広島県知事の湯崎英彦さんへ 「安倍化」するあなたと「国葬参列」に元部下・後輩として諫言します さとうしゅういち

広島県知事の湯崎英彦さん。あなたは県庁職員だった筆者にとり、元上司で大学の尊敬する先輩です。あなたの最初の県知事選挙ではもちろん、あなたに投票しました。

あなたは9月12日、故・安倍晋三さんの「国葬儀」、俗にいう国葬に参列することを決めました。「大変残念」の一言です。

そもそも、人の死に差別をつけるのは法の下の平等に反するという原理原則があります。また、そこまで踏み込まずとも、弔意を事実上、強制するようになればこれは憲法違反です。そしてそういう行為に公金を支出することは許されない。それに、知事であるあなたが出席するのも許されないことであり、筆者も一会員である広島3区市民連合は山田代表名で9月5日に住民監査請求を行っています。

◆芸能人や医師なら権力者ほどの弊害はない

一方で、中華民国(台湾、李登輝総統)が1995年、テレサ・テンを国葬にしたような例で、権力者でない偉大な芸能人なりあるいはノーベル賞級の作家なりなら、権力者の場合ほどの弊害はないという思いは筆者もあります。

あるいは、中村哲医師の棺を当時のアフガニスタン大統領(実際にはタリバン優勢の中、日本の室町時代の第13代将軍の足利義輝程度の権威しかなかったとはいえ)が担いだ例はあります。その中村哲医師なら、憲法9条を持つ国としての国葬もありだったのではないか、という思いもあります。

しかし、安倍晋三さんに限らず、湯崎さん、あなたも含めて、そしてわたしも含めて政治家というものは批判されるためにあるものである。国葬という形で神聖化されることは、冷静な批判を困難にしてしまいます。この点が、テレサ・テンなり中村哲医師の場合とは決定的に異なる点です。

◆広島県民に多大な迷惑1 ── 河井事件

その上で、安倍晋三さんは広島県民に多大な迷惑をかけています。その一つは河井事件です。この事件で1,5億円を河井案里さん側に渡した最終責任者はほかでもない自民党総裁の安倍晋三さんです。「安倍さんから」といって河井克行受刑者からお金を渡された筆者の身近な地方議員(河井案里さん逮捕直後に辞職)もおられます。本来であれば、安倍晋三さんは証人喚問されるべきだったのです。そして、全てを包み隠さず話すべきだった。その説明責任を果たさぬまま、山上徹也被疑者の凶弾に斃れた。斃れたこと自体はお悔やみ申し上げますが、十分な時間がありながらなんの説明もしなかったことは許しがたいものがあります。

◆広島県民に多大な迷惑2 ── 2度の大水害での拙劣な危機管理

そして、安倍晋三さんは広島土砂災害2014、その4年後の西日本大水害2018で多大な迷惑を拙劣な危機管理という形で広島県民にかけています。

広島土砂災害2014から8年を経て ── 「教訓が十分活かされていない」という教訓 

広島土砂災害2014では、すでに大被害が明らかになっている状況で、ゴルフを始めた安倍晋三さん。天皇(現上皇)が那須御用邸での静養を取りやめてから慌てて、別荘での休暇を取りやめるというドタバタを見せました。

西日本大水害2018から4年 改めて振り返る〈3〉 総裁選対策「だけは」万全だった故・安倍晋三さんの夏 
旧統一教会の「家庭主義」が妨げるくらしの再建、そして日本の「アップデート」 

そして、西日本大水害2018。7月5日夜の「赤坂自民亭」はあまりにも有名すぎます。大被害が出はじめた翌6日、そして7日の夜も総裁選対策などの宴会を安倍晋三さんはされていたのです。

こうしたことから、県内でも、被災者やボランティアの怒りが爆発。ある被災地の現場では、ボランティアの一人が「総理を暗殺するやつがいたら面白いのに」という冗談に一同大爆笑、という一幕もありました。暗殺事件が起きたいまとなってはシャレにもなっていません。しかし、被災地のボランティアにかけつけるということは、広島という地域を愛しているからこそではないでしょうか?そういう方から「暗殺するやつがいたら面白いのに」と冗談でも言われてしまうようなまずい危機管理の男。こんな男の国葬(正式には国葬儀)に、広島県知事が参加するなど、屈辱でしかありません。

◆「安倍化」する湯崎県政

一方で、湯崎さん。あなたの県政自体の「安倍化」も嘆かわしいものがあります。就任当初は部下の一人として大変期待していただけに、がっかりです。安倍晋三さんは外資にやりたい放題させましたが、湯崎さん、あなたも同様です。

例えば、広島県はいまや全国でも産廃処分場への規制が緩い県です。こうした中で、外資系の企業が広島市安佐南区上安の産廃処分場を買収し、巨額の投資で拡大しようとしています。儲かるからそうしているわけです。

お友達との癒着という点でも湯崎県政は安倍晋三さんと酷似しています。湯崎さん、あなたの腹心の平川教育長は、自身の生まれ故郷の京都のNPOのために県の金で仕事をつくってやった疑惑がもたれています。少なくとも、NPO幹部=出入りの業者と飲食することは、一般職公務員だったら公務員倫理規定・要綱(組織によって微妙に名称は違うが内容はさして変わらない)違反ですし、国務大臣なら大臣規範に違反します。ところが、平川教育長は教育長にこうした規定が適用されないことをいいことに、やりたい放題されていたふしがあります。一方、故・安倍晋三さんも大臣規範が総理に適用されないことをいいことに、妻の昭恵さんと一緒にやりたい放題しておられました。まさに、瓜二つとはこのことです。

◆安倍・湯崎 経産省的な軽さという共通項

安倍晋三さんは経済産業官僚を重用されていました。湯崎さん、あなたも旧通産省ご出身です。筆者の大学の先輩、同級生、後輩にも多く経済産業官僚はおられます。人間としては面白い人が多いし個人的には筆者も彼らは好きか嫌いかと言えば好きだ。公務員離れしている人が多いのです。湯崎さん。あなたが、就任当初に「知事ではなく湯崎さんと呼べ」とおっしゃったのには感動しました。ある種の経済産業省的なものの良い面だったのでしょう。しかし、経済産業省的な感性で全体が運営されるのは筆者の行政経験に照らして不安を感じます。そうした「軽さ」の弊害が湯崎さん、あなたの県政でも安倍晋三さんの政権でも噴出した感があります。

◆「国葬参列」表明はある種の必然だが許しませんよ

湯崎さん。上記にも指摘したあなたと安倍晋三さんの親和性から「国葬」へのあなたの参列表明は、雰囲気的に予想はしていました。しかし、筆者はもちろん、それは許しません。監査請求への協力や街頭活動も含めて湯崎さん、あなたに元部下としてガツンとモノ申していく所存です。

◆何がやりたいかさっぱりわからない中央政府に県民を守る立場でモノを言ってください

湯崎さん。それにしても、中央政府はいったいなにがやりたいかわかりません。

以下のような旧統一協会問題相談集中強化期間の実施は遅きに失したとはいえ、やっています。

「旧統一教会」問題相談集中強化期間について(法テラス)
合同電話相談窓口
電話番号 0120-090590
受付時間 9時30分から17時(平日)
開設期間 9月5日(月曜日)から9月30日(金曜日)

問題は、せっかく国を挙げて上記をやりながら旧統一協会の広告塔になり、事実上の「協会葬」もしてもらった安倍晋三さんをなぜ、「国葬」にするのか?ということです。

旧統一協会側は、「国葬になった人も推薦していた団体です」ということで、今後も宣伝に悪用するのは確実です。

日本国として何がやりたいかさっぱり見えてこないのです。そういう日本国政府に対して、県民を守る立場からモノを言うのがあなたの仕事ではないですか?筆者の周囲でもそれなりに「親戚が、友人が統一協会にハマってヤバいよ」という話は聞いています。県民を守る立場に立とうではありませんか?

県としてできることは限られているかもしれない。それでも、例えば、筆者やれいわ新選組の公約でもある「安くて追い出されない住宅」を県が提供することはできる。そういう政策が実現していれば、例えば山上徹也被疑者や山上被疑者の兄上のような状況の方だってあそこまでは追い詰められないでしょう。

湯崎さん。国葬中止と「親が統一協会にハマっても生活を立て直せる日本、広島」をともにつくろうではありませんか? 元部下として、また、大学の後輩として、伏してお願い申し上げます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2022年10月号
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総理の地元・広島から国葬反対で署名・監査請求へ さとうしゅういち

安倍晋三さんの国葬を早々と決めてしまった岸田文雄総理。その岸田総理の地元・広島市内からも、国葬反対の声が強くなっています。

◆広島3区市民連合が団体として取り組む決議

 

広島3区市民連合(代表・山田延廣弁護士)は8月28日、総会を開催。筆者も、れいわ新選組を代表してあいさつをさせていただきました。この総会で、故・安倍晋三さんの国葬に反対する署名運動(紙ベース)と、知事の湯崎英彦さんが国葬に出席しないように監査委員に必要な措置を求める住民監査請求に取り組むことを決議しました。

広島3区市民連合は、その中心メンバーが河井案里さんと夫の克行受刑者夫妻による買収事件の告発を行い、両名が逮捕・起訴・有罪に追い込まれるきっかけをつくりました。

今回、決議された、①ベースでの国葬反対の署名運動、②湯崎英彦知事が国葬に出席しないよう必要な措置を求める住民監査請求は、いわゆる執行部提案の議案にはありませんでした。しかしながら、会場に参加した一般会員からぜひ取り組んでほしい、との声が次々と上がりました。

 

「ネットでは、国葬反対の署名運動がたくさん起きている。しかし、これではお年寄りにはお願いしにくい」(安佐南区在住の60代男性)

「国葬は憲法の政教分離に反するのではないか?これをきっかけに、政教分離をきちんとすべきではないのか?」(安佐南区在住の70代男性)

「地域の知り合いからも国葬するなんてどうなっとるのじゃ?!という声が多くある。ぜひ、取り組んでほしい。」(安佐南区在住の60代女性)などの声が続出しました。

これを受けて、執行部は検討する、と答弁しましたが、「ここは総会で、最高決議機関なのだから、ここで決議しようではないか」という声が出て、国葬反対や監査請求に取り組むことが決議され、詳細は執行部に任せることになりました。

◆「大きい声で言えぬが安倍さんはやられて当然」案里さんの元支持者からも

筆者は地域の皆様に一軒一軒ご挨拶にうかがっています。その中で以下のような声もいただいています。

選挙のたびに河井案里さんに投票してきたという女性は、「大きい声では言えぬが、安倍さんはやられて当然。彼のせいでうちらの年金も減らされてきたのだし。案里さんは女性でがんばっているから入れてきたけど。国葬なんてとんでもない。」と小声でおっしゃいました。

