堀田春樹
壱世、全勝とはいかなかったが、今年もビッグマッチをこなして飛躍の一年で締め括る。
蒔音は2023年12月デビューから丸2年での二つ目の王座獲得。
エムトーンジムの期待の新星、夢叶もノックダウン奪って判定ながら圧倒の勝利。
◎MuayThaiOpen.51 / 12月6日(土)墨田区体育館(ひがしんアリーナ)
プロ興行:17:00~21:30
主催:センチャイムエタイジム / 認定:ルンピニージャパン
前日計量は中野駅近くのセンチャイジムにて5日13時より行われています。1名は当日計量。2名が学業の為に遅延。授業を終えて計量に向かった模様。全員いずれも一回でパス。
◆第12試合 55.5kg契約3回戦
WBCムエタイ日本スーパーバンタム級チャンピオン.壱・センチャイジム(=与那覇壱世/センチャイ/1997.8.15沖縄県出身/ 55.1kg) 45戦33勝(12KO)11敗1分
VS
ワイトップ・ソー・ガムジン(1992.10.17タイ国出身/ 55.5kg)
勝者:壱・センチャイジム / TKO 2ラウンド 2分59秒
主審:河原聡一
両者見合って様子見から上下の蹴りに移る。互角ながら前に出ているのは壱世。第2ラウンドも壱世が蹴りでプレッシャーをかけて前に出てワイトップを追い詰めていく。
壱世のローキックがワイトップの右内腿辺りにヒットするとワイトップはバランスを崩して足を引き摺る。効いた様子あるワイトップに更に同じ個所を蹴るとワイトップはスリップながら尻餅をつくダメージある様子が窺えた。

下から上へハイキックで圧力を掛け、パンチ連打から左アッパーでノックダウンを奪った。立ち上がるも防戦一方のワイトップを首相撲からヒザ蹴り、蹴りからパンチを纏め4連打の最後は左アッパーで倒し、ノーカウントのレフェリーストップとなった。


◆第11試合 59.5kg契約3回戦 稔之晟インフルエンザで欠場。代打はモンコンチャイ
JKIスーパーフェザー級チャンピオン.夢叶(エムトーン/2004.4.7神奈川県出身/ 59.5kg)
13戦9勝(2KO)3敗1分
VS
モンコンチャイ・キアチャイレック(タイ/29歳/ 59.2kg)
勝者:夢叶 / 判定3-0
主審:谷本弘行
副審:河原30-26. 少白竜30-25. 神谷30-25
初回から蹴りの攻防に立ち向かう夢叶。モンコンチャイをロープ際に追い詰める流れで蹴り優っていく。

第3ラウンドにはロープ際に追い込んでのパンチ連打で2度のスタンディングダウンを奪った後の終了間際には飛びヒザ蹴りを見せたが、仕留めるには至らずも下がる場面は一切無かった圧倒の大差判定勝利となった。
試合後、夢叶は「今日は倒したかったです。次はKOで勝ちます!」と宣言した。

◆第10試合 MuayThaiOpenバンタム級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン.イティポン・ポー・ジョー・ウォー(2002.1.6タイ国出身/ 53.5kg)
VS
挑戦者.蒔・センチャイジム(=佐藤蒔音/ JKイノベーション・バンタム級Champ/センチャイ/2003.7.8東京都出身/ 53.4kg)
勝者:蒔・センチャイジム / TKO 3ラウンド 2分46秒
主審:大澤武士
3月22日に矢島直弥に2-1判定勝利で王座獲得したイティポン。パンチとローキックで様子見ながら蒔音がプレッシャーを掛けていく。
イティポンは静かな蹴りの反撃も蒔音は冷静に躱し、自分の距離を保って攻めて行く。徐々にパンチの攻勢が強まり、蹴りと首相撲の攻防から第3ラウンドには怒涛の連打でノックダウンを奪い、更に連打で追い込み右ヒジ打ちで倒し切った。



◆第9試合 アマチュアMuayThaiOpen 53.5kg級王座決定戦3回戦(2分制)
駒木根稔和(TSK Japan/2009.5.7神奈川県出身/ 53.25kg)
VS
鬼久保蒼流(健成會/ 2009.8.30東京都出身/ 52.8kg)
勝者:駒木根稔和 / TKO 3ラウンド 1分30秒
主審:神谷友和
初回、素早い両者のフットワークの蹴り。そこに鬼久保蒼流が右ストレートで軽いノックダウンを奪った。駒木根稔和はダメージは殆ど無い様子で、蹴りで押し込み接近するとパンチの連打、攻めの勢いを増して行くとスタンディングダウンを奪って巻き返し。
第2ラウンドも駒木根稔和が鬼久保の攻めを封じ圧倒する流れ。第3ラウンド半ば、駒木根がパンチやヒジ打ち猛攻でコーナーに追い込み、パンチ連打で2度のスタンディングダウンを奪ってレフェリーストップとなるTKO勝利。

◆第8試合 女子43.5kg契約3回戦(2分制)
ミネルヴァ・ペーパー級チャンピオン.Uver-miyU(=高橋美結/T-KIX/1999.12.7静岡県出身/ 43.5kg)
VS
ロウ・イツブン(NEXTLEVEL渋谷/1995.5.26中国出身/ 43.4kg)
引分け 三者三様
主審:少白竜
副審:神谷29-29. 谷本28-29. 大澤29-28
初回、ミドルキックやハイキックで牽制する両者。ウーバー・ミユの蹴りにしっかり蹴り返すロウ・イツブン。接近した際にバッティングが起こったか、ウーバーの額にコブが出来ていた。
ロウ・イツブンはスマートな蹴りが出続ければ流れが傾きそうなところ、ウーバーも前進する圧力にパンチ蹴りとも手数を増して踏ん張る。終盤は激しい蹴り合いも互角の展開を残し、チャンピオンに成ったばかりの、負けるわけにはいかない立場のウーバーミユにとっては悔しい引分けとなった。

