◆大学院生リンチ事件加害者と繋がる反原連

さらに、偶然(必然か?)とはいえ、鹿砦社には「しばき隊/カウンター」内で発生した、極めて深刻な大学院生リンチ事件が持ち込まれました。反原連とリンチ事件は当初、別個の事案のように思われましたが、取材を進める中で反原連の人間と「しばき隊」の幹部連中が、相当数重なっていることが判明しました(今では常識ですが)。

結語から述べれば、その人々は“「リベラル」を纏った権力別動隊”でした。思慮に乏しく、排他的で、政治・行政権力との緊張関係に欠ける。この集団はリンチ事件発生時、「ヘイトスピーチ規制法」の立法化に力を入れており、それ故にリンチ事件が社会に知れ渡ることを、過剰に警戒しました。その数々の証拠はこれまで5冊の出版物(雑誌増刊号4冊+リンチ最中の音声CDを付けた書籍1冊)として上梓してきた中で詳述してありますが、とりわけ悪質であったのは、集団暴行被害者をあたかも「加害者」のように扱うメールを金展克氏に送付した師岡康子弁護士でしょう。すでに本通信6月25日号でも述べていますので、ここでは詳しくは述べませんが、師岡弁護士こそ、危険なイデオローグだと断じます。

もう一つ注目していただきたいのは、このリンチ事件が2014年12月に起き、加害者側の隠蔽活動で1年余りも隠蔽されてきたことです。この間、安保法制問題が大きく盛り上がり、リンチ問題など世間に公になりませんでした。この実態が公になっていたなら、反原連もSEALDsも、また安保法制反対の運動も、かなりの影響を受けたものと思われます。隠蔽は成功しました。しかし、こういうことはいつか露見します。実際に2016年3月以降露見しました。

◆必要以上に横文字を使い、なにかしら目新しさで人をごまかす反原連(~界隈)の人々

 

ミサオ(2015年6月7日福岡にて)

私たちは、このように人間の尊厳や多様性を無視し、集団暴行を容認・隠蔽する人々を人間として全く信用できません。反原連は横文字が好きで、今回も「ステートメント【活動休止のご報告】」と銘打った文章が公開されていますが、こういった言葉の使い方は使用者の自由であるものの、思考傾向を表わす特徴として捉えることも可能です。カンパと言えばいいものの「ドネーション」と馴染みのない言葉を意気揚々と使ったり……よほど頭のいいことをひけらかせたいのか!?

ラップを採り入れなにかしら目新しさを出し、マスコミの恣意的な報道により世間では評価が高かったSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)について、憲法9条改憲派としての本性を出し、私たちは次第に首を傾げざるをえなくなりましたが、このSEALDsがいまだに反原連にとっては「成果」であったように記されています。SEALDsは、「民主主義って何だ!」と叫んだだけで、その、憲法9条改憲を志向していた団体でした。SEALDsは9条改憲派だったのだ!! 世間の人たちも私たちも、このことに気づくのが遅過ぎました。

これまでの学生運動のイメージを覆したことで錯覚してしまいますが畢竟エセ学生運動としか言いようがありません。詰まる所、この学生たちは何がしたくて、何が言いたかったのか全く理解できません。理解しようとして松岡はSEALDsを代表する人物、奥田愛基君にインタビューしましたが(『NO NUKES voice』6号掲載)、松岡も年甲斐もなく、結局は目くらましにあったようです。唯一はっきりしていることは、SEALDsがしばき隊や、時には親御さんに見守られながら展開された事実でしょう。こんなもの評価するのも馬鹿らしい。

SEALDs奥田とミサオ(2015年9月22日帝国ホテル地下の和食屋にて)

◆活動をやめるためにカンパを集めるだって!?

そうして今回の反原連の「活動休止」声明(ステートメント)には以下のくだりがあります。いみじくも彼らの本音が表われています。

〈それは脱原発運動が市民運動の中心から外れてくるに従い寄付金が減少し、これまでの多岐にわたる活動内容に対し、運営資金の捻出が難しくなってきたことがあげられます。〉

福島原発事故の被災者は、金銭を理由に「被害者」であることをやめられるでしょうか。広島・長崎の被爆者や被曝2世、3世は経済理由から「被爆者」であることから自由になれるでしょうか。

私たち(鹿砦社)とて、会社がいつまで存亡できうるか、あるいは出版業界の今後は、コロナ禍の今日見通せません。ですから「未来永劫『NO NUKES voice』の発刊を死守する」などと宣言はできません。しかし、現編集委員会が生存している限り、何らかの方法で反・脱原発運動を微力ながら支えるべく『NO NUKES voice』を発行し続ける所存です。

反原連は活動の休止を告知しながら同時にこれまで通りカンパ(彼らの言葉でいえば「ドネーション」)を求めています。活動をやめるためにカンパを集めるなど聞いたことがありません。幹部の“退職金”にでもしたいのでしょうか!? 活動休止するのであれば、カンパ募集はやめるべきではないでしょうか。「脱原発運動が市民運動の中心から外れてくる」から活動をやめる? こういったジコチューな物言いはみっともないとしか表現できませんね。

反原連「活動休止のご報告」ステートメント(2020年10月2日)

