横浜副流煙裁判「反訴」、2つの注目点、被告男性に25年の喫煙歴があった事実、作田医師による医師法20条違反の事実 黒薮哲哉

横浜副流事件の弁論準備(法廷ではなく会議室で開く打ち合わせ)が、16日、テレビ会議の形で開かれた。原告の藤井敦子さんと古川健三弁護士は、横浜地裁へ出廷したが、被告(作田学医師、A家の3人)の片山律弁護士、山田義雄弁護士の両名はオンラインの形で出席した。被告の作田学医師とA家の3人は欠席した。

原告と被告の双方が準備書面と証拠を提出した。

 

◆約4500万円の金銭請求

この事件の発端は、既報してきたように2017年11月にさかのぼる。横浜市青葉区のマンモス団地に住む藤井将登さんが、同じ建物の斜め上に住むA家から、煙草をめぐる裁判を起こされたことである。将登さんが吸う煙草の副流煙で、「受動喫煙症」に罹患したというのが提訴理由だった。請求額は、約4500万円。A家は、将登さんに対して金銭請求だけではなく、自宅内での喫煙禁止も求めていた。

しかし、将登さんは自宅ではほとんど煙草を吸っていなかった。防音構造になった2重窓の「音楽室」で1日に2、3本吸う程度だった。それにミュージシャンという仕事柄、自宅を不在にすることが多く、煙の発生源自体がない場合もあった。たとえ副流煙がA家に流れ込んでいても、その発生源が将登さんであるという根拠はなかった。

裁判は、提訴から1年後に合議制(3人の裁判官が担当)になった。重大事件という認識が横浜地裁に生まれた結果である。

藤井家の「音楽室」とA家の位置関係

◆過去に25年の喫煙歴がある被告

新しい裁判体制になったのち、原告にとって不都合な事実が次々と明らかになった。

まず、原告一家のA夫に約25年の喫煙歴があった事である。提訴の時点では、A夫は非喫煙者だったが、過去に長い喫煙歴があったのだ。癌が再発して煙草を断った経緯がある。

さらに提訴の有力な根拠となった診断書の1通が、原告本人を直接診察せずに交付されていた事実が判明した。それは、A娘の診断書だった。この診断書を作成したのは、禁煙学の権威として名あり、影響力のある日本赤十字医療センター(東京都渋谷区)の作田学医師だった。日本禁煙学会の理事長でもある。

診断書交付の経緯は単純だ。A娘が体調不良で外出できなかったので、両親が日本赤十字医療センターへ足を運び、作田医師と面談して診断書交付に至ったのである。

その際、両親はA娘が他の医療機関から交付してもらった診断書を持参した。作田医師は、それを参考にし、さらには両親からA娘の症状を聞き取り、病名を「受動喫煙症」などと付した診断書を交付したのである。

横浜地裁は、2019年11月、Aさん一家の訴えを棄却した。そして作田医師による診断書交付行為を医師法20条違反と認定した。実際、作田医師とA娘は、何の面識もなかった。インターネットを使った面談も実施していなかった。それにもかかわらず作田医師は、診断書に「団地の1階からのタバコ煙にさらされ……」とあたかも現場を確認したかのような記述をしたのである。

※医師法20条:「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。」

 
事件を詳しく記録した『禁煙ファシズム』(鹿砦社)

◆裁判の「戦後処理」

A家の3人は東京高裁へ控訴した。しかし、東京高裁は2020年10月、控訴を棄却した。問題の診断書については、診断書の域ではなく、意見書にすぎないと断じた。(前訴の原告による証拠説明書によると、公式には診断書である。)    

前訴は、将登さんの勝訴で終結した。

その後、藤井夫妻と支援者らは、裁判の「戦後処理」に入った。訴訟の濫用や不当訴訟のほう助に対しては、関与した者の責任を追及するというのが支援者らの方針だった。前訴が進行したいた時から、「反訴」を予定していた。

前訴の判決が確定した後、作田医師に対して2つの法的措置を取る段取りに入った。まず、最初は刑事告発である。藤井夫妻を含む7名が作田医師とA家の3人を神奈川県警青葉署に告発した。青葉署は事件を捜査して、作田医師を横浜地検へ書類送検した。しかし、地検は作田医師を不起訴とした。これに対して藤井さんらは、検察審査会に審査を請求した。検察審査会は、「不起訴不当」の議決を下した。その後、検察は2度目の不起訴を決めた。

事件は、その数日後に時効となった。しかし、検察審査会の「不起訴不当」の議決は、刑事告発の正当性を裏付けている。

今年3月に、藤井さん夫妻は「戦後処理」の次段階に入った。前訴を提起されたことで生じた損害を賠償させるための民事訴訟の提起である。事実的根拠のない診断書を基に高額の金銭請求を迫られ、経済的にも精神的にも損害を受けたというのが、藤井夫妻の主張である。

日本では憲法により提訴権の尊重が重視されているが、事実ではないことを根拠に裁判を起こしたり、勝訴の可能性がないことを認識しながら提訴に及んだ場合は、訴権の濫用になる。件数こそ少ないが、そのような判例がある。たとえば武富士事件である。NHK党事件である。

この点、A娘の診断書は不正確で誤診の可能性もある。A娘の症状は、心因性の疾患か知れない。また、たとえA娘が化学物質過敏症であっても、その原因が副流煙とは限らない。たとえば化合物イソシアネートは、化学物質過敏症の有力な要因で、米国では使用が厳しく規制されている。しかし日本では野放しになり、日常生活に入り込んでいるので、病因として考え得る。

化学物質過敏症の診断は難解を極めている。それにもかかわらず作田医師は、A娘に対して問診すらしていない。

作田医師がA娘を直接診察していないわけだから、診断書が不正確なものになっても不思議はない。

作田医師は前訴の原告ではないが、事実的根拠のない診断書を作成して、A家の代理人である山田弁護士に送付したわけだから、責任を免れない。しかも、裁判が始まると、A家のために意見書を繰り返し提出するなど、裁判そのものにも深くかかわった。意見書のなかで藤井家に対して喫煙を控えるように警鐘も鳴らしている。現地取材で事実を確認することなく、藤井家を副流煙の発生源と摘示して忠告しているのである。

◆A夫の喫煙歴を家族も認識していた

裁判の争点は複数に及ぶが、わたしは2点に注目している。まず、第一にA夫に約25年の喫煙歴があった事実である。A妻もA娘もそれを知っていた可能性が高い。当然、A妻とA娘は、A夫による副流煙による人体影響を受けている可能性が高い。しかし、それを認識していながら、A家の3人は、将登さんに損害賠償を求めたのである。

改めて言うまでもなく、作田医師の支援がなければ、こうしたことはできない。

◆診察・処方箋と診断書交付行為は別

第2の注目点は、前訴の判決が認定した作田医師による医師法20条違反を、裁判所がどう再評価するのかという点である。

作田医師の代理人、片山律弁護士は、準備書面(1)の劈頭(へきとう)で、同医師の無診察の診断書交付行為は、医師法20条違反には該当しないという主張を展開している。片山弁護士がこの主張の根拠としているのは、たとえば加藤義夫氏の『実務医事法第2版』である。片山弁護士の引用部分を再引用してみよう。

「治療の目的は、患者の症状に対する的確な診断がなされることにより、治療が適切に行われるようにすることにある。したがって、『診察』がなされたといえるために医師がどの程度のことを行うべきかは、初診か再診か、前回の診療時からの時間的経過、症状の重さ、緊急性等の具体的事情によって異なるといわざるを得ず、形式的に当該治療の際に診察がおこなわれなかったというだけで、同条に違反したものとは解すべきではない」

しかし、この記述は、無診察の処方箋についての解説である。診断書の「交付行為」について言及したものではない。

また無診察で行われた診断書交付を合法とする広島高裁の判決(昭和27年う台43)を持ち出しているが、このケースも作田医師のケースとは整合性がない。広島のケースは、医師が診断書を交付する直前に診察をしなかったことをもって不法行為とはいえないというだけで、それ以前に診察歴があるケースである。また、患者の症状もすでに固定していたので、診断を変更する必要もなかった。判決文の重要部分を引用しておこう。

【原典】診断書交付の当日診察した事実がないとしても、その前の診察の結果を医学的知識経験に照らし、これらか察して変化の予想されない場合、いいかえれば、人の健康状態に関する判断の正確性を保証し得る場合には、その都度診察しなくとも、前の診察の結果にもとづいて診断書を交付しても敢えても違法とはいえない。

しかし、作田医師の場合、A娘と面識すらなかった。寛容に解釈すれば、他の医師がA娘のために作成した診断書を「前の診察」と拡大解釈することも一応はできるかも知れないが、しかし、作田医師はA娘の診断を「受動喫煙症」のレベル3から4へ、1段階格上しており、その根拠が分からない。しかも、本人を問診することなくレベル判定を変えたのである。

広島高裁の判決は、見ず知らずの人、面識のない人の診断書を交付してもかまわないとは言っていない。通院歴のある患者を前提に記述されているのである。

さらに片山弁護士は、無診察の状態で薬剤を処方したことが医師法20条違反には該当しないとする判例(千葉地裁平成12年6月20日)を持ち出して、作田医師の場合も、この判例が適用されるべきだと主張している。しかし、この判決は、無診察を前提に診断書の「交付行為」を合法としたものではない。処方箋を合法とした判例である。事実、判例の解説にも、「(なお、診断書の作成等については本件の判旨外であるから以後触れない)」と記されている。

