◆「菅さん、横浜をカジノ業者に売り渡すのか」(横田一)

 

タブーなき最新月刊『紙の爆弾』2020年11月号!

冒頭、菅義偉の冷酷非情さを暴くのは横田一である。総裁選出馬会見のさいに、横田は菅に「菅さん、横浜をカジノ業者に売り渡すのか」「藤木(幸夫)会長を裏切るのですか」と、問いかけた一幕を紹介している。藤木幸夫会長とは、この6月まで横浜港運協会の会長をつとめた、菅義偉総理の恩人である。

カジノ推進をはかる菅総理が「ハードパワー」(藤木会長)を発揮し、林文子横浜市長にカジノ誘致の表明を強いたのは、この欄でも記事にしたことがある(2019年8月30日「横浜IR誘致計画の背後に菅義偉官房長官 安倍「トランプの腰ぎんちゃく政策」で、横浜が荒廃する」)。

それにしても、菅総理の「寡黙な独裁」とあえて表現したいが、フリージャーナリストへの冷淡さは筋金入りというべきだろう。横田は岸田・石破両候補(総裁選当時)にも同じ質問をぶつけ、三者三様の反応をレポートしている。自民党にとっても、やはり菅総裁は最悪の選択だったのではないか。

◆「創価学会が『菅首相』を誕生させた」(大山友樹)

「創価学会が『菅首相』を誕生させた」(大山友樹)は、菅義偉が衆院に初当選した96年の「血を血で洗う選挙」を朝日デジタルの編集委員のレポートでふり返り、その後の両者の変節・変貌を暴露している。菅陣営は上記の選挙でなんと、池田大作のことを「人間の仮面をかぶった狼」と書いたビラを配布したのだという。ために菅の選挙カーは、創価学会の中年女性数人の自転車ごと体当たり攻撃を受けたというのだ。

その後の変節は、手のひらを返したような菅の謝罪劇によるものだ。菅がマキャベリを崇敬しているとは、あまりにも露悪的ではないか。かつて大平正芳は「尊敬する政治家はロベスピエール」と語ったものだが、菅は本当に『君主論』を読んだ上で言っているのだろうか。

◆【特集】安倍政治という「負の遺産」

アベノミクスの総括は、フランス在住の広岡裕児、および非正規の増加を解説する小林蓮実。2013年の1727万人から19年は2120万人に上昇しているという。女性の上昇率はとくに高く、年間数十万で増加している。このまま増え続けると、いよいよ消費は頭打ちになるであろう。

安倍政権の罪業という意味では、「原発ゼロ」が潰されてきたことだろう。小島卓のレポートは、『NO NUKES Voice』に登場した識者たちによる、安倍政権下での原発政策・負の遺産の軌跡を検証したものだ。故・吉岡斉、望月衣塑子、森まゆみ、鵜飼哲、田中良紹、本間龍、米山隆一、菅直人、広瀬隆、孫崎亨ら。

◆衝撃報告「在日米軍がプルトニウムを空中散布している」(高橋清隆)

ショッキングな告発に驚かされる。元海兵隊員の「在日米軍がプルトニウムを空中散布している」(高橋清隆)だ。Chemical trail(空中散布化学物質)のことである。戦闘機のジェット燃料にはハイブリッド燃料が使われているが、その成分にラジウムや臭化セシウム、そしてプルトニウムが含まれているというのだ。

◆「士農工商ルポライター稼業」は「差別を助長する」のか?(松岡利康)

本欄でも既報(松岡利康)のとおり、『紙の爆弾』9月号の記事「政治屋に売り飛ばされた『表現の自由』の末路」(昼間たかし)について、部落解放同盟から申し入れがあった。「士農工商ルポライター稼業」という表現が、部落差別を助長するとの指摘である。本号から数ページを当該記事および「部落差別とは何か」「内なる差別」についての検証に当てるという。

被差別部落の発祥(歴史)、および差別が再生産される社会的・経済的な理由(差別の根拠)については稿を改めたいが、基本的にレイシズム(差別意識)は人間社会に根ざすもので、誰でも犯すものということであろう。まぎれもなく日本は差別社会であり、なかでも歴史的に形成された部落差別は、つねに再選産されているものだ。

とりわけメディアに関わる人間にとって、部落差別を助長する言葉を単に「使わなければ良い」というのではない。差別社会の反映として生み出される差別的な言葉・文章を契機に、その問題点を分析することを通じて、差別をなくす人権意識・反差別の運動に生かしていくことが肝要なのである。70年代の部落解放運動に関わった者として、小生も及ばずながら本欄に論考を寄せていきたい。(文中敬称略)

月刊『紙の爆弾』2020年11月号より

月刊『紙の爆弾』2020年11月号より

月刊『紙の爆弾』2020年11月号【特集】安倍政治という「負の遺産」他