「脱原発運動が市民運動の中心から外れてくる」にしてもしなくても、福島現地で頑張って日々生きている人々や、故郷から遠く離れて避難している人々は生きていかねばなりませんし、多くの方々が裁判闘争を頑張っておられます。私たちは、こういう人たちを見捨てて「活動休止」するわけにはいきません。反原連のみなさん、あなた方も、曲がりなりにも「反原発」の声を挙げたわけでしょう。ならば、「ステートメント」でも記しているように、口先だけではなく真に「初心に戻り」初志を貫徹していただきたいものです。

反原連に私たち鹿砦社は、多額の資金支援をしましたが(少しは感謝しろ!)、にもかかわらず、みずからの意に沿わないならば「絶縁」するぐらいなら、他力本願な「ドネーション」に頼らず、みずから汗を流して働いて資金を集めるという運動の原点に立ち帰ったらどうですか?(ちなみに、ミサオが言うところでは、当時活動をやるために共産党に頼んで生活保護を受けた人物がいました。共産党も、こんなことをやっていいのか!?)反原連の連中の、人の厚意を蔑ろにするような態度から、今日の姿はイメージできましたがね。

私たちは反原連的な社会運動に(それが社会運動であれば)、強烈な違和感しか感じませんし、こんな運動体が大手を振って歩くようになれば、日本のファシズム完成を早めるだけでしょう。

私たちは時に激しい言葉を使うことはありますが汚い言葉を使うことは滅多にありません。しかし今回はあえて使わせていただきます。やはりゴミはゴミでしかありませんでした。秋風に吹かれたゴミは歴史の屑箱に放り込まねばなりません。「お前はただの現在にすぎない」(トロツキー。テレビマンユニオン創設の頃の書籍のタイトルにもなっています。初版田畑書店刊、のちに朝日文庫)── むべなるかなです。

◎ふたたび、さらば反原連! 秋風に吹かれたゴミは歴史の屑箱へ!── 反原連の「活動休止」について(松岡利康&『NO NUKES voice』編集委員会有志)
【前編】http://www.rokusaisha.com/wp/?p=36691
【後編】http://www.rokusaisha.com/wp/?p=36698

月刊『紙の爆弾』2020年11月号!【特集】安倍政治という「負の遺産」他

『NO NUKES voice』Vol.25

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総力特集 ニューノーマル 脱原発はどうなるか
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[グラビア]〈コロナと原発〉大阪、福島、鹿児島

[報告]小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)
 二つの緊急事態宣言とこの国の政治権力組織

[インタビュー]水戸喜世子さん(「子ども脱被ばく裁判」共同代表)
    コロナ収束まで原発を動かすな!

[座談会]天野恵一さん×鎌田 慧さん×横田朔子さん×吉野信次さん×柳田 真さん
    コロナ時代の大衆運動、反原発運動

[講演]井戸謙一さん(弁護士/「関電の原発マネー不正還流を告発する会」代理人)
    原発を巡るせめぎ合いの現段階

[講演]木原壯林さん(若狭の原発を考える会)
    危険すぎる老朽原発

[報告]尾崎美代子さん(西成「集い処はな」店主)
    反原発自治体議員・市民連盟関西ブロック第四回総会報告

[報告]片岡 健さん(ジャーナリスト)
    金品受領問題が浮き彫りにした関西電力と検察のただならぬ関係

[報告]おしどりマコさん(漫才師/記者)
「当たり前」が手に入らない福島県農民連

[報告]島 明美さん(個人被ばく線量計データ利用の検証と市民環境を考える協議会代表)
    当事者から見る「宮崎・早野論文」撤回の実相

[報告]鈴木博喜さん(ジャーナリスト/『民の声新聞』発行人)
   消える校舎と消せない記憶 浪江町立五校、解体前最後の見学会

[報告]伊達信夫さん(原発事故広域避難者団体役員)
    《徹底検証》「原発事故避難」これまでと現在〈9〉
    「原発事故被害者」とは誰のことか

[報告]山崎久隆さん(たんぽぽ舎共同代表)
    多量の放射性物質を拡散する再処理工場の許可
    それより核のゴミをどうするかの議論を開始せよ

[報告]三上 治さん(「経産省前テントひろば」スタッフ)
    具体的なことと全体的なことの二つを

[報告]板坂 剛さん(作家/舞踊家)
    恐怖と不安は蜜の味

[報告]山田悦子さん(甲山事件冤罪被害者)
    山田悦子の語る世界〈9〉普遍性の刹那──原発問題とコロナ禍の関わり

[読者投稿]大今 歩さん(農業/高校講師) 
    マンハッタン計画と人為的二酸化炭素地球温暖化説

[報告]再稼働阻止全国ネットワーク
    コロナ下でも萎縮しない、コロナ対策もして活動する
《北海道》瀬尾英幸さん(脱原発グループ行動隊)
《石川・北陸電力》多名賀哲也さん(命のネットワーク代表)
《福島・東電》郷田みほさん(市民立法「チェルノブイリ法日本版」をつくる郡山の会=しゃがの会)
《規制委・経産省》木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
《東京》柳田 真さん(たんぽぽ舎、とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
《浜岡・中部電力》沖 基幸さん(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
《読書案内》天野恵一さん(再稼働阻止全国ネットワーク)

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