小選挙区制導入と河井克行被告当選から25年目の衆院選 「1996年体制」をいかに打破して、劣化した日本と広島の政治を変えていけるか さとうしゅういち

目前に迫った第49回衆院選。くしくも小選挙区制や政党交付金を軸とする現行の選挙制度ではじめて衆院選が行われてから25年になります。この現行の選挙制度は「政党本位の政治」を実現する、という触れ込みで導入されました。しかし、現実にはどうでしょうか? 政治を大きく劣化させたといわざるをえません。

さとうしゅういちは、そうした問題意識から、参院選広島再選挙においては、「小選挙区制をなくす」を「原発をやめる」「貧困をふせぐ」とともに公約の三本柱としました。

「小選挙区制廃止」を掲げた筆者の参院選広島再選挙におけるポスター

◆死票が多すぎる

小選挙区制のもとでは、議席に反映されない死票が多くなります。その結果、大きな政党への民意は過大に反映されるいっぽう、少数意見はさらに実態以上に小さく見せられます。実際に2017年衆院選で自民党は小選挙区での得票率は48.2%でしたが、議席占有率は75.4%となりました。

◆大政党の公認でなければ事実上当選が不可能

この選挙制度のもとでは大政党の公認をもらえなければ事実上当選が不可能です。ましてや無所属や政党要件のない党派(政治団体)所属では、対等な選挙運動も制度上、難しくなります。

これらはわたくし、さとうしゅういち自身、参院選広島再選挙に立候補した際に痛感しました。政見放送ひとつとっても、無所属候補は放送局収録の定型のものしか放送してもらえません。政党の公認があればオリジナルの映像ももちこめるのです。ビラも政党の公認があれば、政党がポスティングできるビラを発行できるのですが、無所属候補はできません。衆院選は参院選よりさらに無所属に厳しく、政見放送さえできません。

これだけでも凄まじいハンディキャップです。選挙になりません。さらに、その上、マスコミによる無視.軽視もくわわります。国政選挙では、よほどのタレントでもなければ政党の推薦がない無所属候補など、あまり取り上げません。

そして、政党公認候補には河井事件でも問題となった政党交付金が本部から配られます。タレントまたは、世襲などで地盤が強いかでもなければ、無所属候補は太刀打ちできません。

◆総裁に逆らえなくなった自民党議員たち

自民党の議員の場合なら自民党の公認がもらえなければまともな選挙運動にならない。結果として、自民党議員も総裁に逆らえなくなります。総裁も自民党議員たちが自分に逆らえないことの足元を見るわけです。たしかに、派閥はこれで弱くなった。そのかわり、総理.総裁の一強になってしまったのです。

小泉純一郎さんが、郵政民営化反対派にいわゆる「刺客」を送った2005年のいわゆる郵政選挙でこの流れは決定的に強くなりました。だから、安倍さん、菅さんが表舞台から降りるまで、自民党内でも安倍体制をひっくり返してやとうという人が出てこなかったのでしょう。

今回の総裁選では、4人の候補者が、安倍さん直系の高市早苗さんは別として、かつて安倍さんが率いていた政党とはおもえぬような政策も掲げておられました。しかし、裏を返せば、安倍さん、ついで菅さんが権力を投げ出した「空白」状態だから3人のリベラルな主張も可能になった、という見方もできます。

◆総裁のお気に入りであれば「悪評」克行被告でも余裕で議員に

そして、現行選挙制度の広島で明らかになった問題点は、どんなに中身がなくても、総裁のお気に入りでさえあれば誰でも議員として当選を重ねることができる、ということです。いまや夫妻で「広島の恥」と呼ばれるようになった河井克行被告人のことです。克行被告人は皮肉にも小選挙区制になった1996年、広島3区で初当選しました。

克行被告人の評判は地元では非常に悪いのです。妻の案里さん(参院選2019で当選も無効確定)のことは好きでも「克行は嫌い」という有権者をわたくしもリアルで多数存じています。ここで多くは申しませんが、週刊誌などで報道されたような問題を克行被告人が起こしていたことをリアルでご覧になっている有権者が多いのです。

しかし、それでも「自民党の公認があるから仕方なく河井」という方も多かったのです。

もし、現状が、中選挙区制のままだったらどうでしょうか? 克行被告人は実際に旧広島1区が定数4の中選挙区だった93年に立候補。次点にもならず大敗しました。今は小選挙区1区(広島市中区.東区.南区)の岸田文雄さん、同じく3区(広島市安佐南区.安佐北区.安芸高田市.山県郡)で立候補予定の公明党の斉藤鉄夫さん。そして、小選挙区2区(広島市西区や佐伯区、廿日市市など)で1996年に新進党で当選し、自民党の平口洋さんが地盤を引き継いでいる粟屋敏信さん。後に広島市長になる社会党の秋葉忠利さんが当選しました。おそらく、いま、克行被告人が中選挙区制のもとで立候補したと仮定しても、与党票は岸田さん、平口さん、斉藤さんに占められ、同じように大敗していたろうと推測されます。

比例代表制でも、都道府県別の有権者が名簿の順番を変更できるノルウェー式であれば、どうでしょうか?広島県を一つの比例区と考えれば定数は10人程度となり、自民党の獲得議席は4程度と予測されます。広島県の自民党議員7人の中で群を抜いて評判が悪い彼が4位以内になることはあり得ません。

克行被告人はそもそも、選挙を石破茂さんに応援してもらっていたのです。しかし、2012総裁選では安倍晋三さんに寝返り、以降は安倍さんに重用されました。克行被告人ほどひどくはないにせよ、安倍さんにかわいがられるだけで議員になれたと言っても過言ではない議員が、小選挙区制を軸とする現行選挙制度のもとで、全国に生まれたことは想像に難くありません。

◆野党・市民運動の共闘も「政策なき野合」と背中合わせ

野党がこうした制度の中で「共闘」を進めるのは理解できます。そうしなければ自民党に勝つ見込みはないのも事実です。しかし、一方で、「共闘」の進め方次第では、各政党が持っていた「持ち味」や「キレ」が失われます。

安倍晋三さんが総理大臣だったときは「アンチ安倍」の一点で結集というのも求心力を持ち得たでしょう。

あるいは、参院選広島再選挙のような状況なら、候補者が具体的な政策がわかる人でなくても、「金権腐敗打破」の一致点だけで自民党候補に勝てるかもしれません。しかし、安倍さんも菅さんもいない今となっては政策軸をはっきりさせないと厳しい。へたをすれば「政策なき野合」とみられかねない。

