令和の全日本キックボクシング協会、初陣から2年目の成果!

堀田春樹

地道に進む令和の全日本キックボクシング協会、日本と韓国勢の成長。
瀬川琉、苦戦はあるが協会代表格の存在感は健在。
デビュー戦から期待の広翔と野竹勇生と生太郎の兄弟も試練と戦闘中。
オーシャン・ウジハラも功労者ながら今回で引退。

◎SAMURAI WARRIORS vol.4
2025年12月28日(日)後楽園ホール17:30~21:35
主催:全日本キックボクシング協会 / 認定:WPMTA JAPAN

戦績はパンフレットと過去データを参照にこの日の結果を加えています。
前日計量は27日14時より稲城ジムで行なわれた様子です。

◆第12試合 60.0kg契約3回戦

全日本フェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/ 59.5kg)24戦16勝(4KO)7敗1分
         vs
權賢佑(=クォン・ヒョンウ/韓国/ 59.2kg)12戦10勝2敗
勝者:權賢佑 / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:竜矢27-30. 少白竜27-30. 勝本28-30

初回は蹴りの距離感を掴む主導権争い。すぐバッティングが起こるが、ダメージは權賢佑側にあった。それでもパンチから蹴りで前進する圧力があった權賢佑。瀬川琉はロープ際に詰められ、パンチで攻められる苦戦の始まり。組み合っても權賢佑のヒザ蹴りが瀬川を襲い、瀬川は左ミドルキックで脱するが、權賢佑の前進は止まらなかった。

第2ラウンドも權賢佑が前進。組み合えばヒザ蹴りで瀬川を追い詰める。權賢佑は何でも出来るテクニックを見せ、瀬川も対抗して返すも圧される流れは変わらない。

權賢佑との戦い難さに苦戦も打って出る瀬川琉

第3ラウンド、前進する權賢佑にローキックで懸命に崩しに掛かる瀬川は終了間際にはパンチでラッシュする見せ場を作るもダメージを与えるに至らず終了。權賢佑が判定勝利した。

瀬川琉は試合後、「第1ラウンドからパンチ貰って効かされて焦って、それで何も通用しなくて第2ラウンドまで進んでしまった感じで、ちょっと休んでやり直し復活します。」と語ったが、表情は明るく来年に向けて気合いは入っている陽気さだった。

權賢佑のミドルキックが瀬川琉にヒット

◆第11試合 ライト級3回戦

オーシャン・ウジハラ(=氏原文男/無所属/ 60.9kg)29戦13勝(8KO)16敗
         vs
鄭相鉉(=チョン・サンヒョン정상현/韓国/ 60.9kg)17戦14勝3敗
勝者:鄭相鉉 / 判定0-2
主審:和田良覚
副審:竜矢28-29 勝本28-29. 椎名28-28

初回、距離の取り方を探り合いの中、鄭相鉉の右ハイキックでオーシャン・ウジハラはノックダウンを喫した。ダメージは小さそうで、その鄭相鉉の蹴り足を取って崩そうとしたウジハラだったがノックダウンは免れず。更に鄭相鉉のアグレッシブなパンチ連打中心の攻めは続いてウジハラを弱らせる。

第2ラウンドも鄭相鉉がパンチから蹴りで攻めるも、ウジハラも打ち合いや蹴り返しの攻防から更に首相撲に持ち込むと、ヒザ蹴りを加えた攻勢に転じ始めた。

鄭相鉉のハイキックがオーシャン・ウジハラにヒット、これがノックダウンとなった

第3ラウンドもウジハラが首相撲に持ち込む展開で、リズムを狂わされた鄭相鉉も対抗しつつ、ウジハラのパンチとローキックでが効果的に出始めたが逆転の時間は少なく、鄭相鉉が判定勝利で逃げ切った。

試合後、引退を宣言したオーシャン・ウジハラ。デビューから19年の戦いを振り返り、ここまで戦って来た感謝を述べていた。

勝者ではない。オーシャン・ウジハラの引退宣言に代表が敬意を示した

◆第10試合 ライト級3回戦

全日本ライト級8位.山田旬(アウルスポーツ/ 61.35→61.15kg)6戦4勝1敗1分
         vs
ジョカミ・ナカジマ(中島道場/ 61.2kg)2戦1勝1敗
勝者:ジョカミ・ナカジマ / 判定0-2
主審:少白竜
副審:和田29-29. 竜矢28-29. 椎名28-29

10月5日に勇生(=野竹勇生)欠場による代打出場となったデビュー戦で、金炳秀(=キム・ビョンス)に判定負けしているジョカミ・ナカジマ。ドミニカでの全国大会優勝の実績ある選手だが、その実力が発揮された展開となった。

