ワイクルーも綺麗だった両者の舞い

崩れないファチャンライに蹴り負けない展開を見せた伊藤紗弥

後半はロープに詰める攻めが目立った伊藤紗弥

伊藤紗弥(尚武会)がミニフライ級で世界統一を目指す第一歩、WMC世界ミニフライ級王座奪取。今後同級でWPMF世界王座、WBCムエタイ世界王座を狙い、ムエタイとして世界主要3団体となる王座統一を目指しています。

試合はやや体格差が影響したか、蹴り返してくるファランチャイに突破口が見い出せない印象も、次第に追う展開に導きスタミナ豊富にポイントで優った勝利で世界王座奪取。

久世秀樹(レンジャー)はムエタイの壁に阻まれる展開。2ラウンド後半からコチャサーンが始動開始、主導権を奪われジワジワと攻められていく。久世がパンチで攻めるところは優位に見えてもゴチャサーンは体幹がブレず冷静。久世はヒジ打ちを貰って口の中を切ったと思われる中、攻めてもバランスの悪い体勢。内容的にも大差が付いた世界挑戦でした。

山田航暉(キングムエ)は、スピーディーな展開で挑戦者.鳩(=あつむ/TSKJapan)に判定勝利。鳩は蹴り負けず追い上げるも一歩及ばず、テクニックを酷使した見応えある攻防の末、山田航暉が王座初防衛。

翔センチャイジムは首相撲に持ち込めば独壇場、DAIJUに何もさせない展開で左ヒジ打ちで倒す。離れた展開ならDAIJUも蹴り技があるが、そうさせない翔センチャイのムエタイ技が優り王座復帰に成功。

◎ムエローク2017.3rd / 8月11日(祝)
八王子市富士森体育館14:30~18:25
主催:尚武会 / 認定:WMC

◆WMC女子世界ミニフライ級(105LBS/47.627kg)王座決定戦 5回戦(2分制/両者計量はパス)

伊藤紗弥(元・WPMF世界ピン級(45.359kg)C /尚武会)
VS
ファチャンライ・ソー・サンチャイ(タイ)
勝者:伊藤紗弥 / 判定3-0
主審:テーチャカリン・チューワタナ
副審:ナルンチョン49-48. ノッパデーソン49-48. ソンマイ49-48

世界統一への第一歩を果たした伊藤紗弥、WMC立会人(左)と尚武会・今井勝義会長に囲まれて撮影

日本で王座奪取のコチャサーンの今後はどう展開するか

◆WMC世界フェザー級王座決定戦 5回戦(両者計量はパス)

ルンピニー系フェザー級2位.コチャサーン・ウォー・ウィワッタナーン(タイ)
VS
久世秀樹(前・WPMF日本同級C/レンジャー)
勝者:コチャサーン・ウォー・ウィワッタナーン / 判定3-0
主審:ナルンチョン・ギャットニワット
副審:テーチャカリン、ノッパデーソン、ソンマイ / 49-48. 50-47. 50-47. 担当三者の該当採点は不明

パンチ、前蹴りのヒットもあったテクニシャンの久世、しかし体幹いいコチャサーンは怯まず上手かった

◆WMC日本スーパーフライ級タイトルマッチ 5回戦(両者計量はパス)

チャンピオン.山田航暉(キングムエ)vs挑戦者.鳩(=あつむ/TSKJapan)
勝者:山田航暉 / 判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:テーチャカリン49-48. ナルンチョン50-47. ヌンポントーン49-48

山田航暉の蹴りが優っていき、好ファイトとなる激闘を制す

左から2人目はキングムエジム佐藤孝也会長

組み合ったらムエタイ技活きる翔センチャイの独壇場、ヒジ打ちが勝負の決め手となる

最後はヒジ打ちを放ったところで崩れ落ちたDAIJU

初代から3代目へ王座復帰した翔センチャイジム(=佐藤翔太)

◆WMC日本ライト級王座決定戦 5回戦(両者計量はパス)

翔センチャイジム(=佐藤翔太/初代C/センチャイ)vsDAIJU(尚武会)
勝者:翔センチャイジム / TKO 3R 0:37 / 左ヒジ打ちでノックダウン、カウント中のレフェリーストップ
主審:ソンマーイ・ケーウセーン

