人気AV女優の香西咲が同僚とともに「タレントとして勧誘されたのにAVに出演させられた」としてかつての所属事務所「マークス(後にマークスインベストメントと社名変更)」の青木亮社長(40)を相手取って刑事・民事の両面で訴訟を起こす報道がAV業界を震撼。「一歩まちがえば業界が縮小する原因となる」とAV関係者が胃が痛い思いで注目している。

◆1本2、3万円なんてザラ

AVライターは語る。
「本人の意志に反してAV出演を強要されたことが立証されれば、事務所は労働基準法違反に問われる。これがもし判例となれば、AVに女を出演させるには、『本人の意志である確認』『金額条件がある確認」 など二重、三重に事務所サイドは女優志望者に確認せねばならなくなる。となれば、ほかのアダルト業界に人材をとられることになり質が低下する」(AVメーカー)

ことは「女優たちの下克上」ではなく、業界の未来絵図を変えようとしているのだ。つまり虐げられてきた女優たちの「地位改善」の千載一遇の機会だ。

「今のAV女優たちは一本あたりの単価が低くて、1本2、3万円なんてザラ。企画系女優などは、普段はOLや派遣会社をしているが、地方から上京してきて土日に事務所が契約しているマンションに泊まり、デリヘル嬢として客をとるのが通例」(同)

◆事務所社長は元関東連合

さらに、愛人クラブのサイトに登録して「ネットパパ」からお小遣いをもらうという強者女優もいる。

「要するに、稼ごうと思えばいくらでもできるが、女優をやめるのは至難の業。事務所によっては稼ぎの2割しか払わない会社もありますし」(同)

香西咲らが訴訟に踏み切ったのは、事務所社長の青木が元関東連合であり、金をふんだんにもっているから「大枚を使って和解に応じるはず」という計算があるという見方も。

「もともと青木は、最大手のAVプロダクションのバンビ出身で、バンビこそヤクザ系事務所。そうした裏人脈も強い。青木を守るためなら億単位のカンパがあっというまに集まるでしょう」(ヤクザ雑誌デスク)

かくして、さっそく各AVメーカーたちが「女優に法人を作らせて、メーカーと契約する」というウルトラCを悪徳弁護士と考え始めた。

法人どうしで「A社はB社のタレントにAV出演を依頼する。解除する場合は…」などとガチガチの契約をするなら、労働基準法違反を逃れることができる。

◆AV関係業者が生きる道はアジア市場?

「そうしてメーカーたちが女優たちの叛乱に対応に苦慮しているうちに、中国系のAVメーカーが台頭してきました。ピエロやギョクモンエンターテイメントなどがそうですが、中国や台湾、韓国の女優をスカウトたちが捜し始めました。大きくAV界の女優勢力図は変わるでしょう」

たとえばメーカーのDEEPSは、中国まで足をのばしてAV女優志望者を捜している。(タイトルは「楊麗玲デビュー! 本物中国人 大手電子メーカーの箱入り令嬢が好奇心で最初で最後のAV出演!日本上陸3秒で言葉より先にSEX! 婚約者より先に初中出し!」など)。

「女衒」ともいわれたAV関係業者が生きる道を見つける術はこの先あるのか。
たとえば台湾にはかなり日本のAVのニーズがあり、ここを経由して東南アジアに出て行くのだが、台湾政府は著作物とは認めていない立場だ。前とちがいこのルートはあてにならない。街のレンタルショップのAVは激減か? エロ好きの 諸兄には転換期がきている。

(鈴木雅久)

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