2024年の広島は湯崎知事と松井市長の暴走加速でスタート! さとうしゅういち

2024年も残念ながら、新年早々、広島県の湯崎英彦知事と広島市の松井市長の暴走が加速しています。

◆マリーナホップ取り壊し、後継施設は黒塗りだらけ文書公開

まず、湯崎英彦知事率いる広島県庁の暴走です。広島市西区観音新町のショッピングモールであるマリーナホップ。水族館など、こどもたちも楽しめる施設もあります。2005年3月に県有地を借りて開業しましたが、2025年の3月末で土地の賃貸借権が期限切れになるため、2024年12月1日で閉館する予定です。

そして、後継には、自動車用品事業などを手掛ける「トムス」などが、車をテーマにした体験型エンターテインメント施設を計画しています。

ところが、この計画について、中国新聞が情報公開請求したところ、なんと、71か所もの黒塗りがあったそうです。こういうのは、情報公開とは言わず、隠ぺいというのではないでしょうか?

黒塗り部分を公開すれば、トムスの企業秘密を暴露することになり、トムスに損害を与えるから、というのが理由です。しかし、そもそも、本事業も広島県民の財産である県有地を貸し出して行う事業です。持ち主である県民に対して何か隠すべきことがあるのでしょうか? 筆者も、県庁職員時代に、行政財産使用許可を担当したこともありました。きちんと情報公開請求されても良いように、起案をし、決裁をもらい許可を出す。これが当たり前のことです。

このマリホの後継事業については、2022年に公募を実施。当初はトムスとともに、広島トヨペットも手を上げていました。しかし、辞退しました。さらに、マツダも手を上げましたが、これも辞退。地元を代表する錚々たる企業が、辞退するという異常事態にあるのです。

何か、不都合なことを広島県、さらには湯崎英彦知事が隠したいのではないか? そういう疑惑が浮上します。

湯崎英彦知事は、2009年の初当選直後は例えば鞆の浦埋め立て架橋問題において、賛否両派の住民による対話集会を開き、最終的に山側トンネルに事業変更するなど、開かれた県政を目指す姿勢はありました。しかし、4期目に入った今は、県民に対して説明責任を果たさず、逃げ回る姿勢ばかりが目立ちます。筆者も2009年の県知事選挙では湯崎さんに投票しましたが、ガッカリです。

「マリーナホップは広島市内で子供連れで出かけられる数少ない娯楽施設の一つでした。小さな子が遊べる遊園地があり、できたばかりの素晴らしい水族館があります。そうした施設が簡単に壊されてしまうのはとても残念です。」と5人の子どもを持つ広島市内の女性は残念がりますが、湯崎知事はそうした声には耳を傾けません。

なお、筆者が繰り返し取り上げてきた三原本郷産廃処分場問題では進展がなく、汚染水垂れ流しが続いていることもご報告しておきます。

◆市長公舎跡地に新施設?! 迷走する中央図書館移転計画

 
市長公舎の正門。建物は佐々木禎子さんで有名な幟町中学校の建物

続いて広島市の松井一實市長も暴走ぶりでは引けを取りません。中央公園にある中央図書館を住民の声や議会の懸念も無視をして、広島駅前のエールエールA館への移転強行を突き進んでいます。それどころか、ここへきてさらに驚くべき「暴挙」に出ています。

中央図書館の中には広島の旧藩主・浅野家が作った浅野文庫があります。また、被爆作家を含めた広島文学関連の資料があります。それを、なんと、広島市中区の市長公舎を壊してその跡地に新施設を建設して移設するというのです。

要は、中央公園の現在地にある中央図書館の資料を、駅前のエールエール館(一般図書)と市長公舎跡地の新施設(浅野文庫と広島文学関連資料)にバラバラにしてしまうということです。

そもそも、中央図書館を現在地で建て替えずにエールエール館に移すというのは、コストが安いから、というのが大義名分でした。むろん、その大義名分でさえ、怪しいのです。なぜなら、エール館も1999年開館ですでに25年が経過しており、35年後にはまた建て替えることを考えると安いとは言えないからです。その上さらに、市長公舎跡地に新しい建物をつくるとなれば、コストはさらにかさみます。何のために、現在地から中央図書館を追い出したのか? これでは意味不明です。
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◆教育勅語使用は継続!

その松井市長。新入職員研修、新人課長研修で教育勅語は使い続ける、と開き直っておられます。もはや、教育勅語の時代である戦前の官尊民卑を続ける気満々ということです。

教育勅語には松井市長の言うような民主主義的なものではありません。プロイセン的な専制君主寄りの立憲君主制とセットで官尊民卑だった明治時代の文書です。市長が引用した「学を修める」とかのフレーズもそういう文脈です。

松井市長の理屈は、喩えるならば「ナチスにも良いことがあった論」にも似ています。しかし、そもそも大恐慌直後のあの時代のそれなりに経済政策に通じた為政者なら積極財政を取るのは当然です。

例えば、同時代には日本の政党政治家・高橋是清(インフレ傾向がみられたときには引き締めに転じようとしたため、2・26事件で陸軍の凶弾に斃れた)による財政出動、米国のフランクリン・ルーズベルト大統領によるニューディールなどもあります。ナチスの経済政策がことさらにそれらと比べてすぐれていると思えません。

◆知事・市長になめられない県民に!

ともかく、そんな湯崎英彦知事、松井一實市長の暴走は当然起きるべくして起きたと言えます。広島市民、広島県民もいい加減、市長や知事に舐められない市民、県民になるべきときではないでしょうか?

筆者は、私は東北や関東、四国、山陰、九州など全国各地で国政や地方選挙の応援に入らせていただいた経験があります。応援させていただいたのは市民派無所属の方が多いのですが、旧民主党や日本共産党、社民党と言った野党から維新系や自民党(ごく少数の女性限定だが)応援させていただいた経験もあります。

そこで経験した、他地域の政治文化と比較しても広島選出の岸田総理、湯崎知事、松井市長は市民、県民を舐めきっています。広島市民・県民も「平和」には関心が高くとも、足元の行政や政治腐敗に感心が薄かったのは否定できません。

ここらで、エライ人から広島を市民の手に取りもどさなければ、大変なことになる。新年早々の湯崎英彦県政、そして松井一實市政の暴走を見て改めてそう感じました。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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