◆第7試合 アマチュア(ジュニア)55.0kg契約3回戦(2分制)東西王者対決
秀馬(エムトーン/2010.10.26神奈川県出身/ 当日計量55.0kg)
VS
大澤透士(TRASH/2010.11.16広島県出身/ 54.7kg)
勝者:秀馬 / 判定3-0
主審:河原聡一
副審:神谷30-27. 大澤30-28. 少白竜29-28
蹴りの様子見から徐々に自分のペースへ持ち込む秀馬。タイミングいい蹴りとパンチで的確なヒットを見せながら圧力を掛けて大澤透士を追い込んでいく。
第3ラウンドは大澤も懸命に蹴りで出て来たが、秀馬はバランスいい攻めで判定勝利。
エムトーンジム南孝侍会長は秀馬の勝因について、「やられたらやり返す!」と応えたが、やられていないのに攻め勝ったことには笑うだけだったが、秀馬の試合運びには満足そうだった。
◆第6試合 女子バンタム級3回戦(2分制)
真秀鷹虎(センチャイ/2006.4.10宮城県出身/ 53.35kg)
VS
優波(TFG EVOLVE/2010.6.8千葉県出身/ 52.95kg)
勝者:真秀鷹虎 / 判定2-0
主審:谷本弘行
副審:神谷29-29. 河原29-28. 少白竜30-29
激しい蹴り中心の攻防が続き、ラストラウンドにやや圧力掛けて出た真秀鷹虎が経験値の差か、僅差ながら判定勝利。
◆第5試合 アマチュア(ジュニア少年少女)35.0kg契約3回戦(2分制)
川原さくら(橋本道場/2012.1.14福岡県出身/ 34.9kg)
VS
大牙虎男(Vallely Kickboxing team/ 2015.2.17東京都出身/ 34.5kg)
引分け 0-1 (29-29. 29-29. 28-29)
男子と女子の戦い。さくらの蹴りは積極的。この時期の年齢差は、大牙虎男には不利な体格差かもしれないが、男子のパワーが徐々に優り、互角の攻防戦が続いた。
◆第4試合 66.0kg契約3回戦(2分制)
志賀野真人(TSK Japan/2007.6.17神奈川県出身/ 65.3kg)
VS
小泉琉(健成會/2006.11.25東京都出身/ 65.3kg)
勝者:志賀野真人 / 判定3-0
主審:神谷友和
副審:谷本30-28. 河原30-27. 大澤30-27
パンチヒットで志賀野真人の主導権支配した展開は変わらず終了。
◆第3試合 アマチュア(ジュニア)43.0kg契約3回戦(2分制)
阿部龍(橋本道場/2012.6.7東京都出身/ 42.9kg)
VS
日野原晴海(HIDE/2012.1.20静岡県出身/ 42.7kg)
勝者:阿部龍 / 判定3-0 (29-28. 30-29. 30-28)
素早く多彩な互角の攻防だったが、阿部龍が勝利を掴む。
◆第2試合 64.0kg契約3回戦
ムラッシュ村松(TSK Japan/1998.12.10神奈川県出身/ 63.2kg)
VS
古林けいご殿(龍拳會青葉台支部/1980.10.8神奈川県出身/ 63.95kg)
勝者:ムラッシュ村松 / 判定3-0
主審:河原聡一
副審:少白竜29-28. 神谷29-28. 大澤29-28
初回はやや古林けいごのペース。第2ラウンドからムラッシュ村松が盛り返した。古林が疲れて来たところを追い詰める。村松が主導権支配した流れで終わった。
◆第1試合 アマチュア(ジュニア)28.0g契約3回戦(2分制)
發知楓(橋本道場/2013.8.5東京都出身/ 26.8kg)
VS
大空(SUCCEED/2015.6.1神奈川県出身/ 27.3kg)
勝者:大空 / 判定0-2 (29-29. 28-30. 29-30)
《取材戦記》
プロ興行の中でも最近は前座でアマチュア試合を組み込む傾向があります。一つの団体等で、プロ・アマチュア部門が存在するので、興行の都合ではその流れも起こっています。今回はセンチャイ一家の家庭的ムードが漂う興行。手作り感強い興行で、突然のアマチュア東西王者対決も決まった模様。何の王座かはアマチュアムエタイオープン55kg級ということだった。
プロ試合、メインイベンター壱世が奪ったノックダウンとノックアウトに繋げたヒットは、いずれも左アッパー。貴(たかゆき)センチャイ氏がスマホで撮っていた動画から判明。撮った動画をすぐ見れるのは便利になった時代です。
壱世は10月12日にKNOCK OUT興行 で行われたWBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座決定戦でNJKF同級チャンピオンの繁那(R.S)と対戦し、壱世が3-0判定勝利し、王座獲得しています。次の試合は来年2月15日にKNOCK OUT興行に出場予定ということでした。
全試合試合後、センチャイ会長は「最近の日本の選手はレベル高くなって、本当に観る側も楽しいと思います。世界にいろいろな試合有るけど、日本の選手はよく研究していると思います。」とタイ選手を上回る攻防に感想を述べられました。毎度丁寧に纏め上げるのは、センチャイさんらしいところではあります。
コロナ禍から復活して今回4度目の興行となりました。来年もMuayThaiOpenは日程未定ながら3回ほど開催予定の模様です。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」
