日本プロボクシング協会、渡辺均会長の御挨拶

2017年度年間表彰式が、2月9日、日本ボクシングコミッション、日本プロボクシング協会主宰で、東京ドームホテルで行なわれました。一堂に会するチャンピオン達の顔触れに、夢の祭典という印象を受ける表彰式でした。また反面、来場者に古くからある顔触れも見られると、子供の頃、テレビで観た頃の懐かしさがありました。

《各受賞選手》

◎最優秀選手賞 WBA世界ミドル級チャンピオン.村田諒太(帝拳)初

◎技能賞 WBO世界スーパーフライ級チャンピオン.井上尚弥(大橋)2年連続2回目

◎殊勲賞(2名) WBA・IBF世界ライトフライ級チャンピオン.田口良一(ワタナベ)初
        WBO世界フライ級チャンピオン.木村翔(青木)初

三賞受賞選手。左から田口良一(殊勲賞)、村田諒太(最優秀選手賞)、井上尚弥(技能賞)、木村翔(殊勲賞)

謝辞を述べる村田諒太(最優秀選手賞獲得)

◎努力賞及び敢闘賞 東洋太平洋ヘビー級&WBOアジア・パシフィック・ヘビー級チャンピオン.藤本京太郎(角海老宝石)初

◎KO賞 WBC世界フライ級チャンピオン.比嘉大吾(白井・具志堅S)初

比嘉大吾(KO賞)と具志堅用高会長の師弟コンビ

◎新鋭賞 WBC世界ライトフライ級チャンピオン.拳 四朗(BMB) 初

◎年間最高試合賞 WBA・IBF世界ライトフライ級王座統一戦(12月31日・大田区総合体育館)田口良一vsミラン・メリンド(フィリピン)

◎年間最高試合賞(世界戦以外)=WBC世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦(1月28日・カリフォルニア)三浦隆司vsミゲール・ローマン(メキシコ)

ライトフライ級の対立チャンピオン、WBC拳 四朗、WBA・IBF田口良一

◎優秀選手賞(全15名、上位受賞者含む)
WBA世界ミドル級チャンピオン.村田諒太(帝拳)
WBO世界スーパーフライ級チャンピオン.井上尚弥(大橋)
WBA・IBF世界ライトフライ級チャンピオン.田口良一(ワタナベ)
WBO世界フライ級チャンピオン.木村翔(青木)
WBC世界フライ級チャンピオン.比嘉大吾(白井・具志堅S)
WBC世界ライトフライ級チャンピオン.拳 四朗(BMB)
IBF世界ミニマム級チャンピオン.京口紘人(ワタナベ)
WBO世界ミニマム級チャンピオン.山中竜也(真正)
IBF世界スーパーバンタム級チャンピオン.岩佐亮佑(セレス)
前WBA世界スーパーバンタム級チャンピオン.久保隼(真正)
前WBO世界ミニマム級チャンピオン.福原辰弥(本田フィットネス)
他、欠席4選手=山中慎介(帝拳)、井岡一翔(井岡)、ホルヘ・リナレス(帝拳)、田中恒成(畑中)

京口紘人と岩佐亮佑のIBFベルトコンビ

◎女子最優秀選手賞
WBA女子世界フライ級チャンピオン.藤岡奈穂子(竹原&畑山)3年連続5回目

◎女子年間最高試合賞
WBC女子世界ミニ・フライ級タイトルマッチ(12月17日・福岡)
黒木優子(YuKOフィットネス)vs小関桃(青木)

女子の受賞者、藤岡奈穂子選手(女子最優秀選手賞)と小関桃選手(女子年間最高試合賞)

◎特別功労賞 内山高志

◎特別賞 三浦隆司、下田昭文

引退組となった特別功労賞受賞の内山高志、特別賞受賞の三浦隆司と下田昭文

◎トレーナー賞 有吉将之、野木丈司

◎社会貢献賞(ダイヤモンドフィスト賞) 坂本博之SRSジム会長

◎WOWOW検定賞 三井賢徳

◎日本プロボクシング協会功労賞 山中勇、関谷西生、高橋美徳、原田実雄、中村尚秀

◎協会より感謝状 森田健レフェリー

表彰選手全員集合

全国の児童養護施設訪問で尽力された功績を称えられた坂本博之氏

レフェリーとして功績大きい森田健さん

受賞者を代表して謝辞を述べた村田諒太選手、帝拳ジム関係者や周囲の応援があっての受賞に至った感謝を述べた後、「個人的な話をさせて頂きますと」と、恐縮気味に進めたお話では「今日は高校の恩師にあたります武元先生の命日に当たります。そういう日にこういう賞を頂けるのも高校の恩師が未だに見守っていてくれているんだなと、つくづく感じております。思えばデビュー戦も8月25日の先生の誕生日でした。」と恩師(武元前川氏)の導きに感謝し、今後の飛躍を誓っていました。
数年前と比べ、若い顔触れに流れが変わった壇上のチャンピオン達、ベルトの数も増えていました。主要4団体という過去に無い王座の多さは賑やかさがある反面、世間から見ればどう映るのか懸念も残ります。

