さいたま市北区の盆栽町(大宮盆栽村)に行った。ここは日本が世界に誇る「BONSAI」文化の町で、町を歩けば盆菜園に当たる、といった風情である。来年の4月にはさいたま市で「第8回世界盆栽大会」が開かれるということで、「盆栽町」は盛り上がっている。

『町を歩けば盆栽園に当たる』といわれる盆栽町だが、実はその淵源は「町おこし」的なものだった。もともと盆栽が発展していたのは江戸の駒込であり、古くから将軍様のためにあつらえる植木職人が「団子坂」あたりに密集していた。

 

ところが関東大震災が勃発。被災した盆栽業者たちが盆栽に適した地を求めてさいたま市北区に移り住んだことがはじまりとされる。その後、盆栽とともに同好者たちが村へ移住し、町は活気に満ちてくる。

しかし、第二次世界大戦が激化していくにつれて、盆栽は贅沢品となり軍から圧力がかかるように。それでもやがて戦争が終わると、アメリカの調査団が村を訪れた際、盆栽の美しさを認め、海外からも注目されるようになったいきさつがある。

そして盆栽を世界に広めたのは、なんといっても1889年のパリ万国博覧会にて盆栽が紹介されたことが大きい。

この万博にて、セーヌ川を挟んで対岸にエッフェル塔が建造されたトロカデロ庭園では、日本の「園芸展示場」が作られ、各国から訪れた観光客がその美しさに度肝をぬかれた。

 

盆栽町にはいまも有名な盆栽園がいくつもあるが、海外から「盆栽園で働きたい」という若者が殺到しているという。

今回、訪れた「大宮市盆栽美術館」には、貴重な盆栽がたくさん展示されており、過ぎる時間を感じさせない。

興味があるむきは、一度出かけてみてはいかがだろうか。秋の紅葉と盆栽。最高の一日はすぐそこにある。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして中道主義者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

7日発売!『紙の爆弾』2017年1月号

北海道の「苫小牧市科学センター」にある「ミール展示館」にでかけてみた。
東京にいるなら、8月、9月の猛暑でダウンしそうだが、苫小牧市は、昼間は24度くらいで夜は寒くて眠れないくらいだ。

さて、ミールは、筒状の長期滞在型ドッキングベイで、実はここに展示してあるのは「予備機」だ。

感想としては、「こんな薄い装甲で大丈夫なのか」ということと、「おいおい、こんなに狭いのか」という点を強調しておきたい。

基幹となるコアモジュールと、天体観測を行っていたというクバント(天体物理観測モジュール)の中に入ると、所狭しとボタンが並び、まさに計算機、とりわけスーパーコンピュータの中に入ったという気がする。

この狭さの中で、地球という故郷を思いつつ、天体観測や天体の研究データを集めるという貴重な実験をやってのけるロシア(旧ソビエト連邦)には、まったく頭が下がる。

「ミールには〝平和〟という意味があります」と展示館のスタッフが教えてくれる。

「北海道では、そこかしこにロシアとの友好を感じる場所があるが、はっきりいってここもそのひとつ。ミールについては、子供のころに何度も行ってけれど、夢があって大人になってからきてもいいですね」と地元の住民は言う。

はっきりいって、宇宙旅行は夢のまた夢だと思われていたが、NASAが「第2の地球」を発見するために観測機を飛ばす計画もあがっている(http://tocana.jp/2016/05/post_9695_entry.html)。

日本にいるとつい「本は電子書籍がいいか、紙か」など実に視野が狭いことを考えてしまう。だが、ときとして宇宙規模でものを考えてみるのもいいかもしれない。北海道には、まだまだ楽しいものがたくさんあった。機会があれば、また紹介しよう。

苫小牧市科学センター「ミール展示館」HP

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

7日発売!『紙の爆弾』2017年1月号

 