ジョカミ・ナカジマのテコンドー技が主導権支配して初白星を飾った

正攻法な山田旬と変則的なテコンドースタイルで攻めるジョカミ・ナカジマ。横蹴りや踵落とし的ハイキックで山田旬のリズムを狂わせて蹴り中心に攻めて出たジョカミ。山田より先手を打つ積極性と柔軟性で徐々にリズムを掴んだ。テコンドーらしい突発的前進も上手く使ったジョカミが判定勝利した。

意外だったか、勝って歓喜の雄叫びジョカミ・ナカジマ

◆第9試合 ライト級3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド/61.1kg) 5戦4勝(1KO)1敗
         vs
柳權(=リュウ・グオン/韓国/ 60.6kg)4戦3勝1敗
勝者:柳權 / 判定0-3
主審:勝本剛司
副審:和田28-30. 少白竜28-30. 竜矢28-30

開始からローキックで距離を計る様子見は互角ながら、柳權が蹴りからパンチへ積極性が優る。野竹生太郎は右ロー、カーフキックで攻めるが、柳權は下がらない。パンチ打ち合いでは先に野竹がヒットするも柳權がアグレッシブに巻き返して野竹をコーナーに追い詰める勢いを印象付けた。

第2ラウンド終了後はコーナーで俯きやや苦しい表情を見せた野竹。互いに蹴りとパンチの積極性があっても前進する勢いは柳權にあり。野竹にとってはどう攻めても怯まない柳權に手を焼く展開。残り時間僅かでも勢い優ったのは柳權だった。

柳權のアグレッシブな蹴りにリズムを狂わされた野竹生太郎、初黒星を喫した

◆第8試合 スーパーバンタム級3回戦

全日本スーパーバンタム級10位.広翔(稲城/ 55.1kg)7戦5勝(1KO)2敗
         vs
前田翔太(ウィラサクレックムエタイ/ 55.3kg)11戦4勝7敗
勝者:広翔 / 判定2-0
主審:椎名利一
副審:和田29-29. 少白竜30-28. 勝本30-29

初回、ローキック中心に蹴りの牽制が続くが、どちらも主導権支配には至らない。第2ラウンド、距離は縮まり、パンチの攻防も増えるが、自分のリズムが掴めない広翔。前田翔太のパンチ連打に決定打は貰わないがロープに詰まる広翔。

第3ラウンドには広翔も蹴りで優る前進を見せ、パンチの圧力も加えて攻勢を維持。僅差だったが広翔が判定勝利した。

広翔は攻め切れなかった反省を残しつつ、3月の韓国での勝利を誓っていた。

広翔は前田翔太に圧されながらも勝機を見い出すミドルキックを繰り出す

◆第7試合 66.0kg契約3回戦

カツヤ・ノラシンファミリー(Norasing Family/ 65.9kg)6戦4勝(2KO)2敗
         vs
蘆立亮太(YS’K YAMAGATA/ 65.55kg) 3戦1勝2敗
勝者:カツヤ・ノラシンファミリー / 判定3-0
主審:竜矢
副審:椎名30-26. 少白竜30-26. 勝本30-25

初回から組み合う時間が多かったが、カツヤのヒザ蹴りがやや優り、第2ラウンドにはカツヤが連打から左ストレートでノックダウンを奪った。第3ラウンドも組み合う展開が増え、カツヤがヒザ蹴り中心にウェイトを掛け、蘆立亮太を苦しめた流れで大差判定勝利。

カツヤがノックダウンを奪う攻勢を維持して蘆立亮太を攻め続けた

◆第6試合 ヘビー級3回戦  計量省略

チャン(MONSTAR)16戦8勝8敗
       vs
ピクシー犬塚(府中ムエタイクラブ)2戦2敗
勝者:チャン / 判定2-0
主審:和田良覚
副審:椎名29-29. 竜矢30-28. 勝本29-28

両者のウェイト差は不明。おそらく100kg超同士ではあるだろう。パンチ中心の攻防は激しく続いたがクリーンヒットは無い様子で互角の攻防。チャンは幾度か後ろ蹴りを見せてインパクトを与える。試合終了直後は両者疲れ切った表情だった。

◆第5試合 59.0kg契約3回戦
中村健甚(稲城/ 58.8kg)6戦1勝3敗2分
       vs
近藤祐一(デボルターレ/ 58.75kg)4戦3勝1敗
勝者:近藤祐一 / 判定0-3
主審:少白竜
副審:椎名28-29. 和田28-30. 勝本28-30

蹴りからパンチの交錯はやや近藤祐一が優り、第3ラウンドには激しい打ち合いに移ると、近藤のヒットが優るも中村健甚も鼻血を激しく流しながら踏ん張って打ち返したが、近藤が圧し切り苦しい試合を判定勝利した。

