全国の居酒屋の売上合計にも等しい額だ。同じデジタル業界では、音楽や演劇などのライブ配信の市場規模にも匹敵する。

すでにインターネットは普及しているのに、ここに来て急増するのはなぜか。少なくとも「騙す連中」と「騙される人々」が増えたことは間違いない。

それでも、これほどまでに人々が詐欺に遭う理由のひとつに、「ネットの情報を無防備に信頼している」ことが挙げられる。昨今のフェイクニュースの横行も、その一つだ。あげく、政権すら政策への批判に対し、ネット工作員を配置して世論誘導を行なっている現実すら明らかになっている。

この状況は詐欺師にすれば好都合で、他者に自身を信用させることが手軽になった。最も手っ取り早い手法が「社会的証明」だ。社会心理学の用語で、「自分の判断よりも“社会の多数である他人”の判断を信じ、それに従った行動をしてしまう心理のこと」などと説明される。たとえば「著名な学者が賛同している」「多くの人がこの方法で成功」などと煽れば、人々は信じやすくなる。

ちなみに、恋愛感情を餌にした“ロマンス詐欺”の標的として、日本はアメリカに次いで二位の規模、という米メディアの調査結果がある。日米がトップ2となった理由については、「人の意見に左右されやすいのは、社会的に孤立しやすい環境から、仲間を求める気持ちの強さと比例する」と結論付けた。被害者に高齢者が多いのも、孤独を感じやすいからだと指摘した。

実は国・地域別のネット利用者数でも日米が上位だ。加えて日本の場合、ラジオ体操のように、「みんな同じ」の教育が推奨されてきた。人々が別々に、それぞれの運動をしてもいいはずだが、日本ではその自由を許さない。

東京・千代田区の麹町中学校ダンス部に「ヒップホップ禁止令」が出されて物議を醸したように、言葉の上では“多様性”が推される現在でも、一定の価値観からはみ出すことを許さないのが日本だ。これが、先述の「社会的証明」をますます有利にしている。

この統一された価値観の中で、多くの人が自身を「平凡な人間」と定義するようになる。そこで騙す側は、「私もあなたと同じように普通の人だったけど成功した」と共感を誘う。そして「あなただけに特別な情報を教えます。チャンスは今しかない」と言って、詐欺に誘うわけだ。

こうして日本を襲っているのが、まさに「社会的証明」に弱い人々を狙った、著名人の名を騙る詐欺だ。池上彰氏や堀江貴文氏、森永卓郎氏など、経済の見識がありそうな人々がネット広告に登場し、「これで成功した」と語る。しかし、これら著名人たちは名前や写真を勝手に使われている。「儲かる話を、なぜわざわざ広告にするのか?」という疑問が湧いて当然だが、多くの人々が信じてしまう。

 詐欺被害者が語る手口

「私も自分の判断力のなさには情けなくなった」こう語ったのは、67歳の小山幹雄さん(仮名)。千葉市内で30年以上、文具店を経営していたが、建物の老朽化もあって4年前に廃業を決断。建物と土地を売却したお金で少額の株式投資を始めるも、詐欺に遭って700万円を失った。

「5年前までスマホを持っていなかったんですが、店を閉めたらやることがなくなって、頭が鈍くなると思って使うようになりました。友人に勧められたのがフェイスブックとLINEで、みんなと簡単にやりとりができるので、夢中になりました。撮った写真を投稿すると反響があって、友人が増えたような気持ちにもなれました」

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nf369abfe8b45

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年8・9月合併号

『紙の爆弾』2024年 8・9月合併号

科学者は誰も信じていない CO2温暖化説の嘘ともたらされる被害 広瀬隆
植草一秀解説 米国債を売れば50兆円利益と円安是正 米官業「日本政府支配」
災害や感染症を利用し地方自治を破壊 地方自治法“戦前回帰”の大改悪 足立昌勝
WHOの公衆衛生全体主義を許すな!「パンデミック条約反対」日比谷公園2万人集会 高橋清隆
本当にワクチンを打つべきなのか? ウィルス「不存在」をめぐる科学的議論 神山徹
学歴詐称・事前運動疑惑、裏金自民援護 東京都知事選で露呈した小池都政の正体 横田一
フィリピン元大統領報道次官が訴える日比米安全保障の罠と日本との連帯 木村三浩
モディ政治の光と影 グローバル・サウスの盟主・インドの実相 浜田和幸
日本もパレスチナ国家承認を拒否 ガザ停戦を阻む米欧大国と日本の「論理」 広岡裕児
重信房子さんに聞く世界と日本の学生運動が証明するパレスチナ抵抗の正当性 浅野健一
政権交代に向け見極めるべきもの いま日本政治の転換を迫る負と正の力 小西隆裕
「岸田続投だけはありえない」「裏金国会」がもたらした自民党内の暗闘 山田厚俊
「社会貢献活動」法人設立の目的 ジュリー前社長が離さないジャニーズ最大利権
被害額は昨年から倍増 オンライン詐欺の実態と“野放し”の理由 片岡亮
世界史の終わりとハードボールド・ワンダラランド 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪 特別編 西成女医変死事件 尾﨑美代子