10月22日、土曜日。午後2時から行われた出口治明氏(ライフネット生命株式会社代表取締役会長)の講演が東京都立中央図書館にて開催された。知る人ぞ知る知識人である出口氏は、読書家であり、知識人だ。歴史から経済から歴史からその造詣は深く、あまたの著作もある。その出口氏はネットのみで申し込める保険会社を立ち上げたのも見事であるが、これからの日本を憂いて嘆き節になっている点には共感した。

出口氏は「2030年には、労働人口が800万人も減り、あと50年で65才以上が4割を超える」として、人口が増える社会を望んでいる。また、「ドイツ人は年間1500時間の労働でGDPの成長率が昨年1.45%あるが、日本では2000時間も年間働いているのに成長率は0.5%しかない」と指摘した。その上で「働きかたが変わってくる」と指摘している。もう9時にタイムカードを押してひたすらに残業する時代ではない。効率が求められるし、「残業」は罪ですらある。

また出口氏は、成長する要素として、①人から学ぶ、②本から学ぶ、③旅から学ぶことが重要だと指摘した。①は、とにかく誘われたら、人に会うことが大切で、交流会や勉強会には積極的に参加せよと。②は、とにかく古典を読むことが大切で、たとえばアダム・スミスの本は何度も書き直しているから古典として読みやすいと。そして③は、旅とは旅行ということのみではなく、知らない街を歩いたり、博物館に出向いたり、「知識を広げる」ことが大切なのだと説く。

 

観点がとても参考になったのは、日本人が英語が得意になるのには経団連の会長が「TOEFLの点数がない者は企業で面接しない、と言い切ればいい」という論理だ。これには、目から鱗が落ちる思いだった。まあ、講義の中身はチャンスがあればここで小出しにして紹介するが、とりもなおさず教養人の「頭脳」に触れることは重要だ。

「古典を読んで分からなければ、自分がアホだと思いなさい。新著を読んで分からなければ、著者をアホだと思いなさい」という言葉が印象に残った。古典はかくもわかりやすく書かれている。出口氏は古典として「東方見聞録 マルコポーロの旅」やアリストテレスの「ニコマコス倫理学」などもあげられている。ぜひ読んでみたい本だし、また出口氏の講演は聞いてみたい。ただし抽選で当たるのがたいへんなほど盛況だが。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』

重版出来!『ヘイトと暴力の連鎖』!

 

商業出版の限界を超えた問題作!

東京ビックサイトにて9月23日から25日にかけて行われた「第23回東京国際ブックフェア」に行ってきた。

これは、出版社たちが力を入れている本や、印刷技術の最先端を展示するフェアであり、年々、参加する出版社が減っているで今年はどんなものだろうと気になっていたものだ。

◆ 講談社の猫本に見る「一点突破主義」

気になったのは、まずあの天下の講談社が、小説からノンフィクションまであらゆるジャンルの本を出しているのに、「猫関連本」にしぼって、猫本ばかりを展示して勝負してきたことだ。もはやこうした「一点突破主義」でないと出版社は生き残れない。その証拠に、趣味本から旅行本までカバーしている枻出版が横で展開していてそれなりに客を集めていたが、猫本ほどは売れていなかった。

◆「自由価格競争」時代に入った雑誌・書籍

つぎに、特筆すべきは、もはや雑誌や書籍の価格が「自由競争」の時代に入ったのではないか、という点だ。第二出版販売と八木書店が「自由価格本」のコーナーを作っていたが、2、3割安い本が飛ぶように熟れていた。

もはや八木書店が展開しているような自由価格競争は地方のスーパーなどでは常識で「本や雑誌は固定価格」の時代は過ぎようとしている。一部では「時限販売」などと呼ばれているが、たとえば、取り次ぎの日本出版販売は、この夏、「時限販売」と称して、一部の雑誌をテスト的に値引き販売したが、好結果に終わっており、この先も期待できる商売のやりかただ。

このフェアで配布された資料によると、もはや書籍を電子販売している出版社は4割を超えたようだ。
そのわりに「電子書籍は紙の書籍の売上げを埋めない」とする出版関係者が多い。

