『紙の爆弾』2024年7月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

5月号に続いての登場となった政治経済学者の植草一秀氏は、本誌や著書『資本主義の断末魔』(ビジネス社)で「WPS」に警鐘を鳴らしています。すでに巨大企業や権力者への資本の集中は行きすぎるまでに進み、資本主義そのものが破綻に向かっている現在、展開されている「断末魔のビジネスモデル」を指し、その筆頭が「W=War(戦争)」。今月号は目次に目を通していただければわかる通り、またタイトルに銘打っていないものでも、「戦争」につながる話題が多くを占めました。残りの「P」「S」については、本誌や著書をお読みください。

その中でも特に、民間施設(港湾・空港)の軍事拠点化には、最大限に注目する必要を感じています。生活の中に戦闘機や軍艦が現れてもそれが日常であり、人々が“映える”とばかりSNSにアップする時代がそこまで来ています。「今からでも止めなければならない」ということは、あらゆる問題において強調すべきことです。

国会での審議を経ずに、様々なことが決定されています。また国会で審議されても、憲法違反の法律が成立しています。法律や政策に限らず、JR東海が乗客の利便性どころか自社の経営すらかなぐり捨てて進めるリニア新幹線や、カジノのための大阪・関西万博がそうであるように、その計画が経済的・科学的・論理的に破綻しているとしても、止まる理由にはなりません。

なおリニアについては、その首謀者だったJR東海の葛西敬之元名誉会長や、昵懇だった安倍晋三元首相が2年前に相次いで亡くなっても、なぜ計画見直しとならないのか。その背景に、今月号で迫っています。

6月号では半導体工場によるPFAS汚染をはじめ「健康被害」を特集。そこで採り上げた小林製薬の「紅麹」問題は、コロナワクチンによる健康被害が注目されるようになった中、免疫づくりに有効な発酵食品の危機として捉える見方が少なからずあります。

続いて、猶予期間が五月末で終了した改正食品衛生法も、食と健康の危機につながる問題です。漬物を販売するのに専用の調理場など基準が厳格化、農家や飲食店の“手作り”が食べられなくなるものです。工場でロボットにより製造された食品しか口にできなくなる、そんな時代の到来も想起してしまいます。

「食料危機」という言葉は、すでに一般化。今国会で可決・成立が目指されている「食料・農業・農村基本法」改正案では「食料安全保障」なる怪しげな言葉まで使用されています。本誌記事で執筆者の高野孟氏が、「食料をめぐる本源的な問題」について、重要な指摘をしています。

7月号ではスポーツ界の話題も採り上げました。この事例に限らず、目立って問題のある人物が放逐された後にどうなるかというのは、注視する必要があると思っています。また米国マイクロソフト頼みの日本政府「デジタル・ニッポン」構想の危険性、ワクチン強制接種と政府宣伝以外の情報を統制する「新型インフルエンザ等政府行動計画」、大川原加工機冤罪事件と経済安保法の密接関係など、必読のレポートを満載してお届けします。

全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年7月号

『紙の爆弾』2024年 7月号

植草一秀が暴くニッポン戦争経済体制 大企業優遇と庶民搾取の先に待つもの
「食料・農業・農村基本法」改悪「食料自給率」を捨てた農水省の愚 高野孟
感染症対策を口実にした「新型インフル対策行動計画」という新たな言論統制 高橋清隆
ウクライナとガザで実行中の「最新戦術」の正体 イスラエルAIは民間人をいかに殺すのか 青柳貞一郎
国会答弁もアメリカ製AI利用に マイクロソフトに乗っ取られた日本政府のAI構想 浜田和幸
送電線と人脈でつながる「原発とリニア」 リニア新幹線の目的は原発の復活だ! 広瀬隆
静岡県知事選で「リニア問題」は本当に問われたのか 横田一
自衛隊指揮権を米軍に委譲 日米一体化きわまる中で“日本人”を問い直す 木村三浩
公職選挙法に浮上した「別の問題」“裏金沈没”自民党の悪あがき 山田厚俊
“憲法軽視”は政府与党だけではない 憲法違反の法律がつくられる理由 足立昌勝
本格化する国家総動員体制 進む民間施設の日米軍事拠点化 浅野健一
米国覇権の終わりに日米同盟を考える「いまトラ」と岸田自公政権の大罪 小西隆裕
山根明前会長が去っても変わらない日本ボクシング連盟で起きている新たな内紛 片岡亮
続・失言バカ政治家の傾向と対策 佐藤雅彦
シリーズ日本の冤罪50 大川原化工機事件 山村勇気

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

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『紙の爆弾』注目記事 「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質/日本の冤罪 北方事件 たった一人の支援者が明かす「連続殺人事件」の深層

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。

記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号お得)。

ここでは6月号の注目記事2本の一部を紹介します。

◆「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
 取材・文◎片岡 亮(ジャーナリスト)

 
 

2021年11月のある日、名古屋市の中心部に位置する高級ホテルのロビー。シャンデリアに照らされた大理石の床を歩いていたイベントプロデューサーを名乗る40代後半の男が、待ち合わせした女性に見せたのは、当時就任したばかりの岸田文雄首相とのツーショットだった。

高価そうなスーツや腕時計を身に着けた派手な外見とは裏腹に、男の詳しい経歴は不明で、インターネットにも会社名や本人の名前は見つからない。今どき特異な人物だが、自信に満ちた態度でバッグから何枚もの写真を取り出しながら、首相のみならず、今上天皇や著名な実業家、芸能タレントなどとの親交を自慢した。

「ビジネスは信用が大事ですよ。僕はホームページを作ったり、フェイスブックに写真を載せたりといった薄っぺらいことはしません。でも、首相が会ってくれるのは、僕自身に信用があるからです」

誰に対しても同じセリフを口にしているのだろう。そんな男が売り込んだのは、自らが開発に関わったという仮想通貨Lだ。

「今は、価値はありません。でも、この通貨が未来を切り拓くカギです。ほかの通貨とは別次元で、革命的な技術があります。私たちは先駆者で、社会に革命を起こす存在となります。ただの投資なら、こうして一人ひとりと会ったりしません。未来を一緒に作る仲間を集めているからです」

女性は男とのやりとりを録音しており、こうしたセリフが残っていた。

その二カ月後、60円でスタートした仮想通貨Lは、翌月に516円になり、40万円分を買った女性は300万円以上で換金できた。しかし、その後は価値が下落。0.2円前後を推移するまでになり、仮想通貨全体の7割を占める「一年以内の短命」のひとつになったと思われた。

しかし、今年1月31日から少し値動きが見られた。利益を得られるほどではないが、購入者が出てきたのである。同時に、先の男が肩書きを「芸能プロ社長」に変え、再びLを勧め歩くようになった。

3月、男が主催者となって愛知県内で行なわれたショーイベントは、かなり奇妙なものだった。ろくに告知もされないまま、まったく無名のラップグループや歌手が、まるで人気アーティストのように紹介されて歌やダンスを披露。MC役の男性は「盛り上がってますかぁ!」と叫び、出演者の交代の合間には、職業不詳の高齢の男女集団がマイク前に並んでコーナー紹介をしていた。

