家族の多数派に押し切られて、とにかく墓所に石塔を建てるため、石屋に電話した。
「父親は財産も残さずに亡くなったんです。かっこをつけてもしかたがないので、安いものにしてください」
そう言ったのだが最初に来た見積もりは45万円だった。石塔と言えば、何百万というイメージがあったので、まあ安いほうだろう。
だが、もっと安くはできないのかと言ったら、35万円になった。
文字を彫る費用や、納骨の際の作業代も含まれるという。
これはかなり、納得できる結果であった。

後はとにかく、寺と話さなくてはならない。
妹と弟と待ち合わせて、東横線の綱島駅から、タクシーで行く。
横浜も交通網の発達が著しい。横浜市営地下鉄グリーンラインというのが知らない間に通っていて、寺の近くに高田駅というのができていたのを知ったのは、帰りの時だ。
浄泉寺の入り口には、四角いテントがあった。墓所分譲のためのセールスマンがいる。

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