だが希望はある。過日、山口組弘道会系のヤクザと飲んでいたが、「最近の若いやつが本を読み始めた。やはり極道とてバカじゃあいけない」と話をしていた。

ヤクザこそ、法律に精通し、なんとかして暴力団排除の情勢の中を生きなくては、ならない。

◆出版の世界は「まだまだ喰えるのではないか」と錯覚すらしてしまうフェア

またこの日は、「告白」でデビュー、もはや「イヤミスの女王」となった湊かなえさんが講演、ふだんから世話になっている出版社の担当編集、取り次ぎ担当者、そして営業担当者を呼んで「本ができるまでのプロセス」を参加者にわかりやすく展開していた。

なんと双葉社は、「告白」の映画が決定してきたときに、文庫本が80万冊売れたという前提で膨大な予算の宣伝費をつぎこんでいた。もちろん文庫本は210万部を超える大ヒットとなり、映画も大当たりで38億円を稼ぎ、日本アカデミー賞でも4冠を達成、2010年の興業収入で7位となった。

かくして、出版の世界では「まだまだ喰えるのではないか」と錯覚すらしてしまうフェアだったが「本自体は昨年より売れていない」(参加した版元関係者)という声もある。

世知辛い出版不景気が続くが、やはり200万部突破するようなヒット作を生むべく努力したいものである。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

待望の著が出た。仲がいい古巣の編集者がかかわっているので紹介する。「Mr.都市伝説・関暁夫の都市伝説6」(竹書房)は、AI知能が暴走したら、いったいどうなるかをつぶさに教えてくれる。

この著は、というか都市伝説はじつは会話のネタに詰まったときによく使える。 僕自身は、「怖い噂」というミリオン出版の季刊雑誌でさんざんぱら書かせていただいた。 なので、この手の原稿はネタが豊富だから、ぜひ版元のみなさん、発注してください(と宣伝)。

いちばん最近、耳にする都市伝説は、「自民党系代議士が反原発ライターの住所や電話番号を集めている」というものだ。なんのために? といえば、「テレビやラジオなどのメディアに出さないでおくために」だという。

すでに、反原発のジャーナリストや記者は、確かにテレビの舞台から下ろされつつある。心ある名前のあるライターは言う。「だから反原発の原稿を書くときは匿名にしたほうがいい」と。そして実名に書くとする。すると徐々に干されるというわけだ。

実際、小泉純一郎は反原発を言い始めてからメディアに黙殺された。反原発がライフワークとなった感のある元首相、菅直人はテレビの討論番組ではまっさきに 「外される」リストにあるという。さらに青木理氏も「広告代理店サイドでは、報道番組だとしても難色を示している」とも言われている。いったい、これらの「情報操作」ならびに「権力操作」をしているのは誰か、というのが疑問だ。僕の中でこの答えはとっくに出ている。ここではあえて書かないでおこう。

話をもとに戻せば、この「Mr.都市伝説・関暁夫の都市伝説」が企画として立ち上がったときに、竹書房に僕はいて、最初のプレゼンを編集者が行っている場面を見た。

このとき、数千部が刷られたと思うが、後に何十万部も売る大ヒット作となる。しかししょせん、初刷りは数千部だ。 今度、アマゾンがキンドルを使って書籍、コミック、雑誌を含む和書12万冊、洋書120万冊以上が月980円で読み放題のサービスを始めるという。

こうした「システム」に、ヒット作が埋もれるかと思うと心配だ。 今後、電子書籍がマーケットをリードする時代に入ると、このようなオバケコンテンツは埋もれていくだろう。

無人の車がAIで走行している実験を繰り返している。実際、雪道などでの無人タクシーは便利だろう。だが、無人車が暴走したらどうするのか。もちろん シャブ中かもしれないドライバーがわんさかといる日本で横断歩道を渡るのもごめんだが、いったいぜんたい、AIの運転を信じていいのか。その答え を関氏が明かす。うむ。