これら3件の引用は原典の趣旨を歪曲して、みずからの主張展開に利用したものである。引用の基本的なルールすら無視しているのだ。

◆最大の問題は不正確な診断書の交付

仮に面識のない患者の診断書を「交付」する行為が、医師法20条に違反しないとすれば、医療界に大変な混乱が生じるのではないか。秩序は崩壊して、嘘の診断書が独り歩きすることになりかねない。患者本人が知らないうちに、自分の診断書が交付され公務所へ提出されていたという事態も起きかねない。

今後、裁判の中で解明されなければならないのは、作田氏は何が目的で医師法20条に違反してまで、A娘の診断書を交付したのかという点である。これについては次の客観的な事実が参考になる。

A娘の診断書が交付された同日に、山田弁護士は将登さんに内容証明を送付した。その後、警察の捜査がはじまった。さらに、将登さんに対する高額訴訟へと発展した。診断書がこれら一連の行為の根拠になっていたことが、時系列から読み取れる。作田医師がA娘の診断書を交付した後、A家らの対処が過激になっているのである。

作田医師は、前訴の原告だったわけではないが、自身が作成した診断書が、その後の係争の引き金になっているのは、重い事実である。

※なお、前訴までの経緯は、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)に記録している。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年7月号

ピョンヤンから感じる時代の風〈01〉「東のウクライナ」代理戦争国化する日本 若林盛亮

◆「隣国にミサイル基地ができたら?」プーチンの言い分

「もし米国が自分の隣国にミサイル基地ができたらどうするだろう?」

プーチンがウクライナに対する「先制攻撃的軍事行動」をとった直後の言葉だ。

1962年に「キューバ危機」というのがあった。キューバに配備されるミサイルを運搬するソ連軍艦を武力で阻止しようと米艦艇群が太平洋で待ちかまえた。すわ米ソ核戦争勃発! 世界は本気で恐怖した。かのボブ・ディランは「もう君に会えないまま死ぬのかと覚悟した」とイタリア留学中の恋人スーズに手紙を送った。米国の学校では机の下にもぐる核戦争退避訓練をやった。

結局、ソ連が折れて事は収まったが米国は一戦交えてでもキューバへのミサイル配備を阻止する構えを見せた。プーチンはこのことを念頭にロシアの立場を説明したのであろう。ウクライナのNATO化によって対ロ・ミサイル基地が隣国にできるならロシアは黙っていられるだろうか、と。

いま日本に中国本土を射程に入れる中距離核ミサイルが配備されようとしている。それはプーチンが言ったロシアにケンカをふっかけた隣国、ウクライナのような国になること、日本の「東のウクライナ」化を意味するものだ。これがいまわが国の現実になりつつあるということを強く訴えたいと思う。

◆日米首脳会談合意の「成果」── 対中「共同対処」

 

5月26日のバイデン大統領を迎えての日米首脳会談は二つの「共同対処」を合意した。 

これについて自衛隊元統合幕僚長・折木良一氏は次のように評価した。

「中国を念頭に置いて『共同対処』する認識を共有したことは大きな成果と言える」(2022年5月24日付読売新聞論評)。

折木氏といえば岸田政権の今年度末の国家安全保障戦略改訂に向けた政策提言を行う立場の人物だけにその発言は重要な意味を持つ。

この人物が「成果」と評価する日米首脳会談で合意された「共同対処」の第一は、岸田首相が「敵基地攻撃能力保有」、防衛費増額を表明したこと、その第二は、米国が日本への核による「拡大抑止」提供を保証したことだ。

「拡大抑止」とは同盟国への攻撃を自国への攻撃とみなし報復する態度を米国が示すことで「敵国」の攻撃企図をためらわせることを意味する。折木氏の言う今回の「成果」とは「米国の核」を報復攻撃に使う保証を得られたということを指す。

ここで注目すべきことは、「拡大抑止」の提供、「米国の核」を報復攻撃に使う保証を与えることを改めて米国が強調したこと、これが「成果」とされることだ。そして米国の「拡大抑止」保証との関連で日本が米国に約束した「敵基地攻撃能力の保有」を「成果」としたこと、この意味をよく考えてみる必要があると思う。

◆「核抑止100%の保証を得る」覚悟 ── 中距離核ミサイル配備受け入れ

 
河野克俊=自衛隊第5代統合幕僚長

フジTV「プライム・ニュース」で「米国は本当に核の傘をさしかけてくれるのか?」が論議された。「ウクライナ戦争」の教訓として「米国は自国への核戦争の危険があれば参戦しないということがわかった」からという前提での議論だ。

ここでは河野克俊・前統幕長の発言が注目を集めた。彼は「米国から核抑止100%の保証を得るべき」としつつ「それはただではすみませんよ」と日本が同盟国としてやるべきことを示した。

「いずれ核弾頭搭載可能な中距離ミサイル配備を米国は求めてくる、これを受け入れいることです」と。そのためには少なくとも「核持ち込み」は認める、すなわち「非核三原則の見直し」が必要ですと河野氏は国民に覚悟を求める。

なぜこれが米国から「核抑止100%の保証」を得ることになるのか?

◆中距離核ミサイル配備の意味

中距離核ミサイルとは射程500km以上の戦術核ミサイルを指し、これを中国や朝鮮に近い日本に地上配備、ここを発射拠点とすれば米本土から戦略核・大陸間弾道弾発射の必要がなく米国本土が核戦争被害を受ける心配がない。米国が安全なら「核抑止100%の保証を得られる」というのが河野氏の計算だ。

すでに昨年、米インド太平洋軍は「対中ミサイル網計画」として、日本列島から沖縄、台湾、フィリッピンを結ぶいわゆる対中包囲の「第一列島線」に中距離ミサイルを配備する方針を打ち出している(2021年7月8日付朝日新聞)。

2021年7月8日付朝日新聞

「軍事作戦上の観点から言えば……中距離ミサイルを日本全土に分散配置できれば、中国は狙い撃ちしにくくなる」(米国防総省関係者)。米軍の本音は日本列島への分散配備だ。

さらに河野氏はこうも言う、「日本独自にミサイルを持つという議論もあるが、まずは米ミサイルを配備させて……」と。

この意味は、まずは「核抑止100%の保証」を米国から得るための「同盟国の義務」として米国の要求する中距離核ミサイル配備受け入れ、すなわち「核持ち込み」容認の覚悟を日本国民が持つことが第一歩だということだろう。

逆に言えば、これには次のステップ、第二歩があるということだ。

◆中距離核ミサイル発射は自衛隊が担う

首脳会談で岸田首相が約束した日本の敵基地攻撃能力保有を上記の米国の中距離核基地日本配備計画と関連させるとその危険な本質が見えてくる。

米インド太平洋軍の計画では、米軍自身のミサイル配備と共に自衛隊がこの地上発射型の中距離ミサイルを保有することも求めている、そしてすでに防衛省は地上配備型の日本独自の長射程ミサイル開発を決めている。

すでに対中ミサイル基地としては沖縄、南西諸島に自衛隊の短距離対艦・対空ミサイル基地があるが、これらが中国本土を射程に入れる中距離ミサイル攻撃基地になるであろうし、日本本土の陸自基地にも米軍が望むように中距離ミサイルが「分散配置」されることになるだろう。

これはまさに自衛隊が任意の対中(朝鮮)「敵本土」攻撃能力を保有することとなる。

これとの関連で安倍元首相の持論である「米国との核共有」論を見ていくと、有事には自衛隊の地上発射型中距離ミサイルに米国の核を搭載できるようにするための論理と言える。

日本の敵基地攻撃能力保有と米国の「拡大抑止」提供の保証、この「共同対処」を合意したことが日米首脳会談の成果とした折木・元統幕長の真意が見えてくる。それは日本が地上発射型中距離核ミサイルの対中(朝鮮)本土攻撃基地となる覚悟を全国民的に迫る根拠を得たということではないだろうか。

◆「日本のゼレンスキー」たちの暗躍を許すな

プーチン大統領は、5月29日、祖国戦争勝利記念日の演説で「ウクライナ戦争はロシアと米欧の闘いである」とした。ゼレンスキー政権下のウクライナは米欧の代理戦争をやらされているということだ。

いま日本は対中新冷戦最前線として中距離核ミサイル攻撃基地を担う「覚悟」を迫られている。それは「東のウクライナ」・米国の代理戦争国化の道である。

上述のTV番組で折木氏は「いいタイミングでこの議論ができた」とつい本音をもらした。その真意は、「ウクライナ戦争」でいかに米国の拡大抑止力の保証を得ることが大切か、そのための同盟国としての義務を果たすことの重要性を日本国民が痛感しただろう、そんなタイミングでの国民の覚悟を促す議論ができたということだろう。

また同氏は米軍の中距離核ミサイル配備を受け入れるということは、もしそれを実際に撃てば「相手国の10万、20万が死ぬことに責任を負う」覚悟を持つことだとも語っている。「撃てば撃ち返される」が戦争の常識だ。だからそれは「日本の10万、20万が死ぬことを覚悟する」ということでもある。

いまウクライナでは18歳から60歳までの男子の国外退避を禁じる法律に抗議するSNS投稿への賛意拡大にゼレンスキー政権は神経をとがらせている。それは「ウクライナ戦争」がけっして愛国戦争などではなく米国の代理戦争ではないかと国民が薄々感じ取っているからではないだろうか。