およそ900名収容の会場の7割ほどを埋めた客層は、とても音楽や演出にマッチしない中高年が主体。いかにも慣れない様子で手拍子しつつ、MCの誘導に素直に従って立ち上がったり、両手を挙げたりしていた。実は彼らこそ、無料招待された仮想通貨Lの購入者たちだった。

つまり、イベント自体は収益を得るためのものではないということだ。イベントを手伝った関係者はこう言った。

「本業である仮想通貨の収益の節税対策らしいです。グレーゾーンな収益なので、マネーロンダリングにしているそうですよ。タレントに高いギャラを払ったことにしたり、チケットが全部売れたことにしたりしています」

刷られてもいないチケットは額面が1枚5万円。900人で満員としたなら4500万円となる。

そして、仮想通貨Lの問題は、その売り文句にある。男は「将来、カジノが合法化される時に、オンラインカジノでもLを使って遊べるようにするので何百倍もの価値を持つ。それまで静かに黙って持っておいてほしい」と購入者に説明していたのだ。

2016年にIR(統合型リゾート)推進法、いわゆる「カジノ法」が成立し、国家事業となった。だからこそ、首相との写真も営業の武器になったわけだ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n883499cc6a7f

◆日本の冤罪〈50〉北方事件 たった一人の支援者が明かす「連続殺人事件」の深層
 取材・文◎片岡 健(ジャーナリスト)

 
 

1980年代に佐賀県で起きた「北方(きたがた)事件」は、3人の女性を殺害した嫌疑をかけられた男性が裁判で検察に死刑を求刑されながら、無罪が確定した重大な冤罪事件だ。公判では、警察のとんでもない違法捜査も判明している。

だが、重大性のわりに、冤罪事件としてはあまり有名ではなく、「犯人が捕まっていない未解決事件」として語られることが多い。無罪が確定した男性が公の場で冤罪被害の経験をほとんど語ってこなかったためだ。

この特異な冤罪事件について、「警察は面子のため、無実の人を死刑台に送ろうとしたのです。本当に恐ろしいことです」と証言する人がいる。

事件の舞台となった北方町(現・武雄市)で町議を7期務めた田崎以公夫さん(92歳)だ。田崎さんは男性の「たった一人の支援者」として奔走し、男性を冤罪から救った人で、事件の一部始終を知る人でもある。

今回は田崎さんの証言に基づき、「北方事件」の顛末を紹介したい。この事件の深層を知れば、世の中には、まだ知られていない酷い冤罪があることを改めて実感していただけると思う。

 時効成立直前の「劇的な逮捕」だったが……

佐賀県の中央部に位置する旧北方町は、人口が1万人に満たない小さな町だった。ここであっと驚く大事件が起きたのは35年ほど前に遡る。

「林に白い服を来た女性の死体が捨てられているのですが……」

1989年1月27日夕方、そんな110番通報をしたのは佐賀県内の夫婦だった。夫婦は、JR佐世保線北方駅から2キロ余りの山道脇で仏壇に供える花を摘んでいた際、北方町内の雑木林に横たわる女性の遺体を見つけたのだった。

所轄の佐賀県警大町署(現・白石署)の捜査員たちが現地に臨場すると、事案は想像よりはるかに重大だった。雑木林から女性の遺体が、ほかにも2体見つかったのだ。連続殺人事件とみた佐賀県警は、ただちに大町署に150人態勢の捜査本部を設置した。

そして翌々日までに3人の被害者は全員、失踪していた近隣の女性だと判明したが、ある奇妙な共通点があった。

①藤瀬澄子さん 武雄町(現・武雄市)の料亭従業員。87年7月8日(水)の夜に同僚との外食後に失踪。失踪時48歳。

②中島清美さん 北方町の主婦。88年12月7日(水)夜にミニバレーの練習に出かけ失踪。失踪時50歳。

③吉野タツ代さん 北方町の会社員。89年1月25日(水)夜に自宅から外出後に失踪。失踪時37歳。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nb6176caaa94c

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

『紙の爆弾』2024年 6月号

岸田訪米の能天気は害悪だ!アメリカが狙うアジアの一兆ドル海洋資源
次期戦闘機の第三国輸出解禁 日本を「兵器産業国家」にする公明・創価学会の“貢献”
【特集】隠蔽される「健康被害」

TSMCが熊本の水を殺す半導体工場のPFAS汚染
がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品によるこれだけの危険
小林製薬「紅麹問題」で少なくとも言えること
開業延期」ではなく「計画中止」を リニア新幹線「電磁波と白血病」
「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子 暴かれた“女帝”の虚像
裏金事件でも自民党で“岸田降ろし”が起きない理由
「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
一水会50年は、対米自立実現の橋頭堡である
事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
“制裁ありき”の駄文判決 岡口基一判事弾劾裁判「多数決で罷免」の異常
ジュリー前社長が手放さないジャニーズファンクラブ巨額の行方
失言バカ政治家の傾向と対策
改憲派2社以外も“軍拡肯定”2025年度中学教科書 防衛省の広報誌化
シリーズ 日本の冤罪50 北方事件

連載
あの人の家
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コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
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◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
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『紙の爆弾』最新記事がnoteで読める! 小池百合子暴かれた”女帝”の虚像/日本を「兵器産業国家」にする創価学会・公明党/日本版DBS法案の違憲性

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。

記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号お得)。

ここでは6月号の注目記事3本の一部を紹介します。

◆「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子暴かれた”女帝”の虚像
 取材・文◎横田 一(ジャーナリスト)

 
 

女性初の総理大臣への道が再び見えてきた瞬間、学歴詐称疑惑を報じた“文春砲”が直撃、知事三選すら危うくなった――。目まぐるしく展開する“小池劇場”が再び開幕していた。

過去最低の内閣支持率にあえぐ岸田文雄首相と入れ替わるかのように、小池百合子都知事のメディア露出度が急増。国会議員でもないのに上川陽子・外務大臣と並ぶ「女性初の総理大臣候補」と持ち上げられ、電撃辞任して衆院東京15区補選(4月28日投開票)に出馬が取り沙汰されるなど、国政復帰の可能性も囁かれた。

「絵空事ではなさそうだ」と印象づける朝日新聞の記事が出たのが3月12日。八王子市長選(1月21日投開票)から間もない夜に自民党都連会長の萩生田光一氏と小池知事が会食し、「小池氏に対し、今夏の都知事選で3選を目指す場合は支援、また古巣の自民党に復党を望めば、後押しする考えも示したという」という関係者のコメントを報じたのだ。

八王子市が選挙区(衆院東京24区)の萩生田氏が小池知事に感謝したくなる心情は、市長選を取材した記者ならすぐにわかる。本来なら陣頭指揮をとる役割を担っている地元選出の衆院議員で、しかも自民党幹部なのに、裏金事件で表に出ることを控えざるを得なかったからだ。

今回の市長選は三期務めた現職から新人への継承という一戦にもかかわらず、萩生田氏は候補者と街宣車に乗ることは一度もなく、室内に支援者を集め支持をひっそりと訴えるだけだった。