また、ある男性は「安倍はやられて当然さ。それより、山上徹也被疑者を死刑にしないでほしい。あいつは気の毒だ。よくやったと思う。」と、山上徹也被疑者に同情される方もいらっしゃいました。

すでに、西日本大水害2018の時には、安倍晋三さんの危機管理のヌルさにいら立ったボランティアから「8.6に広島に来る総理を暗殺するやつがいたら面白いのに。」という冗談が休憩時間中に飛んで、一同大爆笑になったのを筆者はよく覚えています。

その方は、「総理が現場に視察に来るのは迷惑だけど、天皇陛下が来るのはありがたい。」という言い方をされていました。ですから、いわゆる反安倍の左翼ではありません。むしろ保守的な方でしょう。

広島の場合は、岸田さんを支持する人は多いのですが、安倍さんにたいしてはむしろ反感のようなものも強く感じます。安倍政権時代の2017年の衆院選でも県内の野党の比例票が与党を上回っていました。広島は超ウルトラ保守王国です。小選挙区で岸田さんを通すけれども、比例では野党、という人も多かった。安倍さんに拒絶を示している人はそもそも多かったのです。岸田さんに期待はするけど、安倍さんは嫌い、という層がどう動くか?今後が注目されます。

◆住民監査請求、全国各地で

報道で皆様もご存じと思いますが、知事が国葬に出席するための出張旅費の支出を差し止めるための住民監査請求は各地で起こされています。8月19日、北海道、大阪、京都、兵庫ではすでに起こされています。国葬は追悼を国民に強いるものだとして、憲法14条や19条に反するものだと訴えています。

国葬そのものを阻止できなくても、地域を代表する知事が出席しなければ、9月27日の国葬当日のその地域の雰囲気もだいぶ違うことになるでしょう。弔意を強要されるような雰囲気でもなくなるでしょう。

◆河井事件、水害時の危機管理の検証を妨げる国葬

筆者ももちろん、安倍晋三さんの国葬には反対です。国葬令が廃止された時点で法的な根拠もなくなっています。1967年に吉田茂を国葬にした際も、大きな反対運動が起きていますが当然です。

広島に関連していえば、河井案里さん側にわたった1.5億円は、当時の自民党総裁の安倍晋三さんが最高責任者です。国葬で、安倍さんを天皇と同格に持ち上げることは、真相の解明を妨げることになります。

また、西日本大水害2018における安倍内閣の危機管理は大きな課題を残しました。このことを検証し、将来の災害の際に人々の命を守れるようにするためにも、安倍晋三さんを過剰に持ち上げる国葬はマイナスです。

そして、旧・統一協会の問題も大きい。すでに、安倍さんは、旧・統一協会により、ソウルで大々的に追悼をしてもらっています。そのような男を国葬にするということは、日本という国家が誤解されることになる。いや、統一協会まみれという真相を世界に暴露するという意味はあるのかもしれませんが、やはり恥ずかしすぎることです。もちろん、弔問に来てくれる各国要人はそういうことは表に出しませんが、外国人も本音と建前は使い分けるということを忘れてはいけないのです。取り返しのつかない恥をかく前、国葬は中止、ないし、せめて故・中曽根康弘さんなどの先例に倣って内閣と自民党の合同葬にすべきでしょう。

すでに、各国の現役首脳も参加を見送る方向です。「弔問外交」という国葬賛成派の論拠も崩れつつあります。ここらへんで引き返したらいかがでしょうか? 岸田総理。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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党綱領を自ら否定した自民党は即時解散せよ 岸田内閣改造人事の真相 月刊『紙の爆弾』2022年10月号
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広島土砂災害2014から8年を経て ── 「教訓が十分活かされていない」という教訓 さとうしゅういち

2022年は、広島県内に大きな被害を与えた西日本大水害2018(県内の死者・不明者114人)から4年、そして、広島土砂災害2014(県内の死者77人)から8年となります。

追悼演説

二つの災害で、広島と言えば土砂災害、というイメージを持たれている方も多くなりました。実際、遠方から来られた観光客の方が、電車の窓から、山間部に広がる住宅地をご覧になり、不安そうに会話されているのをよく拝見しています。

筆者は、両方の災害で、復旧のためのボランティアとして現地に入っています。そして、2014年の広島土砂災害のときの教訓が十分生きていれば、2018年の西日本大水害での被害も抑えられたのではないか?という無念さを感じています。

また、両方の災害において、国葬を地元の岸田総理が強行決定した故・安倍晋三さんの危機管理のお粗末さが表れたことも特筆されます。安倍晋三さんに関しても、4年前の災害の教訓をまったくいかしていないと言わざるを得ません。

県政・市政でも、国政でも「教訓が活かされなかった」ことが教訓である。そのように考えます。そして今後、そのようなことが絶対に繰り返されないようにしたいと誓うものです。

筆者は広島土砂災害2014から8年を前にした8月19日、同災害の大きな被災地である広島市安佐南区山本や緑井で街頭演説。「災害に強い社会とはひとりひとりに優しい社会だ」などと訴えました。

また、緑井では続けて同じ場所で行われた広島3区市民連合の街宣にも参加。「二つの広島を襲った災害での危機管理がまずかった安倍晋三さんの国葬は、故人の神格化を通じて危機管理の検証を妨げることになる」などと力を込めました。そして、最大の被災地のど真ん中の梅林小学校の慰霊碑に参拝し、献花しました。

◆広島土砂災害2014契機に東京帰還を中止した筆者

慰霊碑献花

広島土砂災害2014は2014年8月19日深夜から翌20日の未明にかけて広島市北部の安佐南区・安佐北区のそれも狭い範囲で発生した線状降水帯による集中豪雨が引き起こしました。

筆者は、2014年の発災当時は、14年余り活動してきた広島を後にし、事実上の故郷である東京へ事実上、活動拠点を移していました。東京での就職も決まり、あとは、家の契約も決まっていました。これは、一つは、筆者の政治活動が頭打ち状態で、自身の仕事もなおかつ支持基盤となるような方が東京の方が多い、という判断もありました。筆者は、参院選広島再選挙の政見放送でも述べたように将来的には広島県選出の参院議員か広島県知事か広島市長かになり、「エコでフェアでピースな世界をこの広島からつくっていく」ということをずっと公言していますが、当時は、結婚を機にまず東京で再起を図るということを考えていました。

ところが、この災害がひとつの転機となります。おそらくこの災害がなければ筆者は、東京で国政選挙を目指したかもしれません。実際に、東京都内で街宣活動も始めていました。それがこの災害を契機に一変したのです。

「お世話になった広島、それも自分がお世話になっている安佐南区が大変なことになっている。」

状況の中で、筆者の選択は、広島へ戻る一択でした。

筆者は、就職が内定していた先の企業や入居が内定していた不動産屋さんに頭を下げ、キャンセル。

23日夜には広島市安芸区の妻の実家にいったん入りました。そして以下のメッセージをネットで発信しました。

【緊急に被災地入りへ】
被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。
わたくし、さとうしゅういちは、本日夜、広島市入りします。
今回、お世話になった地域が甚大な被害を受けました。そうした中で、天候や自分自身の日程も見ながら、最善のことをさせていただきたいと存じます。
東京移転後も、安佐南区内のさとうしゅういち事務所はまだ引きはらってはいません。明日以降は被災地に近接する安佐南区祇園のさとうしゅういち事務所を拠点に行動します。
また、今回の甚大な災害を受け、「東京に移転」としていた、わたくし・さとうしゅういちの今後の活動についても再度修正の可能性がございます。当面、被災地の広島県民の皆様の暮らしの復旧に力を尽くします。よろしくお願い申し上げます。2014年8月23日

◆一見平静な被災地の隣接地区 被災地から通う人も多く

24日には、広島市安佐南区古市橋駅近くの事務所兼自宅に入りました。ここは、被害が最もひどかった地域の南端にあたる緑井地区からも直線距離で2kmしかありません。この日は、雨が降り、ボランティア活動は中止でした。

事務所がある祇園・古市地区は、大雨の際、最大の商業施設のイオンモール祇園が浸水しましたが、大きな被害もなく、土曜日とあって、カープ観戦にユニフォームを着ていかれる親子連れも見られました。

しかし、行き付けの美容室の女性美容師さんは、可部地区在住です。床上浸水で、片付けに4日もかかったそうでした。この日、ようやく、母親の自宅と併設の美容室に出勤され、筆者が最初の客だったようです。ましてや、土石流に直撃された場所においておや。被害規模は想像以上です。そういう人でも生活のために仕事はしないといけない。そうした人がされている店を利用するなどもボランティアができない日の支援の方法だと思いました。

そして、翌日には以下のメッセージを筆者は発信しました。

【災害対応につき8月末までの関東での予定はすべてキャンセルです】

わたくし、さとうしゅういちが関東エリアで8月末までに入れていたスケジュールは、安佐南区の災害によりすべてキャンセルとさせていただきます。大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解・ご協力、よろしくお願いいたします。

この日もボランティアどころではなく、まず、広島で再スタートするための環境整備に時間を費やしました。

また、奮闘されている他党派の方にも激励のメッセージをさせていただくなどしました。

8月31日には、温かいみそ汁を被災者の方に提供するボランティアに参加

26日には、緑の党・ひろしま代表として、現地調査を行いました。 

そして、それを広島市議会各会派やマスコミ関係者などにもお送りしました。

28日には広島市議会の全員協議会があり、傍聴をさせていただきました。

また、当時は広島で唯一の野党所属の衆院議員だった中丸啓さんには、広島市の災害対策本部に我々の提言を提出していただきました。現在は自民党議員の秘書をされているそうですが、災害時は与野党ありません。とにかく市民のためにできることを精一杯させていただきました。

8月31日には、温かいみそ汁を被災者の方に提供するボランティアに参加しました。

翌9月1日から可部線がようやく、可部までの全区間、仮復旧しました。筆者は、9月4日には二回目の被災地の現地調査を行いました。

八木地区

さらに、5日に八木地区(写真)、7日に緑井地区で復旧作業に従事しました。大きな被害があったのは、本当にいま思えば、狭い範囲でした。

だが、4年後、まさか、同じ場所ではありませんが、県内の広い範囲で、これよりもすさまじい土砂災害が起きるとは、この当時は筆者も夢にも思っていませんでした。

同程度の被害範囲の災害を頭の中では想定はしていましたが、2018年のような広い範囲の災害は想定していませんでした。

残念ながら、被災地である安佐南区・安佐北区選出以外の市議や県議の中には支持者からの「先生、お忙しいのでは?」との見舞いの挨拶に対して「そんなことないよ。うちの区は被害がなかったし」という緊張感のない返答をされていた、と当該議員の支持者からうかがっています。

広島市民・県民の多くも被災者に対して同情し、支援しなければ、という気持ちにはなっても、「まさか、自分の地域にふりかかることはあるまい」という気持ちが潜在意識の中のどこかにあったのではないでしょうか?