◆ピン級(100LBS)3回戦(2分制)

小宮山怜虎(尚武会)vs石渡悠真(エイワスポーツ)
引分け / 0-1
主審:ヌンポントーン・バンコクストアー
副審:ノッパデーソン29-29. ソンマイ28-29. ナルンチョン29-29

◆ウェルター級3回戦

柿沼慶(ボゴナクラブ)vs J(TSK Japan)
勝者:J=ジェイ / TKO 3R 0:20 / 右ハイキックでノックダウン、カウント中のレフェリーストップ
主審:テーチャナリン・チューワタナ

◆ウェルター級3回戦

千里KissMe(安曇野の会)vs 誠(レンジャー)
勝者:誠 / TKO 2R 2:26 / 左ストレートでノックダウン、カウント中のレフェリーストップ
主審:ナルンチョン・ギャットニワット

◆68.0kg契約3回戦

駒形けんた(レンジャー)vs 引間羅普(尚武会)
勝者:駒形けんた / TKO 2R 1:17 / パンチのラッシュでスタンディングダウン、カウント中のレフェリーストップ
主審:ソンマイ・ケーウセーン

他、アマチュアカード5試合は割愛します。

《取材戦記》

計量結果は入手出来ず、ウェイト競技として不完全な記録掲載となってしまいました。前日計量では全員正式にリミット内パスしています。

当初、アトム級(102LBS/-46.266kg)で世界統一を目指すとされた伊藤紗弥の世界戦が、前日になってミニフライ級(105LBS/-47.627kg)に変更されました。前日計量で、WMC側との契約の解釈違いがあった模様。プロボクシング世界戦ではこんな解釈違いが起こったことはありません。

試合後に今井会長が「伊藤紗弥は今後もこの階級(ミニフライ級=-105LBS)で世界統一狙います」と言ってくれましたので、そう捉えましたが、今後の成り行きによって狙う階級は流動的と感じました。

公表されている限りにおいて、元々ムエタイ世界主要3団体にアトム級は無いものの、今後新設される可能性があり、その場合はアトム級で世界統一を目指し、無ければミニフライ級で世界統一を目指すことになるでしょう。

体格差というのは軽量級に於いては、1ポンドの差でも大きな差になるといいます。
今回の試合もファチャンライはミニフライ級リミットを大きく下回るも、アトム級を少し超えた状態で来たので、若干の体格差が出たようでした。しかし伊藤紗弥の実力から言って、ライトフライ級(108LBS=-48.987kg)でもいける可能性があり、実力発揮して今後はミニフライ級統一成れば、上位階級も狙って欲しいものです。

日本のキックボクシング・ムエタイで、多くの興行プロモーションが存在すること自体は、プロボクシングと同じで何も間違ったことではありません。ただ協会(団体)がひとつではないこと、団体加盟しないフリーの興行でも充分成り立つことで、多くのタイトル組織認定化が進んでしまいました。

そんな中、本場タイ国で発祥したタイトル組織の傘下で位置付けされる権威の下、活動されているのが、WPMF、WMC及びWBCムエタイの傘下となる日本3団体で、この中でも生き残りが展開されている現在、尚武会の今井勝義会長が期待を掛ける伊藤紗弥は、女子軽量級に於いて主要3団体制覇を狙うのは最も価値ある頂点でしょう。

次は11月にNJKF興行に於いて、WBCムエタイ・インターナショナル・ミニフライ級王座を狙うことになります。WBCムエタイは、いきなり世界挑戦は出来ないので段階的に中間のインター王座を狙うことになります。

更に来年4月にはタイ国でのWPMF認定のビッグマッチ興行出場と、戦う路線は決定済。那須川天心と対戦したこともある “天才少女”と言われたジュニアムエタイ時代からプロデビュー後、順調に成長しテレビで扱われることも増え、シュートボクシングのRENA以上の注目を集めたり、3団体世界王座統一に成功すれば、“伝説の女王”の称号に相応しい存在となることでしょう。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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