ただし高市早苗大臣を応援弁士として呼んだ1月16日の個人演説会では、冒頭で挨拶。東京地検に対してこんな“勝利宣言”を発していた。

「ワイドショーを観ていると、だんだん私が(裏金事件の)真ん中にいる(聴衆から笑い)。『大丈夫か』と街の中で皆が話していたのだろうと思いますが、そういう問題ではなくて、『修正をきちんとする』ということになっておりますので、東京地検に連れて行かれることはございません」

それでも世間の批判を気にしてか、街頭演説で同じような訴えを堂々とすることはなかった。

そうした萩生田氏の代役を務めたのが小池知事だった。投開票日の2日前に現地入り、街宣車上で自公推薦の新人・初宿和夫候補と並んで支持を呼びかけた。世論調査では、元都民ファ都議の滝田泰彦候補(立民・共産・社民などが支持)にリードを許していたが、最終盤で初宿氏の逆転勝利を呼び込む原動力となったのだ。

政治とカネの問題で逆風にさらされる自民党に小池知事が助け舟を出したのは、八王子市長選だけではなかった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n9e7d84b5819b

◆自創協力で次期戦闘機の第三国輸出解禁へ 日本を「兵器産業国家」にする創価学会・公明党
 取材・文◎柿田睦夫(ジャーナリスト)

 
 

「私どもは、池田先生のご遺訓・ご指導を命に刻み……日々、前進してまいりたい」

昨年11月18日、この四半世紀にわたる「自公政権」の生みの親でもある池田大作・創価学会名誉会長死去を公表するにあたり、原田稔同会長が談話を発表してそう述べた。

池田氏は創価学会名誉会長、SGI(創価学会インタナショナル)会長であるだけでなく、「本会の永遠の師匠」(会憲・会則第三条)という存在である。その「遺訓」は「命に刻む」ほど重いものなのだ。

池田氏の主張の中心に、常に据えられていたのが「平和」だった。実際、その説話や著書(とされるもの)には「平和」の語が頻繁に登場する。創価学会員にとって「精神の正史」である小説『新・人間革命』(聖教新聞社)の冒頭には、こうある。

「平和ほど、尊きものはない。平和ほど、幸福なものはない」

さらに、「核兵器および一切の軍備を地球上から消滅させ、一切の戦争を廃絶する」とも書いている。

池田氏は核兵器だけでなく、一切の軍備を消滅させることこそが「平和」なのだと説く。創価学会と公明党は、この「池田遺訓」にどう向き合ってきたのか――。

開会中の通常国会で、「防衛装備移転3原則」をめぐる重要な政策変更があった。日英伊3国が共同開発する次期戦闘機の第三国輸出解禁である。「兵器産業国家」への始動というべきものだ。これを、国会決議抜きに自公両党の“密室会議”で決めた。

ちなみに「防衛装備」とは「武器」のことで、「移転」とは「輸出」のこと。安倍晋三自公政権がそう言い換えた。安倍氏が得意とした目くらましの手法である。

かつてこの国には「武器輸出三原則」があり、武器の輸出は原則全面禁止だった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n97b6256833da

◆事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
 取材・文◎足立昌勝(救援連絡センター代表)

 
 

対象事業者に従業員らの性犯罪歴の確認を義務づける「日本版DBS」法案について自民党内の意見がまとまらず、国会提出が遅れていたものの、3月19日に閣議決定されて、衆議院に送付された(5月9日に衆議院で審議入り)。昨年9月5日に有識者会議からの報告書がまとめられても、自民党内の異論百出により成案化が遅れていたのである(1月号を参照)。

法案の正式名称は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」というが、内容から判断すれば、職業選択の自由を定めた日本国憲法に違反する「特定性犯罪者排除法案」といっても過言ではない。

 日本版DBS法案の仕組み

性暴力が児童に与える影響が多大なものであることは、異論のないところである。そこで政府は、教員や教育・保育従事者等が特定性犯罪を過去に行なった事実があるか否かに関する情報を、国が学校設置者や当該教育保育事業者等に提供する仕組みを設け、それらの者を教育現場等から排除することを目指し、法案を作成した。

まず法案では、教育や保育等を提供する事業者は、子どもとの関係において、

①児童を指導するなど非対称の力関係があるなかで支配的・優越的立場に立つ支配性
②時間単位のものを含めて児童と生活をともにするなどして児童に対し継続的に密接な人間関係を持つ継続性
③親等の監視が届かない状況の下で預かり養護等をするものであり他者の目に触れにくい状況を作り出すことが容易である閉鎖性

という三要件を持ち、その現場では性犯罪や性暴力が発生する基盤があるとされる。

この三要件により、法案における事業・業務の範囲が定められた。自民党の要望を受け入れて、範囲を大幅に拡張した形だ。子どもたちが通う稽古事、習字教室や将棋教室は、すべてこれに含まれるものと思われる。

これらの事業において、業務従事者による児童への性犯罪・性暴力を防止しなければならないのは当然だ。しかし、その防止義務を事業者に課すことには、明らかに無理がある。国民の相互監視の一形態といえるのではないか。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ndd097058ed36

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

『紙の爆弾』2024年 6月号

岸田訪米の能天気は害悪だ!アメリカが狙うアジアの一兆ドル海洋資源
次期戦闘機の第三国輸出解禁 日本を「兵器産業国家」にする公明・創価学会の“貢献”
【特集】隠蔽される「健康被害」

TSMCが熊本の水を殺す半導体工場のPFAS汚染
がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品によるこれだけの危険
小林製薬「紅麹問題」で少なくとも言えること
開業延期」ではなく「計画中止」を リニア新幹線「電磁波と白血病」
「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子 暴かれた“女帝”の虚像
裏金事件でも自民党で“岸田降ろし”が起きない理由
「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
一水会50年は、対米自立実現の橋頭堡である
事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
“制裁ありき”の駄文判決 岡口基一判事弾劾裁判「多数決で罷免」の異常
ジュリー前社長が手放さないジャニーズファンクラブ巨額の行方
失言バカ政治家の傾向と対策
改憲派2社以外も“軍拡肯定”2025年度中学教科書 防衛省の広報誌化
シリーズ 日本の冤罪50 北方事件

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北陸・能登の志賀原発が「玄関あけたらすぐ建屋」の理由 『珠洲原発・阻止への歩み』著者の北野進さんたちが闘い続ける志賀原発・廃炉への道 尾﨑美代子

◆原発推進派と反対派が共有する「ふるさとをどうするか」問題

先日取材した石川県珠洲市の元県議、元市議の北野進さんの著書『珠洲原発・阻止への歩み 選挙を闘いぬいて』を読み始めた。

取材中、北野さんは何度か「えっとあれは何だったかな」と書類を探そうとしていたが、私は時間がもったいないので「いいですよ、あとで本を読んで確認しますから」と言っていた。本には、住民運動と並行して、市長選、知事選、県議などの選挙を闘い続け、ついに原発建設を凍結に追い込んだ29年間の歴史がたっぷりと書かれていた。

北野進さんと著書『珠洲原発阻止へのあゆみ―選挙を闘いぬいて』(七つ森書館 2005年)