◆もし、2014年の教訓を生かしていれば、避けられた2018での被害拡大

2014年の広島土砂災害の教訓はもちろん一定程度は生きました。具体的には被災地での砂防ダムの整備です。

写真のように、最大の被災地の梅林地区(住居表示では安佐南区緑井と八木にまたがる)では砂防ダムが多く建設されました。

 

広島の場合、平地が狭く、1970年代前後に山間部に危険性を顧みずどんどん開発を許可した経緯があります。いますぐ危険地帯からの撤収が難しい以上は、砂防ダムをつくって安全を守るしかありません。しかし、その砂防ダムも土砂がたまっていけば機能しなくなります。それどころか、むしろ、西日本大水害2018の時は危険要因にすらなってしまいました。

具体的な例を挙げれば、安芸区矢野では、枕崎台風の教訓から、砂防ダムを県が整備しました。しかし、浚渫が全く行われず、土砂がたまっていました。これは危ない、ということで地域の住民が県に陳情をしていました。広島土砂災害2014以降ももちろんです。ところが、県の対応は「けんもほろろ」だったのです。その矢先に、西日本大水害2018が発生しました。砂防ダムはぶっ壊れ、大量の土砂が矢野地区を直撃。20棟の住宅が全壊して犠牲者が出ました。ボランティアに伺った家の住民のうちの一人は、「開発を許可したのも県。砂防ダムを放置し、住民が陳情してもけんもほろろだったのも県。行政が抜けていた部分があった。」と悔しがっておられました。

現在、県内各地で砂防ダムの整備は一定程度進んでいます。2021年の大雨では、西区で土石流が発生しましたが、2014年や2018年の災害を教訓に砂防ダムを整備していたおかげで犠牲者を出さずに済んでいます。

ただ、今後、砂防ダムをつくるだけでなく、きちんと定期的に浚渫するなど手入れをする。そのための予算を増やす。こうした措置をとらなければ、西日本大水害2018において矢野地区で起きたようなことになりかねません。広島県や市政の首長、職員、そして議員全員は特に肝に銘じておかなければのではないでしょうか?

◆減らしすぎた地方の予算・人を拡充せよ

また、災害対策のためにも、ガツンと国に対して予算と人の確保を要求していくべきではないでしょうか?

この20~30年、あまりにも県も市町村も人を減らしすぎました。県は県で、当時の総務省いいなりで県の仕事を市町村に丸投げし、そのために市町村を全国でも二番目のペースの86→23に減少させました。その結果、すでに、広島土砂災害2014の時点では、担当の県庁職員は限界でした。あるとき、筆者がある会合で得意満面で政策を語っていたら突然、筆者の後輩の女性県庁職員が立ち上がり、「そんなことより足元の広島県内の災害でわたしたち県庁職員は大変なのです。」と筆者はお叱りをいただきました。そうした状態のまま西日本大水害2018,コロナ災害を迎え、県庁職員は「てんやわんや」の状態になっています。

◆災害に強い社会はひとりひとりに優しい社会だが

筆者は、広島土砂災害2014の時点で、災害に強い社会はひとりひとりに優しい社会だ、言い換えれば『平時から、一人一人に病気や怪我や加齢や育児や失業などで困ったことがおきても、安心して生きていける福祉社会こそ、災害にも強い社会』と痛感しました。

例えば、そもそも、普段から安全な場所に安くて追い出されない住宅を公共で整備していれば、危険な場所にマイホームを建てる、などということも起きなかった。
また、そもそも、社会全体として、怪我や病気、あるいは育児や介護で仕事を休みやすい仕組みになっていれば、災害時も、だいぶ楽ではありませんか?

この災害を教訓として社会が変わっていれば、西日本大水害2018のときはもちろん、コロナ災害のときだってだいぶ違ったでしょう。残念ながらその意味でも、広島土砂災害2014の教訓は活きませんでした。それどころか、ひどい方へひどい方へと向かっているように思えます。

◆安倍晋三さんの杜撰な危機管理は2014年から

最大の痛恨事は、その土砂災害の教訓を生かすどころか、ともすれば反対方向へ向かった時代のこの国の為政者が2014年、2018年、そしてコロナ災害発生時まで同一人物であったということです。

故・安倍晋三さんの西日本大水害2018における危機管理はお粗末極まりました。具体的には、「赤坂自民亭」に象徴されるように、災害時も宴会三昧だったこと。その後もカジノ法案に夢中だったこと。そして通常国会閉会後は夏中、ずっと国会も開かず、補正予算の審議もしなかったこと、などです。

安倍晋三さんは、2014年の広島土砂災害ですでに失態をしています。すなわち、8月20日朝、山梨県東部富士五湖地方の別荘におられた安倍晋三さんは、当時の茂木経済産業大臣らとゴルフに出てしまわれた。2時間弱で切り上げ、11時には官邸に入ったというが、その日のうちにまた、別荘になぜか戻ってしまった。そして、翌日夕方、また東京に向かうというちぐはぐな行動をされています。官邸に出勤した後、公邸で待機していればここまでバタバタすることはなかったはずです。一説では、旧友と別荘で会うのを優先したという。このような方が、しかし、その後も2014衆院選、2016参院選、2017衆院選と圧勝した結果、慢心し、西日本大水害でのお粗末な危機管理や一連のお友達優遇政治となったのではないでしょうか?

安倍晋三さんが暗殺されたことはお悔やみ申し上げます。しかし、国葬という天皇と同格で故人を持ち上げることは、故人が為政者だった時代における危機管理のまずさや人々の暮らしに対する冷たさをきちんと分析し、教訓を将来にいかすことを妨げるのではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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西日本大水害2018から4年 改めて振り返る〈3〉 総裁選対策「だけは」万全だった故・安倍晋三さんの夏 さとうしゅういち

西日本大水害2018からこの夏で4年が経過しました。(前回記事)

くどいようですが、7月8日に安倍晋三さんが凶弾に斃れられたことはお悔やみ申し上げます。

しかし、今年も各地でこれまでにないような記録的な大雨が降っています。また、コロナと記録的な暑さのダブルパンチで医療の逼迫もつたえられています。4年前の夏の安倍晋三内閣による危機管理を検証していくことは、人々の命を守っていく上でますます重要ではないでしょうか?

国葬はいわば天皇と同格の扱いをすることになります。そのことで冷静な検証ができなくなることを恐れます。

◆近所に建設会社があると復旧スムーズ、しかし安倍さんの政治は?

時は、2018年7月19日に戻ります。筆者は安佐北区口田の被災現場に4たび入りました。この時はマンション一階の駐車場の泥の搬出に従事しました。

ここでは近所の建設会社の重機が活躍しました。建設会社というのは、1990年代のいわゆるゼネコン疑獄以降、すっかり悪者にされてしまいました。

そして、小泉政権では大幅に公共事業費がカットされてしまったのです。さらに、残念ですが、民主党も新自由主義的な側面もあり、公共事業費を当初予算ベースでは減らし続けたのです。「コンクリートから人へ」というスローガンは今にして思えばまずかった。あそこは財政出動で防災、インフラの更新などもきちんとやり、経済を底上げしていれば、民主党はもうちょっと政権を防衛できたかもしれません。https://www.mlit.go.jp/page/content/001383015.pdf

やはり、一定程度、建設関連の人材がいるということは、大事なことです。

なお、安倍晋三さんは財政出動をしたといわれていますが、当初予算ベースでいえば、2013年度から2018年度までずっと横ばいです。2013年度に民主党政権からちょっと増やした後は、ほぼ横ばいなのです。

国土強靭化計画とはいったい、何だったのでしょうか?

せめて公約を守っていれば、助かった命もあったかもしれません。一方で、民主党の後身たる立憲民主党の皆様にも反省していただきたい。公共事業を減らしすぎた問題ではまず反省していただかないと、自民党を批判しても、説得力がありません。とはいえ、総理大臣はずっと安倍晋三さんだったわけで、やはり安倍さんの責任は重いと言わざるを得ません。このことをとっても、とてもではないが、安倍さんが国葬に値するとは思えないのです。筆者は、「財政出動で人もコンクリートも」をガツンと訴え続けます。

◆筆者、再び熱中症でぶっ倒れる 7/20

筆者は7月20日、再びぶっ倒れました。ここ3日が被災地ボランティア活動→出勤で入浴介助→ボランティア活動で、頭が重いなと思って、この日出勤したが、昼休みに気分が悪くなり、病院で点滴を受けました。土砂が残っていると焦って無理をしがちです。

一方、このころ、安倍総理は、国会やマスコミに対して「災害対応は万全だ」という答弁を繰り返しておられました。大量の土砂を見ていると、総理の発言があまりにも無神経に聞こえました。それがさらに神経を逆なでし、イライラさせられたのです。

◆7/21 仁比聡平、山本太郎らの活躍で民有地の土砂を公費で撤去へ

これまで、民有地の土砂は地主が自己責任で撤去するようになっていました。しかし、あまりにも土砂が多いために、撤去を公費で行うことになりました。これは、仁比聡平や山本太郎が参議院において声を上げたことが大きく作用しました。

それにしても、憲法に緊急事態条項がなくて本当に良かったです。緊急事態条項があれば、国会も閉じられ、下手をすれば仁比や山本のような議員は弾圧されていたかもしれない。緊急事態条項がむしろ、危機管理を後退させたかもしれなかったからです。

◆7/28 前代未聞の閣議を取りやめのニュース

筆者がぶっ倒れて一週間以上。台風が関東沖・東海地方経由で瀬戸内地方に近づいていました。

そんなとき、安倍内閣は総理の休息のためと称して閣議を取りやめたのです。なんということでしょうか?