実際に「小選挙区で勝つには大手労働組合に遠慮しないといけない。」という議論がとくに広島では根強くあります。その結果として、例えば中央では9月8日に野党(立憲、共産、社民、れいわ)と市民連合が合意している「原発なき脱炭素」に後ろ向きな言動も、大手労組出身の国会議員のSNSでもみられます。

参院選広島再選挙の際も野党を応援する市民運動家も、選挙期間中、原発推進労組を基盤とする野党統一候補者(当選)に遠慮してか、「伊方原発再稼働NO」「フクシマ汚染水海洋放出NO」などの主張をネット上でも控える傾向が顕著にみられました。投票行動は戦略的にするとしても、言うべきことを言わないというのは、結局運動を弱めることになるのではないか?と懸念します。

ジレンマですが、こうしたことで、「政策をよく考えている有権者」ほど、与党にも野党にも失望し、投票率が低迷する結果になります。定数1だった参院選広島再選挙においても実はこうした現象はすでに起きており、投票率は33%という低さでした。このように、与党だけでなく、野党をも現行選挙制度が弱体化させています。

◆小選挙区制でなければもっと進む「原発なき脱炭素」

もし、昔のような中選挙区制か、比例代表制中心の選挙制度だったら、原発問題で自民党を割って出る人もいるかもしれません。ドイツのメルケルさんのように「保守で環境派.脱原発派」というスタンスもあり得るからです。

野党も安心して(?)原発推進労組系とそれ以外の大多数に割れるかもしれません。そうなると、保守系脱原発派と野党の大多数が政策ごとのパーシャル連合を組み、「原発なき脱炭素」を進めるという展開もあり得るでしょう。現状よりは市民の多数がのぞむ政策が実現する可能性が増します。

◆ジェンダー解消も阻害する小選挙区制

小選挙区制はジェンダーの解消も阻害します。ある一つの小選挙区である政党の男性の現職議員がいたとして、女性新人に交替させるのは、難しいのが現実です。しかし、比例代表制であれば、名簿にあらたに女性をのせるだけで済みます。実際に、女性議員率が高い国の多くは比例代表制中心の国です。

日本も女性議員率は14.4%と先進国最低で、中東の平均16.55%も下回っています。しかし、単純小選挙区制のアメリカもOECD平均の31.15%を下回る23.7%にとどまっています。アメリカが男女平等ではそうはいっても日本より進んでいることを加味すれば、単純小選挙区制の悪影響があるのではないしょうか?

◆「1996年体制」の打破を!

「政党本位の政治」が目標だったはずの小選挙区制を中心とする現行選挙制度。これを「1996年体制」と呼びたい。

しかし、「政策不在」で「大政党党首による権威主義」をもたらしてしまったのではないでしょうか?

克行被告のような総裁に気に入られただけで議員になれてしまう人を大量生産したのではないのか?

野党は「共闘」による政権奪取のチャンスにはあるが、「政策なき野合」と背中合わせです。

小選挙区制を廃止してあらたな選挙制度にする。そうした議論がいまこそ求められるのではないでしょうか?

ネット上では「楽しく比例制をめざす会」が立ち上がっています。

毎月、オンラインで勉強会を開催しており、全国から女性の議員らも参加しています。お待ちしております。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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岸田総理の地元広島の衆院選情勢をどうみるか さとうしゅういち

第49回衆議院議員選挙は10月19日公示、31日執行と決まりました。

わたくし、さとうしゅういちが住んでいる広島市は岸田総理の地元であり、また、あの河井事件も発生した場所です。今回の衆院選は核兵器禁止条約発効後、また、西日本大水害2018後、コロナ災害発生後、河井事件後最初の衆院選です。わたし自身は、今後も参院選を念頭に街頭や挨拶回りなどの活動も継続しています。そうした中でいただいた地元の有権者の反応も加味し、情勢を報告します。

◆河井不人気で与党安泰とはいえなかった広島3区

岸田総理のポスター(左)と斉藤国交大臣のポスター(右)

広島3区(安佐南区・安佐北区・安芸高田市・山県郡)は、あの河井案里さんの夫の克行被告人の選挙区です。また案里さんが県議として毎回、大量得票していた地元です。1996年に克行被告人が初当選。2000年に無所属の増原義剛議員にやぶれます。2003年以降はいわゆるコスタリカ方式で、2003年は3区増原・比例区河井、2005年は3区河井・比例区増原とすみわけました。しかし、2009年、3区増原・比例区河井の番で民主党の突風で増原議員が民主党新人に敗北して引退。以降は2012、2014、2017と克行被告人が議席を取ってきました。しかし、決して安泰とはいえません。野党(維新も含むが)候補の合計票が克行被告人を上回る状況が続いてきました。

克行被告人は評判がわるく、安佐南区では自民系の市議でも克行被告人の選挙運動をサボタージュする形で野党候補に票を回すようなことも常態化していました。

野党の衆院議員(比例復活)の誕生日会に自民党地方議員が堂々とこられており、彼から克行被告人は嫌いだという本音もうかがったこともあります。評判が悪いからこそ、克行被告人はやけになって金権に走ったともいえます。

ご承知のとおり、2020年に夫妻が逮捕された後、克行被告は離党しました。自民党は公募に合格した石橋林太郎県議を3区に擁立しようとしました。しかし、公明党が副代表の斉藤鉄夫さんを擁立、石橋さんは、比例にまわることになりました。

◆野党は女性新人のライアン真由美さんでしがらみのなさをアピール

立憲民主党の新人、ライアン真由美さんのポスター

野党は立憲民主党が関東地方出身の女性会社役員のライアン真由美さんを擁立。必勝区と位置づけています。しがらみで左右されていた政治風土が河井事件の背景にあったことも踏まえ、しがらみのなさをアピールしています。

いっぽうで、積極的に農村部もまわり、対話をつづけています。そして、2021年1月末、広島3区市民連合と政策協定を締結。野党の統一候補となっています。維新も広島ではアンチ河井の支持者の方が多いので維新も擁立しない状況がこのままつづけば、有望な状況といわれています。

◆与党は迅速な激甚災害指定や候補の大臣に任命、懸命な巻き返し

こうした中、与党は8月11日の大水害について迅速な激甚災害指定、そして10月発足の岸田内閣で斉藤さんを国土交通大臣に任命し、猛追しています。「毎日のように公明党員があいさつにくる」(70代自営業女性)ありさまです。

