「主文、被告(李信恵氏)は原告(鹿砦社)に対し、10万円……を支払え」

末永雅之裁判長がそう読み上げた瞬間、取材班は傍聴席で顔を見合わせ、メモを取る手も止まってしまった。傍聴席からは「よし!」の声や拍手が沸き上がる。裁判長が「静かにしてください」と注意をするが主文の読み上げは短時間で終わった。傍聴席にいたある取材メンバーは判決主文の読み上げが終わると同時に「ありがとうございました!」と大声で叫んだ。

被告席には誰の姿もない。つまり普段は「正義は勝つ!」と威勢のいい神原元、上瀧浩子両弁護士の姿がないということだ。傍聴席にも鹿砦社支援者の姿しかなく被告側の人間は誰も来ていない。このかん、「M君リンチ事件」裁判で勝訴ながらも、不可思議な事実認定に、砂を噛むような思いをしてきたわれわれとしては、このような瞬間が(事実関係からすれば当たり前の判決なのであるが「報告事件」化している「M君リンチ事件」裁判との関係から、本件訴訟でも「不当判決」が出されるのではないかと憂慮していたのだ)訪れるのは、この問題に関わって初めてであった。

われわれは、たとえ敗訴しても、松岡を先頭に堂々と法廷で判決を粛々と聞き、その報告をこの通信などで行うつもりであったが、被告李信恵氏本人も、神原・上瀧両弁護士も、また彼らと連携する人たちも、誰もがこの判決に口をつぐんでいる。負けは負けと認めたらどうなのか!? 

◆裁判所は被告李信恵氏の言動に不法行為と「リンチ事件」の存在を認定した!

判決言い渡し後、書記官室に判決文を受け取りに行き、その内容を読み、松岡をはじめ取材班は驚きを隠すことができなかった。これまでの「不当判決」とはまったく異なり、判決は、われわれの主張が、一部を除きほぼ全面的に認められ被告李信恵氏の不法行為が認定されている内容であったからだ(その割に「異常に損害賠償金額が安すぎる」という指摘を各方面から頂いている。それはその通りだろう)。

言い換えればわれわれの「裁判所不信」がそこまで高じていたということである。ほぼ「全面勝利」と言っても過言ではない内容だ。見えない力が働くかのように裁判では無敗を誇っていた被告李信恵氏が初めて敗れたのだ。おそらく、10万円という金額以上に、本判決は、松岡がいつも言うようにダムを決壊に至らしめる〈蟻の一穴〉になるだろう。かのソ連崩壊を見よ! ゴルバチョフがペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を開始した時、やがて鋼鉄のようなスターリン主義体制が一気に崩壊すると誰が想像しただろうか。

そして、重要な付加的な成果があった。末永裁判長は判決文3頁において、「M君リンチ事件」を《大学院生集団リンチ事件。以下単に「リンチ事件」という。》と記している。本件訴訟は被告が李信恵氏ではあるが、鹿砦社がこの事件取材に至る契機として「リンチ事件」との言葉が裁判官により用いられたのである。判決直後鹿砦社ツイッターアカウントで「勝訴」を速報したところ、リツイートが集中した。それほどにこの事件は関心を集めていたということが証明された。ところがである。

◆司法記者クラブ、またしても記者会見開催拒否!

判決後打ち合わせをしている際に、取材班の一人が「これは確実なニュースなんだから記者クラブへ記者会見を申し込みましょうよ」と発案した。これまで提訴の際などにことごとく「記者会見開催拒否」を食らっていたので、われわれの頭の中からは大阪地裁に「記者クラブ」が存在していることが、幻のようになっており、この当たり前すぎる「権利行使」にすら思いが至らなかったのだ。

早速記者クラブへ電話をかけ会見を開きたい旨伝える。ま・た・し・て・も幹事社は朝日新聞だ! 担当記者は「イッシキ」(男性)と名乗り「各社に諮ってみます」と言い、電話を切ったが、折り返しの電話は、なんと非礼にも「非通知」でかかってきた。「本日は立て込んでおり、資料を配布してもらうのは構わないが、記者会見は行わない」といった趣旨の話をする。そんなバカな話があるか! 著名人が名誉毀損で勝ったり負けたりしたら、新聞は小さくとも記事にするじゃないか。李信恵氏が勝訴したら、ほとんどのメディアが取り上げて、彼女が敗訴したら全メディアが無視をする。不公平じゃないか。

このようなことを繰り返すから、われわれは「大阪司法クラブ」は李信恵氏及びその陣営と結託した「情報カルテル」と再度糾弾せざるを得ないのだ!「では、明日でも構わないから会見を開かせてください」と要請するも答えは「NO」である。つまり「立て込んで」いようがいまいが、われわれに会見は開かせない──これが一貫した「大阪司法記者クラブ」の姿勢だ。さらに、「イッシキ」氏だと思うが、あえて名を聞くと、「名乗れない」と言う。失礼にもほどがある。

そして、この不公正な態度はかえって「差別」を助長するものであることに、記者たちは思いを巡らせないのか。「大阪司法記者クラブ」はリンチ被害者M君の要請を含め、一体このかん、何回われわれの会見開催要求を踏みつぶしてきたか。逆に李信恵氏が訴訟で勝訴した際には、支援者の一般人は記者室に招き入れ、鹿砦社は社名を名乗ると部屋にも入れなかった。

これらの姿勢は、明らかな「鹿砦社排除」である。法律で禁止されている「村八分」行為である。

勝訴してもどのメディアも書かない、扱わないから、いきおいネット上では、きつい(場合によっては差別的な)論調で李信恵氏への批判が展開される。われわれは何度繰り返すが「原則的に差別に反対する」立場である。仮に誹謗中傷を向けてきた相手が、李信恵氏ではなく男性であろうが、日本国籍の人物であろうがケント・ギルバートであろうが同様の内容には同様のアクションを起こしたであろう。「大阪司法記者クラブ」の偏向した姿勢は、かえって差別助長に加担しているのではないか。属性が何かではなく「なにを発信したか」、「なにをしたか」が問題なのである。このような簡単な原則も理解できない記者連中にはもう何の期待も持たない。少しはわれわれの闘志を見習え、と忠告しておく。ぬるま湯につかっている“マスゴミ病”患者には理解できないかもしれないが……。

ともかく、3年近い、けっして短くない期間の、われわれの苦闘が報われ、巨大なダムに〈蟻の一穴〉が刺されたのだ! われわれはこれを突破口に、リンチ被害者M君救済を勝ち取り、被告李信恵氏とこれと連携する徒輩らによる隠蔽策動を打ち破り“真の勝利”を勝ち取る決意である。

(鹿砦社特別取材班)

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鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541