事が起こってからでは遅い。日本の「東のウクライナ」・代理戦争国化への道、そんな「覚悟」を迫る「日本のゼレンスキー」たちの暗躍を許してはならない。

若林盛亮さん

▼若林盛亮(わかばやし・もりあき)さん
1947年2月滋賀県生れ、長髪問題契機に進学校ドロップアウト、同志社大入学後「裸のラリーズ」結成を経て東大安田講堂で逮捕、1970年によど号赤軍として渡朝、現在「かりの会」「アジアの内の日本の会」成員

『一九七〇年 端境期の時代』

『抵抗と絶望の狭間~一九七一年から連合赤軍へ』
タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年7月号

れいわ新選組参院選比例予定候補のキムテヨン東洋大教授、子ども時代の貧困体験もとに教育無償化など熱弁 さとうしゅういち

れいわ新選組参院選比例予定候補のキムテヨンさん

6月11日、東洋大学教授でれいわ新選組参院選比例予定候補のキムテヨンさんが来広、広島市中心部を遊説しました。

これに先立ち、筆者が、遊説の出発点となる旧広島市民球場前でキムテヨンさんの遊説を告知するとともに、消費税廃止や、ガソリン税ゼロ、奨学金チャラなどのれいわ新選組の政策をご紹介。

総理の地元の広島でガツンとものをいうれいわの支持が比例で広がるとともに、選挙区では、れいわと多くの政策が共通する中村たかえさん(共産党新人36歳)を押し上げることが、総理に軌道修正をさせることにつながると訴えました。

キムテヨンさんは1963年、愛知県生まれ。お母さんは広島県世羅町ご出身で母方のご親戚は多く広島県におられます。

18歳までは在日コリアンであることを隠していたというキムさん。

ご家庭が貧しかったため大学は大阪の公立大学の夜間を苦学生でご卒業されました。

2009年に日本国籍を取得し、キムテヨンという「コリアンとしての実名を使用する日本人」となりました。

現在は東洋大学教授(社会学)を勤めておられます。


◎[参考動画]さとうしゅういちIN旧広島市民球場前 キムテヨンIN広島告知

◆雨の原爆ドーム前で広島「第一声」

この日の広島は雨。原爆ドームに近い旧市民球場跡地でキムさんは広島での第一声を上げました。

物価高による生活苦に対しての消費税廃止やガソリン税ゼロなどのれいわ新選組の対策を紹介。その上で、「小さいころにはあすのご飯のお金も心配な状況だった。小学校のとき修学旅行のお金がなくて隣の家に借りにいったのが思い出。」「大学は夜間に通った。昼間はいろいろな仕事をして夜、学校に通った。こうした自分の苦労から、れいわ新選組の保育園から大学まで教育無償化を是非とも実現したい。」と強調。

「いまや49%の学生が奨学金をかりている。」
「わたしの友人も3人の子どもを大学や看護学校に通わせて、多くの借金を抱えている。」
「家が貧しくて自分のつめを食べて、変形してしまっているこどももいる。これはどこかの途上国の話ではなく日本でおきていることだ。」
「日本では子どもを大学まで出すのに2000万円かかる。先進国ではこれが無料なのが当たり前になってきている。」
「子どもさんから若者、現役世代、そして高齢者にいたるまで生活は苦しい。みなさまが安心してくらせるような社会をつくりたい。」
などと、自身の幼少時の苦労をベースに貧困をなくしていく決意を表明しました。

その後は、広島市内の中心部である中区の本通駅前交差点へ移動して演説。若い方が時折手を振って応援してくださいました。なかには、一緒に写真撮影をもとめてこられる高校生くらいの若者もおられました。キムさんは昼食を挟んで本通りを練り歩いてパルコ前でも街頭演説をおこないました。


◎[参考動画]子ども時代の困窮生活もとに教育無償化などを母の地元の広島で熱弁 キム・テヨン東洋大学教授

◆支持者からの叱咤激励に謙虚に耳を傾ける

街頭演説のあいまに、中区内の会議場でおしゃべり会も行いました。キムさんからは、社民党から当初は立候補される予定だったのを変更された経緯についてもご説明はいただきました。また、今後は、在日コリアンの女性からも国政選挙に出てほしいという想いもうかがいました。参加者からは、なんとしてもキム・テヨンさんの得票をのばしたいという想いから、キムさん個人にも、れいわ新選組にも厳しい意見も含めて出されました。

「過去のことをあんまり引きずっても前向きではない。政策で票をのばしてほしい」
「最近、れいわ新選組の国会議員もちょっと、パフォーマンスが目立つのではないか? もうちょっと幅広い層から票をとるにはマイナスでは?」
「れいわの長所は事実を提示すること。これはれいわと共産党がこれまできちっとやっていること。」などの声が出されました。

一方で配偶者とともに他党を支持していたが、いまはれいわだという方もいらっしゃいました。

筆者も「過去の経緯はそれとして、キムさんの子どものころの貧困体験をベースにした政策の訴えは迫力があった。キムさんの時代はいわゆるバブル世代だったが、いまや、むしろキムさんの子ども時代のような状況の子どもがおおくなっている。そういう中でご自身の子ども時代の貧困体験をベースにした訴えをもっとされたらどうか?」などと進言しました。

これらの参加者の言葉に対して、キムさんも謙虚に耳を傾けていました。

◆キムさんに刺激され筆者も本人並みに気合

その後、我々は、広島駅南口でもキムテヨンさんと筆者と交代で街頭演説を実施しました。

キムさんの演説に刺激を受けて、おもわず筆者も応援演説に力が入ってしまいました。そのため、支持者の方からも後ろから「予定候補じゃないのだから」とチクリとご注意いただくありさまでした。しかし、キムさんの演説がかなり心に刺さるものだったからこそ、筆者も気合が入ったのです。

演説終了後、広島駅前の広島の著名アスリートの写真が拡大して展示してある壁の前に移動。キムさんと同じく、在日コリアン出身で、カープとタイガースで大活躍した新井貴浩さんの写真の前で記念撮影を行い、必勝を期しました。

演説終了後、在日コリアン出身のプロ野球選手新井貴浩さんの写真の前で記念撮影

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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戦争の長期化は必至 ── 犯罪人プーチンとロシア軍が裁かれる日 横山茂彦

ウクライナ東部・南部での激戦は止みそうにない。一枚、また一枚と、旧ソ連邦の版図を回復し、巨大帝国を復活をめざすプーチン。プーチンの野望は19世紀・20世紀前半の帝政ロシアの復活にほかならない。まさにプーチン大帝の誕生である。だが、その前途は危うい。

東京の山手線圏内と同じ土地面積を持つという、皇帝ウラジーミル・プーチンの大宮殿

◆いまや、第三次世界大戦の覚悟が必要だ

なにしろ相手は、19世紀の帝政ロシア(皇帝)なのだ。ヒトラーと同じく、将軍たちの助言や諫言をものともせず、勝利かしからずんば死か、の道を歩むであろう。ヒトラーが東部戦線で行なった将軍の罷免や更迭が相次いでいるという。

しかるに、ロシアが東部二州および黒海沿岸を制圧してもなお、ウクライナがレコンキスタ(領土回復)を諦めない限り、この戦争は終わらないのだ。欧米が支援をやめないかぎり、ウクライナ人民はロシアに屈服はしないであろう。

その意味では、かつての日中戦争、ベトナム戦争やアフガン戦争のように、数年から10年、いや20年を超える長期戦も考えられる。すでにドンバス戦争(ウクライナ東部2州の内戦)は8年を経ているのだから。

じつは戦争を始めたプーチンにも、もはや止められなくなっているのだ。

戦争は異なる手段を以てする政治の延長である(クラウゼヴィッツ)とともに、憎悪と報復感情を動力にしている。かつて大日本帝国とその国民が、おびただしい戦死者(英霊)に一億玉砕を誓ったように、あるいは90年代のユーゴ内戦でナチス時代の虐殺が蒸し返され、民族浄化の内戦が国土を荒廃させたように、復讐が戦争を継続・再開させるのだ。

プーチンもまた、ウクライナの憎悪を怖れるがゆえに、戦争を止めることができない。

戦争はいっぽうで、究極の内政でもある。戦争が国民を一致団結させ、勝っているうちは政権の求心力がとてつもない威力を発揮する。これは現在のロシアで、プーチンが8割近い支持率を得ていること。ザレンスキー政権がやはり9割近くの支持を得ていることに顕われている。

だが、やがて戦死者が増えて厭戦気分が生まれてくると、戦争指導部(政権)への不信と批判が顕われる。そして戦局の悪化や敗退(降伏によるものではなくても)が政権批判へと結晶するのだ(昭和19年のサイパン失陥による、東条内閣への倒閣運動)。

もしもウクライナ戦争が長期化し、東部二州の完全制圧が果たされないならば、プーチン政権に崩壊の危機が訪れるであろう。そして、オルガリヒの財力を背景に、王朝と化しているプーチン体制が崩壊した後には、彼自身が戦争犯罪人として裁かれる瞬間が待っているのだ。あるいはクーデターや革命による処刑があるかもしれない。

それゆえに、戦局が膠着して「特別軍事行動」に破綻のきざしがあったときに、限定的な核攻撃が行なわれる可能性が高い。

戦犯の裁判もはじまった。

すでに明らかになっているブチャでの虐殺について、ウクライナがロシア軍部隊の兵士たち2000人の履歴や顔写真を公開し、その戦争犯罪を国際法廷に訴追する準備を進めている。それゆえにプーチンは兵士たちの動揺を抑えるために、かれらを英雄として顕彰してきた。