安佐南区では県議補選も11月14日執行で行われる予定です。河井疑惑をただす会で事務局長として先頭に立ってこられた山根岩男さんが立候補を予定。立憲、共産、社民、れいわ、新社会党に推薦・支援をもとめています。

維新を離党して自民党系に移った女性との一騎打ちが予想されます。

◆広島2区では異色の政治学者、大井赤亥さんが国政に挑む

広島2区に立候補する異色の政治学者、大井赤亥さんのチラシ

広島2区は広島市西部の西区や佐伯区、廿日市市や大竹市などで構成されます。1996年、2000年は、灘尾弘吉元議長のながれを汲む保守系だが1993年以降は野党の粟屋敏信さんが占め、2003年は民主党新人が当選、自民党は3位に沈みました。

2005年は粟屋さんの地盤を引き継いだ平口洋さんが小選挙区当選し、民主党が比例復活。2009年は民主党が圧勝して平口さんは小選挙区・比例とも落選しました。しかし、2012年以降は平口さんが3連勝し、野党は比例復活すらできません。

2021年衆院選ではこの選挙区において、わたしの大学の後輩にあたる政治学者の大井赤亥さんが挑みます。地元ではラジカルなフェミニスト活動家として有名だった母(故人)をもつ大井さん。ざっくりいえば、医療などのサービスは大きな政府、一方で古い価値観の押し付けはやめさせるというラジカルなスタンスです。

広島の民主党系では考えられないようなリベラル・左派や、若者が多く陣営に入って応援しています。全国でも最も古いと思われる広島の政治風土の中で、新しいやり方がどこまで通じるか? 注目されます。

◆広島1区は岸田さんの鉄板だが……

広島1区(中区、東区、南区)はわたくしの住まいがあります。爆心地を抱えていますが、岸田文雄さんの絶対的な地盤です。2009年衆院選では広島2~7区を野党が制したのに、1区だけは自民党の岸田さんが僅差ながら勝利しました。他の選挙ではまさに、岸田さんが野党候補の合計を上回る圧勝を続けています。今回は社民党新人の有田優子さん、日本共産党新人の大西理さんが立候補を予定しています。正直、岸田さんの勝利は動かないように思えます。

岸田さんは、新自由主義からの脱却をとなえています。また、ノーベル平和賞受賞者のサーロー節子さんと親戚でもあり、従来の自民党の「核保有国と非核国の橋渡し」から「核保有国を核兵器廃絶へ引っ張っていく」というスタンスに変わっています。この点は歓迎できます。しかし、だからといって岸田さんを支持することはありえません。むしろ岸田さんに新自由主義脱却や核兵器禁止でシャンとしてもらう(広島弁でしっかりしてもらう)ためにも、いままでこれらをきちんと主張してきたような野党の健闘が必要です。

岸田さんは一方で甘利明さんら、原発推進派を重用しています。広島の野党は中央の市民連合が掲げている「原発なき脱炭素」をしっかりと中期ビジョンとして掲げるべきです。この点では既存政党ではもっとも古くから脱原発を掲げてきた社民党の候補に期待しています。

◆さとうしゅういちの方針 ── 広島の野党に「活」、政策論争中心へ広島の政治をリニューアル

れいわ新選組・竹村かつしさんのチラシ

わたくし、さとうしゅういちの方針は以下です。

比例代表は「れいわ新選組」を応援する。
小選挙区では野党(3区ライアン、2区大井、1区有田)を支持する。

広島においては、河井事件の震源地ということもあり、既存野党の活動家が取り組むテーマも河井事件批判についてのものが、多くなりがちです。それはそれで大事です。年配者には一定程度ウケるでしょう。

しかし、いまや岸田さんが介護をふくむエッセンシャルワーカーの待遇改善など新自由主義脱却を打ち出しているなかで、たとえば若手・女性労働者の支持をどこまで掘り起こせるのでしょうか?心配です。

とくに若い方ほど他の勢力の批判をきらい、政策を重視する傾向がありますのでその点は留意が必要です。そもそも、政策論争中心ではないために、組織のしがらみやお金がモノをいう選挙だったことを踏まえるなら、河井事件批判「ばかり」では広島の政治のリニューアルから遠のきかねません。

また、広島では原発製造を含む重厚長大の大手企業の影響が強かった歴史があり、野党もそれに影響されている面があります。しかし、このままで野党はいいのでしょうか?

しがらみではなく、政策論争中心へ広島の政治をリニューアルしたい。

そのためには、広島の既存の野党(活動家)が河井事件批判に力を入れられているなら、新自由主義脱却を岸田さんと競い合い、中期の原発なき脱炭素などをもっともしっかり打ち出す役目をれいわ新選組が主に引き受け比例票を掘り起こす。そして結果として、各小選挙区の野党候補を押し上げる構造をつくる。

また、野党に「活」をいれるとともに、政権交代にいたらずとも、岸田さんが気をひきしめて核兵器禁止や新自由主義脱却にとりくむとともに原発推進は諦めるような環境にする。これがわたしの狙いです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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「権限移譲」という「丸投げ」を強行推進し、地方を衰退させた官製「地方分権」の30年 ── 自称「地方分権のトップランナー」広島県の惨状 さとうしゅういち

1990年代から叫ばれた「地方分権」。絶対善のように多くの人は思っていました。
「市町村を合併し『分権の受け皿』にすれば、オリジナリティのある地域ができる」という意見。

しかし、あれから30年。現実にはどうだったのでしょうか?