上昇気流に乗るチャンピオン達に対し、引退していく選手もいます。特別功労賞を獲得した内山高志選手、世界戦以外の年間最高試合賞と特別賞を獲得した三浦隆司選手、もう一人特別賞を獲得した下田昭文選手の引退組も、選手としてのこの表彰の場では最後の勇志という感じでした。

社会貢献賞として別名ダイヤモンドフィスト賞と呼ばれた賞にはSRSジム会長の坂本博之氏が受賞。“平成のKOキング”と言われたかつてのKOパンチが想い起こされる懐かしい顔が壇上に見られました。

日本プロボクシング協会より感謝状を受取られたのは、長年の審判員を務められた森田健氏。具志堅用高氏の世界戦のレフェリーを務められたこともある森田氏、それよりもっと古くから世界戦を裁いていらっしゃるので、古い者から見れば無くてはならない印象に残る存在でしょう。永年、レフェリーとして国際的にもボクシング界に貢献した功績を称えられる感謝状でした。

村田諒太選手は、ミドル級統一制覇するには避けて通れないのがWBA世界ミドル級スーパーチャンピオンでWBCとIBF王座も持つゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)がいます。
「まずは4月の初防衛戦に勝つことが第一で、そのあとにゴロフキンやサウル・カネロ・アルバレス、WBOチャンピオンのビリー・ジョー・サンダースへ進んでいけるように、しっかり頑張っていきたいと思います」と本人が語るとおり、これらのスーパースター級に勝利すれば、日本ではかつてない偉業を果たすことになります。そのトップレベルに挑める可能性がある現在だけでも偉大なもの。1年後の表彰式でどんな立場で現れるか楽しみなところです。

今年は1階級上のバンタム級に上げ、ライトフライ級、スーパーフライ級王座に続いて三階級制覇を目指す井上直弥選手は村田諒太に続く世界の偉業に挑む注目を浴びる立場。
「上の階級に向けた体作りに取り組んでいる」と言います。村田諒太と井上直弥は本場アメリカ、ラスベガスなどでのビッグマッチ、世界的に名声が轟く定着も視野にあり、これらが今後の日本のボクサーが目指すステータスとなるでしょう。

サインを求めるファンの列がいちばん長かった井上直弥

拳 四朗選手は人懐っこい笑顔が素敵だったという評判

この日、JBC役員の方に、ある些細なことをお尋ねしました。それはリングネームについて、ルールは変更されていないことを確認出来ました。それは以前から思っていたとおりでしたが、後楽園ホール5階の正面入口には世界チャンピオン達のパネルが並んでおり、“拳 四朗”のパネル写真もあります。リングネームは“姓名”を揃える、そこに漢字・カタカナ・平仮名で外来語も含む別名に替えることも許されています。拳四朗の呼び名は「けん・しろう」で姓名として分けているという強引な解釈ながら、これで認められているということでした。そういう意味で、“拳”と“四朗”の間が開いていることは想定したとおり。「他・格闘技で見られる個人名のみのリングネームの影響が、ここまで来ているんだな」と古い考え方では違和感があるも、これが時代の流れなのでしょう。拳四朗の本名は、寺地拳四朗で、元・東洋太平洋ライトヘビー級チャンピオンの寺地永氏の次男となります。

年間表彰式、来年はまたここに新しい顔が入ったり、外れる顔があったり、また年間最優秀選手(MVP)という一人しか選ばれない枠に誰が入るかという興味。王座乱立の中でも、MVPだけは乱立しない価値があります。選考審査はこの日以前に、東京・関西運動記者クラブ、ボクシング分科会によって決まることですが、当日の壇上にはまた違った緊張感に包まれる、1949年から続く伝統の年間表彰式はメジャー競技の象徴として今後も続いていくことでしょう。

乾杯音頭直後のチャンピオン達

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

おかげさまで150号!『紙の爆弾』3月号 安倍晋三を待ち受ける「壁」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』