珠洲市は原発建設を凍結に追い込んだ2013年の翌年、市政60年をむかえ、記念事業として作成された「珠洲市勢要覧2004」の中の「珠洲市の歩み」には珠洲原発建設問題の記述は一切ないのだという。いくら敗北したとはいえ、それはないだろうよ、と考え、北野さんは闘いの歴史を、推進派の動きもなるべく忠実にして、この本を書かれたという。

北野さんのお話で感動したのは、原発建設を凍結に追い込んだのち、反対運動を闘った仲間らと「勝った!勝った!」と言わないようにしようと話し合ったということだ。

原発賛成あるいは推進してきた人たちにもいろんな思いがある。原発建設を心から望んで推進していたのは、それで稼げる一部の人たちだ。多くの人たちは年々過疎化が進む「おらがふるさと」をどうにかしたいとの思いから「原発ばなし」に乗っていった。

原発以外で過疎化を防ぐ手立てがあれば、そっちを必死で進めるだろう。川口勉監督のドキュメンタリー映画「彼らの原発」(2017年製作)で美浜町の方が最後につぶやいた、原発がだめというのなら「ほかのものをもってきてくれ」という言葉が忘れられないが、それと同じ。

これからは一緒に故郷を良くしていこうと手を組まなければならないからだ。北野さんはこう言った。

「当時推進派と反対派のわだかまりは、孫の代まで残るかと心配されてましたが、その後信じられないくらい早い段階でなくなっていきました。」

これには感動した。

珠洲原発の建設予定地だった地区。今年元日の能登半島大地震で地盤が北野さんが指差すあたりまで隆起した

◆「玄関あけたらすぐ建屋」の志賀原発を止める裁判に注目を!

あと、志賀原発建設までの闘いのお話も伺った。「珠洲原発は止めれたが志賀原発はなぜ建設されたの?」という人もいるが、志賀原発反対運動も非常に熾烈に闘われてきた。その結果、超危険な志賀原発ができた。

志賀原発の危険性は活断層などもあるが、志賀原発が、海→道路→志賀原発の玄関、そして「玄関あけたらすぐ建屋」の極狭物件になっていることも超危険ではないか。

イラストで説明すると、北陸電力はまずA、B地区の用地を買収しようとしたが、B地区の土地所有者の強い抵抗で買収出来なかった。そのため、予定地をA、C地区に変更したが、C地区の土地所有者の強い抵抗で買収出来なかった。そこで北陸電力は「狭くてもA地区に原発建ててやる」と「ゆっくり不動産」もビックリの極狭物件を建てた。

 
全国でも異例の県道のそばに建設された志賀原発。かつては1、2号機の姿を県道からしっかり確認することができた。今は防潮堤の上に頭を出すだけとなった(北野さんのブログより)https://blog.goo.ne.jp/11kitano22/e/621fdd4f882be0bc4367acb9ec3986de

「テロリストの皆さん、いらっしゃい」みたいな門構え。「志賀原発は県道からすぐ原発がみえるんです。テロ対策なんかできませんよね。そういうところは全国にないですよ」(北野さん)。

ふつうは「Cゲートから不審者侵入」「ピーピーピー」と屈強な警備員がさすまた持ってすっとんでくるが、その時すでにテロリストは建屋の玄関をタッチしましたけど……みたいな。確かに建設当時はテロ問題に喧しくなかったんだろうが。

そう、この志賀原発を廃炉への裁判、原告団長は北野さんだ! 裁判の行方に注目していこう!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

『季節』2024年春号 表紙は関西電力が珠洲原発の立地可能性調査を予定していた区域にある高屋漁港の状況。1月1日の地震後、2メートルほどの隆起を指し示す北野進さん

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌
『季節』2024年春号(NO NUKES voice 改題)

能登大震災と13年後の福島 地震列島に原発は不適切

《グラビア》能登半島地震・被災と原発(写真=北野 進

《報告》小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
 能登半島地震から学ぶべきこと

《報告》樋口英明(元福井地裁裁判長)
 地雷原の上で踊る日本

《報告》井戸謙一(弁護士・元裁判官)
 能登半島地震が原発問題に与えた衝撃

《報告》小木曽茂子(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト)
 珠洲・志賀の原発反対運動の足跡を辿る

《報告》山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
 「大地動乱」と原発の危険な関係

《講演》後藤秀典(ジャーナリスト)
 最高裁と原子力ムラの人脈癒着

《報告》山田 真(小児科医)
 国による健康調査を求めて

《報告》竹沢尚一郎(国立民族学博物館名誉教授)
 原発事故避難者の精神的苦痛の大きさ

《インタビュー》水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表
 命を守る方法は国任せにしない

《報告》大泉実成(作家)
 理不尽で残酷な東海村JCO臨界事故を語り継ぐ

《報告》後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
《検証》日本の原子力政策 何が間違っているのか《2》廃炉はどのような道を模索すべきか

《報告》森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
すべての被災者の人権と尊厳が守られますように

《報告》平宮康広(元技術者)
放射能汚染水の海洋投棄に反対する理由〈後編〉

《報告》漆原牧久(脱被ばく実現ネット ボランティア)
「愛も結婚も出産も、自分には縁のないもの」311子ども甲状腺がん裁判第八回口頭弁論期日報告

《報告》三上 治(「経産省前テントひろば」スタッフ)
本当に原発は大丈夫なのか

《報告》佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
日本轟沈!! 砂上の“老核”が液状化で沈むとき……

《報告》板坂 剛(作家/舞踊家)
松本人志はやっぱり宇宙人だったのか?

《報告》山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
山田悦子の語る世界〈23〉
甲山事件五〇年目を迎えるにあたり誰にでも起きうる予期せぬ災禍にどう立ち向かうか〈中〉

《報告》再稼働阻止全国ネットワーク
能登半島地震と日本の原発事故リスク 稼働中の原発は即時廃止を!
《老朽原発》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《規制委》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
《志賀原発》藤岡彰弘(志賀原発に反対する「命のネットワーク」)
《六ヶ所村》中道雅史(「原発なくそう!核燃いらない!あおもり金曜日行動」実行委員会代表)
《女川原発》舘脇章宏(みやぎ脱原発・風の会)
《東海第二》久保清隆(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
《地方自治》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟事務局長)

《反原発川柳》乱 鬼龍

龍一郎揮毫
私たちは唯一の脱原発雑誌『季節』を応援しています!