ブチャの事件に関連して、英国が「虐殺に関わった指揮官」と名指しして経済制裁の対象に加えているロシア軍のアザトベク・オムルベコフ中佐を、プーチンは大佐に昇進させてもいる(4月22日)。

ウクライナで非武装の民間人を銃殺したとして訴追されたロシア軍兵士ワディム・シシマリン被告(21)の初公判は、5月13日にウクライナの首都キーウの裁判所で開かれ、23日には求刑通り最高刑となる終身刑の判決を言い渡した。ウクライナがロシアによる戦争犯罪の追及を本格化させる中、初の判決となった。被告の弁護士は判決後、被告は命令に従い、殺意がなかったこと、自ら投降し捜査に協力してきたことが考慮されていないとして上訴する方針を示したという。

さらにウクライナ中部の裁判所は5月31日、民間人の居住地域を砲撃したロシア兵2人に、それぞれ禁錮11年6月を言い渡した。名前も挙げておこう。

アレクサンドル・ボビキン(Alexander Bobykin)、アレクサンドル・イワノフ(Alexander Ivanov)両被告は、ウクライナ侵攻初期に、北東部ハルキウ州の二つの集落に向かってロケット砲を撃ち、「戦争法規違反」で有罪とされたものだ。
ロイター通信によると、ウクライナの検事総長はロシアの戦争犯罪の捜査について「600人以上のロシア人容疑者を特定し、うち約80人の訴追手続きを開始した」と明らかにしたという。ウクライナ検察は戦争犯罪の疑いのある事案を1万4千件以上把握したとしている。

いっぽう、国際刑事裁判所(ICC)などの合同調査チームも、オランダ・ハーグで記者会見した。検事総長は会見で、容疑者には「ロシアの軍幹部、政治家らが含まれる」と述べた。今後も、国際刑事裁判所から派遣された検事の協力のもと、証拠が明白な捕虜(被告)が法廷に引き出されるであろう。

いっぽうで、ロシアもアゾフ大隊の捕虜たちを裁判にかけると明言している。

問題なのは戦争犯罪の責任者・プーチンの罪名であろう。

◆プーチンが裁かれる罪名

それでは、現在までにプーチンの宣戦布告なき戦争、およびジュネーブ条約に定める戦争犯罪(民間人への攻撃・虐殺)で、プーチンが訴追される罪名を確認しておこう。大きく三つの罪名がある。

まず、民間人の攻撃・殺害や民間インフラへの攻撃などが「戦争犯罪」となる。民間人や捕虜への拷問、財産の略奪、ガスや化学兵器などの使用と幅広い。

つぎに「人道に対する犯罪」「ジェノサイド(大量虐殺)」は、ナチスドイツの犯罪に対して用いられた国際法概念で、民族浄化や奴隷化、強制連行など、その態様を立証することで成立する。人種や民族、宗教をもとに集団虐殺が行なわれた場合の、一般の戦争犯罪とは独立した概念となる。

第三には、侵略犯罪である。これは東京裁判で「平和に対する罪」とされたもので、侵略戦争をはじめた指導者に対する罪名ということになる。

この要件で、国際法廷(国際刑事裁判所=ICC)においても、プーチン個人が問われることになるであろう。

◆膨大な証拠

証拠収集は容易である。ロシア軍がアパートや病院、公共広場、庁舎、原子力発電所を含め民間人を襲った証明は、膨大な画像が残されている。ソーシャルメディアは録画の投稿であふれ、攻撃の数分以内のものも時々ある。大虐殺の様子を目の当たりにしているウクライナ人の証言もある。

だがこれらの証拠は、訴追に必要とされる特定の攻撃を特定の個人に結びつけるものではない。そこで米国は、誰に罪があるかの証拠探しを、現地で進めていることを明らかにしている。ブチャで多数の遺体が見つかったのを受け、バイデン大統領は「戦争犯罪の裁判が実際に行われる」ようにするため、「詳細な情報を全て集めなければならない」としている。

記録する画像や写真がほとんどなかった太平洋戦争当時、それでも日本軍兵士は東南アジア現地でBC級戦犯として処刑されている。戦争だから仕方がない、残虐は非道もあるだろうと思いがちな戦場で、しかし戦争犯罪は一つひとつ、精緻に検証されなければならない。すでにウクライナ検察当局はもちろん、ドイツやフランス、カナダ、日本からもの捜査員(検察官)が派遣されて、戦争犯罪の証拠収集に入っている。その責任者であるプーチンを処罰するために。

◆身柄を確保できるかどうかが焦点となる

とはいえ、国際法廷(ICC加盟国であれば、各国の法廷で裁かれる)にプーチンを引き出すには、プーチンが大統領(ロシア連邦元首)を解任され、なおかつ身柄を確保しなければならない。逆に言えば、他国に亡命しても必ず訴追される。

現実的には、ロシアに新しい政権が誕生して、現在の経済制裁を解除する条件と引き換えに、プーチンの身柄を引き渡すということになるだろう。ということは、革命(劇的な政権交代)かロシアの全面的な敗戦がその要件ということになる。ここから先は、その可能性をさぐってみよう。

◆政権崩壊の可能性

ロシアでは大統領府の内部の人間たちがプーチン大統領の後継者を考えていると、ロシアの独立系メディア『メドゥーザ(Meduza)』が報じた。政界のエリートたちはウクライナとの戦争や崩壊しつつある経済に不満を募らせていると、メドゥーザは伝えている。

後継者候補には、モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長やドミトリー・メドヴェージェフ前大統領らの名前が挙がっているという。

プーチン大統領がウクライナ侵攻をめぐって退陣に追い込まれたり、病に倒れた場合に備えて、大統領府の内部の人間たちは密かに後継者候補について話し合っていると、ロシアの独立系メディア『メドゥーザ』は報じている。

この記事を書いているあいだにも、東部での戦線膠着、南部でのウクライナ軍の巻き返しが報じられている。NATO諸国の武器援助、アメリカの武器貸与法による最新型兵器が到着し、ウクライナ軍がそれらの兵器に習熟するのは8月頃だとされている。

そこから先に、数年、十年をこえる戦争がつづくのだとしたら、プーチン後のロシア政局の展望こそが、最大の関心となってくる。かつて、ナチスドイツが東ヨーロッパに侵攻して虐殺のかぎりを尽くしたとき、戦争犯罪という国際社会の警告が蛮行を止めた歴史がある。プーチンが最も怖れているのは、アメリカの最新兵器ではなく、みずからの政権崩壊と訴追であろう。だからこそ敗北を怖れて戦争継続をするのか、破滅を回避するために停戦に踏み切るのか。独裁者にも進退が問われている。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年7月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2022年夏号(NO NUKES voice改題 通巻32号)

参院選広島予定候補の中村たかえさん「ヒロシマの心を国会へ」 さとうしゅういち

6月1日(水)、参院選広島2022予定候補の中村たかえさん(日本共産党新人、参院選広島[改選数2]での唯一の原則的護憲かつ脱原発派候補)の事務所開きが日本共産党広島県委員会ちかくのYMCA2号館の地下で行われました。れいわ新選組所属の筆者も選挙区では中村たかえさんを応援する立場で参加しました。参加された方はマスコミ各社にくわえて、わたしがよく存じている日本共産党員・支持者の方がほとんどでした。

中村たかえさんは広島うまれ、広島そだちの36歳。広島修道大学ご卒業後、医療機関の事務で仕事をへて、青年団体の幹部を務められました。県知事選挙2021で選挙に初挑戦。現職のオール与党の知事・湯崎英彦さんに果敢に挑まれました。その度胸に筆者は舌を巻きました。ちなみに中村たかえさんと筆者とは20年近い知り合いです。

比例区候補の仁比そうへい弁護士

◆応援弁士から激励と決意

最初に比例区候補の仁比そうへい弁護士があいさつ。仁比弁護士は参院選2019で惜敗。今回の参院選での議席奪還を目指します。

アメリカによる核をふくむ拡大抑止戦略を受け入れつづけ、大軍拡を進める岸田総理に「何が広島出身なのか?」と憤りを示しました。そのうえで、軍拡に反対し、くらしにやさしい経済を進めると決意を表明されました。筆者は参院選比例区はれいわ新選組を党員(会員)としてバックアップしますので投票はできません。しかし、西日本大水害2018の復旧復興などで地元がおせわになった議員でもあり、是非ともかえりざいて欲しいと祈っています。

つづいて、日本共産党県後援会の尾野進さん、女性後援会の望月みはるさん、労働者後援会の神部やすしさん、また、青年後援会からも激励のことばがありました。

神部さんからは、栃木県の中村さんのファンという方から電話をいただいたことが紹介され、全国に中村さんが知られていることをうかがい知ることができました。
大平よしのぶ元衆院議員からは、中村さんらとともに、政府交渉にのぞんだときに出された県内の学生や保育士、中小企業者の窮状について紹介がありました。

県内の私立大学に通学する学生は両親に障害があって世話をするために親元から高速バスで通っているそうです。こうした状況についてコメントを求められた文部科学省の担当者は黙るしかなかったそうです。

鉄筋業者は毎月2%ずつ仕入れ価格があがっているのに、それを元請けに十分に転嫁できておらず、「どこまでがんばればいいのか?」と訴えたそうです。

◆自信に満ちあふれた本人あいさつ

中村たかえ予定候補本人が最後にあいさつ。中村さんは岸田政権がロシアのウクライナ侵略に乗じて自民や維新が憲法を変えようとしていると批判。「9条に基づいて外交を行う」こと、核兵器の脅威を取り除くために「核兵器禁止条約にはすみやかに参加する」ことを強調しました。