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D8PP3BNK/

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

◎『紙の爆弾』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D8PP3BNK/
◎『季節』 amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0DB1GZ5CM/

《回想》『季節』創刊から10年後の想い 鹿砦社代表 松岡利康

本誌は2014年8月に創刊しました。創刊時の誌名は『NO NUKES voice』でした。私が創刊時の編集長を務めました。実は他に編集長に据えた人物がいたのですが、実際に取材、編集活動に入る寸前で降りたのでやむなく私が務め船出しました。私は6号まで編集長を務め、7号から小島卓に引き継ぎ現在に至っています。

創刊時の発行部数は、なんと2万部! その後、実売が芳しくないとの理由で取次会社にどんどん書店への委託配本部数を減らされてきています。現在の部数はあえて秘しますが、推して知るべしです。あれだけの甚大な被害を与え、多くの方々の人生や暮らしを一変させ、いまだに避難を余儀なくさせたり後遺症に苦しませている原発事故は他人事になったのでしょうか? ひとつの小さな雑誌の売行が悪いからといって申し上げているのではありませんが、福島の原発事故は、遺憾ながら風化し忘却の彼方に追いやられています。

幸い、たんぽぽ舎はじめ直販や定期購読などでこの雑誌は命脈を保っています。ちょうどいい機会ですから声を大きくして叫びますが、ぜひ友人、知人の方々に拡販をお願いする次第です。

3・11東日本大震災により福島第一原発に大事故が起きました。この時、日本中の多くの人たちが、この国の未来に恐怖を覚えたはずです。だからこそ、多くの人たちが抗議の声を挙げ続けたのではないでしょうか。それも今はもうどこかに行ったのでしょうか。――

その時の危機感が、私たちに原発事故を起こした責任者追及の本を出させたと思います。『東電・原発おっかけマップ』『タブーなき原発事故調書』で、東電や御用学者らへの直撃取材は、この時の怒りが基になっています。これら2冊の本は、その内容ゆえに取次会社に書店への配本を拒否させられました。未読の方は、これらもぜひご購読いただきたいと思います。

これに続いて反原発関係の書籍も続けるつもりでしたが、むしろ定期刊行物を発行し続けることで反(脱)原発の声を挙げ続けている方々、福島県内外で頑張っておられる被災者の方々らと連携し、その声を誌面に反映していくことに気持ちが高まっていき、これが本誌創刊の動機になっています。

創刊から5年が経った20号で、この時の想いを書いておりますのでぜひ紐解いていただきたいですが、この頃はまだコロナ以前で、会社も左団扇の時代でした。会社が創業50年の年でした。

その後コロナが襲来、この5年はコロナとの闘いでもあり、発行自体が困難な時期で、それは今も続いています。

限られた誌面で、この10年の想いは語り尽くせませんが、前半は比較的余裕があり、後半は逆に苦境の中での発行でした。苦境は今でも続いていますが、それはそれとして、福島で必死に頑張っている方々を思うと、放り投げるわけにはいきません。岩にかじりついてでも連帯して発行を継続しなければなりません。なにしろ類似誌がないわけですから、この雑誌がなくなれば福島の声や全国の反(脱)原発の声を反映する場がなくなります。

皆様方にありましては、どうか本誌の発行継続のためにご支援をお願いする次第です。

(松岡利康)

8月5日発売 〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年夏・秋合併号(NO NUKES voice 改題)

A5判 148ページ(本文144ページ+巻頭カラー4ページ) 定価880円(税込み)
お陰様で10周年を迎えました!

