オウム真理教元信者高橋克也容疑者(54)と菊地直子容疑者(40)が逮捕される前に潜伏していた川崎市のアパートを、神奈川県警の警官が巡回連絡に訪れ、2人と面会していたことが判明した。警官は特別手配の2人とは気付かなかったという。神奈川県警が当時のいきさつを詳しく調べているという。高橋容疑者は昨年まで川崎市内でこのアパートに潜伏、菊地容疑者も06年ごろまで同居していた。

「いったい見当たり捜査官(街を巡回して 指名手配犯 を見つけて、所轄の協力のもとに捜査する警察管)は何をしていたのかね。捜査方法を根本から見直さないといけませんね」(警察OB)
こと刑法犯に限っては、平成21年度のデータで51.7%の検挙率(前年比0.9pt上昇)しかない日本の警察。
「世界での最低ランクの数字。まさに犯罪天国に近いでしょう」(警察ジャーナリスト)
膨大な税金を投入しておきながら、これだけ特別指名手配犯を泳がせた理由を至急、解析すべきだ。

高橋容疑者は、95年に起きたサリン事件の直前、井上嘉浩死刑囚(42)から「チャチャを運べ」と指示を受けたと説明しているという。『チャチャ』は教団内でサリンを示すとされる。また、調べに対し「オウムの修行をするとパワーがみなぎる」などと供述していることも分かった。
井上死刑囚は、サリン事件の実行役に計画を指示した人物であり。事件に欠かせない人物だ。高橋容疑者はその側近として、サリンを散布した豊田亨死刑囚(44)を車で日比谷線中目黒駅まで運んだとされる。

高橋容疑者はすでに「車の中で茶色の液体を見た。サリンは無色透明なので違うと思った」と供述しており、事件前から教団のサリン製造を知っていた可能性が強まっている。
「井上や豊田、菊池直子らの供述を擦りあわせないと、全体像が浮かび上がらない。少しでもつじつまが合わないと、今の風潮からいって、今度はまた検察が批判されてしまう」(全国紙社会部記者)
動きはじめたオウム事件の解明。いまだ何も語らずの松本智津夫(麻原 彰晃)は獄中で何を感じているのだろうか。

(来目流樹)