「平和の流れを発展させるのが日本の、広島出身の政治家には必要だ。」と指摘。「広島うまれの広島そだち、被爆者や若者と一緒に署名をあつめて国連に届けてきた自分こそ、ヒロシマの心を国会へ送るのにふさわしい。」と自信に満ちあふれた雰囲気で決意を表明しました。

そして、暮らしについて、「学費が高く自分の健康も削っている。政治が向き合わなくていいのか?」という学生。「0歳児を抱えて大変だが、お年寄り向けのサービスをけずってほしいわけではない。全ての世代が幸せになる社会を」という女性。「原材料値上げで手取りが目減りするいっぽう」という業者。こういう過酷な状態をおこしたのは、アベノミクスと自民党政治だと断じました。

その上で日本共産党がかかげる消費税減税(れいわは廃止)、インボイス中止、全国一律の1500円の最低賃金、学費は半減(れいわは無料化)、年金引き下げ中止、医療費負担増中止、男女賃金格差是正などを紹介。こうした政策は自民党でも補完勢力でもできない、と訴えました。

そして、改めて、「元首相(安倍晋三さん)らが核共有をさけぶなか、被爆3世として、被爆者のねがいをどうしても届けたい、国会へおくってほしい」ともう一度強調しました。


◎[参考動画]参院選広島2022予定候補の中村たかえさん(さとうしゅういちも応援) 事務所びらきでの決意表明

◆自民党と補完勢力による広島の2議席独占は石にかじりついても避ける

参院選広島2022予定候補の中村たかえさん(左)と筆者

筆者は参院選比例区ではもちろん、れいわ新選組を取り組みます。それとともに、広島県選挙区では原発推進・憲法改悪推進・軍備拡大推進の自民党の世襲財務官僚出身の男性現職および、自民党の補完勢力(国民民主党、連合の芳野会長、広島の場合は立憲民主党所属の現職参院議員もスタンスが危うい)が推す女性タレント新人による広島の2議席独占を石にかじりついても避ける構えです。そのようなことになれば、いくら超保守王国とはいえども、被爆地である広島の恥です。

なお、日本共産党さんと、筆者およびれいわ新選組の間では、財政出動について意見の相違はあります。れいわ新選組は超大金持ち・超大手企業への増税は否定しませんが財政出動論です。これに対して共産党さんは、財政出動に慎重です。

ただ、共産党さんの消費税減税(れいわは廃止)、インボイス中止などの方向性は共有しています。いまは憲法を変えるのではなく憲法をいかせ、というのも同じですし、核兵器禁止条約加入推進についても同じです。岸田政権の大軍拡に反対し、ねばりつよい外交努力を追求する点も一緒です。原発ゼロももちろん同じです。

筆者も参院選広島2022への立候補準備は進めてきました。しかし、このままでは間違いなく、自民党の世襲高級官僚現職と国民や連合の芳野会長が推すタレントが楽勝になってしまうところでした。

こうした情勢を受けて、5月下旬に筆者は参院選広島2022への立候補準備を中断、立候補を見送り、中村たかえさん支持を表明し、護憲・脱原発派一本化を図っています。憲法に緊急事態条項が加わったり、原発事故がまたおきたりしたら、財政出動をふくむれいわ新選組の政策を実現する以前の問題になってしまうからです。
(※拙稿参照 http://www.rokusaisha.com/blog.php?p=43051) 

すでに比例区のれいわ新選組を意識した県内各地の街宣の中で、筆者は自民、維新、国民が推進する大軍拡路線や改憲を厳しく批判しています。その上で憲法25条をとくにいかす視点でれいわ新選組を比例区で取り組むとともに、核兵器にも原発にも反対する「ヒロシマの心」実現へ選挙区では中村たかえさんを押し上げます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

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大津市民病院の新理事長に滋賀医科大の河内明宏教授、就任の経緯は迷宮の中、大津地検への書類送検など懸念される経歴 黒薮哲哉

滋賀県大津市は、大津市民病院の新理事長に、滋賀医科大泌尿器科長の河内明宏教授(63)を内定した。同病院では、今年の2月ごろから次々と医師が退職に追い込まれる事態が続いている。

 
理事長内定を報じたNHKの記事。滋賀医科大事件と河内教授のかかわりには一切踏み込んでいない

『京都新聞』(6月6日)によると、「これまでに京都大から派遣された」「医師ら計22人が退職意向、またはすでに退職したことが明らかになっている」。自主退職なのか、退職強要なのかは不明だが、大津市民病院から京都大学人脈を排除する意図があるとする見方もある。

現理事長の北脇城氏は、「女性ホルモンの研究と手術にあこがれて産婦人科医を志した」経歴の持ち主である。京都府立医科大の出身で、新理事長の河内医師とは同門である。

わたしは大津市の地域医療政策課に、今回の理事長人選の経緯を問い合わせた。これに対して副参事の職員は、次のように回答した。

「選任の経緯を記録した文書は存在しません。選任にあたり会議は開いていません」

誰かが独断で、河内医師を新理事長に決めた公算が高い。

◆岡本メソッドをめぐる滋賀医科大の攻防

わたしは2019年の冬から秋にかけて、滋賀医科大病院を舞台とするある事件を取材した。河内医師の名前を知ったのは、事件の関係資料を読んでいるときだった。事件のキーパーソンとして何度も「河内」に赤マーカーを付けた。河内医師の部下である成田充弘医師にも、赤マーカーを付けた。この師弟は後日、大津地裁の民事法廷に立たされることになる。河内医師は、患者からの刑事告発で書類送検もされている。

事件は、2014年にさかのぼる。放射性医薬品の開発・販売会社であるNMP社は、滋賀医科大に、小線源治療の寄付講座を設置したいと打診した。小線源治療は、前立腺がんに対する治療法のひとつである。放射性物質を包み込んだシード線源と呼ばれるカプセルを前立腺に埋め込んで、そこから放出される放射線でがん細胞を死滅させる治療法だ。1970年代に米国で始まった。その後、改良を重ねて日本でも今世紀に入るころから実施されるようになった。さらに滋賀医科大の岡本圭生医師がそれを進化させ「岡本メソッド」と呼ばれる高度な小線源治療を確立した。NMP社は、岡本メソッドに着目したのである。

【参考記事】前立腺がん、手術後の非再発率99%の小線源治療、画期的な「岡本メソッド」確立(ビジネスジャーナル)

NMP社は、寄付講座を泌尿器科から完全に独立させた形で運営することを希望していた。と、言うのも河内医師を科長とする泌尿器科は、ダビンチ手術に重点を置いていたからだ。医療技術の開発という寄付講座の性質上、縦の人間関係はむしろ障害になる。

NMP社は、岡本医師をリーダーとする体制を希望していた。塩田浩平学長もそれを承諾していた。

ところがこの方向性に難色を示した人物がいた。それが泌尿器科長の河内医師だった。しかし、河内教授の意向は受け入れられず、2015年1月に岡本医師を最高責任者として寄付講座が動き始めた。岡本医師は、泌尿器科から除籍となり、寄付講座の特任教授に就任した。滋賀医科大は、日本における小線源治療の本拠地を目指す構想をスターさせたのである。

だだ、塩田学長は、河内医師の心情にも配慮して、同医師を寄付講座の兼任教授に任命した。円満な大学運営を希望した結果のようだ。

 
大津市郊外にある滋賀医科大付属病院

◆同じ病院で小線源治療の窓口が2つに

河内教授は、自分の手腕で寄付講座を主導できないことがはっきりすると、新たな動きに出た。寄付講座の「岡本外来」とは別に、泌尿器科に小線源治療の窓口を設置したのだ。その結果、同じ病院内に小線源治療の窓口が2つ存在する状況が生まれたのだ。病院が来院患者にそのことを説明した上で、患者が窓口を選択する制度であれば医療倫理上の問題はないが、病院はそのような措置を取らなかった。

そのために窓口が2つになってから1年の間に、23人の患者が、秘密裡に泌尿器科の小線源治療に誘導された。その中には、手術は岡本医師が担当すると勘違いしていた人も含まれていた。

しかし、泌尿器科には小線源治療の専門医がひとりもいない。そこで河内教授は、部下の成田准教授に患者を担当させた。成田医師の専門はダビンチ手術で、小線源治療の経験はなかった。

成田医師は、シード線源を「第1号患者」の前立腺に挿入する手術の直前になって、岡本医師に支援を求めてきた。河内医師も、岡本医師に向かって成田医師を補助するように命じた。岡本医師は、この命令には従わずに、手術そのものを中止するように強く進言した。未経験の成田医師の施術が医療事故につながるリスクがあったからだ。

さらに岡本医師は、塩田学長に泌尿器科の小線源治療で患者が手術訓練に使われかねない事態が起きていることをメールで知らせた。

翌日、岡本医師は塩田学長から2通の返信メールを受け取った。

「(9:15分)先生からいただいた内容は、松末院長、村田教授にも知らせてあります。先生にはストレスがかかっていると心配しますが、必要以上に悩まれないようにしてください。山田(注:仮名)先生からも、心配してメールをいただいています。」

「(18:45分)今日、私は外出していましたので、私の懸念を伝えて、松末病院長に河内教授と話してもらいました。その報告を先程うけましたが、「泌尿器科は小線源治療には関わらない」ことで話がついた、とのことです。寄付講座の位置付けをはっきりさせること、現在泌尿器科に予約している患者への説明をいつするか、などについて、年明けに詳しく相談します。」

