台詞は少なくとも、重厚さで作品を支えた。登場する場面が短時間でも、全力を注いだ。
大滝秀治の演技が最初に目に焼きついたのは、おそらくテレビドラマ「北の国から」だっただろうと思う。事情があって富良野にやってきた田中邦衛と子供たちに、かすれた声で大滝は言う。「おまえ等は、逃げてきたんだ。それを忘れるな」と鋭い眼光ながらも、どこか温かみがある声をかける。

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