さて、私自身の都市伝説のネタは、東南アジアにおけるヤクザのしのぎで、「売れないAV女優が整形して稼いでいる」というものや「裏輸入ルート、金正恩 専用のカンボジア大麻」などが取材してある。くれぐれもオファーを待つ。だがその前に、「実話雑誌」という文化がもうなくなりそうで悲しいが。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

「クライマーズ・ハイ」などで知られる横山秀夫の原作は、「正義と悪」が必ずしも軸にはならない。立場により「悪が正」となり、また逆もしかり。 ヒットした横山氏の原作を基に、『感染列島』などの瀬々敬久監督と『ザ・マジックアワー』などの佐藤浩市主演で映画化した犯罪ドラマが作られた。

前半と後半で2連作となっているのだが、新聞記者が警察の広報官とことごとく対立する。その内容は、『被疑者を匿名』としたり「誘拐犯人を匿名」としたりする警察側と記者クラブとの攻防を縦軸として、昭和時代の最後の1週間にあたる昭和64年に起きた未解決誘拐事件をオーバーラップさせていく。新たに発生した類似の事件の謎に迫る。県警の広報官を演じる佐藤のほか、綾野剛、榮倉奈々、永瀬正敏、三浦友和ら豪華キャストが集結。

僕は、「記者クラブ」というものが不思議でならない。警察に事件について問うと禅問答のようなやりとりになる。

警察 「あなたは加盟社の記者ですか」
筆者 「いえ、ちがいます。所属はエスエル出版会といいます」
警察 「原則として電話では教えていません」
筆者 「電話では教えないということは、FAXでは事件の概要を教えているということですか」
警察 「いいえ、そうは言い切れません。一般のかたに公開できない情報もあるからです。あなたがどの社に所属しているか、身分を特定しないとわけがわかりませんし」
筆者 「それでは、名刺や書いた記事など一式と社長に身分保障を書いてもらって郵送すれば事件の概要について教えていただけるということでしょうか」
警察 「いいえ、そうとは言っていません。こちらであなたの身分を特定して、公益性があると判断すれば教えるケースがあります。ただし、その結果を 担保しません。われわれとしては」
筆者 「何を言っているかよくわかりません、それでは書類を一式、FAXしますが、ご検討いただきたい」
警察 「送っていただくのはかまいませんが、それで教えるケースが生まれると保証できかねます」

いったい、何を渋っているのだろうか。ここで僕は取材依頼書と名刺、住民票までも送る。そして警察の広報に連絡を入れる。

筆者 「FAXは届きましたか」
警察 「届きましたが、検討はまだしておりません」
筆者 「どういうことでしょうか? FAXを送らせておいて検討しないというというのは、どうすれば教えていただけるのですか」
警察 「ですから、こちらに来ていただいて、事情を説明していただければお教えする可能性はありません」

ここで頭に来て電話を切った。
行かないと話にならないなら、はじめから交渉などしない。
知り合いの新聞記者にとっくに頼んでいる。
ちなみにこのバカ警察は大津警察署だ。
バカも休み休み言えとは警察のためにある言葉だ。

話をもとに戻せば、こうして「現実」を無視して理想の警察の広報官をこの映画では佐藤浩行が演じている。この誘拐事件の行く末はもちろん、警察と 記者クラブとの摩擦や警察内の対立、主人公の娘の行方など怒とうの展開に目がくぎ付けとなるだろう。

だが諸君、誤解することなかれ。こと警察の広報は、バカばかりで話にならぬ。このほか、バカ警察の広報のふざけた対応は山ほどあるが、機会があれば紹介しよう。ただし僕が仲がいい警視庁のエリートの刑事はきちんとしている。一応、フォローしておこう。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