この危機のときに閣議を取りやめるとは?やはり、緊急事態条項なんて導入しても、危機管理のアップには使われない。そのことの確信を強めた事件でした。

◆8/1 似島で災害ボランティアに

筆者は8月1日、猛暑の中、南区の沖合の似島に入りました。この似島は第二次世界大戦前、大日本帝国陸軍の検疫所がありました。第一次世界大戦ではドイツ軍の捕虜も収容されました。

被爆直後は多くの被爆者を収容。戦後は原爆孤児のための学園も置かれました。また、観光の島としても栄えました。この小さな島の上にも7月6日、強烈な雨雲が居座り、島内各所で土砂崩れを起こしたのです。

すでに、筆者が訪れた段階でも、港のわきには、写真のようにうずたかく土砂がおかれていました。島内の道路は非常に狭く、重機や自動車も入れない道が多いのです。従って、文字通り、人海戦術でやるしかないのです。遠くは神奈川県からボランティアに駆け付けられた女性がおられました。テレビで似島の惨状をご覧になり、車を飛ばして駆け付けてこられたそうです。

◆なかなか補正予算を組まぬ安倍晋三さん

さて、弱者に厳しい新自由主義の代名詞といえば小泉純一郎さんです。しかし、その小泉さんも、2005年1月、記録的な大雪で各地に被害が出ると、迅速に1.3兆円の補正予算案を提出しています。いっぽうで、安倍総理は通常国会が終わると、臨時国会も開きさえもしませんでした。一方で、安倍晋三さんは、自民党内の要人との会合は欠かさず、総裁選挙だけは万全の態勢をかためつつありました。

◆いらだち高まる被災地「総理を暗殺するやつがいたら面白いな」

こうした中、西日本大水害2018の被災地各地ではいらだちは高まるばかりでした。

筆者がボランティアにかけつけたある復旧作業の現場では、「(もうすぐやってくる8月6日に広島に必ず来る)総理を暗殺するやつがいたら面白いな」という声が上がり、一同、大爆笑になりました。なお、別に発言の主が左翼というわけではありません。むしろ「総理が来ても邪魔だけど、天皇陛下は別だ。ありがたい。」とおっしゃる方でした。この発言自体は、山上徹也被疑者による安倍晋三さん暗殺事件があった今となってはシャレにもなっていません。しかし、少なくとも、こういう発言がボランティアから出る状況を作ってしまった方を国葬というのは納得できません。

◆「ボランティアが足りない」という無責任報道のマスコミ 足りないのは公務員、復旧のプロ

マスコミもマスコミです。このころから、「ボランティアが不足している」、という報道が繰り返されました。日本人の多くがボランティア=ただ働きと誤解しておられるようですが、本来、英語のボランティアとは志願兵とかそういう意味です。自発的という意味です。従って、そもそも、「ボランティアが不足」というのは意味をなさない文章です。ボランティアをあてにしないといけないようなこの国の在り方が問題なのです。

そもそも、ボランティアに行く市民にも生活があります。ボランティアは「無尽蔵」ではないのです。1995年の阪神淡路大震災を契機に災害ボランティアはもてはやされた。それは確かに尊いことです。ただし、それに頼りすぎてはいけない。ところが、1990年代以降、日本はボランティアに頼りすぎる一方で、プロを弱くしすぎた。具体的には、公務員を減らしすぎたのではないでしょうか?

広島県内でいえば、86あった市町村を23に減らした。吸収合併された地域では、市役所・町村役場が出張所に格下げされて手薄になった。政治でも地域出身の議員がいなくなって、地域の声が届きにくくなったのは、筆者自身が参院選広島再選挙で県内全域を回らせていただき、実感しました。

これらについては安倍さんだけの問題ではありません。長年の自民党政治、あるいは自民党を右からあおった維新政治の問題です。しかし、結果としてマスコミの報道が、当時の権力者である安倍さんに対して、地方自治体の執行体制を改善させるように促さなかったのも事実ではないでしょうか?マスコミの皆様にも反省を促します。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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旧統一教会問題と安倍晋三暗殺 タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年9月号

筆者の勤務先のクラスター拡大 広島県内医療緊急事態警報 さとうしゅういち

筆者の勤務先のひとつの広島市内の老人ホーム(以下、弊社と記します)においては、8月7日に入居者様3名,職員1名の新型コロナウイルス(オミクロン株)感染者が確認されたことを契機にクラスターが発生。入居者様2名が入院、うち救急搬送された方1名など苦境が続いています。

以下に、経過を記します。

8月02日 筆者が弊社でクラスター前最後の勤務。
8月03日~06日 筆者は休暇。広島市内で平和運動。
8月07日 入居者様3名、職員1名の感染者確認。
     筆者は広島市内でれいわ新選組チーム広島の皆様と街宣。
8月08日 入居者様2名、職員4名の感染確認 5名を超え、クラスターに。
     筆者は安芸郡のグループホームに勤務。
8月09日 職員1名の感染確認。入居者様1名が入院。筆者が弊社に7日ぶりの勤務。
8月10日 入居者様2名、職員1名の感染確認。入居者様1名が救急搬送。 
8月11日 入居者様2名、職員1名の感染確認。2階と3階の入居者全員が個室での食事に。
8月12日 入居者様1名の感染確認。

これにより、合計で入居者様10名、職員8人の感染が確認されました。

 

さらに筆者が16日に4日ぶりに弊社に出勤すると以下のことが判明しました。
8月13日 入居者様1名感染確認。
8月15日 入居者様1名感染確認 救急搬送される。
8月16日 入居者様1名感染確認。

弊社の入居者様の4人に1人以上が感染するという状態になりました。職員もこれだけ感染したために、入浴や居室清掃を含むサービスの提供に支障が出ています。

新型コロナウイルスのワクチン接種は全入居者が3回目の接種は終了し、一部は4回目も完了しています。α株やδ株の際に他社様で起きたような状況にはなっていないのが不幸中の幸いです。

ただ、全員が個室で食事ということで、介助が必要な方にはマンツーマンで職員がつかないといけない。さりとて職員も大幅に足りない状況になっている。

◆広島県内医療緊急事態警報

今回の弊社のクラスターは、広島県内での感染爆発が背景にあります。以下は、広島県内の一日当たりの新規感染者数(左)と一週間移動平均(右)です。

8/13(土) 3,252  4635.3
8/12(金) 5,030  4807.3
8/11(木) 6,284  4656.3
8/10(水) 5,372  4380.7
8/09(火) 3,138  4120.3
8/08(月) 3,343  4064.9
8/07(日) 6,028  4045.0 ※弊社クラスター発生
8/06(土) 4,456  3549.6
8/05(金) 3,973  3379.7
8/04(木) 4,355  3218.0
8/03(水) 3,549  3006.4
8/02(火) 2,750  2920.3
8/01(月) 3,204  2843.3
7/31(日) 2,560  2677.6
7/30(土) 3,267  2626.7
7/29(金) 2,841  2496.1
7/28(木) 2,874  2454.1
7/27(水) 2,946  2378.4
7/26(火) 2,211  2158.3
7/25(月) 2,044  1959.0
7/24(日) 2,204  1811.6
7/23(土) 2,353  1685.0
7/22(金) 2,547  1540.4
7/21(木) 2,344  1361.7
7/20(水) 1,405  1208.4
7/19(火)  816  1186.6
7/18(月) 1,012  1185.4
7/17(日) 1,318  1105.9
7/16(土) 1,341  1012.4
7/15(金) 1,296  915.3
7/14(木) 1,271  813.9
7/13(水) 1,252  723.7
7/12(火)  808  639.6
7/11(月)  455  575.4
7/10(日)  664  557.4
7/09(土)  661  523.3
7/08(金)  586  489.9
7/07(木)  640  461.0
7/06(水)  663  434.7
7/05(火)  359  408.6
7/04(月)  329  401.4
7/03(日)  425  385.3
7/02(土)  427  370.4
7/01(金)  384  356.9
6/30(木)  456  345.4
6/29(水)  480  328.7
6/28(火)  309  317.9
6/27(月)  216  313.1
6/26(日)  321  313.4
6/25(土)  332  315.7
6/24(金)  304  316.4
6/23(木)  339  329.6
6/22(水)  404  335.6
6/21(火)  276  338.0
6/20(月)  218  343.1
6/19(日)  337  350.9
6/18(土)  337  358.3
6/17(金)  396  372.7
6/16(木)  381  384.0
6/15(水)  421  408.6
6/14(火)  312  431.0
6/13(月)  272  436.6
6/12(日)  389  446.4
6/11(土)  438  453.7
6/10(金)  475  460.1
6/09(木)  553  474.3
6/08(水)  578  482.9
6/07(火)  351  488.1
6/06(月)  341  503.0
6/05(日)  440  513.7
6/04(土)  483  539.3
6/03(金)  574  581.7
6/02(木)  613  622.9
6/01(水)  615  701.4

新規感染者数は6月までは第6波の余波が残っていました。それが6月の下旬へ向けて下がっていったのですが、6月27日の移動平均313.1を底に上昇へ転じたのです。15日後の7月12日に底のときの倍を超える639.6に。その9日後の7月21日に底のときの4倍を超える1361.7に。9日後の30日に8倍を超える2626.7と加速度的に増えてしまいました。ただし、8月13日、久しぶりに移動平均が下降に転じています。

お盆による移動の効果などが出てくるのはこれからです。さらに、医療体制の逼迫のピークは感染者の増大に遅れること2週間から一か月程度でやってきます。油断は禁物です。検査のために病院へ行くとこれはまた医療体制逼迫に拍車をかけてしまいますので無症状の方で心配な人は、広島駅新幹線口や県庁前などに検査所がありますのでそちらを利用するように、と県では呼びかけています。

また、8月4日以降は、広島県保健所(広島市、呉市、福山市以外の方を管轄)からの電話連絡は、65歳以上の方、65歳未満で重症化リスクのある方、妊娠している方のみに連絡となっています。それ以外の方には順次SMS(ショートメッセージ)で連絡。SMSの案内どおりに対応してもらうことになります。

筆者が住んでいる広島市でも同様です。広島市の場合は65歳以上、40歳以上65歳未満で重症化リスクが複数ある方、妊娠している方、保健所が必要と判断した方のみ電話連絡で他はSMSで連絡です。https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/korona/291440.html

症状のある方は症状が出て10日以上かつ症状がなくなって72時間以上たった方から、無症状の方は検体採取から7日以上たってから療養解除です。弊社の入居者、職員についても広島市と同様の対応です。

こうした中、広島県知事の湯崎英彦さんは8月12日、医療緊急事態警報を出しました。病床使用率が6割を超え、県内の医療従事者400人以上が感染や濃厚接触者となり出勤できなくなっています。このことを背景に県は病床数を140増やして922とします。実際に、7日に感染が確認され、頻繁な通院の必要がある基礎疾患がある弊社の入居者様の一人も、すぐに入院とはならず、9日に入院先がようやく決まるありさまでした。6割というのは県全体の平均であり、地域や基礎疾患の種類によってはこのように、入院がすぐに決まらない方も出るということです。

◆行動制限なきお盆 観光客増加と従業員感染でホテルは「てんやわんや」

今年は、ご承知の通り、8月13日現在では行動制限のないお盆です。広島市内のホテルも宿泊者で満杯、ということです。広島市内の有名なチェーンに属するホテルの従業員によると、「『田舎なら東京と違って外でマスクをしないで済むだろう。』と考えて、地方に来られる方が多い。別に帰省でなくてもそういうことで来られる方は、今年は中国地方のホテルでは非常に多い。」とのことです。