◆モルモットにされかけた23人の患者

泌尿器科による小線源治療が中止になったあと、泌尿器科に誘導された患者を岡本医師が担当することになった。被害者は23人。岡本医師が診察したところ、すさんな医療措置を施されていた事例が浮上した。たとえばシード線源を前立腺に挿入する手術の前段で、不要なホルモン療法を受けさせられた患者が見つかった。ホルモン療法により前立腺が委縮し過ぎて、手術するためには、もとの状態に戻るのを待つ必要が生じたのだ。

また、直腸がんの病歴があったために、もともと手術の適用ができない患者を通院させていた事実も明らかになった。この患者は、片道3時間の距離を8か月間、通院した。

被害にあった患者らは、患者会を結成して病院に抗議した。病院は医療過誤をもみ消そうとしたが、被害者らは謝罪を求め続けた。岡本医師は病院と患者の板挟みになったが、患者に寄り添う姿勢を示した。病院当局に対して被害者らに謝罪するように進言したのである。

このころから岡本医師と大学病院の間で亀裂が生じ始めていたようだ。病院にとって、患者会と岡本医師は、威風になびかない目障りな存在となったのだろう。2017年12月末をもって、寄付講座を終了すると一方的に宣言した。それに伴い手術後の経過観察のために通院していた患者らは、診療予約が取れなくなった。手術の順番を待っていた待機患者は、行き場を失った。あまりにも混乱の広がりが大きかったので、病院は寄付講座の終了時期を2019年12月末までの2年間延長した。ただし、手術はその半年前で終了とした。

岡本医師は、寄付講座が終了すれば失職する。寄付講座が始まった時点から所属が滋賀医科大ではなく、NMP社の寄付講座になっていたので、寄付講座が閉鎖されれば、どの組織とも雇用関係がなくなる。「岡本メソッド」消滅の赤信号が点滅し始めたのである。

◆カルテの不正閲覧から私文書偽造まで汚点の山

大学病院の強硬な姿勢に対して岡本医師の患者らは、反発を強めた。泌尿器科に囲いこまれた4人の被害患者が、河内医師と成田医師に対して説明義務違反を理由に損害賠償を求める裁判を起こした。同時に、患者会は寄付講座の存続を求める運動を本格化させた。JR大津駅のロータリーや滋賀医科大病院前で幟を立て街宣活動や署名活動を展開するようになった。

マスコミも徐々にこの事件を報じるようになり、滋賀医大は医療事件の表舞台へ浮上してきたのである。

こうした情況の中で大学病院は、岡本メソッドを誹謗中傷する方向へ走る。それは同時に、患者らが起こした裁判の抗弁対策だった可能性もある。

たとえば岡本医師がこれまで治療した1000人を超える患者のカルテ(電子)を閲覧して、医療ミスを探そうと試みた。この策略が取られていること分かったのは、カルテに閲覧歴が残っていたからだ。そいう電子カルテはそういうシステムになっているのだ。

閲覧者の中には、河内教授や成田准教授の名前は言うまでなく、病院の事務スタッフの名前もあった。彼らは、深夜や休日にも閲覧作業を行っていた。

しかし、法的な観点から言えば、カルテ閲覧に際しては、患者本人の承諾を得なければなれない。主治医は別として、第三者が勝手にカルテを閲覧することは禁じられている。しかも、「疑惑」がありそうなカルテ何通かを、病院外の医療関係者に送付して意見を求めていたのである。

また、病院が患者に対する記入調査を実施した際に所定の手続を取っていなかったことも分かった。この記入調査は、米国のFACT協会が版権を持つ「FACT-P」と呼ばれる前立腺患者を対象としたものである。患者会によると、病院はこの記入調査を寄付講座が始まった直後から、約3年に渡って実施していた。

しかし、実施に際しては、患者に対して事前説明を行い、同意を得なければならない。ところが患者らは、入院時と退院時に一種の義務のように記入を求められたという。

この点に関して患者のひとりが、河内医師に対して書面で問い合わせたところ回答があった。河内医師は、「記入していただいた調査票はカルテより削除させていただきます。以後、このようなことのないように各部署に徹底をいたします」と謝罪した。これを受けて、23名の患者が、病院に対して自分の調査票の開示を求めた。その結果、「退院時のものについては、23名全て、自署ではなく、他人が記名」(患者会のプレスリリース)していたことが分かった。また、「5名については、退院時調査票に、本人の考えとは異なることが記載されていた」ことが分かった。

このようなかたちで記入調査が実施された時期が、寄付講座が進んでいた時期と一致しているので、「患者は岡本医師の治療に満足していない」という証拠を集めることが目的だった可能性もある。

情報公開請求をした患者のうち5人が、この件を被疑者不詳で大津警察署に刑事告発した。罪名は私文書偽造だった。

大津警察署はこの事件を捜査した後、地検へ書類送検した。ところが不思議なことに地検から呼び出されて取り調べを受けたのは派遣会社の社員と非常勤の看護師だった。泌尿器科長の河内医師は何の責任も問われなかった。「被疑者不詳」で告訴したために、このような展開になった可能性が高い。

 
事件の全容は、『名医の追放』(黒薮哲哉著、緑風出版)に記録されている

◆滋賀医科大から大津市民病院へ

大津市民病院の理事長に内定した河内医師は、滋賀医科大で起きた事件の中枢にいた。河内医師と成田医師を被告とした裁判は、原告患者の訴えが棄却されたが、判決は成田医師について「訴訟態度に影響された供述態度は、真摯に事実を述べる姿勢に欠けるものとして、その信用性全体を減殺する」と認定するなど、原告の主張をかなり認定した。岡本医師による「医療ミス」もまったく認定しなかった。

詳細には踏み込まないが、判決は河内医師が「岡本」の三文判を使って、文書を偽造したことも認定した。

原告の井戸謙一弁護士によると、原告敗訴の理由は、裁判所が「医師の説明義務の範囲を狭く限定」したことである。

岡本医師は2019年の12月末に滋賀医科大を離れた。その後、宇治病院(京都府宇治市)へ移籍し、1年半の準備期間を経て、2021年8月から小線源治療を再開した。岡本メソッドが蘇ったのである。

大津市は、河内医師が理事長に内定した経緯を調査すべきではないか。とりわけ滋賀医科大事件のグレーソーンは、再検証しなければならない。大津市民病院の理事長ポストをめぐる京都府立医科大の同門同士のタスキリレーも検証する必要がある。それはまたジャーナリズムの役割でもある。

※滋賀医科大事件については、拙著『名医の追放』に詳しい。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年7月号
黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』

20万人の声を無視するな! 庶民のお金でカジノを呼ぶな! 維新が進める嘘とはったりの大阪カジノ構想は住民投票で決着を! 尾崎美代子

大阪府と大阪市が大阪湾の人工島「夢洲」に誘致を計画しているカジノを含む統合型リゾ─ト施設(IR)の是非を問う住民投票を求める署名が6月6日、各市町村の選挙管理委員会に提出された。

6月6日府内の市区町村で一斉に署名が提出された。写真は午後1時30分、西成区役所選挙管理委員会で

地方自治法によれば、府内有権者の50分の1以上の署名数が集まれば、知事は住民投票条例の制定を府議会に求めなくてはならない。署名活動を行った市民団体によれば、3月25日から5月25日までに集まった署名は、必要法定数約14万6500筆を大きく上回る20万8552筆に達したという。

今後、選挙管理委員会の審査で署名が「有効」と認められれば、吉村知事は住民投票実施の条例案を府議会に提出しなければならない。

しかし、吉村知事は6日の会見で「大阪のIRについては、公募をして事業者が決定しているし、府議会でも議論を行い、誘致することを議決している。住民投票を行う必要はないと考えているが、反対派の意見も聞いて進めていくことが重要だ」などと発言した。

都構想では、税金100億円を投入した住民投票を、2度も実施してきたくせに、カジノの是非には住民の声は必要なしと、いとも簡単に切り捨てるようとする大阪維新の態度に、「20万人」は黙っていないだろう。


◎[参考動画]【集まった署名“20万”筆】大阪・IR事業“カジノ”是非の住民投票求め署名を提出 吉村知事「今の時点で住民投票は必要ない」「依存症対策を正面から対応していく」(ABCテレビニュース 2022年6月6日)

◆嘘とはったりの大阪カジノ構想

吉村知事がいうように、大阪府は議会で可決した「区域整備計画」を4月、国に申請し、受理されている。しかし、それまでの経緯には、不透明かつ不当な問題が山積していた。筆者も、地元・西成区の受任者となり、署名活動を行ったり、桜田照雄・阪南大教授、原口剛・神戸大准教授を招いて学習会を行ってきた。2人の講師から、カジノの様々な問題点を学び、その場で受任者になった人も多かった。私の住む西成区で進む「西成特区構想」と同様、カジノ構想も、一部の維新に繋がる人たちなどが利権を貪る構想だとの思いが一層強まった。

松井市長は「カジノには税金を一切使いません」(2016年12月)、「事業者がお金を払って建ててくれる。府は家賃を貰うだけ」(20年10月23日)、吉村知事は「IRは民接民営事業なので、公でお金をだすものではない」(2021年7月21日)などと、「税金は一切使わない」としていたが、昨年12月、夢洲の土壌改良対策に約800億円の税金を投入することが判明、しかも、今後、液状化、地盤沈下対策費用は青天井に膨らむと予測されるのだ。

