秋葉原よりも規模は小さいが、大阪にも日本橋という電気街がある。おもしろいのは、アキバと同じようにオタクの街となっていることだ。街中至る所にアニメ絵の看板があり、ショーウインドウにフィギアを並べた店も目立つ。
そして、あちこちにメイドが立っている。メイドカフェの客引きだ。

普通のメイドカフェと違うのか、話しかけてみた。
今さら説明するまでもないが、ウエイトレスがメイド姿なのが、スタンダードなメイドカフェだ。それだけで「萌~」となってしまうは、オタクだけでなくオジサンたちも含めた男性一般の性質なのか。この商法は浸透して、池袋のごく普通の喫茶店「椿屋珈琲店」も、ウエイトレスがメイド服になっている。ウエイトレスだから、何か話しかければ答えてはくれるだろうが、基本的には飲食物を運んできてくれるだけだ。

さて、日本橋で客引きしているメイドカフェだが、メイドがテーブルに着いてくれて、話をしたり、ゲーム、耳かき、肩もみなどをしてくれるという。それで、1時間5千円。
大阪の若い女子の状況を知りたかったので、これはドンピシャリ。迷わず入った。
メニューにはアルコール類もあるが、カフェだからオレンジジュースを頼む。素面だから、女子との会話も真剣勝負。キャバクラのように、酔って騒いで終了、ということはない。
キャバクラと比べれば、至って普通の女子だ。学校で資格を取っても就職先がない、などの事情も背景にあるようだが。
コミュニケーション能力を磨くにはもってこい、の場所である。

同じようなメイドカフェは他にもあったが、ちょっとボッタクリ的な店もある。
小腹が減っていたので、ジュースとケーキを頼んだのだが、「うちも同じの食べたいなあ」などとねだってくる。客が頼む場合は、まずまず普通の料金なのだが、メイドが頼むとセットで5千円。
しかたがないので注文してあげたが、しばらくすると、「喉乾いちゃった」とまたねだってくる。「我慢しなさい」と断った。
ちょっとできの悪いメイド。第三世界に来たような気分になれる。

メイドがリフレしてくれる店もある。足を使ったリフレというから、背中に乗って歩く中国式エステのようなものかと思ったら、足を使って体のあらゆる箇所を器用に叩いてくれるのだ。足裏は踏んでくれる。
そういうマッサージ法があるというのだが、メイドに結びつけたのはアイディアの勝利だろう。
ずっとメイドに蹴飛ばされているような図で、ちょいM男性の心を打つではないか。
男性が仰向けになるシーンもあるが、スカートの中が見える、ということはないので、念のため。

コスプレ焼き肉&しゃぶしゃぶという店もある。
焼き肉としゃぶしゃぶ、行った時には特別に鍋もあったが、そのいずれかと、飲み放題を付けて、1時間5千円程度。
その料金で、他の客が少なかったので、NMB48スタイル、ミニスカポリススタイルの女子2名がテーブルに着いてくれた。
時間が過ぎても、2千円で飲み放題がついて40分延長できるので、ずいぶんたっぷりと話ができる。
2人はそれぞれ、保育士と美容師の資格を持っているが、その仕事に就く前にもっと世の中を知りたいので、店で働いている、とのこと。
「オジサンも今の仕事に就いたんは、30歳過ぎてからやで。20代はいろいろ経験して糧にするんは正解やと思うわ。今から振り返っても」と励ますと、「20代は何してはったんですか?」と聞かれ、「革命や、革命」と答える。
今どきの20代でも革命の言葉は分かるらしく、「皆で革命しようぜ!」と盛り上がって、夜は更けていったのだ。

(FY)