「地方分権」についての総務省の描いた絵をもっとも忠実に実行したのは、ほかでもない我が広島県の前知事・藤田雄山(在任1993-2009年、2015年死去)でした。当時、わたくし・さとうしゅういちは、主に山間部の介護・福祉・医療などの行政を担当する県庁マンでしたので藤田は上司でした。まさに、「渦中」で起きたことを目撃していました。

以下の広島県のホームページは「地方分権のトップランナーとして、市町の体制整備を推進してきました。」と自慢しています。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/36/26gappeikennsyou.html

2003年2月から2006年3月の間に、広島県内の市町村数が86から23に減少し、市町村の減少率は73.3%と全国第2位となりました。そして、県から市町への「権限移譲」(現実には、「丸投げ」)を進めてきました。

筆者のかつての職場だった広島県庁

◆合併で人口急減・魅力喪失に拍車

わたしが、県庁マン時代に担当していた自治体のひとつは三次市です。この三次市は、もともとは旧三次市と君田、布野、作木村、三和(みわ)、三良坂、甲奴町が合併してできました。合併して発足した直後の2004年には61823人いた人口は2021年9月には50,603人へ1万人以上激減しました。

「これからは人口が減るからそれに備えて合併してスケールメリットを確保しておく必要がある」などの意見も20年前は根強くありました。しかし、現実には、合併前から懸念されたとおり、吸収合併された地域の行政サービスが手薄になり、不便になりました。その結果、地域の人々が三次市の中心部を通り越して、広島市や首都圏などの大都市に流出する。自分で自分の首を絞める結果になっています。これは、別に県北部の三次市だけではありません。

県南部の沿岸部の呉市なども合併を進めた結果、同様の現象が起きています。呉市の場合は「各市町村に分かれていた時代のほうが、地域のオリジナリティが発揮されてよかった。いまは離島も呉市中心部もいっしょくたくになり、魅力が減った」(県内自治体に詳しい企業経営者)という指摘もあります。

県は市町村に「仕事を丸投げ」した一方で、職員を新規採用抑制という形で大きく減らしました。団塊世代退職が相次いだ時代に、わたしの後輩にあたる新人職員はほとんど入ってきませんでした。

一方、合併した市町村も合併直後は「合併特例債」でハコモノ整備では優遇措置を受けました。しかし、地方交付税交付金については「合併してスケールメリットがある」という想定の計算式にもとづいて合併前の市町村の交付税合計より、大きく減らされました。その結果、各市町村とも公務員の総数を減らすことになります。各市町とも、「合併で専門的な公務員を確保できる」という想定された結果にはなっていないとわたしは、県の立場からみて、感じました。新規採用を減らしたために、公務員という形で若者が地域に定着してくれることも減りました。街も人口減少以上にさびれた感じになったのを記憶しています。

◆相次ぐ災害・大水害とコロナで行政現場はパンク状態

こうした中、2018年、西日本大水害2018が発生。ご承知のとおり、本県は最大の被災地となりました。「被災者支援や復旧が遅れている」という住民の皆様の悲鳴はとくに、吸収合併された旧市町村地域から多く上がりました。吸収合併された地域では、役所が支所に格下げされて人材がいない。また、人々の意見を当局に伝える役割もある議員も合併による定数減少でいないことが、状況の悪化に拍車をかけました。そして、広島県庁でも「復興予算は国が出してくれてもそれを執行するだけの公務員がいない」(野党系地方議員)のです。

さらに、2020年にはコロナが追い打ちをかけています。広島県庁では2020年1年間でほぼ二年分の労働時間を働かされた、という職員がコロナ担当部局におられました。月80時間の過労死ラインどころの話ではありません。こんなことになる余裕のない執行体制にした前知事・藤田の罪は誠に重い。また、その藤田がやったことに積極的に軌道修正をかけなかった現知事や県議会の怠慢も問われます。

生前の藤田はあの河井案里元被告とは不倶戴天の政敵です。県議だった彼女に「男らしくおやめなさい」と叱責されたことでも有名です。しかし、中央政府の「いいなり」での合併や「分権」を「トップランナー」で進めてきたこと、言い換えればサービスの切り捨てを「大阪維新」など真っ青になるレベルで先んじて進めてきたことは広島県民にも意外と知られていません。河井案里さんが広島県史上最悪の金権腐敗政治家だったことは明らかです。しかし、彼女と犬猿の仲だったからといって、前知事の藤田や藤田を毎回の選挙で推していた与党の主流派や大手労働組合を持ち上げるのも考えものです。

一方、吉村知事率いる維新のもと、公務員削減路線を突き進む大阪府民の方に申し上げたいのは、以下のことです。広島県が中央官僚のいいなりで進めて失敗したおなじようなこと(自治体を弱体化させる)を、大阪では繰り返さないでいただきたいのです。

◆衰退につけ込んだ河井夫妻

また、河井克行被告人は、上記のような市町の窮状につけこみ、横柄な態度を首長や地方議員に日頃からとってきました。そしてご承知のとおり、参院選2019では、強引にお金を渡して案里さんの選挙を応援させようとしました。実際に、「案里・克行の機嫌を損ねたらわが町に補助金がこなくなる」とびびってお金をもらってしまった方もおられました。

もちろん、なにがあっても買収に応じてはダメですし、応じてしまった方は即刻、腹を切っていただきたい。本当は克行被告が市町の事業を妨害してきたら「国地方係争処理委員会」に堂々と訴えればいいことです。

しかし、官製「地方分権」の結果、地方の衰退が加速したことが、「腐った国会議員」が「焦る地方自治体相手にいばり散らす」結果をもたらしたといえるでしょう。

◆国・都道府県が責任をもつべきはもて

官製「地方分権」により地方衰退に拍車がかかってしまいました。その結果、県内の鉄道で維持が難しくなった路線もあります。正直、手遅れの部分もあります。しかし、広島県内でも、全国の他の都道府県でも、これ以上傷口を広げない努力は必要です。以下の点を提言したい。

〈1〉医療・福祉や危機管理などにあたる現場公務員をふやすこと。そのために予算をつけること

もはや、公務員を減らしすぎた弊害は災害やコロナであきらかです。菅政権は2021年度、41年ぶりに公務員定数の増加を実施しました。菅政権でさえ、ともいえます。野党のなかにも、公務員をバッシングして票を取る手法を取ってこられた議員もおられます。しかし、今回の衆院選で政権を狙うなら、路線転換していただかなければなりません。

〈2〉国や都道府県がバックアップすべきはバックアップすること

鳥取県の日野郡では、郡内の3つの自治体と鳥取県が「条約」にあたる「連携協約」を結んで福祉や教育、鳥獣害から観光振興に至るまで、話し合って柔軟に仕事を分担するようにしています。鳥取県では前知事・片山善博さんの時代に日野郡内の町村の仕事を県が一部請け負うための地方機関を設置しており、2014年の地方自治法改正をうけて、全国はじめての連携協約を2015年6月に締結したのです。
鳥取県日野郡連携会議

なんでもかんでも市町に丸投げした広島県のやり方ではない道があるのです。

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元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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疲弊し続ける介護の現場! いまこそ介護・福祉労働者の抜本的処遇改善を! さとうしゅういち