『紙の爆弾』最新記事がnoteで読める! アメリカが狙うアジアの1兆ドル海洋資源/TSMCが熊本の水を殺す 半導体工場がもたらすPFAS汚染

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。

記事単位での購入も可能になりましたが、『紙の爆弾』はあくまで紙がメインのメディアです。興味を持っていただけましたら、ぜひ書店でお手にとっていただければ幸いです。定価700円(税込)、年間定期購読7700円(1号お得)。

ここでは6月号の注目記事2本の一部を紹介します。

◆岸田訪米の能天気は害悪だ! アメリカが狙うアジアの1兆ドル海洋資源
 取材・文◎浜田和幸(国際政治経済学者、元参議院議員)

 
 

 岸田「忖度演説」をよそに米中駆け引きの新展開

4月に国賓待遇で訪米した岸田文雄首相は同11日、米議会上下両院合同会議において「未来に向けて~我々のグローバルパートナーシップ~」と題して演説を行ないました。この演説はロナルド・レーガン元大統領のスピーチライターからのアドバイスを基に、国際秩序維持への米国の貢献を讃えつつ、民主・共和両党の分断を助長しないように配慮したもの。

岸田首相は幼少期にニューヨークの公立小学校に通った当時の思い出に触れながら、日本と米国が「最も親しいトモダチとして、世界の未来を創造する責任を分担して果たしていきたい」と訴えました。これまでの米国の指導力を称賛し、引き続き米国が国際問題で中心的役割を果たすように呼び掛けたものです。

とはいえ、これでは岸田カラーが印象に残らないどころか、「アメリカ頼み」の感はぬぐえません。11月の大統領選挙を念頭に、米国内の分裂や分断にはあえて目を向けないようにし、日米両国がAI・量子・半導体・バイオテクノロジー・グリーンエネルギーなど次世代を切り開く最新技術の発展において協力する可能性に焦点を当てることに腐心しただけでした。

注視すべきは、こうした分野で米国は中国との連携にも関心を寄せているということです。

というのも、同じ頃に中国を訪問していたイエレン財務長官は「中国と米国で世界を2分すればいい」との大胆な提案を繰り広げていました。日本はあくまで「捨て駒」としか見なされてはいないのです。

バイデン大統領は岸田首相や「ボンボン」の愛称で知られるフィリピンのマルコス・ジュニア大統領をワシントンに招き、中国包囲網の形成に力を注ぐ姿勢を見せてはいました。とはいえ、アメリカの本音はあくまで自国の産業最優先。中国の脅威をことさらに煽ることで、米国製の武器を日本やフィリピンに大量に売りつけることにあることは疑いの余地がありません。

日本では関心を呼びませんでしたが、ワシントンでの日米比3カ国首脳会談の直前には、アメリカのレモンド商務長官一行がフィリピンの首都マニラを訪問し、同国周辺の海洋資源開発のためのファンドを立ち上げることを明らかにしています。

実は、フィリピン沖合の天然ガスや石油などの資源には、中国も日本も前々から大きな関心を寄せてきました。アメリカ政府はこうした資源を中国や日本の資金と技術で開発し、自国のエネルギー企業の利権に直結するように働きかけているのです。

しかし残念ながら、岸田首相にとっては、フィリピンの資源を巡るアメリカと中国の駆け引きは関心外の模様で、情報収集のアンテナが向けられていないことが歴然としました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nda41dedeaeff

◆TSMCが熊本の水を殺す 半導体工場がもたらすPFAS汚染 
 取材・文◎本誌編集部(【特集】隠蔽される「健康被害」より)

 
 

 なぜ半導体工場はアジアに集中するのか

コンピュータやスマートフォン、家電から車まで、多岐に渡る製品に必要な「産業のコメ」と呼ばれる半導体が、世界で深刻な供給不足に陥っているといわれてすでに久しい。

そうした状況下、「世界最大のファウンドリ(半導体委託製造メーカー)」であるTSMC(台湾積体電路製造)が熊本県菊陽町に進出し、第1工場が竣工。2月24日に開催された開所式には齋藤健経済産業大臣や蒲島郁夫熊本県知事(当時)らが出席した。隣接地には2027年の稼働開始を目指し、第2工場の建設も決定されている。

地元では新駅や高速鉄道建設も計画され、「食堂のパートの時給が3000円」「3000万円の庭付き一戸建てが6000万円に爆上がり」といった景気のいい報道が続き、「空前の半導体バブル」ともてはやされている。

ただし、冷静になって考えれば、いくつかの大きな疑問がわく。

まず、半導体製造が、それほど重要で雇用を生み出し、利益をもたらす産業であるなら、なぜ欧米ではなく中国・台湾・韓国、そして日本に集中するのか、ということだ。

国・地域別に見た場合、半導体の生産能力は、トップの台湾が21.6%、韓国が20.9%、日本が16.0%、中国が13.9%(IC Insights、19年)。実に72%をこれらアジアの国・地域が占めている。米国は12.8%でも、欧州は全体で5.8%にすぎない。欧州は1990年代、世界の半導体産業の44%を占めていたとされる。米国も同時期は37%だった。

半導体製造の主要地は、なぜアジアに移動したのか。その大きな原因が、半導体工場に勤務する労働者を襲った健康被害だといわれる。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n474afde43b23

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

『紙の爆弾』2024年 6月号

岸田訪米の能天気は害悪だ!アメリカが狙うアジアの一兆ドル海洋資源
次期戦闘機の第三国輸出解禁 日本を「兵器産業国家」にする公明・創価学会の“貢献”

【特集】隠蔽される「健康被害」
TSMCが熊本の水を殺す半導体工場のPFAS汚染
がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品によるこれだけの危険
小林製薬「紅麹問題」で少なくとも言えること
開業延期」ではなく「計画中止」を リニア新幹線「電磁波と白血病」

「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子 暴かれた“女帝”の虚像
裏金事件でも自民党で“岸田降ろし”が起きない理由
「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
一水会50年は、対米自立実現の橋頭堡である
事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
“制裁ありき”の駄文判決 岡口基一判事弾劾裁判「多数決で罷免」の異常
ジュリー前社長が手放さないジャニーズファンクラブ巨額の行方
失言バカ政治家の傾向と対策
改憲派2社以外も“軍拡肯定”2025年度中学教科書 防衛省の広報誌化
シリーズ 日本の冤罪50 北方事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D33BMRD4/

鹿砦社創業メンバーで唯一の生き残り前田和男さんが新刊『続 昭和 街場のはやり歌 ── 戦後日本の希みと躓きと祈りと災いと』を刊行! ご購読を! 松岡利康

前田和男さんは鹿砦社創業メンバーの一人、現在ただ一人生き残っている方です。当時、創業時の社長・天野洋一(故人)らと『マルクス主義軍事論』などを編纂し、最近では『続全共闘白書』を編纂したことで有名です。

昨年前田さんは、『昭和 街場のはやり歌 ── 戦後日本の希みと躓きと祈りと災いと』を刊行、好評を博しました。このたび、その続編が刊行され届きました。

詳しい内容は省きますが、書店で手に取って、どうぞご購読お願いいたします! または、私への手紙(下記)の末尾に記された前田さんの事務所に直接ご注文ください。

鹿砦社 代表
松岡利康

前田和男『続昭和街場のはやり歌 ── 戦後日本の希(のぞ)みと躓(つまず)きと祈りと災いと』彩流社刊 A5判 240ページ 定価2420円〔税込み〕
前田和男さん(2019年、鹿砦社創業50年インタビューの時のもの)
本に挟まれた前田さんから松岡への手紙 ※書籍のご注文は、〒102-0072 東京都千代田区飯田橋4-10-1 セントラルプラザ507 同文社気付 Tel.03-5228-2140
朝日新聞2023年11月4日付け朝刊読書欄