署名を開始した当初は「カジノ?」と、その計画すら知らない人が多かった。それだけ、こっそり進められてきたからだ。折り返し地点の4月25日、西成区民センタ─で開催された「受任者パワ─アップの集い」で、議会で計画を否決させた和歌山で署名活動を行った人たちから、「和歌山ではすぐにメディアが動いてくれたことが大きな勝因のひとつ」とお聞きし、メディアが全く動かない大阪では無理かもと悲観した。

「庶民のお金でカジノを呼ぶな」

しかし、その後事態は大きく動き出した。「あんたら、パチンコ屋にも反対せえや」などと言われ「いや、パチンコ屋はパチンコ業者が出資してますが、何故私らの税金使って博打場作るんですか?」となり、「税金使うんか?」「ええ、一人当たりにしたら約10万ですわ」「10万円だったら給付金に回して欲しいわ」などの声も上がった。

「秋には決まると吉村がテレビで言うてたで?」「決めるのは吉村ではない、国ですよ」。「海外の金持ちが来て、どーんと使ってくれるがな?」「ターゲットは日本人。しかも、世界中のビップ客を連れてくる『ジャンケット業者』は日本のカジノに入れません」「まあ、でもいつかは儲かるんやろ?」「ええ、黒字になるのは54年後ですが…」等々、あちこちで議論が深まった。

桜田教授が仰る通り、カジノ構想が具体性を帯びるなか、次々と湧き上がる疑問を解くうちに、誰の目にも嘘とはったりの大阪カジノはアカンとわかってきた。そして「カジノで大阪がつぶれる」がオ─バ─な表現でもハッタリでないことも。

西成の三角公園での炊き出しのあと、次から次へと署名する労働者

◆詭弁、すり替えで必死の吉村・松井に、更なるパンチを!

20万人の署名が集まったことを受けて、吉村知事はこう語った。「誘致するかどうかの住民投票をする必要はないと思いますが、反対派の意見を聞いて進めていくことが重要だと思っています。反対派の方の意見の中心的なところは依存症対策のところだと思います。なのでこの依存症対策について正面から対応していく」。

吉村知事のいうように、依存症対策は重要だ。1人の依存症患者の周囲には約6名の犠牲者が生まれるという。この依存症対策費用及び依存症患者が生む社会的損失の大きさを考えても、カジノは辞めるべきだ。しかも、決めるのは吉村知事、アンタではない、認可するかどうかを決める国(国土交通省)だ。

その国土交通省に、6月2日、「カジノに反対する大阪連絡会」のメンバ─らが、「カジノ誘致計画を認可するな」と申し入れを行った。「大阪のカジノ申請には住民合意がない」「認定計画の経済効果は過大ではないか」「ギャンブル依存症の発症2%だというカジノ事業者の発言は重大」「夢洲は集客施設を建設できる場所ではない」などの問題点を指摘したという。

同じ6月2日、署名活動の拠点となったタ─ネンビルで、担当者会議が行われた。筆者は、参加できなかったが、参加した仲間によれば、約2時間、20万筆署名を獲得した人たちの多くの意見が途切れることなく語られたうえで、今後の取り組みについて説明がなされたという。

「カジノ住民投票条例制定直接請求権署名運動」は「第2段階」に突入した。多くのメディアは、維新が多数を占める「府議会では否決される」と予測するが、「否決される」ではない、制定させるためにどうするかだ。

そのために、今後は、
①20万筆の住民投票を求める大阪府民の声を無駄にせず、必ず大阪府議会で条例案を可決させる運動、カジノ誘致を撤回させる運動を作っていこう!
②大阪府内72市区町村を結び府民が主体的に参加する、これまでの大阪にない新しい運動、新しく作り出した大阪府民のつながりをより強く、大きく発展させ、大阪府政、各自治体を包囲する大きな世論形成を進めていく、更なる府民参加を作り出そうなどが確認された。

そして参議院選挙公示前の6月19日(日)、中間総括を明らかにし、今後の方針を打ち出す「スタ─トアップ集会」(仮称)が予定されている。

日時・場所 6月19日(日)大阪市立生野区民ホ─ル(650名)13:00~15:00 
お問い合わせ カジノの是非は府民が決める住民投票をもとめる会
〒540-0012 大阪市中央区谷町2-3-1 タ─ネンビルNo.2・2階
(事務所開館は特別な場合を除き13時~18時)
電話:06-6585-0258 FAX:06-6585-0259

最終日5月25日、あべのキューズモール前署名ステーションでの決戦

▼尾崎美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年7月号
〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌 『季節』2022年夏号(NO NUKES voice改題 通巻32号)

【更に続報!】鹿砦社を「反社出版社」とか「極左崩れの企業ゴロ」と再三誹謗中傷したツイッターアカウント「leny φ(^▽^)ノ#鶴橋安寧!(@LenyIza)」が鈴木伸哉本人だという動かぬ証拠を実名で証言! 大学院生リンチ事件の隠蔽-被害者M君へのセカンド・リンチを続けた、しばき隊最悪質人物=鈴木伸哉の醜い言い逃れを許さない! 鹿砦社特別取材班

前回本通信で鈴木伸哉との会話を公表した。鈴木は重ねて「自分とは関係ない」、「この書き込みが自分のものであると証明しろ」と繰り返した。取材班キャップ田所は、情報の出所がリンチ被害者M君であり、それ故、鈴木の会社だけではなく、携帯電話の番号や自宅住所も知りえたし、アカウントについても同様であると「証明」した。それでも鈴木はひたすら「証明しろ」、「証明しろ」を繰り返したので、本日は「leny φ(^▽^)ノ#鶴橋安寧! (@LenyIza )」が鈴木のアカウントであることを、言葉ではなく過去の関係人物とのやり取りを示すことにより、誰の目にもわかるように再度「証明」する(本来このような無益な作業は不要と考えるが、鈴木が要求するので仕方なく時間を割く)。

以下はかつてカウンターであったが、リンチ事件を契機にカウンターの手法に疑問を持ち、現在は距離を置いている三輪吾郎さんからご提供いただいた情報である。実名で勇気ある「証明」を行っていただいた三輪さんに感謝したい。

まず紹介するのは、あるイベントで作成したチラシが余ったため、大阪市内居住の三輪さんが鈴木の会社まで残部を送付した際のやり取りだ。

三輪さんの自宅から鈴木の会社へ宅急便を送る相談がなされていることがわかる。この時期2人の間には、何のわだかまりもなく、むしろ一定の信頼関係があったと、このやり取りからは推認される。ところがM君リンチ事件後、鈴木の態度は一変し、三輪さんとも以下のやり取りを残している。

三輪さんと鈴木がこの時点ではもう決裂しており、鈴木が「神戸の時に俺の電話番号教えたよな?」と凄んでいる。が、実はそれ以前に鈴木は三輪さんに自分の名刺を渡し、会社の住所などを教えていたのだ。でなければ、最初に紹介した荷物の送付を行えない。

さて、鈴木は自らと自らの勤務先を限りなく特定させる書き込みをいくつも残している。

鈴木の勤務する会社はホームページによれば、1996年の設立であり、この書き込みと符合する。

そして今は敢えて名前は出さないが、鈴木は自身の勤務する会社の名前が判明する書き込みを複数行っている。

ここで鈴木が名前を挙げている会社と鈴木が勤務する会社が隣接していることは、Googleストリートビューではっきり目視できるので、関心がおありの方はご確認を。

ちなみに、これら書き込みは鈴木自身の手によるもの(誰でも見ることができる公開情報)であり、それを取材班のサイバー班が保存したものである。そして、

と鈴木は前職が大和証券であることを明かしている。土井定包氏は大和証券の会長を務めた人物である。

さらに、リンチ被害者M君ともかなり懇意な時期があり、以下の書き込みが残っている。

写っているのは、リンチ被害者M君で、「普段、硬派っぽい人ほど甘いものが好きな気がする。まっ、自分も好きやけど…*それにしても、めっちゃ嬉しそうな」とまるで恋人同士かと勘違いしそうなコメントを添えている。

その後、李信恵らによる集団リンチ事件によって鈴木と被害者M君の仲が決裂した後、この写真をコラージュした卑劣かつ非人間的が画像も何者かから発信されている(リンチ関連本第5弾『真実と暴力の隠蔽』巻頭グラビアに掲載)。これが鈴木によるものとの噂があり、このことについても「警告書」では真偽のほどを鈴木に求めている。回答がないが、「関係ない」と言うのなら、そう回答すればいいではないか?