《グラビア》
「幻の珠洲原発」建設予定地 岩盤隆起4メートルの驚愕(写真=北野 進
「さよなら!志賀原発」金沢集会(写真=Kouji Nakazawa

《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 原子力からこの国が撤退できない理由

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 なぜ日本は原発をやめなければならないのか

《報告》井戸謙一(元裁判官/弁護士)
 事実を知り、それを人々に伝える

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 核武装に執着する者たち

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
 課題は放置されたまま

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
 原発被害の本質を知る

《インタビュー》北野 進(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団団長)
 珠洲原発・建設阻止の闘いは、民主主義を勝ち取っていく闘いだった

《対談》鎌田 慧(ルポライター)×柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
 東京圏の反原発 ── これまでとこれから

《報告》今中哲二(京都大学複合原子力科学研究所研究員)
「核融合発電」蜃気楼に足が生え

※          ※          ※

《回想》松岡利康(鹿砦社代表)
 創刊から10周年を迎えるまでの想い出

《墓碑銘》松岡利康(鹿砦社代表)
 お世話になりながら途上で亡くなった方への追悼記

《季節創刊10周年応援メッセージ》

 菅 直人(衆議院議員・元内閣総理大臣)
 守りに入らず攻めの雑誌を

 中村敦夫(作家・俳優)
 混乱とチャンス  

 中嶌哲演(明通寺住職)
「立地地元」と「消費地元」の連帯で〈犠牲のシステム〉を終わらせる

 水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
『季節』丸の漕ぎ手をふやして、一刻も早く脱原発社会を実現しよう

 山崎隆敏(元越前市議)
「核のゴミ」をこれ以上増やさないために

 今野寿美雄(「子ども脱被ばく裁判」原告代表)
 裁判も出版も「継続は力なり」

 あらかぶ(「福島原発被ばく労災損害賠償裁判」原告)
 隠された「被ばく労働」問題を追及し、報じてほしい

※          ※          ※

《報告》なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)
《検証》あらかぶさん裁判 原発被ばく労働の本質的問題 

《報告》北村敏泰(ジャーナリスト)
 棄民の呻きを聞け 福島第一原発事故被害地から

《講演》和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
「復興利権」のメガ拠点 「福島イノベーション・コースト構想」の内実〈前編〉

《報告》平宮康広(元技術者)
 水冷コンビナートの提案〈1〉

《報告》原田弘三(翻訳者)
 COP28・原発をめぐる二つの動き
「原発三倍化宣言」と「気候変動対策のための原発推進」合意

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
 総裁選より、政権交代だ

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
   タイガー・ジェット・シンに勲章! 問われる悪役の存在意義

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
   山田悦子の語る世界〈24〉
   甲山事件50年を迎えるにあたり
   誰にでも起こりうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか(下)

《報告》大今 歩(高校講師・農業)
   洋上風力発電を問う 秋本議員収賄事件を受けて

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
 時代遅れの「原発依存社会」から決別を!
 政府と電力各社が画策する再稼働推進の強行をくい止める

《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
 6・9大阪「とめよう!原発依存社会への暴走大集会」に1400人超が結集

《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
 女川原発の再稼働はあり得ない 福島事故を忘れたのか

《福島》黒田節子(請戸川河口テントひろば共同代表)
 浪江町「請戸川河口テントひろば・学ぶ会」で
 北茨城市大津漁協裁判で闘う永山さんと鈴木さんの話を聞く

《柏崎刈羽原発》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 7号機再稼働で惨劇が起きる前に、すべての原発を止めよう!

《首都圏》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)
 福島原発事故の責任もとれない東京電力に
 柏崎刈羽原発を動かす資格はない!

《浜岡原発》沖基幸(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
 静岡県知事と御前崎市長が交代して
「一番危険な原発」はどうなるか

《島根原発》芦原康江(さよなら島根原発ネットワーク)
 政治に忖度し、島根原発2号機運転差止請求を却下
 それでも私たちは諦めない!

《玄海原発》石丸初美(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)
 玄海町「高レベル放射性廃棄物・最終処分場に関する文献調査」受入!

《川内原発》向原祥隆(反原発・かごしまネット代表)
 私たちは歩み続ける

《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
 原子力規制委員会を責め続けて11年
 原子力規制委員会は、再稼動推進委員会・被曝強要委員会

《反原発川柳》乱鬼龍

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福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか ── 《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判〈2〉 大今 歩

《2》被曝と小児甲状腺がん多発に関係はないのか

 
高野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八著『福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか』(あけび書房 2021年)

本書では「放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」をはじめ、多くの専門機関は福島県の子どもたちに見つかった甲状腺がんは放射線によるものではないと判断している。すなわち「甲状腺がんの多発見はスクリーニングが原因であり、過剰診断が起こってしまった」と述べる(児玉一八「原発事故と甲状腺」)。