映画総監督・脚本は庵野秀明だ。僕の先輩はたとえば55歳で庵野世代であり、ゴジラ世代なのでもう3回もこの映画を観たという。

まあ、いってみれば「エヴァンゲリオン」に出てくる正体不明の敵、「使徒」がゴジラになったといえばわかりやすいか。

物語は展開が早すぎて、たぶん2回見ないとわからないだろう。たとえばプロデューサーの山内章弘氏(46)はマスコミにこう話す。

──「シン・ゴジラ」には多くの人の思いが込められている

「そうなんです。1本目のゴジラ(1954年)の精神にのっとっている感じですね。平成ゴジラが大好きな方々には拒絶反応があるかもしれませんが。ハリ ウッド版を除いて日本のゴジラの製作は12年ぶり。12歳までの子供たちは『ゴジラ』なんて知らない。そういう人たちに対してどういうアプローチ でゴジラを再生して新しいものとして見てもらおうかと(総監督の)庵野(秀明)さんとも随分話しました。“今の日本でやる意味”を突き詰めると、 かなりのリアルシミュレーションというか、今の日本にゴジラという巨大生物が現れたら一体どうするのか、どうなるんだろうかという発想の集大成の ような映画。大人の鑑賞に堪えうるゴジラです」
伊藤徳裕【スクリーン雑記帖】=2016年8月11日付産経ニュースより引用

たしかに、ゴジラは、大人向けに作られている。だが、ゴジラが登場したときの「無力な政府の対応」は、まるで原発事故が起きたときの民主党のそれにそっくりだ。責任転嫁をし、国民に嘘の情報を流す。もしくは情報を小出しにする。

ゴジラが原発で、自衛隊が唯一の希望で、あの「3.11」の事故のときに海水を原発に放水していたあのときを思い出ししてしまう。

世代によって「ゴジラ」は見方がちがうと思う。僕が見るゴジラは、すでに「正義の味方」となっており、悪のメカゴジラと戦っていた。

少なくとも、ゴジラが登場したら、本物の政府もこうした反応をとると思う。行政がどう対応するか、この映画には、都知事となった小池百合子氏がアドバイザースタッフとして参加しているのだが、そのあたりも見所だろう。

二度目を見たいが、おそらく僕には見る時間はないだろう。また、見るのに多少のためらいもあるのも事実だ。なぜならゴジラを見ると「原発事故と民主党政権のていたらく」を思い出して、情けなくなってくるからだ。

ところで庵野監督の5万文字インタビューも掲載している公式本公式記録集「ジ・アート・オブ シン・ゴジラ」が9月中旬に発売されるが、すでに予約が5万部超えているとか。

「庵野×ゴジラ」は、確実にブームとなった。第2弾を期待するが、今度はもうすこしゆったりとしたストーリー展開を望む。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

映画「ダーク・プレイス」を見た。この原作は、ギリアン・フリンという才能あふれる作家でデビュー作の『KIZU―傷―』は、英国推理作家協会が主宰するCWA賞で2つのダガー賞を受賞、40週間以上もニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに選ばれた。この映画の原作となる「冥暗」は、ニューヨーカー誌の〝批評的選書〟ウィークエンド誌の「この夏で一番の本」、パブリッシャーズ・ウィークリー誌の〝2009年最高の本〟シカゴ・トリビューン紙の「おすすめのフィクション」などに選ばれている。そして続く「ゴーン・ガール」が世界的にヒットする。なんと世界で1500万部も売れているのだ。手元の文庫は、すでに7刷を突破している。

そんなわけで、この「ダーク・プレイス」は、過去に一家惨殺をされて生き残った少女、リビー・デイが、成長し、もはや同情から慈善家たちから寄付がもらえなくなり,弁護士から「働くべきだ」と指摘されるところから物語は始まる。このとき「殺人クラブ」という、謎解きが趣味の集団が賞金を出すから「新犯人捜し」に協力してほしいと頼まれる。

事件当時、『悪魔教』に染まっていた兄が犯人として逮捕されるが、実は事実を掘り起こしていくと、自分が思ってもいない犯人象が浮かび上がってくるのだ。これは、主人公のリビー、兄、リビーの母親という3つの観点から描かれているので、いささかわかりにくい。

