快進撃の阪神タイガース!伝説の日本一から35年余、ド派手な活躍をもう一度!

阪神が絶好調です。オープン戦でも12球団で一番の成績(9勝2敗2引き分け)でしたが、勢いは止まりません。4月終了時で勝ち越し(貯金)が10を超えるなんて、「ホンマに阪神か!」とファンながらも心配になるほどです。

いやー待ちましたよ。何をかって? もちろん阪神の快進撃です。阪神はこれまでリーグ優勝を9回、日本シリーズでは1回優勝をしています。一番近いところでは、2005年岡田監督時代の優勝が最後ですね。2003年にも星野監督での優勝がありました。ファンとしたらもちろん優勝は嬉しいですし、勝ってくれれば評論家じゃないですから、勝負の内容なんかどうでもいい、という気持ちはあるにはあります。

でも、これや!これ!というイメージが年配の阪神ファンにはあるんですよね。いわずと知れた、1985年の優勝です。伝説となった、バース、掛布、岡田が巨人槇原投手からバックスクリーンに放り込んだ3連発! あの年ですよ。監督は吉田義男で、とにかく打撃が凄かったですね。高校野球にたとえれば絶対にバントしない、徳島の池田高校みたい(たとえが古いですね)に打ちまくって勝ったイメージが、強く残っています。8点取られても10点取るという感じでしょうか。1番の真弓が34本、バースが54本、掛布が40本、岡田は35本。これだけでも強烈さはめちゃくちゃですが、佐野、平田も13本ホームランを打っていたんですよ。74勝49敗7分でぶっちぎりの優勝。日本一になったのもこの勢いがあれば当然だったといえるでしょう。

私あの伝説の三連発の日、甲子園の3塁側外野席に座っていました。まだ10代でした。甲子園が建て替えられる前で、ツタが球場の壁に生い茂っていて、外野席には椅子なんかありませんでした。石の階段です。座席指定もなければ、入場券の販売数もかなりいいかげんだったと思います。

観客数も報道席から外野の通路が見えていれば5万、通路にも人が座っていて見えなければ5万5千とか5万6千。「こまかいことはどうでもええわ」がまだ通用する時代だったんですね。日本禁煙学会が、団地の家の中で喫煙している人の喫煙を問題にして高額訴訟を起こさせる、なんてヤボなことはない時代ですから、喫煙所なんかありません。タバコは吸ったら足元で踏み消すのが当然で、誰も文句を言う人なんかいませんでした。


◎[参考動画]阪神タイガース バックスクリーン3連発(1985年4月17日)


◎[参考動画]阪神 優勝の瞬間 (1985年10月16日)

あれから35年余り。ようやくド派手な活躍をもう一回みることができる喜び! これは1985年に初めて阪神ファンで報われた世代にしかわからない感情でしょうか。2003年も2005年もうれしかったですよ。でもねやっぱり1985年の印象が緒いんですよね。

阪神ここ何年も投手は安定していたんです。問題は得点力、とくにホームランの数と守備の下手さが問題でした。今シーズンもまだ守備では課題がありそうですが、昨シーズンまでに比べれば、目立つエラーは減っています。

そして「やる、やる言うてたけども、ここまでやるとはなぁ」がぴったりなのが、佐藤輝明選手ですね。甲子園から近い仁川学院出身ですから、地元中の地元出身。もう10本もホームランを打ち、4番にまで起用される新人としては記憶にないほどの大活躍です。

振舞の落ち着き、ホームランを打っても「当たり前やんか」と言わんばかりのあの態度。ベンチに迎えられたあと、最後にテレビカメラに向かって「Z」を指で描くのは、どういう意味だっけ…。とにかく体が柔らかくてフルスイングできるあのファームには期待が膨らむばかりです。


◎[参考動画]阪神 佐藤輝明 8号 逆転満塁ホームラン(2021年5月2日)

中野拓夢選手も社会人経由ですが大活躍の新人です。こちらは長距離打者ではなくアベレージヒッターですが、守備が固く打率は3割7分台(いずれも数字は5月9日現在)。東北福祉大出身ですから矢野監督の後輩ですね。そして伊藤将司投手は3勝0負で防御率1.55。5月8日の対DeNA戦では先発メンバーに新人が3人起用されました。


◎[参考動画]伊藤将司 奪三振集+オマケで打撃有り(2021年5月5日)

これだけでも、昨年までにはなかったことです。近本は安定して新人の年から活躍を続けてくれていますが、去年から4番に座った大山の地位を佐藤はもう奪いかけていますし、新人投手が負けなしで3連勝? これ阪神でええの? びっくりが続きすぎて逆に心配になったりしてしまうのも、ファン心理です。

甲子園やほかの球場に、いつも通りお客さんが入ることができていたら、いまごろ関西の気分や景気は、無茶苦茶よくなっていたでしょう。これが返す返す残念です。最近は甲子園の観客もおとなしくなって、巨人ファンとの外野席での小競り合いなんかなくなりましたが、1985年はまだ巨人一極支配の時代でしたから、甲子園と言えども、外野の3塁側は修羅場にでくわすことも結構ありましたね。

そんな時代の夢を蘇らせてくれる、阪神の快進撃が今年は本当に楽しめそうです。

▼佐野 宇(さの・さかい) http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=34

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