「介護・福祉労働者の抜本的処遇改善」は、この20年ちかく、わたくし、さとうしゅういちの一貫した主張です。2021年の参院選広島再選挙立候補に際しても新聞広告という形などで主張させていただきました。その原点は県庁マン時代にさかのぼります。

◆県庁マン時代 あまりに低い介護現場の労働条件に憤り

わたくしは、広島県庁マン時代(2000年度-2010年度)にもっともながくさせていただいた仕事のひとつが、山間部の介護保険関連行政です。

2000年にスタートしたばかりの介護保険制度の円滑な実施がわたしの任務でした。介護保険事業所に実地指導に赴かせていただき、多くの現場の方の使命感や責任感に大変な感銘をうけました。そのことが、わたしが、のちに介護福祉士に転じたきっかけです。

他方で、皆様の給料台帳をみせていただき、愕然としました。

「なりたての役人の俺よりよほど勉強されて専門性もたかい皆様の給料が、俺より低くていいのか?これでいいのか?日本の将来は大丈夫なのか?」

◆不足しているのは人手というより労働条件

わたしは、憤りとともに、日本の将来に不安を感じました。あれから10年、そして15年と経過し、わたしの不安は次々と具体化していきました。

端的にいえば、いわゆる人手不足です。否。そもそも不足しているのは人手ではなく、労働条件です。

労働のきつさに比べてあまりにも給料が見合わない中で、多くの介護・福祉労働者が現場をはなれていきました。また、業態によっては若い人がほとんどはいってこないようなものもありました。一部地域の訪問介護など、その典型です。書類を書くような時間、移動時間もふくむ拘束時間も労働時間にはカウントされない。正直、若いひとが食っていけるような状況ではない。そうしたなかで、使命感で年配者が支えている状況があります。あるいは、年金では足りない年配者が支えている状況があります。

広島瀬戸内新聞2021年初秋号

◆ダブルワークとそのリスク

介護現場で「あるある」は「ダブルワーク」です。正社員、パートとわず、コンビニバイト、そして飲食店バイトがポピュラーです。「ダブルワークをしないと子どもの学費を出せない」「コロナで飲食店バイトが減って大変だ」などという声をうかがいます。

岐阜県では、女性介護職員がいわゆる接待を伴う飲食店のスタッフを兼業していて、それを背景に新型コロナウイルスのクラスターが発生した事例があります。

介護だけでもきついのに、ダブルワークでは体ももちません。結局、ほかの業界に移ったほうがいい、という決断をする人もおおくなります。

◆民主党にも裏切られた介護労働者

もちろん、介護労働者の処遇改善については国も取り組んではきました。しかし、焼け石に水のような状況です。

2009年度の介護保険制度の改定から処遇改善加算制度が導入されました。当時は自民党の麻生政権で、自民党も、民主党に政権をうばわれそうな情勢の中で、慌てて対応した面もありました。

そして、同年8月30日の衆院選で民主党が政権につきました。介護職員の給料がこれで改善される。当時はまだ、県庁マンでしたが、わたし自身、自分のことのように喜んだのを覚えています。

しかし、その期待はあっさり裏切られてしまいます。2011年3月11日の東日本大震災からの復旧・復興のためにという大義名分のもと、多くの民主党政権のマニフェストが反古にされていきました。

介護職員の給料アップもその例外ではありませんでした。2012年の制度改定で民主党政権打ち出した処遇改善制度は、麻生政権のそれから前進がまったくといっていいほど無い内容でした。当時はすでにわたしは県庁を辞して民間で介護事務の仕事をしながら、国政をめざして政治活動をしていました。職場の仲間の介護労働者のみなさまに力不足が申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

当時は、民主党内閣は、一瞬ですが女性閣僚ゼロでした。そして、女性労働者が多いがゆえに、冷遇されてきた介護労働者のさらなる処遇改善を先送りしたことに、わたしは、いたく失望していました。

「ああ、結局、民主党も現場のとくに女性労働者が多い現場のことは考えてくれていないのか?」

まわりの介護労働者も、良識的な経営者も民主党に失望していました。

◆お友達にはばらまき、介護には緊縮 再登板の安倍晋三さん

その結果、2012年12月、安倍晋三さんが、政権に復帰します。安倍晋三さんはアベノミクスということで、財政を出動するという触れ込みでした。

しかし、実際には、2015年実施の最初の介護保険改定では、介護報酬をマイナス改定しました。これは、我々介護労働者の働きへの評価を低めるものです。さらに、前年2014年施行の消費税増税が介護事業にも仕入れの価格上昇などのかたちで打撃を与えます。ちょうど、2014年末、わたしが介護職員としてはじめて現場で働きはじめたこともあり、非常に印象にのこっています。

皆様もすでにご承知のとおり、2012年末に再登板した安倍晋三政権は、安倍さんのお友達の怪しげな企業・団体には国費が湯水のように投入していました。しかし、介護には緊縮財政だったのです。

◆悪徳法人批判も結局は現場労働者いじめに悪用

この介護報酬カットの前年には、悪徳な社会福祉法人がやり玉に上げられることがおおくありました。それに財務省がのっかり、介護報酬カットを強行したのです。

たしかに、悪徳な社会福祉法人はあります。たとえば、地方議員が理事長で、介護職員の給料から政治献金をピンハネしている、などということは、地方へいけばいくほど日常茶飯事にありました。しかし、そういう法人をきちんと行政が監査する、あるいは、そういう法人の理事長が議員であるがゆえに、当該法人への監査があまくなる状況があるなら、そんな議員を議員に対して腰が引けている知事や市町村長もろとも、地元の有権者が選挙で打倒すればよいだけです。 財務省が悪徳議員を奇貨として、介護報酬カットを強行しても、苦しむのは結局のところ、現場の労働者です。そして、充分な介護をされないお年寄り・障がい者など利用者であり、ご家族です。

◆一定の修正も、ときすでに遅し

多くの介護労働者の仲間が結局、現場をはなれていきました。安倍さんは、一方で、2015年秋の総裁選で「介護離職ゼロ」を打ち出しました。家族の介護で仕事をやめざるをえない人をなくすというふれこみでした。そうであるならば、きちんとサービスを利用しやすくしないといけないし、そのためにはきちんと介護労働者の確保をしないといけないのです。しかし、安倍さんが2015年にやったことは、上記のように、まったくのあべこべでした。

2016年には野党が共同提案で介護職員の給料改善の法案を出しました。しかし、あっさりと否決されてしまいます。このとき、おおさか維新の会も反対にまわったことも、関西の皆様はとくにしっかりご記憶いただきたいです。