そこで、私の小説のほうの師匠、若桜木虔氏がリリースした最新書籍「ミステリー小説を書くコツと裏ワザ」(青春出版社)をもとに分析してみる。この映画はじつにわかりにくかった。原因は何か? それは、回想シーンを使いすぎたからだと僕は想う。

若桜木氏はこう綴る。

「どうしても画期的な冒頭が思いつけない、という理由で、その物語の中でもっとも劇的なシーンを冒頭に持ってくる手法がある。第27回横溝正史ミステリ大賞受賞作『首挽村の殺人』(大村友貴)や、第37回メフィスト賞受賞作の『パラダイス・クローズド』(汀こるもの)のような構成で、つまり同一シーンが作中の肝心な箇所と、冒頭と、二度と亘って出てくることになる。はっきり言って、この手法には賛成できない。物語の時系列が狂うからである。ミステリーに限らず、エンターテインメントでは回想やカットバックを可能な限り避け、エピソードを出来事の順番通りに並べる〝時系列厳守〟が鉄則なのだ。それは、なぜか。時系列に頓着しない,物語が過去と現在をいったりきたりするような作品でも、頭が混乱しないでストーリー展開を追える読者もいないわけではない。だが、頭が混乱して前後関係が把握できなくなる読者も、確実に存在する。また、時系列が狂った作品が大嫌いな選考委員も、一部には存在する。最終選考で時系列の狂いを扱き下ろされて受賞し損なった実例も、いくつかある。そもそも、ミステリーを含むエンターテインメント系の作品は『楽しみのために読む』のであって、知恵を絞って悪戦苦闘しながら読む、という性質のものではない。」

そうなのだ。この映画はたしかに頭を絞らないとなかなか時系列の流れに追いつかない。ただし主演のシャーリーズ・セロンはこの映画のプロデュースも兼務しているが、いい演技をしているし、暗闇をうまく使ったジル・パケ・ブランネール監督(脚本兼任)もなかなかいい演技を引きだしている。難解なパズルを楽しみたい諸兄には、ぜひおすすめしたい映画だ。

◎若桜木虔小説講座 http://prosakka.main.jp/kouza/

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

 

6月5日、デーゲームのプロ野球、巨人VS日本ハムを見た。はっきりいって目的は大谷翔平(日本ハム)の剛速球が見たいのと、14試合連続安打をマークしているその打撃だ。

1000円の立ち見席は、午後2時開始というのに、12時30分にはもうスペースが埋まっており、「モンスター・大谷」を見たさに多くの人がひしめいて、もはや芋あらい状態だ。立ち見には7列にできていては、野球なんか見れるわけない。

それでも、人と人の間から見る大谷が投げるボールは、あたかも重力に逆らっているようだ。ストレートはまるで地面に落ちる気配がなくビーンと延びていく。この日、4回1死満塁でクルーズを迎えたピンチでは、なんと163キロの急速をマークし、自己最高記録を更新した。

 

「それでも、大谷は急速に10キロほど体重を増やして、その体躯を使い切っていないように見えます。上から手投げだし、変化球でなんとかかわした印象です」(スポーツライター)

そうすると、5番に阿部慎之助帰ってきて交流戦負けなしだった巨人が2点しかとれない巨人の打線とはなんなのだろう.未完成の二刀流の大谷に手も足も出ない。

大谷は、スイングスピードもすさまじく、肉眼でその軌道を捉えるのは難しい。なにしろメジャーのスカウトたちも注目を始めており、「二刀流なら、打者が打席に立つナショナルリーグで」という声も上がりはじめた。
というわけで、初夏に最高のゲームを見た。

もちろん4万6239人と「立ち見を詰め込みすぎ」という運営はちょういとまずいと思うのだが、あいかわらず「12球団一、美人を集めている」といわれる東京ドームのビール売り子ガールに免じて許すとしよう。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。大本営発表のマスコミに背を向けて生きる。自称「ペンのテロリストの末席」にして自称「松岡イズム最後の後継者」。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