他方で、「従業員に感染者が増えている。宿泊客が多いのに感染者が多く、てんやわんやだ。」とのことです。

たしかに、行動制限の解除は、ホテル業界にとっては追い風です。広島市内でも、コロナ災害発生後、多くのホテルが閉鎖されています。そうした中ではたしかに、解除はありがたいことではある。だが、行動制限の解除は感染者も増やす。そこにジレンマがあります。

地元選出の代議士である岸田総理。広島が地元だからといって優遇しろとは申し上げないし、それはそれで問題です。だが、地元でも起きている混乱をよそに、あまりにも動きが鈍いのではないでしょうか?行動制限をしないなら、それで生じる「被害」についてきちんと対応をいただきたい。医療・介護保育現場はじめエッセンシャルワーカーへの危険手当も含めて早急な対応をお願いしたい。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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8.6の広島を揺るがす官製談合疑惑 ── 広島県教育長がはまった「安倍化」の罠 さとうしゅういち

原爆の日が迫った8月上旬、「文春砲」が、筆者の元職場、広島県庁を直撃しました。

広島県教育委員会

広島県庁といっても、いわゆる知事部局ではなく、教育委員会(写真)です。とはいえ、最近では地方教育行政法の改定などにより、教育委員会の独立性は低下。知事部局と一体化する傾向が強まってはいます。広島県も例外ではなく、知事の湯崎英彦さんが外部から一本釣りしてきた平川理恵さんが広島県初の女性教育長を2018年から務めておられます。したがって、これは知事である湯崎英彦さんの責任も重い不祥事であると理解しています。

◆「お友達NPO優遇」、故・安倍晋三さんそっくりの教育長

文春砲はその平川教育長を直撃しました。平川教育長と京都のNPО法人「パンゲア」の森由美子理事長がわたしも妻とよく行く県庁近くのベトナム料理屋で一緒に写っておられる様子の写真が掲載されました。これは誰かが密告したからとか、そういうことではなく、森理事長ご本人がSNSに載せておられることです。平川教育長も、SNSで親しげに森理事長にコメントをされている様子がうかがえます。

「文春砲」が報じた疑惑の概要は、広島に縁も所縁もないパンゲアが、なぜか平川教育長就任後、広島県教委からの受注をゼロからこの1年余りで2300万円以上にふやしていることです。それもパンゲアが県外法人のため一般競争入札の資格がないので、例外的なやり方で発注を繰り返していたのです。そして、パンゲアありきで工業高校の女子生徒によるHP作成プロジェクト事業についての話を進めていた、ということです。これらが事実なら官製談合であり、お友達を優遇したという意味では、故・安倍晋三さんそっくりです。

◆改革に現場からうずまく期待と不安・不満 平川教育長

平川理恵教育長は54歳。京都市生まれで同志社大学をご卒業後、リクルートを経て、横浜市で民間公募校長を務め、不登校生徒をゼロにしたなどの実績で有名です。2018年、湯崎英彦知事により一本釣りの形で広島県教育長にご就任されました。「こどもたちのために」がモットーで、よく現場に足を運ぶ、親御さんが教育委員会に電話をすると自ら対応されて感激した、などの声はこれまでよくうかがっています。平川教育長による改革は、NHK含むマスコミにも何度か大々的に取り上げられています。

以下は本年度の平川教育長が出された方針「八策」です。

「令和4年度 広島県教育委員会八策」

1. 広島県 教育に関する大綱「一人一人が生涯にわたって主体的に学び続け、多様な人々と協働して、新たな価値を創造する人づくり」を実現する。

2. 教育の根源は、生涯にわたって学び続けるということである。幼児児童生徒も大人も、学びの習慣を身につけ、学び上手になれるよう「学びの変革」を推し進めていく。

3. 学校や教育委員会は、「我が子・我がことであれば」を旨に、「子ども基点」を貫く。

4. 根源的な問い「生きるって何?」を主軸とした探究学習を、すべての学校に汎用させ、キャリア教育と結びつけて実践していく。

5. 現場は「教室」である。教室に行って教員とともに子どもの様子を観ながらカリキュラムを創る。指導主事は、教職員の心に火をつけ、伴走し、はしごを絶対に外さない。

6. 子どもを含め年齢や職を問わず誰もが「新しいアイデア」や「率直な意見」をなんでも言い合える「組織風土」づくりを心掛け、多様な意見からより良い判断を行う。

7. 幼児児童生徒一人ひとりの自己肯定感を大切にするため、個別最適な学びや本物の体験を重要視し、不登校対策・セーフティネットを確保する。また幼児児童生徒の人権と主体性を尊重し、教師が一方的に設定している生徒指導規定等の見直しを図る。

8. 教育公務員として、高い倫理観を持つ。とりわけ、幼児児童生徒に対する猥褻セクハラは絶対に許さず、厳しく処する。

一見すれば素晴らしいことばかりです。

他方で、「ただでさえ現場は人手不足なのに、新しいことをどんどんやられるとたまったものではない。少しは足元を固めてほしい」(元県立高校教諭)などの声もあるのも事実でした。

また、平川教育長は公立高校入試を2023年から推薦入試Ⅰと一般入試Ⅱを廃止し、一次選抜に。プレゼンテーションの比重が大きいものに改革します。これについては「出席日数に左右されないようになる」という歓迎論もあるいっぽうで、「部活も勉強も頑張らせてさらにプレゼンテーションも、というのは中学生にとっては厳しいのでは?」という親御さんからの不安もうかがいます。

◆911テロを契機に子ども同士の国際交流へ 森理事長

いっぽう「パンゲア」はその平川教育長の地元の京都市の団体。子どもたち同士の国際交流を進める事業をてがけてこられました。団体のSNSを拝見すると、とくに国際交流を通じた平和への思いはよく伝わってきます。911テロを契機に、危機感を覚えられたというお話は心に刺さります。

「ちょうどその時、私はMIT(マサチューセッツ工科大学)に仕事がありアメリカにいたのです。もうひとりの創立者である高崎も、MITで客員研究員をしていました。私達はサンフランシスコで打ち合わせがあるため、11日にUA93便に乗る予定だったのです。

ところが10日のニュージャージーの打ち合わせがずれ、3日前にキャンセルをしていました。そして、運命のあの日……。その日以来、アメリカではイスラム教の人々やアラブの人々に対して「不気味」だとか、「怖い」といった声が多く聞かれているのを見て、イラン人やイラク人の友人がいた私は危機感を持ちました。」

わたしも、そういう問題意識は当時持っておりましたので共感します。私の場合はイラク戦争反対運動、海外派兵反対運動、森理事長の場合は子ども同士の交流にとエネルギーを向けていったとおもいます。

しかし、公私の区別がつかないのはまずい。同法人のfbには以下のような記述があります。

「昨年度から、パンゲアの高崎が、広島県の平川教育長の依頼を受け、広島県教育委員会にて県立高校の科目「情報」のカリキュラム製作をお手伝いをさせて頂いていました。コロナ禍によって、教育現場でのICT利用が待ったなしとなり、現場も混乱している状況です。

そんな中で、広島県の高校生・高校教員向けにネットの使い方(ネットリテラシー)についての動画を作りました。本当は、ネットのネガティブな面だけでなく、ポジティブなICT利活用についても入れたかったのですが、まずはセーフティファーストということで、お役立て頂ければと思います。」

これは、個人的な関係に基づいて受けた仕事であることをまた自慢しておられるようにも読み取れます。

◆素晴らしい8.6平和記念式典でのあいさつも…… 湯崎英彦知事

そして、平川教育長を任命した知事の湯崎さん。わたしは、県庁マンだった2011年1月末まで彼に部下として仕えていました。彼の8月6日の平和記念式典での毎年の挨拶も素晴らしいものがあります。

「しかしながら、力には力で対抗するしかない、という現実主義者は、なぜか核兵器について、肝心なところは、指導者は合理的な判断のもと「使わないだろう」というフィクションたる抑止論に依拠しています。

本当は、核兵器が存在する限り、人類を滅亡させる力を使ってしまう指導者が出てきかねないという現実を直視すべきです。

今後、再度、誰かがこの人間の逃れられない性(さが)に根差す行動を取ろうとするとき、人類全体、さらには地球全体を破滅へと追いやる手段を手放しておくことこそが、現実を直視した上で求められる知恵と行動ではないでしょうか。」

正直、市長よりも突き刺さる演説をされる湯崎さん。しかし、今回はあなたにも筆者は元部下としてガツンと物申さざるを得ません。

◆「お代官様・越後屋・山吹の小判」から「お友達優遇」安倍型へ移行する疑獄事件の形態

旧来型の疑獄事件の典型的なパターンは、時代劇でよくある「お代官様。どうぞ。」(山吹色のものが詰め込まれた菓子折りを差し出す)「越後屋よ。お主も悪よのう。」であり、小判が札束に代わっただけです。

しかし、いまや、様相はかわってきています。安倍晋三さん・昭恵さん夫妻はお友達を優遇し、批判を浴びたことは記憶に新しいところです。晋三さんが暗殺されたことで、事件の真相の解明が極めて難しくなってしまいましたが、このことは忘れてはいけない。

そして、今回は、教育長が家族ぐるみで付き合っていたというNPO法人理事長と癒着していたというのが報道の概要です。

◆筆者も県庁マン時代に「安倍化」の危機…… 目的は手段を正当化しない

平川教育長・森理事長が進めていたこどもたちの国際交流で平和を。そのこと自体は立派なことです。しかし、目的は手段を正当化しないのです。きちんとしたチェックをしないで相手を選べばどうなるか?費用の問題だけではありません。質の問題もあります。親しい相手にはどうしても評価が甘くなる。だから事業実施にあたってはしかるべき手続きが必要なのです。

そして、筆者も「正義感」で「親しい民間人」と楽しく仕事をして、大恥をかいていた可能性が過去、ありました。筆者は、県庁マン時代から貧困問題やDV被害者支援のNPOなどの活動にも参加していました。当然、活動の延長線上で、メンバーの皆様と懇親会などということもありました。

あくまで一県民、ただし、県行政にもこうした視点が生きれば、という思いで参加しました。あるとき、上司にそのことについて「疑惑を招かないよう、気をつけろよ」という趣旨のご忠告をいただきました。

当時は30歳そこそと若かった筆者は「何を言っているのだろうか? この人は頭が固いなあ。」と反発していました。しかし、今は上司に感謝をしています。

県庁マン当時の筆者も、広島県の男女共同参画施策が当時は岡山など近県に比べても遅れていたことに危機感をいだき、県外のある女性のNPO幹部を講師とした事業を、と考えていました。年齢が上の彼女にすっかり心酔していたということもあとで冷静に考えるとあったなとは思います。あるときは、毎晩彼女と飲みに出ていたのを記憶しています。その後、その彼女が被害者女性を見下すような発言(支援者として最悪の発言、いわゆるセカンドレイプに相当する発言)をしているのをお聞してしまい、ドン引きした筆者は、彼女と距離を置くようになりました。上司が注意してくれなければ筆者は彼女に仕事上のお願いをして大恥をかいていたでしょう。