◆第4試合 65.0kg契約3回戦

小玉倭夢(Norasing Family/ 64.85kg)4戦2勝(1KO)2敗
       vs
内田航太郎(TRIM/ 64.85kg)1戦1勝(1KO)
勝者:内田航太郎 / TKO 2ラウンド 2分59秒
主審:竜矢     

蹴りの攻防から始まるも徐々にパンチの交錯が強まり、内田航太郎の連打の中、第2ラウンド終了間際に右フックで近藤祐一がノックダウンを喫し、カウント中のレフェリーストップとなった。

◆第3試合 フライ級3回戦

横尾空(稲城/ 50.65kg)5戦3勝1敗1分
       vs
パク・スンミン(韓国/ 49.9kg)1戦1敗
勝者:横尾空 / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:少白竜30-24. 和田30-24. 椎名30-24

初回から蹴りとパンチのコンビネーションで優った横尾空が距離感を掴み、先手を打って多彩に攻め、第2ラウンドには勢い余った崩し倒す技でパク・スンミンがマットで頭を打ったか、そのままノックダウン扱い。更にパンチ連打でパク・スンミンがパンチを避けるように倒れると2度目のノックダウン扱いとなる横尾の圧倒の攻めが強まった。

第3ラウンドにも横尾のパンチヒザ蹴り、組みに行くと崩し倒し、横を向いてしまうパクスンミンはノックダウン扱いとなって、圧倒の展開で横尾空が大差判定勝利となった。横尾の圧力を凌げないパク・スンミンは飛び蹴りやバックハンドブローで突破口を開こうとしてもテクニックでは横尾が大きく優った。

◆第2試合 65.0kg契約3回戦

滝口遥輝(中島道場/ 64.2kg)5戦4敗1分
       vs
亀田蓮(亀田同志会/ 64.3kg)2戦1勝1敗
勝者:亀田蓮 / 判定0-3
主審:竜矢
副審:少白竜27-28. 和田27-28. 椎名27-29

初回から激しい攻防から亀田蓮のタイミング良い右ストレートで滝口遥輝がノックダウンも、滝口も攻め返し両者のアグレッシブな攻防が続き、第3ラウンドは滝口がパンチで巻き返したが、序盤のポイント守った亀田蓮が判定勝利。

◆第1試合 スーパーバンタム級3回戦

渡邉獅生(JTクラブ/ 55.2kg) 3戦2勝1敗
         vs
申大容(=シン・デヨン신대용/韓国/ 55.0kg)3戦3敗
勝者:渡邉獅生 / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:少白竜30-28. 和田30-28. 竜矢29-27

《取材戦記》

セレモニーでは極真会館増田道場の増田章代表が、全日本キックボクシング協会外部顧問相談役として参加することが発表されました。今後のアドバイザーとして活躍は如何なるものか。

極真会館増田道場・増田章代表が、協会外部顧問として参加が発表と御挨拶された

3月に韓国の釜山でHIROというイベントに野竹勇生と広翔が出場。純ムエタイ、キックボクシングとはルールは違い、旧K-1、RISEルールが多いという情報で。どういう結果を残すか解らないが、良い経験値にはなるだろう。

栗芝貴代表が語ったアジアトーナメントは2026年を基礎固めに2027年に開催へ運びたい様子です。

興行終了後の栗芝貴代表のコメントで今年の纏めは、
「今年は自分自身も中国や香港に行って、いろいろ交渉事やって来たんですけど、しっかり足下見て日本側の選手を鍛え上げて行かなきゃという気持ちが強くて、1年間を振り返ると皆、頑張ってくれたんじゃないかと思います。」

中国との交流については、
「中国の組織とは提携書は交わしたんですけど、なかなか難しい中国側の考えがあって、マッチメイクが直前まで決まらない。それだとマッチメイクが組み難い。ただ折角のお話が進んで来たので無駄にはしたくないですね。」

香港については、
「香港はムエタイ、キックボクシングがずっと続いている歴史があるので、アマチュアムエタイ大会にも香港の選手は多くて選手は揃っていると思います。」

栗芝貴氏が日本代表となったWPMTAについては、
「組織としては結構年月経っており、現在のタイはONEがあってムエタイ自体の集客が難しいけど、彼らはもう一回本来のムエタイをしっかりやりたい思惑があります。アマチュアムエタイでしっかりとムエタイを世界に普及しながらプロ試合もやって行くという本来のムエタイに戻ることを目指しています。」と語る。

ルンピニーアカデミーといった文言も出て来ましたが、日本で開催して欲しいという要請もあるという。それらは2026年にどこまで進められるかが課題となりそうです。

まだ弱小の存在ではあるが、目標が明確な全日本キックボクシング協会。

今年最初の興行は3月21日(土)で、6月7日(日)、10月11日(日)、12月27日(日)と4回の後楽園ホールでの開催が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」