『紙の爆弾』2024年6月号に寄せて 『紙の爆弾』編集長 中川志大

4月11日に米国議会上下両院合同会議で「日本は控えめな同盟国から、強くコミットした同盟国へと自らを変革してきた」「日本はすでに、米国と肩を組んで共に立ち上がっている。米国は独りではない。日本は米国と共にある」などと演説した岸田文雄首相。米国の“覇権”に非西側陣営はもちろん米国内からも疑問が呈されるなか、それでも日本は支えるから、心配せずにそのまま邁進してほしい、という“心中宣言”です。

であれば、日本のメディアが繰り返し報道した「十数回のスタンディングオベーション」はどういう意味だったのか。とくに、イスラエルと同国を支援する米国政府に対する抗議の声は全米で高まり、政府や企業が時に弾圧と呼べる手段でそれを抑圧しています。議場にいた議員たちも、米国が永遠に“唯一超大国”ではいられず、そのことが自らの首を締めつつあることを認識しているはず……そう考えると背筋に冷たいものが走りますが、岸田首相やその取り巻きは議場の反応に大満足したようでした。

しかし、そもそも議場はどういう状態だったのか。そして、岸田首相の演説原稿はどのように作られたのか。日本のメディアが報じなかった実際のところを、今月号で元外務大臣政務官の浜田和幸氏が明かしています。

同時に指摘するのが、米国が日本を踏み台にして狙うアジアの利権です。詳細は記事をお読みいただければと思いますが、少なくとも米国にとって日本は「肩を組んで共に立ち上がる」存在ではないようです。

今月号では、大谷翔平通訳・水原一平事件の背景にみられる国際的なカジノ・ネットワークやヒューマン・トラフィック(人身取引)ネットワークについて指摘。WHO(世界保健機関)やコロナワクチン(mRNAワクチン)に象徴される「医療」、日本も参入する「兵器」も含めて、それら国際ネットワークの“市場規模”の大きさに驚愕するところです。そして現状を凝視すると、むしろ政界や官公庁は、その下にかしずく存在に見えてきます。

特集では、半導体製造の必需品として工場からの漏洩の可能性が指摘されるPFAS、身の回りの電子機器から発生する電磁波、食物・作物の遺伝子組み換えなどによる「健康被害」を考えました。またコロナワクチンの危険性が周知されつつあるなかで起きた「紅麹」問題にも、独自の視点で解説を試みました。それらはいずれも、人命を利権化する行為といえます。「利権」であって「経済」ではない点も、強調したいと思います。また事態は日本国内にとどまるものでもありません。

4月号で自民党裏金事件における「検察捜査の穴」を指摘した郷原信郎弁護士が、上脇博之・神戸学院大学教授とともに、丸川珠代参議院議員と清和政策研究会代表で会計責任者の松本淳一郎氏を政治資金規正法違反等で3月28日に東京地検に告発。同法の問題点を知る郷原弁護士だけに、その後の展開が注目されるところです。

一方、裏金事件で政権と自民党の支持率が低下しても、議員は逃れ、その間にも自創強力で第三国への戦闘機輸出、重要経済安保情報保護活用法(前号参照)、日本版DBS、改正NTT法など、日本の国としてのかたちを変えるいくつもの法やルールの成立・改悪が進んでいます。それぞれ問題を把握するとともに、その裏にある仕組みにも迫らなければなりません。

ほか、もの言う裁判官・岡口基一判事を「罷免」とした弾劾裁判の内実をはじめ、小池百合子東京都知事の“虚像”、ジャニーズ巨額収益の行方など、5月号も多様なテーマに斬り込んでいます。全国書店で発売中です。ぜひご一読をお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

『紙の爆弾』2024年 6月号

岸田訪米の能天気は害悪だ!アメリカが狙うアジアの一兆ドル海洋資源
次期戦闘機の第三国輸出解禁 日本を「兵器産業国家」にする公明・創価学会の“貢献”

【特集】隠蔽される「健康被害」
TSMCが熊本の水を殺す半導体工場のPFAS汚染
がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品によるこれだけの危険
小林製薬「紅麹問題」で少なくとも言えること
「開業延期」ではなく「計画中止」を リニア新幹線「電磁波と白血病」

「議員も記者も排除」で答弁拒否率76% 小池百合子 暴かれた“女帝”の虚像
裏金事件でも自民党で“岸田降ろし”が起きない理由
「大阪カジノIR」の真のリスク 水原一平事件の語られざる本質
一水会50年は、対米自立実現の橋頭堡である
事業者に従業員を監視・排除させる日本版DBS法案の違憲性
“制裁ありき”の駄文判決 岡口基一判事弾劾裁判「多数決で罷免」の異常
ジュリー前社長が手放さないジャニーズファンクラブ巨額の行方
失言バカ政治家の傾向と対策
改憲派2社以外も“軍拡肯定”2025年度中学教科書 防衛省の広報誌化
シリーズ 日本の冤罪50 北方事件

連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
SDGsという宗教:西本頑司
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D33BMRD4/

楾大樹著『茶番選挙 仁義なき候補者選考』は、2021年参院選・広島再選挙の舞台裏をすっぱ抜いた問題作! さとうしゅういち

筆者も候補者として当事者になった 参院選広島再選挙2021​(2021年4月8日告示、25日執行)の告示から2024年4月で3年が経ちました。あの選挙は、大買収事件で有罪が確定した河井案里さんの当選無効に伴い行われました。結果としては、野党第一党の立憲民主党の候補が当選し、「野党共闘の勝利」とされました。しかし、あれから3年、日本の政治、広島の政治は良くなったのでしょうか?むしろあの時より悪化しているのではないでしょうか?

裏金問題に象徴される与党の腐敗は相変わらず。さりとて野党も敵失を活かせぬ状況が続いています。政治に庶民ほどおきざりにされている状況が続いています。

こうした状況から、「あなたの手に政治を取り戻し広島とあなたを守るヒロシマ庶民革命」を広島瀬戸内新聞と筆者は呼びかけ続けている次第です。

 
楾大樹(はんどう たいき)『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)1320円(1200円+税)

この参院選広島再選挙2021については、実は、事前に立憲民主党から声がかかっていたにも関わらず、いわば、立憲民主党にはしごを外された方がおられます。

筆者の地元でもある広島市安佐南区在住の弁護士・楾大樹(はんどう たいき)先生です。その楾先生が、参院選広島再選挙2021の舞台裏をすっぱ抜いた「問題作」がこのほど出版されました。

『茶番選挙 仁義なき候補者選考』(あけび書房)です。

はしがき
1 私の来た道~弁護士から社会活動家へ
2 初めての立候補打診
3 2回目の立候補打診
4 2022年参院選
5 だまっとれん
6 候補者選考のあり方
あとがき

楾先生はわたしと同じ1975年広島県生まれ。中央大学法学部法律学科ご卒業後、2004年広島弁護士会登録。著書に『檻の中のライオン 憲法がわかる46のおはなし』『けんぽう絵本 おりとライオン』『憲法紙芝居 檻の中のライオン』『檻を壊すライオン 時事問題で学ぶ憲法』(いずれも、かもがわ出版)があります。