2018年の介護保険改定では一定程度修正はかけられました。しかし、おそすぎました。そして、そもそも、処遇改善加算を自体をかならずしも経営者が職員に還元をしない場合もあります。介護現場は疲弊しきっていました。そうしたなかで、2020年、新型コロナウイルス禍が襲いかかります。

◆疲弊する現場、いまこそ、抜本的な処遇改善を

新型コロナウイルス禍の中、介護現場は消毒などの業務で疲弊しています。そもそも、密着して仕事をしますから、密は避けられない仕事です。また、老人ホームなど施設のお年寄り・障害者も外出や家族面会が制限される中で、心身をよわらせています。元気だった方の認知症が急速に進み、食事中に食べこぼしたり、これまでは考えられない場面で転倒したりするなどの出来事も頻発しています。これらへの対応も現場労働者を圧迫しています。

介護職員には2020年に一度だけ、5万円の報奨金が国から都道府県経由で支給はされました。しかし、それでは足りないし、同じように大変な保育現場にはそれすらありませんでした。

訪問介護ではスタッフが高齢化しているため、感染をしたり、利用者に移したりすることを恐れて職員が次々と退職。他方でデイサービスなどは大幅な減収で存続の危機です。

これまでも、「男性のえらい人」中心の政治の中で、与野党双方におきざりにされがちだった介護・福祉現場労働者。コロナの前にすでに限界でしたがそこにコロナが追い打ちをかけたのです。

目前にせまった衆院選挙。介護・福祉労働者の処遇改善も各政党・政治家はまじめに議論し、取り組んでいただきたいものです。

◆介護職員の公務員化も有力な手段だ

せめて現在は他の産業の7割程度ともいわれる介護現場労働者の賃金を他の産業の平均並にしたいものです。そのためにもたとえば行政が公務員として介護職員を雇うことも進めるべきです。そもそも、介護保険制度ができるまでは公務員のヘルパーがいたのです。公務員として雇われる介護職員が一定割合いれば、そうすれば悪徳な経営者も人材をとられまいと労働条件を改善せざるをえなくなるでしょう。
これらのことは、なんでもかんでも民営化、公務員をへらすことを善としてきた、この20-30年くらいの流れを転換することにもつながります。今回の衆院選をその転換点にしたいものです。

◆介護現場出身の国会議員をいまこそ

これほど状況が深刻なのに改善されない背景にはやはりとくに介護現場出身の国会議員がいないことがあります。恵まれた家庭から東大・京大を経て高級官僚とか、経済力にものいわせやすい世襲政治家などにはわかりづらい問題であるのも事実でしょう。参院選広島再選挙でわたしが立候補した理由のひとつでもあります。衆院選にむけては、わたしは、山口4区で安倍晋三さんに挑む介護福祉士仲間の竹村かつしさんを応援している理由のひとつでもあります。

◆労働条件改善へ、労働者/利用者・ご家族/経営者の皆様の声をお待ちしております!

ただいま、介護・福祉現場で働く人の労働条件改善、そして社会的な評価の向上をめざして、働くみなさま、そしてご利用者・ご家族のみなさま、また経営者のみなさまからのご意見・想いをお待ちしております。以下のノートに掲載させていただきます。

◎さとうしゅういち「介護福祉現場労働者の社会的評価向上と抜本的な処遇改善を」https://note.com/ryubi2021/

以下まで、よろしくお願い申し上げます。

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▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

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コロナ下の災害対応は「ボランティア頼み」ではなく、「現場公務員補充」重視の行政で! ── 広島水害ボランティアに参加してわかったこと さとうしゅういち

ご承知のとおり、2021年8月11日から14日頃にかけて、九州地方と広島県内では一時は大雨特別警報が発令されるほどの大雨となりました。広島県内では、広島市安佐南区の祇園山本という場所で総雨量が700ミリを突破。観測点近隣の安佐南区や西区では大規模な土砂災害が広島土砂災害2014(2014年8月20日)や西日本大水害2018(2018年7月6日)に続いて発生しました。周辺自治体でも、安芸高田市や北広島町、竹原市などで浸水などの被害が相次ぎました。

わたしは、8月29日、土砂の除去作業などのボランティアに政治活動上の事務所もある地元の安佐南区の被災現場に入りました。広島は8月に入って全国同様に新型コロナウイルス感染者が爆発的に増加、27日には緊急事態宣言が出されるありさまでした。今回は「コロナ」と「水害」のダブルパンチ状態の現場から報告・提言します。

◆2度の大水害による危機感で、人的被害は最小限に

2014年水害の安佐南区八木(筆者撮影)

今回の水害でも、田んぼの様子を見に行くなどして流されて亡くなられたり、行方不明になられたりした方はおられました。ただし、今回は2014年、2018年のような、大規模な土砂災害により多数の犠牲者が出る、という最悪はさけられたのは、不幸中の幸いです。

2014年の土砂災害は、広島市安佐南区東部の山沿いからJR可部線・国道54号線に沿うように、安佐北区の可部地区、さらには安芸高田市の一部に異常に強い雨雲がかかり、短時間に猛烈な雨が降ったことでもたらされ、関連死ふくめ77人が犠牲になりました。

2018年の西日本大水害は、広島、岡山、愛媛を中心に広い範囲で3日間の総雨量が400ミリ程度に達するという形でもたらされました。平野部に大きな川が流れる岡山(64人が死亡・不明)では洪水による犠牲者、山間部に住宅地があり、多くの人が住んでいる広島(114人が死亡・不明)では土砂災害による犠牲者が広範囲で顕著でした。

今回は広島の総雨量はおおかったものの、猛烈な雨が降る時間帯がほとんどありませんでした。わたしがボランティア活動で伺った場所でも、2018年や2014年のような「土砂が1m近くつもっている」という状況ではありませんでした。水分を含んで重いのには閉口しましたが、土砂の厚みは10数センチというところでした。

それでも、多くの砂防ダムが土砂で満杯となっていましたし、実際に物理的な土砂災害、浸水被害も多く出ており、犠牲者が出てもおかしくはありませんでした。

やはり、今回は2014年、そして2018年の大災害の教訓が生かされたといえるでしょう。

2018年水害南区似島の土砂(筆者撮影)