東京都の舛添要一知事が、政治資金でホテルや高級天ぷら店などで贅沢にすごしていた「公私混同」案件が話題となっているが、埼玉の半グレの間では、ヘマをした仲間への「お仕置き」として「舛添ツアー」なる罰ゲームが流行している。

「さいたま市北部のカラーギャングの間では、下手を打った後輩や仲間に対して『舛添が経費で遊んだ場所を全部まわって写真に撮って来い』という罰ゲームが流行しているようです。ただ旅行を巡るだけでなく、舛添都知事が通っていた湯河原の別荘やイタリア料理店、または正月に会議をしていたという『龍宮城スパホテル三日月』(千葉県木更津市)などに行き、その付近で「女をナンパしてホテルに連れ込んで 写真をとってこい」というかなりな無茶ぶりです」(実話誌ライター)

このツアーは、もはや「第1陣」がすでに出発しており、すべてのコースの終点は、都内世田谷区の舛添宅前。で、舛添都知事が全部の立ち寄った「疑惑の場所」でもらった領収書を手に最後の写真撮影をしてきて終了。

最近ではメンバーの間にて、「スペシャル罰ゲーム」として、『龍宮城スパホテル三日月』の温泉プールでセックスしてくるというウルトラCが用意されているようだ。

「この罰ゲームは口コミで関東北部の不良の間であっという間に広まっているようだが、いかんせん『龍宮城スパホテル三日月』は、都知事の経費濫用が報道されてからというもの、電話すらつながりにくい状態になりました。いつも混んでいる状態でプールはいも洗い状態。なおかつすごい勢いで部屋が予約されていくので、不良たちが朝から晩まで電話をかけていたら、電話回線の混みに拍車をかける。結果 として一般の客にもつながらなくなったようです」(旅行ライター)

とくに同ホテルには「舛添が使った部屋を押さえたい」と希望する客が激増しているようだが、スパだけだと大人1500円なので、不良じゃない一般の高校生やティーンも多く押し寄せてこの「舛添罰ツアーゲーム」に興じている。

この舛添都知事の騒ぎ以降、同ホテルを利用した経験がある客が言う。

「冗談じゃない。家族で楽しめるホテルだったのに、ガラが悪い若者が増えた。禁煙なのにそこかしこでタバコをふかすわ、ナンパを始めるわ。あげくのはてにプール内で性行為を始めるなんていうのは論外。もう二度と行かない」

『龍宮城スパホテル三日月』に「舛添都知事のおかげで繁盛していると聞くが、不埒な若者は多くなったのか」と聞いたが「申し訳ありません。取材にはご対応できません」という答えが返ってきた。

「都内の暴走族の間では、舛添都知事の車がどこに向かうか一日追跡しろ、という罰ゲームも考案されたようです。もはやもう舛添都知事の行動は、議論に値しない。今は不良少年たちの罰ゲームの対象でしかないのは悲しい限りです」(都庁関係者)

もしくは湯河原温泉のホテル数軒に「客は増えましたか」と聞いたが「とくに増えていません」とのこと。150万人もの署名が集まれば、60日以内に解職の是非を問える「リコールのための住民投票」も囁かれるこの騒ぎに乗じての罰ゲームツアーの光景がSNSやツイッターに上がるのは時間の問題だったが舛添都知事は辞表を出した。

もはや半グレや馬鹿なティーンなど一過性の馬鹿騒ぐ客でも来ればありがたい「夏休み前で客が減る」6月の梅雨シーズンに入った旅館・ホテル業界の本音はどうだろうか?

▼小林俊之(こばやし・としゆき)?裏社会、事件、政治に精通。大本営発表のマスコミに背を向けて生きる。自称「ペンのテロリストの末席」にして自称「松岡イズム最後の後継者」。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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