その後、さらに1年くらいしてから、筆者はあの河井案里さんと対決するために県庁を退職しました。「韓国並みにDV・性暴力被害者支援を充実させる」ことを、当時の広島の候補者ではおそらくはじめて、公約としました。選挙ではわたしは及びませんでしたが、それなりに親しい公明党の女性県議が議会で取り上げ、ワンストップセンター整備など、一定程度の前進がありました。

◎[参考資料]性被害ワンストップセンターひろしま https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/onestop/

特に広島3区ではそれなりの数があった筆者の票を、当時は野党に転落していた自公側に取り込もうという狙いもあったのかもしれません。しかし、とりあえずは、これでよかったのだと納得しています。今後はさらに、より良い制度にするため、自分自身が議員として全力を尽くすことができるようになりたいと考えています。
「目的は手段を正当化しない」。すべての公務員が心すべきことです。古臭すぎる日本、広島のリニューアルはもちろん必要です。しかし、民主的な手続きを飛ばしてはいけないのです。

◆広島県議会も知事のイエスマンばかり──チェック機能不在

かつての県庁マン時代の筆者は、上司がチェック機能となりました。しかし、教育長についていえば、文春の取材によれば、驚くべきことに職員には適用される倫理要綱が適用されないのです。そうなると、教育長が自ら律するか、議会にチェックしてもらうか、ということになります。

その議会はなにをやっていたのでしょうか? はっきり申し上げると「平川教育長は特定の法人と癒着しているのでは」という情報は県庁を辞めて久しいわたしのところにさえずいぶん前から届いています。ましてや県議が知らないはずがありません。情報公開させて調べれば、平川教育長が就任して以降、急にパンゲアが県(教委)の事業に登場したことくらいすぐわかります。

結局、ありていに申し上げれば、自民、公明の国政与党はもちろん、立憲民主党にいたるまで、知事のイエスマン、ということは教育長のイエスマンでもあるわけです。

なぜ、二元代表制があるのか。その意味を分かっていないか、分かっていて何もしないのか?県議会の機能不全も、今回の不祥事の背景にあると断ぜざるを得ません。


◎[参考動画]知事の湯崎さん、そしてNPOと官製談合疑惑の教育長・平川さんに執行部にガツンとモノ申す議員を さとうしゅういちIN本通り

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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旧統一教会問題と安倍晋三暗殺 タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年9月号

《速報》筆者の勤務先で二度目のコロナ・クラスター発生! さとうしゅういち

筆者は介護福祉士として広島都市圏の二か所の介護施設で働いています。一つは安芸郡内のグループホーム。もう一つは総理の地元・広島市内の老人ホームです。

8月7日から、後者の広島市内の老人ホームで二度目となる新型コロナウイルス(オミクロン株)のクラスターが発生してしまいました。8月10日現在、職員7人、入居者様7人の感染が確認され、2人の入居者様が入院という事態になっています。前回2月のクラスターでは入院者はいませんでしたので、今回の方がより事態は深刻です。

 

◆職員が倒れた上に人手は普段より必要

筆者ら職員は、医療用マスクとフェースシールドで防備し、感染者が出たフロアでは、感染者以外も全員が自室で食事、ということになりました。これは、前回のクラスターで、無症状で元気な方がフロア内を移動していわゆるスーパースプレッダーになってしまったことを教訓としての措置です。一律に移動を禁止することで、拡大を封じ込めることに現時点では一定程度成功したかに見えます。

ただ、感染者・非感染者関係なく、食事については介助が必要な方もおられ、そういう方は居室へ伺わないといけません。食堂で皆様が食事を摂られるのであれば、介助が必要な方にまとまって座っていただき、片方の方が咀嚼している間に、もう片方の方に口に食物を入れていただくということもできるのですが、そういう「技」が使えません。職員の感染とダブルパンチで現場は大混乱です。

◆新型コロナ治療薬実用化も一筋縄ではいかず

現在、新型コロナウイルスの治療薬も暫定的ですが出てはいます。しかし、特例で急いで使用できるようにした薬ですので、ご家族の同意が必要です。同意を取る間にも症状が悪化しかねず、ひやひやします。また、薬がそれなりに大きなカプセル入りなので、お年寄りには呑み込むのが厳しいというネックもあります。

8月3日の平和行進(写真左)/7日は中区で街頭演説(写真右)

◆筆者が不在の間にクラスター発生

8月2日に当該老人ホームでクラスター前最後の勤務を終えました。その後、8月3日~6日は平和運動に邁進しておりました。3日は平和行進や市民団体の街宣に参加したり、自らも各地で街頭演説を実施したりしました。8月4日も街頭演説や原水爆禁止世界大会。5日は原水爆禁止世界大会の分科会に参加後、夕方から地元安佐南区でれいわ新選組参院候補と筆者の支持者による集会を実施。6日も、原爆ドーム前での黙とう、中国電力前座り込みや平和学習会参加。7日も中区でのれいわ新選組チーム広島のみなさまとともに、主に県政についての街頭演説(写真右)を実施しました。

そして、8日は安芸郡のグループホームで勤務しました。だが、筆者が街頭演説をしていた7日にはすでに、広島市の老人ホームで入居者3人、職員1人の感染が確認され、翌9日には入居者2人、職員5人の感染が確認されていたのです。

◆「まさか、また弊社で!?」

筆者が9日に出勤すると様子がおかしい。なぜか、冒頭の写真のような恰好を職員がしている。「まさか?!」という予感は的中。クラスターが発生していたことを同僚から告げられました。

もちろん、広島県内では7日には、新規感染者が6000人を超えていました。だが、まさか、自分の勤務先が大変なことになっているとは、夢にも思いませんでした。確かに、2月に弊社では一度クラスターが発生しています。

だが、まさか、また起きるとは?! とにかく、完全防備で現場に入るしかありません。

◆息が苦しいがやむを得ない

医療用マスクにフェースシールド。こういう形で完全防備をすると、とにかく、息が苦しい。フェースシールドのゴム紐が頭を圧迫し、頭痛がします。しかし、感染拡大を防止するためには、仕方がありません。そして非感染者でときどき、自室から出てこられる方については、すぐに戻っていただく。しかしすぐに出てこられます。認知症でいらっしゃるから仕方がないのですが、こちらも疲弊します。

◆五月雨式の保健所からの問い合わせ

保健所からの感染者のバイタルサイン(血圧、体温、血中酸素飽和濃度)などの容体についての問い合わせには弊社の看護師がお答えしていました。同じ施設の入居者なのだから、一度に問い合わせをいただければこちらとしては楽なのです。ただ、現実には感染者一人一人について五月雨式に問い合わせをいただいていました。結局、三日目くらいには、ファックスでやりとりするようになったようですが、混乱は否めませんでした。

◆職員にも入居者にも感染拡大、救急搬送も

9日は、入居者様一人が結局、入院。この方は基礎疾患が結構あるから仕方がありません。また、職員1人の感染も確認されました。なお、ここまでの感染確認の方法は職員も入居者様も抗原検査です。その上で、PCR検査を受けるという流れになります。

翌日10日には、職員1人、そして入居者様2人の感染が確認されました。この日は、血中酸素飽和濃度が低く、酸素投与を受けていた入居者様一人が救急搬送されるなど、あわただしい状況が続きました。

◆感染確認から最短で10日で職場復帰も課題山積

現在、感染確認から最短で10日で職場復帰、というのが弊社のルールとなっています。

逆に言えば10日間は穴があいてしまいます。なお、現時点で入居者様の入浴や居室の清掃は中止されていますので、この点は助かっていますが、長引けば衛生面も余計に不安が出てきます。

たしかにオミクロン株は、α株やδ株に比べたら毒性は弱い。しかし、感染力が強く、今回の弊社のような大規模クラスターになりやすい。岸田総理におかれては、こうした事態にも早急に対応いただきたいものです。国葬は閣議決定で決めるけど、緊急のコロナ対策は後手。これでは、地元でも失望がひろがるのではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
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旧統一教会問題と安倍晋三暗殺 タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年9月号

8月6日の広島平和記念式典 最初から「ロシア排除」に疑問 さとうしゅういち

2022年も8月6日がやってきます。

2022年8月6日は、核兵器をはじめて明確に法的に禁止した核兵器禁止条約締約国会議が初めて開催されてから最初の8月6日になります。広島市では平和記念式典が開催されます。

「原爆死没者の霊を慰め、世界の恒久平和を祈念するため、平和記念公園の広島平和都市記念碑(原爆死没者慰霊碑)前において、原爆死没者の遺族をはじめ、市民多数の参加のもとに平和記念式典を挙行しています。式典の中で広島市長によって行われる平和宣言は、世界各国に送られ、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を訴え続けています。
 また、原爆の投下された8時15分には平和の鐘やサイレンを鳴らして、式典会場、家庭、職場で原爆死没者に哀悼の意を表し、あわせて恒久平和の実現を祈り、1分間の黙とうを行っています。」(広島市)

さて、この平和記念式典について筆者は一人の広島市民として、今年は大きな疑問があります。

それは、広島市がロシアとベラルーシに最初から招待状を送らなかったことです。もちろん、理由はロシアのウクライナ侵略戦争であり、それへのベラルーシの加担です。広島市は、外務省と相談して決めたということです。

2019年、コロナ前最後の平和記念式典の様子

◆毎年、全ての国・地域に招待状

毎年、広島市は式典には日本と外交関係があるすべての国・地域や国連・EUに招待状を送っています。秋葉忠利広島市長の時代には核実験を強行した朝鮮(金正日総書記)にも送っています。

2021年は83か国の代表とEUが参加。主要国では以下のご参加をいただきました。 ※出典(13)広島・長崎の平和記念式典への参列 | 国際平和拠点ひろしま~核兵器のない世界平和に向けて~ 

◎大使級:豪州、オーストリア、カナダ、フランス、インドネシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、ロシア、シリア、トルコ、英国

◎大使以外:ベルギー、ブラジル、ドイツ、インド、イスラエル、カザフスタン、韓国、ノルウェー、スウェーデン、スイス、米国(このうち、ベルギー、ブラジル、ドイツ、インド、イスラエル、カザフスタン、スウェーデン、スイス、米国は過去3 年間に大使による参列があった)

◎不参加:中国、チリ、エジプト、イラン、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、サウジアラビア、南アフリカ、UAE(このうち、エジプト、イラン、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、南アフリカ、UAE は、過去3 年間に1 回以上の参列があった)

ロシアは実は、これまでも割と熱心に式典に参加をいただいている国です。他方で中国は、「日本が第二次世界大戦に関しては自国の被害ばかりを強調しているのではないか?」と疑問を呈する立場から不参加です。先の大戦で大日本帝国が最も被害を与えてしまったのは中国であるのは間違いない事実として、日本人も忘れてはいけない。ただそうはいっても、一方で残念でもあります。

基本的には、世界中、どの国の為政者にも広島・長崎に来ていただき勉強し、核兵器廃絶へ向かってほしい。これが、日本政府の建前でもあります。

招待状を出して、ロシアやベラルーシが来ないのは仕方がない。しかし、こちらから出さないのはいかがなものでしょうか?こういう時だからこそ、一か国でも多くの参加が大事なのではないでしょうか?