本書でも紹介されている通り、2016年以降、『檻の中のライオン』憲法講演活動を全都道府県で展開中です。広島瀬戸内新聞でも2023年に二度、楾先生の講演会を開催しております。

楾先生は2013年に96条改憲を目指す安倍政権の暴走を目の当たりにして危機感を抱くようになります。そして、為政者をライオンに、憲法を為政者が好き勝手しないように規制する檻に喩えた、『檻の中のライオン』という本に思いをまとめ、全国で講演されています。

 
『檻の中のライオン』憲法講演活動(広島瀬戸内新聞2023年10月号より)

◆声をかけてきたのは立憲民主党だったのに

そうした楾先生に立憲民主党が目を付けたのはあの河井事件が起きた2019年の参院選を控えた時期でした。この参院選2019の広島県選挙区では国民民主党所属の無所属現職で、立憲民主党推薦の森本しんじさん、そして、自民党新人の河井案里さんが、自民党現職の溝手顕正さんらを破って当選したのです。

国民民主党所属の森本さんでは自民党に2議席独占を許しかねない、と考えた旧立憲民主党が楾先生に立候補を打診したのです。しかし、その話は楾先生がご自身の講演活動を優先し、断られて立ち消えになりました。

その後、案里さんが逮捕され、再選挙が想定されるようになってから再び旧立憲民主党サイドから楾先生に声がかかったのです。

◆はしごを外された楾先生

だが、2020年秋に立憲民主党が国民民主党と合流。その後、楾先生に全く連絡がない状態が続いたのです。仕事をなるべく入れないようにしてきた楾先生。案里さんが2021年2月に当選無効になってからもなかなか連絡はなかったのです。

ようやく、再選挙の告示も近い時期に面接が行われた。しかし、雰囲気は良いものではなく、その後3月中旬になって突如、宮口治子さんという、失礼ながら当時の広島県内では「誰?」という方が候補者になられたのです。そして、その宮口さんが実は候補者選考を主導した森本しんじ参院議員の秘書の配偶者でいらっしゃったのです。

森本議員と、再選挙で選ばれた議員は、2025年の参院選でバッティングします。従って、コントロールが効かない人が候補になっては困るという動機が森本議員には存在します。利害関係者が、候補者選考を主導する。

「政党による国会議員の候補者選考自体が茶番」であればデモクラシーなど存在しないも同然ではないでしょうか?そのことを鋭く問題提起していると感じました。
そして、2022年の参院選を前に、楾先生は候補者の公募に応募しますが、もちろん、不合格となります。

◆密室ではない候補者選考のあり方を

一部の現職議員が密室で決めるのでは、結局、マトリョ-シカのように、自分の地位を脅かさない小粒な議員ばかりを選ぶようになっていく。予備選挙をやって白黒つける。人を大切にする。そして、誰が議員にふさわしいか、選ぶ持つ目を持てるような「主権者教育」をきちんとやる。こうしたことを、楾先生は最後に提起されています。

◆野党も庶民革命で「政治を県民によって取りもどされる対象」だ!

筆者自身もこの選挙に立候補するに際して、とある野党第一党党員から「選挙に出るなら縁を切る。俺の地域に二度と出入りするな!!」などとまるで戦国大名か何かのような罵詈雑言のお電話をいただきました。しかし、その方のご自宅がある地区が選挙後に大洪水になった際、わたしはボランティアに伺いました。その方はバツの悪そうな顔をしておられました。

また、野党第一党候補の方に対してわたしは、ギリギリまで1本化を模索はしていました。その条件として「伊方原発即時廃炉」含む「即時原発ゼロ」を同候補側に提示。しかし、同候補陣営幹部の野党第一党地方議員は「候補者は具体的な政策がわかる人じゃないから」との返答。自分たちでバカにしている人を候補に担ぐ。これこそ、女性蔑視も良いところです。

それはともかく、自公の国政与党だけでなく、野党第一党である立憲民主党さんも「県民の手に政治を取り戻す」庶民革命において、「県民により政治を取り戻される」対象物であるということだと思います。

民主的な候補者選び、予備選なり候補者同士の公開討論会など、オープンな選挙にしていかないと、政治は一部の「えらい人」のもののままです。

もう一つ疑問は日本最古の左派野党=日本共産党さんも簡単に野党第一党候補に乗ってしまったことです。結局、同党も庶民の味方と言いながら実際には一部幹部の意向で政党本来の政策とかけ離れた人を推したのではないか?無理が通れば道理が引っ込む。こうした無理が同党内部での矛盾の増大、また、それを押さえつけようとする田村智子委員長による党所属県議らへのパワハラ問題にもつながっているのではないでしょうか? 4月7日執行の福山市議選で共産党は惨敗(議席数3→2、得票数10828→7476)しましたが、不思議な結果ではありません。

もちろん、従前どおり、広島瀬戸内新聞とさとうしゅういちは、県民を無視し、新自由主義路線を暴走する広島県知事・湯崎英彦さんを打倒するとともに、湯崎英彦知事から広島を県民の手に取りもどす「ヒロシマ庶民革命」を呼びかけて参ります。

与野党の支持者の方も当然、一県民、一個人として「広島を県民の手に取りもどす」という庶民革命の趣旨にご賛同いただける方とはご一緒させていただく方針に揺るぎはありません。筆者は、上記の方向性を共有する方であれば、政党支持なしの方はもちろん、れいわ、立憲、共産、社民と言った野党の支持者の皆様、そして、自民や維新系でも湯崎英彦知事に批判的、あるいは是々非々の皆様とも懇意にさせていただいています。

しかし、それはそれとして、特に現行選挙制度では事実上100%政党選挙である国政選挙の政党の候補者選考過程にも厳しくチェックをしていく目を持っていただきたいと、県民の皆様に呼びかけるものです。

◇     ◇     ◇      ◇     ◇

広島瀬戸内新聞とさとうしゅういちは「あなたの手に広島を取り戻し広島とあなたを守るヒロシマ庶民革命」を呼び掛けています。 「我こそは庶民派の政治家に!」(首長、地方議員、国会議員)、また庶民派の政治家とともに広島を取り戻したいというあなたからのご連絡や記事のご投稿をお待ちしております。

電話番号: 090-3171-4437メール hiroseto2004@yahoo.co.jp

また、さとうしゅういちの政治活動としてのヒロシマ庶民革命に対するご寄付もお待ちしております(政治資金規正法の規定により日本国籍の方に限る)。

・郵便振替口座 01330-0-49219 さとうしゅういちネット・広島銀行 本店営業部 普通 3783741 さとうしゅういちネット

★オンラインおしゃべり会さとうしゅういちと広島の政治にガツンと物申す へのご参加をお待ちしております。
毎週金曜 21時15分~zoom meeting IDとパスコードは以下です。 ガツンとご意見をお待ちしております。
ミーティングID: 411 718 3285 パスコード: 5N6b38

★広島瀬戸内新聞公式YouTubeへのご登録もお待ちしております。
https://www.youtube.com/channel/UCwkLToPkTsReyTZC4-ZZCDw