2014年の広島土砂災害の後も、被災地以外の県民や地方議員の間には「他人事」のような空気が感じられました。もちろん、多くの県民が、あの時はボランティアにかけつけました。ただ、まさか、自分のところでおきるということまでは具体的にイメージされていた方は少なかったようです。しかし、2018年の大水害では、2014年に被害がなかった安芸区、南区や東区でも大きな被害が出ました。

「2014年の災害の後、砂防ダムができて大丈夫と思っていた。だが、他方でそうはいっても、想定外の災害が続いているので、怖いから早めに避難した。」(今回うかがった被災地在住の30代男性)などの声を多くうかがいました。危機感の高揚が多くの命を救ったのはたしかです。

◆国・自治体の対応は改善も、引き続きチェックが不可欠

今回の水害にあたっては、以前よりは行政も迅速な支援をしています。広島市は、前回2018年の水害に続いて、民有地の土砂の撤去を市で行う、業者に頼んだ場合にはその費用を市が後払いすることを決めました。また、罹災証明書の発行手数料を無料にするなどしています。

国も激甚災害指定をいち早く表明しました。これには、主な被災地である広島3区の与党候補が国土交通大臣を擁する公明党大物であるという背景はあるでしょう。本来は選挙の思惑とは関係なく復旧支援はするのが筋ですが、前回の安倍晋三さんの「宴会三昧」よりは進歩です。

ただ、2度の水害がおきる前は、広島県もまるで「災害が起きない」ことを前提としたかのような新自由主義路線だったことは忘れてはいけません。そして、それが今回の大水害でも、そして今後起き得る災害でも不安材料です。広島県は河井案里さんと不倶戴天の政敵だった前知事のもと、86あった市町村を23に合併させました。そして、県職員は採用の異常な抑制などで削減して、県の仕事は市町村に渡したのです。

しかし、受け皿となる市町村も、合併後に地方交付税を減らされ、現場公務員を総体として減らさざるをえなかったのです。とくに、合併された側の旧市町村への公務員の配置が手薄になりました。その結果として、2018年の大水害からの復旧はすすんでいません。「予算がついても職員を減らしすぎて事業を回せない」(広島市内の県議)のが実態です。

2021年の参院選広島再選挙でわたしが回った際もいまだにブルーシートがかかったままの被災箇所がありました。また、ある2018年最大の被災地では「ここに来てくれた候補者はあなただけだ。あなたに投票する」というお言葉を頂きました。だが、そもそも二大政党の候補者が広島都市圏とは縁が浅い落下傘気味の方だったとはいえ、被災地に無関心だったのは大問題です。

引き続き、県民の皆様による、自治体や国政政党へのチェックは不可欠です。

[写真左]2021年水害の土嚢と土砂の跡、[写真右]2021年4月でも2018年西日本大水害のブルーシートが土砂崩れの山肌を隠すようにまだ残る(筆者撮影)

◆コロナで「ボランティア頼み」に限界――現場公務員補充・サンダーバード創設を

今回の水害の復旧にあたって、新型コロナウイルス感染爆発の中、県内各自治体とも、他の自治体からのボランティア受け入れはしない方針です。善意が感染爆発を加速させたら元も子もないので、仕方がないことです。わたし自身も、今回、安佐南区よりも被害が大きいと報道されている西区田方地区や、安芸高田市、北広島町に入りたい気持ちはありました。西日本大水害2018でもわたし自身、安佐北区口田南や南区似島、安芸区矢野地区、坂町小屋浦地区などにはいっています。しかし、今回は自重して事務所のある安佐南区限定の活動をさせていただきました。

とはいえ、もし、災害の規模が西日本大水害2018並みであった場合にはどうだったでしょうか? 考えるだけでぞっとします。土砂の除去作業なども進まず、衛生状態もさらに悪化するなど、悲惨な事態になったかもしれません。

1995年の阪神淡路大震災、そして2011年の東日本大震災。そして、西日本大水害2018などで、ボランティアの活躍が注目されました。

たしかに、ボランティア精神は素晴らしい。行政ではやりにくい、きめ細かなことを機動的におこなうなど、ボランティアは「自発的」(※本来、無償とは限らない)であるがゆえの優位性はあります。

しかし、とくにこの20数年間、行政の側が「ボランティア精神」にただのりして、本来付けるべき予算をつけなかったりしていたのではないでしょうか? とくに、西日本大水害2018の際に当時の安倍晋三総理が連日のように宴会やゴルフに興じて、被災地を軽視してきたのは、「ボランティアがなんとかしてくれるからそれにただのりしている」面もあったのではないでしょうか?

だが、コロナのもとで、それは通用しなくなりました。それぞれの自治体で現場公務員を補充するべきは補充していく必要があります。

そして、もうひとつは、気候変動の中で、こうした大規模災害は国内外とわずして増えています。これからも増えるのは避けられません。日本は災害超大国であり、災害に対応するノウハウはそれだけに蓄積されています。それをいかして国内外の災害に対応する災害救助隊=サンダーバードを創設することを改めて提案します。それこそが、日本がすべき国際貢献のひとつです。世界最初の戦争被爆地であり、この7年間で3度も激甚災害クラスの災害に見舞われた広島から訴えるものです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/29547261/

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なめられているのは広島市民! 根深い「政策不在」の広島政治 「河井夫妻」だけが問題なのか? さとうしゅういち 

河井案里さんが当選(有罪確定で無効)になった参院選広島2019。その後、夫の克行被告と共謀しての前代未聞の買収事件が発覚し、夫妻とも2020年6月18日、東京地検特捜部に逮捕され、案里さんは東京地裁での有罪判決を控訴せず、2月4日、当選無効が確定。克行被告は衆院議員をやめたものの、一審の実刑判決を不服として控訴しています。

両者ともきちんとした説明責任はいまだはたしていません。また、1億5,000万円のお金を案里さん陣営に出した側の当時の自民党総裁の安倍晋三さんもなんら責任をとっていません。4月25日執行の参院選再選挙においては、自民党候補は落選したものの、市議・県議はどこふく風です。とくに案里さんから直接もらった県議4人については、案里さんの有罪が確定した以上は、お辞めになったうえで、検察になにもいわれなくとも自首するのが筋です。しかし、8月28日現在、誰もなんのアクションも起こしていません。広島市内の有権者は、まだ、政治家になめられています。