◆ウクライナ侵略戦争は排除の理由にならぬ

そもそも、ロシアのウクライナ侵略戦争は排除の理由になるのでしょうか?招待状を送っているほかの国と比較してみましょう。

まず、アメリカ。広島を原爆で攻撃したのはまぎれもなくアメリカです。そして、最近でも、イラクやアフガニスタンを侵略して多くの市民を殺しています。

さらに、サウジアラビア。サウジアラビアは、隣国のイエメンへの空爆を継続しています。サウジアラビアは2015年に始まったイエメン内戦で、ハーディー大統領(自称ですが)派を支援するという口実で首都を実効支配しているフーシ派の支配領域を空爆。時には遠足の小学生も含む多くの無辜の市民が殺害されています。また、サウジアラビア皇太子のムハンマド被疑者はトルコで反体制派のジャーナリスト・ジャマル・カショギさんが2018年10月に惨殺された事件への関与がほぼ確定的とされています。そんな国でも、これまでずっと招待状を出してきました。

トルコはクルド人への弾圧で悪名高い。先日も、イラクのクルド人を攻撃しようとして、リゾート地を越境攻撃。多くの一般市民を巻き添えにしました。これを侵略戦争といわずしてなんというのか?

シリアのアサド大統領も、自国民への強権的姿勢が革命運動、さらには内戦を招いた面が大きい。イスラエルはパレスチナ人虐殺で悪名が世界にとどろいています。
ロシアのウクライナ侵略が排除の理由になるなら、これらの国も排除されなければ筋が通りません。

いま、アメリカのバイデン大統領がサウジアラビア皇太子・サルマン被疑者に頭を下げに行って失笑を買っています。日本の岸田総理もこれに追随する方向です。ロシアに制裁をしたらエネルギー資源が足りなくなった。だからサウジに頭を下げて増産してもらう。ロシアのプーチン大統領を筆者は全く支持しませんが、ロシア制裁の結果、世界で唯一といっていいほどの絶対王政国家・サウジに頭を下げるという醜態をさらしています。ロシアは排除して、サウジアラビアなどには招待状を送る広島市長の松井さん。あなたは、バイデン大統領や岸田総理とあまり変わらないことをして広島に恥をかかせているのではないでしょうか?

◆広島市なりの原理原則破壊で今後に懸念

もちろん、平和記念式典には、従来からもいわゆる左派・リベラルの一部の方からも批判も多くありますし、筆者もそうした皆様の問題意識は一定程度、共有しています。

「あの安倍晋三なんぞを呼ぶとは何事か?」
「アメリカの首脳なんて呼んでも、(核軍縮を)やっている感の演出に利用されるだけ。」
などとお怒りになられる方もいらっしゃいます。お怒りはごもっともです。故・安倍晋三さんの核政策がひどかったのは説明不要です。

ただ、全世界の為政者にアピールする、それを通じて核兵器廃絶と世界恒久平和をめざす、ということも、この式典の趣旨です。そうである以上、故・安倍晋三さんもバイデン大統領もプーチン大統領も習近平主席も金正恩総書記もサルマン皇太子も、等しく招待するというのがこれまでの広島市なりの原理原則でしょう。その原理原則を今回の平和記念式典で広島市は破ってしまった。そのことが、今後の被爆地・広島からの市民も含めた訴えそのものの説得力低下などの形で悪影響を及ぼしかねない、というのが筆者の現時点での懸念です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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工期二度延長も半分も進まずタイムオーバー 筆者自宅近く・広島高速5号線二葉山トンネルのお粗末 さとうしゅういち

広島市東区の筆者の自宅の近くの地下では、現在、広島高速5号線二葉山トンネル(1.4km)が掘り進められています。

このトンネルは、広島駅の北口から、広島市東区の二葉山の下を通って、東区温品地区へ抜けるものです。高速五号線は、安芸府中道路=高速1号線と広島駅(都心)を直結する延長約4.0㎞の自動車専用道路です。

[左写真]奥がトンネル。広島市東区中山地区の筆者の自宅近くにて撮影。[右写真]広島駅の北口。トンネルはここから広島市東区の二葉山の下を通って、東区温品地区へ抜ける

「広島高速1号線を介して山陽自動車道広島東ICと直結し、広島駅周辺市街地と広島空港との間の高速性・定時性を確保するとともに、広島市北東部地区の交通渋滞の緩和が図られます。」というのが広島県と市が出資する広島高速道路公社の言い分です。これ自体が怪しいのですが、それ以外の部分であまりにも多くの問題が多発しています。

このトンネルは、2018年に工事が始まって以降、工期が二度も延長されながら、2022年7月12日、延長された工期がタイムオーバーとなってしまいました。しかも、1.8kmのうち、0.8kmしか進んでいないというのです。これにより、さらなる費用がかかることになります。今後は、公社と工事を請け負うJVの間で調停となるそうです。

近年、トンネルを含む土木建築技術の発達は目を見張るものがあります。一度着工すれば完成は早い。それが常識でした。ところが、この高速五号線二葉山トンネルはあまりにも多くの問題が多発しています。

◆2008年にいったん休止

広島高速5号線は、全体延長約4.0km(うち、トンネル区間約1.8km)で計画しており、2000年度に事業着手し用地取得等を進めてきました。しかしながら、同じ東区の北部の福田・馬木地区の広島高速1号線福木トンネル工事で地盤沈下が発生。地元の住民の方からトンネル建設に伴う地表面沈下や土砂災害などを危惧して反対運動が盛り上がり、県と市が藤田雄山前知事-秋葉忠利前市長の体制だった2008年度に事業を一旦休止しました。

2009年9月には、広島高速5号線トンネルに係る地域の住民生活等の安全性を確認するため、専門家で構成する「広島高速5号線トンネル安全検討員会」が設置され2012年に報告書がまとめられました。この時には県と市が湯崎英彦知事―松井一実市長の現体制に「政権交代」しています。

2012年12月には、公社は「最も地表面沈下の抑制に優れたシールド工法を採用すること等により、地域の住民生活等の安全性の確保が可能」と判断し、また住民の安心を確保するために、調査・計測管理を行い、工事による影響が発生した場合には「誠実かつ適切に」補償対応を行うなど、「必要な対策を総合的に講ずること」とし、広島高速5号線の事業再開を決定しました。

そして、住民代表が意見を述べる場などが何度か設けられるなどしました。

◆2018年、ようやく着工も早速シールドマシン損傷で中止

こうした経緯をへて、2016年5月31日、公社とJVが200億円でトンネル工事を契約。2018年9月、シールドマシンが広島駅北口方面から掘り進み始めました。ところが、12月、早くもシールドマシンの羽が損傷。工事は5か月に渡って中断しました。

◆いきなり工事予算増額

いっぽう、そのころ、別の問題も持ち上がりました。本工事は、2016年5月31日にJVと総額約200億円で工事契約を締結しましたが、その後、2017年2月にJVから実施設計に基づいて、契約額が増額する内容の見積書が提出されていたのです。これに対して、公社は契約後当初予定していない事柄で合理的な理由がある場合以外は契約額の変更は困難であるとの認識を示していましたが、2018年4月以降、JVから改めて、工事の完成に必要であるが契約に含まれていない費用があるとして、契約額の増額の要請があったそうです。「そうです」というのは、当時は、公社とJVで秘密裏にやりとりが行われていたからです。これを受け、契約に至る経緯等の精査を行った結果、公社は工事費についてJVと協議を行うこととし、2018年10月に公表しました。広島市民、県民にとっては寝耳に水でした。

そして、検証のため、第三者委員会が設けられました。委員会が2019年3月に出した結論は、
・本来必要な部分について、見積もりをしていなかったこと。
・200億円というのがあまりにも低すぎる価格であったこと
ということなどでした。

結局、2019年11月12日、87億円プラスの287億円で契約を結びなおすことになりました。

◆どさくさに紛れて凍結されていた事業も「解凍」

しかし、さらにここで、道路公社はどさくさに紛れて、凍結されていた事業まで再開してしまいます。

この高速五号線と二葉山トンネルは広島駅から北へ向かうものです。それを、広島市から南方にある呉へ向かう道路に無理やりくっつける事業などを「解凍」したのです。南へ向かうのに、いったん北へ向かってはねかえる。常識的に見ても、ガソリン代の無駄です。そんなルートを使う人はよほどの物好きでしょう。ましてやガソリンが高騰しているいまだったらなおさらです。そのために、さらに260億円を投入することになったのです。

ところが、県議会でも、市議会でもそのためにかかる予算を結局は認めてしまったのです。それなりに議論にはなったものの、自民党、公明党はもちろん、立憲民主党系の会派も含めて予算増額に賛成してしまいました。

わたしは、当時、立憲民主党系の議員もそれなりの質問はしておられたので反対を期待していたのに、採決では賛成に回ってしまった。がっかりしたのを覚えています。

◆そして、工事期間タイムオーバー

気が付けば200億円が547億円に。そして、今回、さらに、工事が完了せずに、タイムオーバーになってしまったのです。いったいどうなっているのでしょうか。広島県にも広島市にも呆れてモノが言えません。県当局のチェック体制はどうなっているのでしょうか?そして、それをさらにチェックすべき、県議会や市議会はどうなっているのでしょうか?