◇     ◇     ◇      ◇     ◇

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年5月号

伝説の書 竹中労『タレント帝国 芸能プロの内幕』復刻出版について 鹿砦社代表 松岡利康

竹中労の『タレント帝国』(1968年)は、わが国芸能界の暗部を抉ったとして伝説の書です。

しかし、長らく絶版状態でした。昨年ジャニーズ問題が起きたことで、臭覚の強い編集者が関心を持ち、このたび復刻出版を行いました。私がやりたかったぐらいです。うっかりしてました。

これを見ると、初代ジャニーズが渡辺プロに所属していたことが記載され(知らなかったです。以前に読んだ際に読み飛ばし記憶していませんでした)、本書旧版が出された頃にすでに未成年性虐待問題が起きています。

竹中労の著書としては『芸能人別帳』『ルポライター事始』(竹中労の著書は現在、ほとんど入手困難ですが、これら2書はなんとか入手できます)などと共に必読の書です。

故・竹中さんの著作権を引き継いでいらっしゃる夢幻工房の会が本書に寄せた解題を転載いたします。(松岡利康)

◇     ◇     ◇      ◇     ◇     ◇      ◇

50年以上の年月を経ても変わらない「芸能の論理」から現代を考える

 
竹中 労(たけなか ろう)1930年生まれ。91年死去。フリーのルポライターとして活躍。政治から芸能まで広い分野をテーマに、権威とは無縁な時代の心性を掘り起こす文章は、竹中節として多くの読者を魅了した。父親は画家の竹中英太郎。主な著書に『黒旗水滸伝』『山谷・都市反乱の原点』『琉球共和国』『世界赤軍』『ビートルズ・レポート』『にっぽん情哥行』等多数(写真は紙の爆弾2019年11月号増刊『一九六九年 混沌と狂騒の時代』より)

本書は1968年(昭和43年)に刊行され、復刻の要望も多かったものの、なかなか実現しませんでした。

その原因として、具体的な芸能プロの内幕やタレントのギャラについて、こと細かに書かれている点があります。

それについて、実に下世話な内容だと思う方もいるかも知れません。

ただ当時は、皆がこうした芸能プロの仕組みを知らず、ここまでデータを明らかにしなくては、当時の渡辺プロダクションおよびその関連企業の実情を理解しにくいと考えたことがあるのではと思われます。「今回の復刻にあたりましては、刊行時から相当時間が経過していることもあり、あくまで当時のデータとして、当時のことを知っている方は懐かしく、知らない方は当時の状況に思いを馳せながら読み進めていただければと思っております。

そんな中、2023年になってイギリスBBCのドキュメンタリー放送をきっかけとして、ジャニー喜多川氏の所属タレントに対しての行動が問題視され、思わぬところから当時の「ジャニーズ」に対する彼の行為を記録したこの本が注目されることになりました。

その内容は当時の記録として貴重ですが、本来この本で著者が訴えたかったことは「芸能における搾取の実態」と「スターという虚像の本質」が何であるか? ということにあることも、忘れないでいただきたいと思います。

この本が世に出てから55年という歳月が経過しているわけですが、今でも個人タレントの力が弱いという現状はそのままです。さらには、大手所属のタレントが不祥事を起こしてもマスコミは一切報じないとか、大手事務所がテレビ局に自前のタレントをねじ込み、他社所属タレントのキャスティングに文句を付け、それに反発すると、反発した人や対抗するタレント自体にも圧力をかけるような事例は、今でもあまり変わっていません。

本来、タレントとは才能ある人のことであり、そうした才能を持つ人が脚光を浴びるようになることがショービジネスの世界で当たり前でなくては、見る側も最高のエンターテイメントを楽しむことができなくなります。

イギリスでは有名なオーディション番組において、ポール・ポッツ氏やスーザン・ボイル氏が世界的な話題となりましたが、日本では同じフォーマットを使っても彼らのような才能を世に送り出すことは難しいのではないでしょうか。

明らかに才能を持っていてもそんな人を世に埋もれさせてしまうことなく、きちんと世の中に出してあげるためにはどうすればいいのか。イギリスと日本との「差」はどこにあるのか、本書を読んだ方ならきっと十分に理解していただけるのではないでしょうか。

また、本書の内容は、芸能の世界だけにとどまるものではありません。芸能人も私たちも同じように働き、賃金を得ているわけですが、それが中抜きされたり、きちんと払われなかったりした場合は同じように異議申し立てをする権利があります。それは一般の社会と変わることはありません。

さらに言うと、昔も今も政治家の力を利用して各方面に圧力を掛けてくるのは芸能プロだけではありません。当時の芸能マスコミを含め、関わった人たちが未だ口をつぐんでいる現状について、今も竹中労さんの問いかけが続いているからこそ、当時と同じような理不尽なことがあちこちで起こり続けているのではないでしょうか。
目の前の不正にどう対処するか、一人ひとりの考えが問われているのが今の時代ではないかと思うのです。

著者の竹中労さんはアナキストと称し、左翼として発言してきました。

今ではこうした「左」という言葉自体に反発を覚える方もいるかも知れませんが、才能のある人を世に出したり、労働者が法に則った賃金を要求することは思想とは関係なく、至極まっとうな話であることに異論を挟む余地はないはずです。

本書には言葉遣いなど、現代の判断において時代的に合わない部分もあるかと思いますが、著者がこの本で何を言いたかったのかを考えながら読んでいただければ幸いです。

夢幻工房の会

竹中労『復刻版 タレント帝国 芸能プロの内幕』(あけび書房)

復刻版 タレント帝国 芸能プロの内幕
著者・編者:竹中労

ジャニーズ性加害事件をいち早く告発した幻の作品。
政界とメディアと癒着した「芸能における搾取の実態」と
「スターという虚像の本質」へ迫る筆致は今もなお色あせない筆致で、56年ぶりに復刊。

発売日 2024年4月3日 四六判 248ページ
定価1980円(税込み) 版元 あけび書房

目次
芸能プロとは何か
ナベ・プロの戦後史
芸能界の「聖域」
繁栄の裏側
虚像を斬る
〈解題〉50年以上の年月を経ても変わらない「芸能の論理」から現代を考える

あけび書房 https://akebishobo.com/products/talent
amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4871542629

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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年5月号

『北方文学』に息づく純文学の神髄 ── 板坂剛の小説『偏帰行』に注目

全国の同人誌の中でもハイレベルな雑誌として有名な文学雑誌『北方文学』。編集発行元は新潟県柏崎市の玄文社だ。

『アントニオ猪木・最後の真実』(1985年)、『三島由紀夫と全共闘の時代』(2013年)など鹿砦社から多数の書籍を上梓している板坂剛さんは、平成初頭から20本を超える小説作品を同誌に寄稿している。そこには商業誌に背を向けて純文学に専念する姿勢が表れている。

今回の作品『偏帰行』は、70年代の新左翼の内ゲバを文学の世界で表現したことで、注目を集めている。

鹿砦社の松岡代表も絶賛する内容で、今後も各界に波紋を呼びそうだ。

(編集部)

『北方文学』第88号(2023年12月)編集:北方文学編集委員会 発行:玄文社 A5判 235ページ 価格 1,364円+税