小児甲状腺がんは100万人に1人~2人とされるのに福島では先行検査(2011年~2013年)で116人、本格検査2巡目(2014年~2015年)で71人もの患者が見つかった。ところが、2016年、先行検査について検討委は「甲状腺がんが通常の数十倍のオーダーで多い」ことを認めながら、「先行検査を終えて、これまでに発見された甲状腺がんについては(中略)、放射線の影響とは考えにくい」と評価した。

そして、2017年11月本格調査について評価部会は、外部被曝線量を線引きして4地域に分けて「避難区域の13市町村(10万人当たり49.2人)→中通り(同25.5人)→浜通り(同19.6人)→会津地方(15.5人)」の順で甲状腺がん発見率が高いことを認めた。

ところが、鈴木元評価部会長は「年齢や検査時期などを調整する必要がある」などと地域別の分析を投げ出してしまう(白石・同前)。外部被曝線量が多い地域ほど甲状腺がん発見率が高いことを覆い隠すためとしか考えられない。

そこで鈴木らが頼ったのがUNSCEARが公表した推計甲状腺吸収線量のデータである。これに基づいて2019年2月に提出された中間報告は「20ミリグレイ(=シーベルト)以下のグループに対して20~25ミリグレイは悪性率が高いと認める」ものの、「25~30ミリグレイ及び30ミリグレイ以上は高いけれども有意ではない」から、現時点において「本格検査で発見された甲状腺がんと放射線被曝との関連は認められない」とした。

ところが、その後驚くべき事実が発覚した。4月8日に開催された検討委後の記者会見で、雑誌『科学』(岩波書店)の編集長が計算違いを指摘すると、鈴木氏は「入力ミスがあったという指摘は受け止める」とあっさり誤りを認めたのである。
 
訂正されたUNSCEARの数値を用いても被曝被と悪性率の関係は明らかである。20ミリグレイ以下に対して20~25ミリグレイは2・42倍、25~30ミリグレイは1.34倍、30ミリグレイ以上では1.21倍となっている。20ミリグレイぐらい以上を合わせるとそれ以下に対して1.69倍となっている。有意な差があるのである。(牧野淳一郎『科学』2019年5月号)。

そして当日の検討委でも、「なぜ当初の4地区で解析できないのか」(成井香苗委員)など再解析を迫る意見が相次いだ。しかし同年6月公表された「甲状腺本格検査結果に対する部会まとめ」は何の変更もなく事実を覆い隠した。

このように福島県内では小児甲状腺がんが全国に比べて数十倍のオーダーで高く発生している。しかも福島県内の4地区を比較すると、外部被曝線量の多い地域ほど甲状腺がん発見率が高い。UNSCEARの数値を用いても被曝と悪性率の関係は明らかである。にもかかわらず、本格検査について検討委は「現時点では被曝との関係は認められない」という結論を変えようとしない。

高野らが関わった検討委の被曝と甲状腺がんは関係ないとする主張には大いに疑問が残る。(つづく)

本稿は『季節』2022年秋号(2022年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

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福島の小児甲状腺がん検査は本当に「過剰診断」なのか ── 《書評》高野徹他『福島の甲状腺検査と過剰診断』批判〈1〉 大今 歩

◆はじめに 甲状腺全摘4人、片側切除2人……

2022年1月27日、小泉純一郎、細川護熙、菅直人、鳩山由紀夫、村山富市の5人の元首相はEU(欧州連合)の欧州委員会が「(『脱炭素』のため)原発を環境に配慮した投資先」のリストに加えようとしている動きに対して、福島原発事故によって「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」などを理由にこれに反対する書簡を送った。

この書簡に対して政府、自民党、福島県は5人の元首相に抗議・避難の文書を出した。例えば、山口壮環境相(当時)は、「福島県の子どもに放射線による健康被害が生じているという誤った差別や偏見を助長することが懸念されます」と指摘した(佐藤和雄『金曜日』2022年2月18日号)。小泉らの書簡は「風評被害を助長する」というのである。

書簡と同日(1月27日)、17歳~28歳の男女6人が福島原発事故のため、甲状腺がんに罹ったとして東電に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。訴えによると、原告のうち、2人は甲状腺の片側を切除。4人は再発によって甲状腺を全摘した(2022年1月28日付朝日新聞)。

5月26日、東京地裁で第1回口頭弁論が開かれ、原告が意見陳述を行った。原告Aさんは「この裁判を通じて、甲状腺がん患者に対する補償が実現することを願います」と締めくくった(松本徳子『人民新聞』2022年6月20日)。