2019年広島の参議院選挙

◆河井案里さん=政策不在・物量重視の選挙手法に真っ向から挑んで

買収事件をめぐる夫妻の金権政治については、多くのマスコミも切り込んでおり、ここでは多くはふれません。今回は広島の政治における「政策不在」についてお話しします。

まず、河井夫妻、とくに案里さんの政治手法は2003年に県議に初当選された直後は同期の女性議員とともに、県内の女性の声を聞いてあるく真面目な手法をとっておられました。

しかし、2009年に知事選(落選)に立候補したあたりからおかしくなってきました。わたしも、案里さんの街頭演説を2009年知事選、あるいは、2019参院選でも拝聴しました。しかし、「まったく新しい政治を」と叫ぶものの中身がないのです。おなじ自民党推薦の現知事や現市長を批判することで、現知事や市長に不満なひとたちを取り込もうとしている狙いはわかるのですが、肝心の彼女自身の政策が見えないのです。

こうした案里さんの政治姿勢に疑問をもったわたしは、2011年4月の県議選安佐南区選挙区で彼女と対決するために広島県を退職しました。選挙運動中に実感したのは、案里さん陣営のハンパない物量でした。とにかく、街中、案里さんのイメージカラーのピンクの看板やビラが洪水のように溢れているイメージです。

対するわたしは、最低限の費用で挑みました。彼女がわたし(4278票)の約5倍の票を取ってダントツのトップ当選。わたしは供託金は回収できたものの、当選にいたりませんでした。

◆「よくあれだけの票を取ったな」とびっくりされてびっくり

再選挙

選挙後、案里さんの地元のいろいろな方に「よくあれだけの票を取ったな?!」と驚かれました。

いや、わたしからしたら、「まったくといっていいほど政策がない案里さんがあんなに取った」ことが驚きなのですが。その、ギャップにまた二重にびっくりしました。

「広島の選挙や政治において、政策など、まったく関係ない」というのが実態なのです。

◆「地元・広島が一番政策不在」だった

わたしは、実は、「全国フェミニスト議員連盟」という団体に所属しています。仲間の女性議員・候補の応援に国政・地方関係なく、沖縄以外の全国にお邪魔した経験があります。「保守的」といわれる地域もみてきました。しかし、自分自身が立候補してみて、「地元の広島が一番政策不在だった」ということを実感しました。当時としても珍しく広島県議選と市議選には選挙公報がなかったことも影響していることもそれに拍車をかけました(2019県議選からようやく発行される。)。

◆広島の既成与野党へのアンチとして期待された案里さん

そして、さらに、複雑なのはそもそも、案里さん自体が既存の政治家、すなわち、「東大京大卒高級官僚出身のとくに男性国会議員」「世襲の腐りきった地元の政治家」「大手企業正社員・正規公務員中心の労働組合出身の野党議員」へのアンチテーゼとして、一世を風靡していたことです。わたしは、県議選安佐南区選挙区での敗北後も、政治活動を続ける中で以下のよう声をたくさんうかがいました。

「慶応ガールの河井なら東大京大卒男性高級官僚出身にはわからない女性の声も取り上げてくれそう。」

「女性の河井なら、大手企業正社員中心の組合出身の男性よりは、非正規労働者の味方をしてくれそう。」

「市町村合併を強行して地方を疲弊させた前知事にガツンと言った河井なら期待できそう。」

実際に、広島の既存の政治家もぱっとしなかったは事実です。

前知事(故人、1993-2009在任)は市町村合併を全国レベル以上に強行。86ある市町村を23に減らし、公務員も大幅に減らしました。保健所も全国の半減どころか3分の1にしました。大阪府知事ら「維新の会」がやっていることは広島県で前知事がとっくの昔にやっていたのです。

その結果、西日本大水害2018では復旧・復興にも苦労しています。広島県政の主流派もかくのごとくひどいのです。そして、その前知事の巨額買収疑惑をめぐって2006年に「男らしくやめなさい」と追及したのが案里県議でした。広島自民党の主流は新自由主義。野党も野党でとくに原発推進企業労組の影響がつよいなか、歯切れがわるい。そういうなかで、案里さんは頭角を現したのです。お金をばらまいたから当選した、安倍さんや菅さんの後押しがあったから当選した、というのは間違いではないが、一面的な見方です。

案里さんは「維新塾」にも参加されており、(中身がなくても)「ガツン」という物言いでウケをとることに磨きがかかったともいえます。

そもそも、買収であるならば、他の自民党国会議員も、表面上は合法な地方議員の政治資金団体へのカンパとしてやっていることではあるのです。それと引き換えに応援してもらってきたのです。

◆参院広島再選挙で「変わった部分」と「変わらぬ部分」

参院広島再選挙では、自民党もかつてのような地方議員を大々的に動員する、という手法はとれなくなりました。その結果、自民党の票が大幅に減るという形で投票率が下がりました。

一方で、「政策不在」については、与党はもちろん、野党もあまり変わっていないといわざるを得ません。

告示の数日前、地元の市民連合から「なんとか反自民で一本化できないか?」という打診をいただきました。

そこで、わたしは、(当選した)立憲民主党・連合広島など推薦の候補サイドに「伊方原発運転差し止めをふくむ原発ゼロ」を呑むなら「貴陣営への一本化もありうる」という話を持ちかけました。しかし、陣営の幹部の方からは「候補者は具体的な政策がわかる人ではない」という驚くべき回答(?)をいただきました。「これはだめだ。政策論争をきちんとしないと盛り上がらない」と考え、立候補を最終的に決断したものです。

しかし、マスコミも「与党対野党」の構図をおもしろおかしく伝えるだけで、公開討論会など、政策論争を盛り上げる仕掛けはまったくしませんでした。市民団体なども「まず、野党共闘ありき」で政策論争不在の政治を立て直すということには手が回らなかったように見えます。こうしたことから、結局、投票率は33%に留まりました。政策不在という部分は変わっていない広島の政治にうんざりの方が多いのです。

しかし、目前にせまった衆院選は核兵器禁止条約発効後、コロナ後、アメリカのアフガンでの敗北後、西日本大水害2018後、黒い雨裁判住民勝訴確定後、最初の衆院選挙です。大きな曲がり角にある中で、とくに核兵器禁止はもちろん、広い意味での平和でリードすべき広島が政策不在なままではいけん!

現在、さとうしゅういちは定例記者会見という名目でみなさまとかたりあうズームミーティングを毎週金曜日の20時から開催しています。広島・日本・世界をともにかたりあうことが、政策・政治姿勢本位の政治を広島からつくりなおすことではないでしょうか? お待ちしております。

◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/29547261/

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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