2023年10月22日執行の宮城県議会議員選挙で村井嘉浩知事の与党(自民+公明)が後退し、公認では過半数割れしました。

自民 24(-6)
公明 4(+1)
立憲 10(+1)
共産 5(±0)
維新2(+2)
無所属 14(+3)

宮城県議選は定数59。無所属で自民党系の方もおられるので、最終的には過半数を確保の見込みですが、それでも「知事与党」(本来こういう言い方はおかしいのですが)としては議席減です。格闘技に喩えれば「KO負け」とまでいかずとも「判定負け」というべきところでしょう。

なお、宮城でも自民党や岸田総理への批判も強いということはうかがっています。ただし、国政選挙でも地方選挙でも候補者として闘った経験のある筆者から見て、地方選挙の場合、そこまで中央の情勢が響くとは思えません。

地方議員選挙では、組織がガチガチの公明党や一部ベテラン自民議員を除くと、ローカルな風の方をうまく取り込んだ候補者が票を伸ばす、というのを感じます。

今回は、やはり村井知事への逆風というのが結構あったと思われます。特に維新は、自民党の後退に乗じて議席を増やした形ではないでしょうか?実際に、維新の当選者二人は仙台市内の選挙区で自民現職を打倒する形で当選されています。村井知事に批判的な保守層で、維新に投票された方も多いのではないでしょうか?

この場合、維新が大阪で新自由主義であるとかそういうことはあまり考慮されていないと思われます。ただ、立憲や共産にも投票をちゅうちょした「知事に批判的な保守層」が維新に投票した可能性が考えられます。

村井嘉浩知事は、2005年初当選の現在5期目です。

・東北労災病院(仙台市青葉区)が県立精神医療センター(名取市)と合築されて富谷市に移転。
・県立がんセンター(名取市)は仙台赤十字病院(仙台市太白区)と統合し、名取市に移転。
という病院の統廃合計画を推進しておられます。

この結果、仙台市から2つの大きな病院がなくなることになります。これは、特に仙台市長を筆頭に、仙台市民の大きな反発を招いています。

ちなみに仙台市内の二つの区、すなわち青葉区、泉区で自民党現職が維新新人に打倒される結果になっています。

◆維新顔負け!コンセッション方式での水道民営化も全国初の強行

村井知事は、ここまで、2022年度からの水道民営化を全国初で強行しました。フランス系ヴェオリア・ジェネッツを中心とする企業にコンセッション方式で20年間の水道事業の運営を譲渡しています。

維新顔負けの新自由主義「過激派」です。2021年7月の県議会での議案採決においても知事与党の自民党からも棄権者が二人出ました。コンセッション導入から数年は能力のある職員がいて、企業の業務が適正かを監督できるし、災害時には現場で対応することもできますが、20年後には県側にノウハウを持つ職員は消えている可能性が高いのです。その時になって何かあっても遅いのです。こうした懸念から、採決自体はきわどいものになったのです。

ちなみに、コンセッション方式については維新=松井一郎・大阪市長(当時)でさえも断念し、業務の一部の民間委託にとどめています。

◆チリの独裁者兼ネオリベのパイオニア=ピノチェトとそっくり

独裁的な手法で新自由主義過激派と言えば、歴史上、思い出される人物がいます。チリの独裁者・故アウグストゥス・ピノチェト元被告人(1915-2006,大統領在任1974-1990)です。

米国CIAの手先だったピノチェトは1973年9月11日、合法的に選ばれた左派のアジェンデ政権をクーデターで打倒。アジェンデ派を虐殺。独裁を敷く一方で、経済政策面では村井知事や湯崎知事のような新自由主義政策を進めました。いや、ピノチェトこそが現実に新自由主義のパイオニアと言えるでしょう。1973年と言えば、まだ新自由主義を主要国で初めて導入した英国のサッチャー首相すら登場していません。米国のレーガン大統領や日本の中曽根首相はもっと後です。

その結果、一時は「チリの奇跡」と言われる成長を成し遂げたとされていますが実際には、チリの特産品である銅の国際価格の上昇という幸運に恵まれたことが大きかったのです。

しかも、通算での平均の経済成長率は、クーデター前のチリの平均経済成長率を下回るという有様でした。

村井知事は弾圧こそしてはいませんが(日本国憲法のもとで、できませんが)県民の声を無視して暴走し、全国の新自由主義を走るという意味ではピノチェトそっくりです。

その村井知事の大親友が、我らが広島県の湯崎英彦知事です。湯崎知事は2009年11月に初当選。湯崎知事も、1300-1400億円をかけて県病院やJR病院をなくして、新巨大病院を作る構想を強行しようとしています。経営に問題がない公立病院を潰すというのは、全国にも例がないそうです。湯崎知事はある意味、維新はもちろん、村井知事も真っ青のネオリベ政治家です。

さらに、農業ジーンバンクを一方的に廃止するなど、県民の声を聴かずに新自由主義政策を進めています。

村井知事と湯崎知事は、「宮城・広島両県知事会議」を毎年のように開催されています。

ガッチリ握手する村井・宮城県知事と湯崎・広島県知事

令和4年度 宮城・広島両県知事会議を開催しました – 宮城県公式ウェブサイト (pref.miyagi.jp)

宮城・広島両県知事会議を開催しました(平成27年5月25日)

もちろん、広島県と宮城県は共通点もたくさんあります。地方の中枢都市であること、人口規模や産業構造が似ていることなどです。広島カープと東北楽天ゴールデンイーグルスという地域に愛されている球団もあります。札仙広福と呼ばれる中で、仙台と広島はやや苦戦をしているという点も共通します。

そういう中で連携をしていくこと自体には異論はありません。しかし、問題は両者がまるで歩調をそろえるように全国の自治体でも突出したネオリベ政策を進めていること。そして、県民の意見を聴かずに暴走していることです。

今回の宮城県議会議員選挙で村井知事の与党が後退したのはその点では県民の良識が発揮されたというべきでしょう。

◆2025年秋、宮城でも広島でも知事選挙!同時「庶民革命」で両知事にストップを!

そして、2025年秋、広島県でも宮城県でも両知事選挙が実施されます。県民を無視して暴走する両知事にストップをかけるチャンスです。

宮城県民の手に宮城県を村井知事から取り戻す「庶民革命」については、宮城県民の皆様にお任せします。

筆者と広島瀬戸内新聞は「我こそは庶民派広島県知事」に、「我こそは庶民派広島県議」に、という方のご連絡をお待ちしております。「ヒロシマ庶民革命」を断行し、暴走する湯崎英彦知事から広島をあなたの手に取りもどしましょう!

◎連絡先 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年11月号