もうこれ以上の言葉は必要あるまい。鈴木伸哉がツイッターアカウント「leny φ(^▽^)ノ#鶴橋安寧! (@LenyIza )」の発信者であることに争いはないだろう。

鹿砦社は金銭保証を求めているわけではない。前回警告した通り、鈴木が、「leny φ(^▽^)ノ#鶴橋安寧! (@LenyIza )」というアカウントがみずからのものと潔く認め、誠実な謝罪をすれば、これ以上の追及や、鈴木が電話で自ら求めた「裁判所」などに持ち込むつもりはない。

だが、本日が最終期限である。本日23:59までに、鹿砦社代表・松岡宛メール(matsuoka@rokusaisha.com)、あるいは書面(ファックス0798-49-5309)、そのほか形のある方法で鹿砦社に謝罪の意を明らかにするように要求する。これは本当の最後通告である。

《関連過去記事カテゴリー》
 しばき隊リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

そろそろ「カメジロー」幻想から訣別せよ! 鹿砦社代表 松岡利康

『週刊金曜日』6月3日号に植村隆社長が、沖縄を訪れ沖縄人民党の創設者、瀬長亀次郎を扱かったドキュメント映画『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』『サンマデモクラシー』を観、また瀬長を記念する「不屈館」の訪問記が掲載されていました。

 
琉球大学での革マル派学生死亡事件を報じる『朝日新聞』1971年6月19日夕刊。事件が起きた6月18日は、6月17日に返還協定が調印された直後で、以後の批准阻止闘争の準備の大事な時期に起きた。

本土返還の前年、沖縄決戦(返還協定調印‐批准阻止闘争)が沖縄-「本土」ともに盛り上がっていた1971年、瀬長率いる沖縄人民党の学生組織「民青」(みんせい)のゲバ部隊(「ゲバ民」と呼ばれました)が、革マル派の拠点、琉球大学の寮に夜襲を掛け、革マル派のリーダーを殺しています。私も沖縄闘争を自分なりに必死に闘っていたのでショックでよく覚えています。革マル派の機関紙『解放』では数ページ大きく写真入りで報じていた記憶が残っています。返還協定調印阻止闘争、秋からの批准阻止闘争と続く中で、その最前線の現地・沖縄で起きた事件――闘いの後退はやむなしで、べつに革マル派を支持するわけではありませんが、「何をやってくれたんだ」と思いました。

アメリカでは共産党は非合法化され、当時、米国領だった沖縄でもそうでした。なので、人民党が共産党と、名は違えど一体の組織として活動していました。本土併合後、沖縄人民党は正式に日本共産党に合流し、瀬長は副委員長として厚遇されています。

この事件後、革マル派は代々木の共産党本部に抗議行動を掛けています。沖縄人民党=日本共産党と見なしていたからです。

当時の沖縄人民党のトップは瀬長亀次郎でした。瀬長はこの殺人事件をどう扱ったのでしょうか? 民青の暴力による最初の死者ですから、おそらく人民党内では上へ下への混乱があったものと想像でき、トップの瀬長は苦慮したはずです。当時の民青は、口では「暴力反対」と言いながら、実際には新左翼系の運動や組織への暴力はひどかったです。私の体験で言うと、70年師走、某ノーベル賞受賞者の甥っこの先輩は、医者も見放すほどの瀕死の重傷を負いましたし、私自身も71年5月、民青の精鋭部隊から襲撃を受け病院送りとなりました。

先の2つの映画には果たしてその場面は出て来るのか(未見ですが、おそらく出てきていないでしょう)。映画の制作過程で、調べるうちにこの事件はきっと資料に出て来るはずですが、2人の監督は、この事件をどう考えたのでしょうか。見過ごしたのでしょうか? 私はいつも言うのですが、人の評価は、光が当たる部分だけでなく、影の部分も清濁併せて見ないと正確にはできないと思います。当たり前の話です。

瀬長を評価する場合も、その革マル派襲撃殺人事件をも含め評価すべきでしょう。植村隆社長にも機会あればぜひお聞きしたいものです。

瀬長亀次郎の一面を美化し過大評価するのは、もうそろそろやめたほうがいいでしょう。

事件から51年後の『週刊金曜日』2022年6月3日号の植村隆社長の沖縄訪問記。元『朝日新聞』記者の植村社長は一流のジャーナリストとされるが、ジャーナリストであれば、カメジローの影の部分をも調べて欲しい。
最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年7月号
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辻めぐむ弁護士 岸田総理の地元の広島中心部で自民・維新の軍拡・新自由主義に真っ向から対決! さとうしゅういち

れいわ新選組の参院選2022予定候補の辻めぐむ弁護士は5月31日、岸田総理の地元でもある広島市中心部を遊説し「戦争をしないと決めてきた国のあり方を軍備拡張で崩そうとしている岸田政権と対決する」「『官から民へ』で一部の企業の金儲けにしかなっていなかった新自由主義に真っ向から反対する」等と訴えました。

辻弁護士は1948年生まれ。大阪府立大手前高校ご卒業のあと、東京大学法学部へ。この年代のご多分にもれず、学生運動に参加され、ご卒業後は1981年から弁護士として活躍されました。ご本人によると、既成の政党には与党はもちろん、野党にもものたりなさを感じて、議会よりは市民の力で変えていく方向に魅力を感じておられたそうです。しかし、アメリカの要求で裁判の迅速化をもとめる法律が2002年にできてしまったとき、危機感を抱き、政界へ。「法律を変えるには権力をとらないと。それは、民主党しかない」ということで、それまで一度も投票したこともない民主党から衆院選に立候補し、2003、2009年に当選しています。

しかし、民主党が官僚やマスコミの攻撃の前にマニフェストを守れずに消費税も増税に舵を切ったことを悔いて、立憲民主党など、旧民主党の「本流」からは距離をおいておられました。そして2021年の衆院選2021でれいわ新選組から立候補。惜敗率が2位で惜しくもおよばず、今回の参院選2022全国区に復活をかけておられます。

◆自民や維新の核共有や大軍拡路線を批判

辻弁護士はこの日は爆心地に近い広島市中区の本通からスタート。中心部の商店街を練り歩いたり演説したりしながら通過しました。

岸田政権に対して「争点を隠して安定多数を得て、3年間でやりたい放題しようとしている」と指摘。

その上で、ロシアのウクライナ侵略は糾弾されるべきとしつつも、それに便乗して核共有や大軍拡を主張する自民や維新について「交戦権を否定してきた77年間の国のありかたを失うものだ。」と厳しく批判し、被爆地である広島市民に対して「外交努力を重視する」れいわ新選組への支持を訴えました。

◆民主党政権を反省

一方で、自分自身が関わった民主党政権については、「当時は『財源がないから』、という理由で(財務大臣になった民主党幹部が財務官僚に洗脳されて)マニフェストに掲げた公約の多くを実行せずに、みなさまを失望させてしまった。」と、反省と謝罪をした上で、「その反省の上に(財政出動を主張する)れいわ新選組がある。」と、紹介しました。そして、もう一度、れいわ新選組を大人の政党に育て、政権交代をもう一度やっていきたい、と決意を表明しました。

◆維新と正反対、公務員をふやして公共サービスを充実させる

国の広島合同庁舎前で演説するれいわ新選組の参院選2022予定候補の辻めぐむ弁護士(右)と筆者

また、「官から民へ」のスローガンで進められた「国鉄の民営化、郵政の民営化、水道の民営化」などについて「一部の人の金儲けのためだ。」と斬りました。

自身の地元の大阪においては、公務員をへらしすぎて役所の仕事をパソナにやらせ、結局公金が一部の人の金儲けに流れている、と紹介。また、水道の民間委託で検査の間引きなども行われて、日本のほこれる水道網が危機にある、と指摘しました。

民主党政権もこうした新自由主義路線を自民党から引き継いだままだったことを反省。「れいわ新選組の公務員をふやすというマニフェストは、年々ニーズがたかまる公共サービスを充実させていくことだ。」と訴えました。

◆スタジアム近くではカープファンにもアピール

マツダスタジアムに近い広島駅南口では、球場にむかうカープファンに対して「1975年10月のカープ初優勝のときは、長嶋ジャイアンツをやぶって優勝を決めた試合では、三塁側でしゃもじをふってカープを応援した」とアピールしました。


◎[参考動画]「軍拡、新自由主義と真っ向から対決」総理の地元の広島中心部で辻めぐむ弁護士

◆辻弁護士来広前に市内各地で筆者らも宣伝

さとうしゅういちとれいわ新選組は、この日、辻弁護士が来広する前に市内各地で街宣をおこない、「憲法は変えるよりも25条をいかす」「公務員の労働条件はまもり、公共サービスをまもる」れいわ新選組の方針を紹介しました。

国の広島合同庁舎前では、登庁される国家公務員労働者の皆様にれいわ新選組はボーナスカット法案(組合が推薦する立憲・国民は賛成)に反対するなど、公務労働者の労働条件を最も守る党だとご紹介しました。そして、この2、30年の公務員削減路線はあらため、必要な公務員は補充すること、また、非正規差別・使い捨ては公務現場からあらため、非正規の正規化を進めると力を込めました。


◎[参考動画]公務員労働者の労働条件を最も守るれいわ新選組 さとうしゅういち合同庁舎前で訴え

その上で、「低い方にひきずりおろすのではお釈迦様のクモの糸の話のようにみんなで落ちてしまう。」「低い方にひきずりおろすのではなく、まともな方にひくすぎる方を底上げしよう。」と語りかけ、さとうしゅういち自身も該当する民間の介護労働者や保育労働者の給料アップなどの政策にも公務労働者の皆様のご協力をお願いしました。

れいわ新選組チーム広島とさとうしゅういちは、引き続き、公務労働者の皆様の労働条件をまもることも、市民、県民、国民の安全、安心を守ることにつながる、地域に若い人にきてもらうことになり、地域の活性化にもつながると、訴えて参ります。

その後、安佐南区の安田女子大学前、緑井フジグラン・天満屋近くでも街頭演説を行いました。
「憲法は変えずに25条をいかす」
「くらしにコロナや戦争による輸入物価上昇が追い討ちをかけているなか、消費税廃止、ガソリン税ゼロ、学費タダなどで緊急対策を。」
「軍拡ではなく粘り強い外交努力を」
などと、憲法と経済政策についての主張を中心に訴えました。


◎[参考動画]「憲法は変えずに25条をいかす」さとうしゅういちIN安佐南区緑井

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

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