特に相対的に県議会はひどすぎます。国政で野党を名乗る政党所属の議員(日本共産党除く)も含めて、知事の湯崎さんが出す議案のイエスマンばかりです。こんな広島県で、広島県議会で大丈夫なのでしょうか?不信は高まるばかりです。

マスコミにも申し上げたい。河井案里さんの事件にみられるような政治と金だけが、政治不信の原因ではないのです。結局、マスコミも河井夫妻を叩けても、知事や市長をガツンと批判する度胸はない。それが今回の事態の背景にあります。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
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旧統一教会の「家庭主義」が妨げるくらしの再建、そして日本の「アップデート」 さとうしゅういち

安倍晋三さんが7月8日、参院選の応援演説中に山上徹也被疑者に奈良で暗殺された事件を契機に統一教会に焦点が当たっています。

山上被疑者の母親が統一教会(現・家庭連合)の信者で、教団に多額の献金をして山上家は破綻しました。そして、被疑者が教祖を暗殺しようとしたが、未遂に終わり、熱心なシンパと被疑者が考えた安倍晋三さん暗殺に切り替えた、ということが報道されています。

◆統一教会が自民党に取らせている「家庭主義」

統一教会と自民党の癒着に関する問題のひとつは、このような団体を大物政治家が推奨したようなイメージを与えたことはもちろん大きいものがあります。しかし、もうひとつは、統一教会が自民党の政策や政治姿勢に大きな影響を与えていることはもっと注目されるべきです。もっと言ってしまえば、特に日本の庶民、とくに女性の生きづらさの震源地は、統一教会が自民党にとらせている政策や政治姿勢に震源地があるのではないか?ということです。

また、現役の介護福祉士である筆者からすれば、介護、保育を含む労働者の給料が不当に低く抑えられているのも、統一教会のイデオロギー「家庭主義」ないし「家族主義」がひとつの震源地ではないか?ということです。

もちろん、家庭を大事に、といいながら、山上家を含む全国の多くの家庭をぶっ壊した実態は、まさにブラックジョークですが、それはそれとして、同教団のイデオロギーが最大与党の自民党に影響し、それが日本のアップデートを阻んでいるのではないか?と思うのです。

◆「男女平等=共産主義」と決めつける統一教会の方々

筆者は、2011年に河井案里さんと対決するために県議選に立候補して以来、11年以上、広島市を地盤として政治活動を続けています。2013年参院選(予備選挙)、2021年参院選再選挙に立候補しました。こうした中で選挙期間以外には、政治活動としての戸別訪問も行います(選挙期間中の戸別訪問は禁止。)。そういう中で様々な方にお会いします。その中には、統一教会系の方にも結構遭遇します。以下に筆者が遭遇した典型的な人物像を挙げます。

それは、女性なのになぜか、自民党の男尊女卑的な言動で有名な議員を熱烈に応援されている方々(複数人)です。筆者は最初、そうとは知らずに、戸別訪問した先の方から「今度、こういう人たちがあつまるから、来てみないか?」と紹介されました。

筆者も、最初にお会いした時は相手が女性ばかりということもあり、また、筆者の「広島市男女共同参画審議会委員」という肩書も紹介しながら
・家族を介護する方を支援する法律・条例の制定
・介護や保育現場の給料アップ
・非正規労働者への差別廃止
・DV・性暴力被害者支援
などを軸にお話します。

そうすると、相手の顔色がみるみる変わります。

「男女平等なんて共産主義だわ!」
「保育園なんて共産主義よ!」
「仲よくすればDVなんて起きないわよ!被害者支援なんて家庭を崩壊させるだけ。」

まるで、スイッチが入ったようにわたしが掲げている政策を共産主義と決めつけ、マウントをとってくるのです。その上で、「そんなことを言っていたら一票も入らないわよ」というわけです。

噴き出しそうになるのをこらえながら、お話をさらに伺っていると、統一教会系とみられる(あとでネット検索したら確かにそうとわかった)いかにも「怪しげな」イベントに来ないか?と水を向けられるのです。これはやばいとおもって、丁重にお断りはします。こうした方々との会話を思い出すたびに、腹の皮がよじれそうなくらい笑ってしまいます。

◆信者が「一騎当千」の働きで自民党に多大な影響

しかし、実は、こうしたことは笑い事ではない。一つは、彼女らが山上被疑者の母親のようになっていないか心配であるということです。

もうひとつは、こうした方々は、自民党の男尊女卑で有名な議員を選挙の時は、まさに一騎当千の働きで応援されているからこその心配です。

筆者は公明党・創価学会の方で親しい方も少なくはありません。ただ、公明党・創価学会の方々はいわゆるジェンダー解体という点では筆者と考え方は全く一致します。夫婦同姓強制の廃止や脱原発などの考え方で共通する方も特に婦人部では多い。また、一騎当千という感じではなく、数で押してくるイメージがあります。

しかし、統一教会系の方は「少数精鋭」でガンガン自民党の議員の選挙スタッフとして頑張っておられる特に女性が多いように見えます。そして、(女性なのに)「極端な男尊女卑」で「緊縮財政主義」者という点が判を押したように共通しています。日本会議の方もそれなりに存じていますが、日本会議の方はどちらかというと、積極財政主義の方もおられるなど、緩やかな感じがします。

◆自民党改憲案24条・83条にみられる「統一教会」の影

さて、「極端な男尊女卑」で「緊縮財政主義」というのは、実は、自民党の憲法草案に盛り込まれています。

【憲法 第24条(家族、婚姻等に関する基本原則)】
一 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
二 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

【自民党憲法改正草案第24条】
一 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。
二 婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
三 家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

【日本国憲法第83条】
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

【自民党憲法改正草案第83条】
第1項 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない。
第2項 財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。

◆男尊女卑に直結する家庭主義・家族主義的改憲

自民党は、統一教会の言う通り、個人ではなく家族を単位としているわけです。現代でも、そうはいっても、圧倒的多数の夫婦で女性の方が改姓をしている(筆者の場合、本名は妻の氏で戸籍筆頭者も妻ですが)状況もあります。こうした中で家庭ないし家族を社会政策上の単位としてしまうと、男尊女卑寄りにパワーバランスは傾いてしまうでしょう。自民党案24条のような社会政策の単位を家族とするのは家庭主義ないし家族主義といえますが、それは男尊女卑に直結します。

◆介護・保育を家族に押し込む24条と83条改悪の組み合わせ

さらに言えば、83条の健全性という名の緊縮財政条項と組み合わされば以下のようなことになります。

「育児や介護は国に頼らずに家庭で抱え込め。」

では実際にだれがやるか?

そうはいっても、妻であり、母であり、嫁である女性がやることをそうはいっても現状では期待されることになる。昔と違って今は、専業主婦家庭のほうが珍しくなってきました。

だが、今度は「仕事もして育児も介護もきちんとしろ」ということを女性に要求することになる。これが今はなき安倍晋三さんの「女性活躍」の実態でしょう。

昭和時代よりもハードモードとさえいえる。そして、その背景には「介護や育児など、たいしたことがないから女性にやらせておけ」というイデオロギーがまだ厳然とあります。

「たいしたことなければ男性もやればいいじゃないか?」と突っ込みたくなるのですが、なぜか、彼らは逃げ出すわけです。「何にもしない父親・夫。」これは確かに筆者の同僚の女性から存在は確認できます。

一方で、介護が「家族の女性がやることだから」と軽く見られて、手当てが十分でないからこそ、男性しか介護する家族がいないと、これはこれで追い詰められて悲惨なことが起きやすくなります。筆者も介護福祉士として事例を多く拝見してきましたし、男性介護者による介護殺人は広島県内でもしばしば報道されているところです。そして、最近ではヤングケアラーが深刻化しています。「母、妻、嫁」である女性にケア労働を押し付けてきたつけがいま、いろいろな形で子どもや男性も巻き込んで噴出しています。

もちろん、介護も保育も介護保険や保育園という形で社会化は進んでいます。だが、やはり「女性の仕事だから」ということで、低く見られ、仕事のハードさのわりに給料が低く抑えられています。

「女性差別」というよりは「女性虐待」「女性酷使」といったほうがいいかもしれません。そしてそれとセットで筆者ら男性も含む介護士や保育士の低賃金があるわけです。

一方で、介護保険の全面3割負担、人工透析者へのサービスのカットなども財務省は提案し続けています。

憲法24条、83条が改悪される前から、すでに憲法が改悪されたような状況になっているともいえます。

そして、筆者も含む積極財政派に財務省は緊縮財政の根源と批判されています。しかし、その財務省とて、安倍晋三さんの友人の怪しげな企業や学校法人などへのお金の流れは標的にしません。しかし、介護保険の改悪には張り切って取り組むわけです。財政健全化といっても、安倍さんのお友達には甘く、庶民に厳しく、なのです。

◆生活保護「扶養照会」を温存する統一教会的イデオロギー

また、生活保護受給にあたって、扶養照会という制度があります。三親等以内の親族に扶養できるかどうかを紹介するものです。しかし、そもそも、本人が困って窓口に駆け込んでいるのですから、照会してもほとんど無意味です。公費の無駄でしかない。しかし、照会されることを嫌がって申請をあきらめてしまう人もおられます。従って、厚労省も「扶養照会はしなくていい」という扱いにしています。旧統一教会の影響で「家族は相互に助け合わなければならない」というのを憲法に書いてしまうと、それこそ、この扶養照会が強化・復活することになってしまいます。

◆「高度成長期」の遺物の「家庭主義」

そもそも、家庭主義・家族主義というのも、高度成長期の遺物とも言えます。ざっくりいえば、「世帯主である男性が裕福か大手企業正社員であれば、家族は、住まいも教育も安心。」という仕組みです。それと裏表で「女性が介護や育児、家事などを全面的に担う」というものです。しかし、世帯主の安定が崩れると、家族も悲惨なことになる社会の在り方です。

いまや、日本はいわゆる失敗国家以外では唯一といっていいほど30年間、給料がアップしませんでした。そして、新自由主義・規制緩和のもとで、非正規雇用も増えています。そうした中で、今度は共働きの中で介護や育児などを相変わらず「軽視」したうえで、相変わらず女性に多く負担させることを前提にしています。一方で、低賃金で生活に困っている単身者も増えています。そうした中で、きちんと人々の給料を上げる方向や、学費無償化含めて社会政策の単位を個人にしていく方向で財政出動をしていくことが大事です。

なお、立憲民主党の一部にも統一教会と親しい方がおられるのは、大手企業労組の幹部でも、こういう「家庭主義」の路線の方がいらっしゃるということでしょう。実際に、筆者が「連合」系労組の役員をさせていただいた経験からそれは感じます。

◆人々のくらしの再建と日本のアップデート阻む「統一教会・自民党」からの卒業を

信教の自由は誰にでもあります。安倍晋三さんら政治家が何を信じようが人に迷惑にならない限りにおいて勝手です。しかし、今回、筆者が強調したいのは、宗教が選挙スタッフを送り込むなどの形で政策決定に大きな影響を与えているのではないか?という問題です。

その結果として、すでに「庶民に対する」緊縮財政で人々の暮らしは壊れていることです。そして、特に若い女性にとっていづらい古臭い国になっていることです。
「創価学会・公明党」とよく言われますが、これからは「統一教会・自民党」と呼んだ方がいい。そしてその「統一教会・自民党」のイデオロギーから日本が卒業しないと大変なことになる。いや、もうすでになっている。そのことは声を大にして申し上げたいのです。
 
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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