小児甲状腺がんは通常100万人に1~2人程度の割合で見つかる稀少ながんである。ところが、人口約200万人の福島県では事故後、今日まで約300人に発見された。小児甲状腺がんは「風評(うわさ)」ではなく、福島の子どもたちを襲う現実に他ならない。原発事故を起こした国や東電の責任が問われねばならない。

「風評被害」の根拠は「過剰診断論」である。精密な検査により、治療の必要のないがんを多数見つけているため患者数が多いというものである。本書では5人の著者が「過剰診断」が福島の子どもたちに「被害」を及ぼしているとして、福島県による甲状腺検査の中止を求めている。本書の主張である「過剰診断論」について検討したい。

◆福島県における小児甲状腺がん検査

1986年、ソ連チェルノブイリ原発事故後、周辺地域の住民に小児甲状腺がんが多発した。IAEA(国際原子力機関)など国際機関とウクライナ、ロシア政府は事故と小児甲状腺がんとの関連を認めた。

これを受けて、2011年の福島原発事故後、福島県は事故当時18歳以下であった県民約38万人を対象に2年ごとの甲状腺検査を開始した。昨年からは5巡目の調査に入った。前述のようにこの調査によって約300人が甲状腺がんと診断されたのである。

◆本書の概要 「過剰診断論」「検査縮小論」の主張者・高野徹を中心に

 
高野徹・緑川早苗・大津留晶・菊池誠・児玉一八著『福島の甲状腺検査と過剰診断 子どもたちのために何ができるか』(あけび書房 2021年)

本書の主著者である高野徹は大阪大学講師で2017年11月、福島県民健康調査検討委員会(以下、検討委)及びその甲状腺検査評価部会(以下、評価部会)のメンバーとなった。高野を推薦した日本甲状腺学会は、かつて検討委の座長であった山下俊一が理事長を務めていた。山下は事故直後に福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任し、「100ミリシーベルトまでなら全く心配はいりません」などの放言で知られる「被爆安全神話」の主唱者である。

高野徹は以後、評価部会や検討委において繰り返し「過剰診断論」や「検査縮小論」を強く主張してきた。

本書では高野を始め、緑川早苗(宮城学院女子大学教授)や大津留晶(長崎大学客員教授)など検討委のメンバーが「過剰診断論」を唱える。まず、本書の大きな流れを示したい。

①福島原発事故はチェルノブイリ原発事故に比べてヨウ素131の放出量は10分の1程度である。

②事故による被曝とがん多発の因果関係は考えにくいのに「過剰診断」によって小児甲状腺がんが多数見つかっている。

③小児甲状腺がんの性質は大人しく悪性化しないのに、がんと診断されて、子どもは進学・就職・結婚のハンディを持つため、検査は中止すべきである。
 次に順を追って「過剰診断論」について検討したい。

《1》福島原発事故によるヨウ素131の被曝量はチェルノブイリ事故に比べて低かったのか
 
本書は「福島第一原発事故によるヨウ素131の大気放出量はチェルノブイリ原発事故の放出量と比較して約10分の1程度であった」として「事故で放出された放射性物質によって健康影響が出ると考えられる量の放射線被曝はしていない」(児玉一八「はじめに」)とする。

しかし、初期被曝のデータは極めて少ない。2011年3月20日以降、国は甲状腺の被曝量の計測を実施したが、1080人というわずかな人数を計測したものに過ぎなかった。しかも限定的な検査は意図的なものだった可能性が高い(榊原崇仁『福島が沈黙した日』集英社新書)。

また「健康被害が出ると考えられる量の放射線被曝はしていない」のか。甲状腺がんが多く見つかっているベラルーシ・ゴメリの事故後1年間の平均実効線量は3.65ミリシーベルトだった(UNSCEAR報告書2008年版)。これに対し、福島事故のデータをまとめた同20年報告書によると、福島市の平均実効線量は5.3ミリシーベルト。郡山市は5.0ミリシーベルトだった(白石草『週刊金曜日』2021年3月26日号)。このようにゴメリよりも福島市や郡山市の方が線量が高いのである。健康影響が出ないと断定することに大いに疑問がある。(つづく)

本稿は『季節』2022年秋号(2022年9月11日発売号)掲載の同名記事を本通信用に再編集した全3回の連載記事です。

▼大今 歩(おおいま・あゆみ)
高校講師・農業。京都府福知山市在住

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