疑惑のカレンダー

◆カレンダー問題が勃発

100万円の国税庁口利き疑惑、たび重なる政治資金の記載ミス、公職選挙法違反の疑義がある氏名入り看板問題につづいて、こんどはカレンダー寄附疑惑である。片山さつき地方創生大臣が2013年に製作したカレンダーは、過去に松島みどり法務大臣が選挙民に配ったうちわとは違って、定価が付いた商品である。その商品(カレンダー)を選挙民に配った疑惑が生じているのだ。片山大臣は「政治資金パーティーや後援会の集まりなど、有料のイベントで配った(カネを徴収した)ものですから、寄附行為には当たりません」と述べているが、「日刊ゲンダイ」(2018年11月11日付)によると、そうではないようだ。

日本行政書士連合会に所属する司法書士によると、連合会の会報に片山さつきのカレンダーが同封されてきたというのだ。この司法書士は片山さつきの支援者というわけでもなく、大いに当惑したという。しかも送られてきた時期は、4月だというのである。カレンダーには「私(片山さつき)も行政書士です」「行政書士法改正推進!」など行政書士に直接訴えかけるような言葉が並んでいるのだから、片山は選挙に向けたアピールのためにカレンダーを送ったとみられても仕方がないであろう。「夕刊ゲンダイ」は政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏の見解を、以下のとおり引いている。

「片山事務所が連合会に依頼し、顔写真などが載ったカレンダーを配っていたのなら、公選法違反の恐れがある。また、支部で作ったカレンダーを無償で連合会に提供したのなら、その旨を収支報告書に記載しなければなりません。政治資金規正法違反の不記載に当たる可能性もあります」

◆またもや未記載、締めて770万円なり

11月14日付け朝日新聞朝刊によると、片山大臣の政治収支報告書に450万円の収入未記載があったという。支出の未記載も90万円である。すでに報じられた収入分の未記載、200万円、120万円とあわせて、じつに770万円の未記載ということになる。おそらく片山さつき大臣(当時は議員)にとって、細かい数字はどうでもいいことなのだろう。会計担当秘書がいい加減なのだとしたら、議員としての管理能力の欠如ということになる。あるいは、片山大臣のパワハラ的といわれる事務所運営に、ほとほと愛想が尽きた「秘書」が、わざと記載ミスをしたのだろうか。

 

日仏共同テレビ局France10による片山さつきインタビュー記事より(2014年4月7日 by Henri Kenji OIKAWA)

さすがにこれで終わりかと思っていたら、14日発売の「週刊文春」は、片山事務所の事務所費用にかんする疑惑を報じた。

◆南村「秘書」との謎の関係

その事務所費用疑惑とは、ほかでもない「国税口利き疑惑」のいっぽうの当事者である南村秘書の親族が所有するマンションが対象となっているのだ。すなわち、片山氏が代表を務める政治団体「自由民主党東京都参議院比例区第25支部」の主たる事務所の所在地が、当該のマンションなのである。片山大臣はそのマンションの室料として、2012年から2016年の間、合計150万5千円を支払っているのだ。このうち少なくとも90万円は、政党交付金、つまり税金から支払われていることが確認できたという(週刊文春)。南村氏は2012年時点で第25支部の登録政治資金監査人であり、2016年までは片山氏のファミリー企業で取締役を務めるなど、片山大臣と密接な関係だったことがうかがえる。国会答弁では、税理士としての相談役などと、片山大臣は私設秘書であることを否定してきた。

だとすれば、「自由民主党東京都参議院比例区第25支部」の主たる事務所が、南村氏の関連する事務所であるのは不思議なことと言わざるを得ない。事務所としての使用実績がないとしたら、そもそも政党で支払う義務はなく、政党交付金(税金である)の使途不明にあたる。あるいは公文書の虚偽記載、もしくは公文書偽造ということになるはずだ。疑惑の事務所費から、南村氏と共犯した可能性のある斡旋利得罪の証拠が明らかになるのかもしれない。大臣辞職までカウントが入った感のある片山大臣だが、彼女を更迭できない安倍総理の苦悩も重篤であろう。なにしろ、「2人、3人分の女性大臣」なのだから。


◎[参考動画]片山さつき氏 新たに収支報告書を訂正 野党が批判(ANNnewsCH 2018/11/08公開)

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

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