STRUGGLEジム代表の鈴木秀明氏と並ぶ中向永昌。師匠と弟子のツーショット

◎M-ONE 2016.3 rd
9月25日(日)ディファ有明16:00~21:25
主催:ウィラサクレック・フェアテックス
認定:WPMF日本支局

WPMF傘下に於いて、中向永昌、潘隆成が日本の新チャンピオン。Little Tigerが世界王座返り咲きました。

こちらもWPMF傘下で、日本で2階級制覇、世界でも2階級制覇、タイ国ルンピニー王座は奪取成らずも2度挑戦経験を持つ一戸総太が公式試合の後、引退式。看板選手としてウィラサクレックジムを支えてきた10年間の現役生活に終止符を打ちました。戦績46戦29勝(15KO)10敗7分

主要7試合

◆WPMF日本スーパーフェザー級王座決定戦 5回戦

3位.中向永昌(STRUGGLE/58.9kg)
VS
5位.津橋雅祥(エス/58.97kg)

勝者:中向永昌 / 判定3-0 / 主審 チャンデー・ソー・パランタレー
副審 ソンマイ 50-48. ナルンチョン 50-48. 北尻 49-48

離れた戦いから組み合う距離へ、中盤、中向永昌がヒジ打ち、ヒザ蹴りがやや優り、後半は組んでばかりが多くなるも判定で中向が勝利を掴み、第4代チャンピオン。

離れた攻防は互角の中での中向永昌のミドルキック

潘隆成が左ハイキックで突破口を開き、勝利に導く

潘隆成が第5代WPMF日本スーパーライト級チャンピオン

◆WPMF日本スーパーライト級王座決定戦 5回戦

6位.潘隆成(クロスポイント吉祥寺/63.3kg)
VS
4位.NOBU BRAVERY(BRAVERY/63.35kg)

勝者:潘隆成 / 判定3-0 / 主審 テーチャカリン・チューワタナ
副審 ソンマイ 49-48. チャンデー 50-47. 北尻 49-48

パンチとローキックで探り合いから、潘隆成がハイキックをヒットさせ、両者手数が増える流れも後半は疲れが出たような動きで判定までもつれ込み、潘隆成が第5代チャンピオン。

◆60.0kg契約3回戦(一戸総太引退試合)  

ポートーン・ソー・ロットリン(タイ/60.0kg)
VS
一戸総太(前WPMF世界Fe級C/WSR・F三ノ輪/59.5kg)

勝者:一戸総太 / 判定0-3 / 主審 ナルンチョン・ギャットニワット
副審 ソンマイ 28-29. チャンデー 28-30. テーチャカリン 28-29

接近戦で得意のパンチ、ヒジを強くヒットさせる公式戦を終えての引退式に臨んだ一戸総太。

器用さで優り離れてハイキック、接近戦でヒジ打ち、何でもこなせた一戸総太

◆WPMF女子世界ピン級(100LBS)王座決定戦 5回戦(2分制)

Little Tiger(元Champ/WSR・F/45.1kg)
VS
COMACHI(WPMF日本同級C/ MSJ/44.45kg)

勝者:Little Tiger / 判定3-0 / 主審 北尻俊介

副審 ナルンチョン 49-48. チャンデー 50-48. テーチャカリン 49-48

2Rまでの公開採点は3者とも20-20。19歳のCOMACHIがやや積極性があるが、33歳のLittle Tigerの組んでのヒザ蹴りがしつこく後半ほど優っていき執念の勝利で王座奪還。

ベテランLittle Tigerは経験値で優る余裕で攻める

◆WPMF世界フェザー級王座決定戦 5回戦

ヨーシラー・フェアテックス(タイ/57.15kg)
VS
ラジャシー・IT2000(タイ/57.15kg)

勝者:ヨーシラー・フェアテックス / TKO 3R 0:35
主審 ソンマイ・ケーウセン

蹴り足を抱えヒジ打ちカウンターで顔面をカットし、ドクター勧告でレフェリーストップ。

右ミドルキックをキャッチ後、右ヒジ打ちをカウンターしたヨーシラー

◆WPMF女子日本スーパーフライ級王座決定戦 5回戦(2分制) 

トモコSP(WSR・F/52.16kg)
VS
佐々木蝶里(尚武会/53.55→53.1kg=失格)

引分け / 1-0 / 主審 北尻俊介
副審 ナルンチョン 49-48. ソンマイ 48-48. テーチャカリン 48-48

17歳の佐々木蝶里はオーバーウェイトで失格。40歳のトモコSP(=スペシャル)が勝った場合のみ王座認定。動きの止まらない激しさはあるものの、差が開かず、結果は引分けで預かり。

◆65.0kg契約3回戦

WPMF世界スーパーライト級チャンピオン
ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/64.8kg)
VS
ギャンペット・ギャットコンペット(タイ/62.25kg)

勝者:ゴンナパー / TKO 2R 1:37
主審 チャンデー・ソー・パランタレー

2Rにゴンナパーがヒザ蹴りで最初のダウンを奪い、パンチとヒザで攻勢を続け、左ミドルキックでダウンを奪ったところでほぼノーカウントストップ。

最初のダウンを奪った膝蹴り連打するゴンナパー

取材戦記

王座返り咲きのLittle Tiger

毎度の会場入りからムエタイ色満載のムードに包まれる興行でした。「他興行にもビッグマッチがある中、何でM-ONEに来たんですか」とある関係者に問われたりもして、明確な回答は難しいものの、強いて言えば、タイトル(王座)の在り方に共感を持てるところでしょうか。たとえ有名選手の出場は無く、ビッグマッチと言うほどでなくても、統一された団体や上層組織がある下で運営されているタイトル(王座)が今後隆盛を誇るか、衰退消滅の道を辿るか、その行方を見ておきたいところです。

WPMF女子日本スーパーフライ級王座決定戦で、引分けにより王座は空位のままという裁定が下りましたが、この裁定は正解でしょう。規定のラウンドを超えての延長は本来、行なわないものです。WPMF管轄下であることで、この辺の仕来りはしっかりしていますね。

ムエタイ興行として試合前に毎度、王室唱歌が吹奏されます。タイでは試合や一般の映画館などでも上映前に王室唱歌が全員起立の上、吹奏されます。国歌吹奏とはまた違った趣となりますが、タイ人は慣習的に起立し、日本人観戦者はタイ国歌も王室唱歌もわからないまま起立している人もいるかもしれませんが、律儀に起立する姿は日本人らしくあります。

ワイクルー(試合前の戦いの舞)も録音された市販のテープやCDを使われると思いますが、ワイクルーやラウンド中も生演奏を聴きたいものです。楽器は取り寄せ、演奏者は経費節減も含め、習えばムエタイにのめり込む日本人なら出来るのではと思います。

ゴンナパー・ウィラサクレックの対戦相手は当初、OU・HAOHUI(中国/漢名・呼び名不明)でしたが、19日に他興行出場したゴンナパーの試合を、この日の試合2日前にビデオで観て怖気づき「怖くて戦いたくない、という理由で欠場決定。気持ちの小さい選手でした。」と場内にリングアナウンサーによってアナウンスされる始末。主催者がウィラサクレックさんで、タイ人だけに堂々と発表してしまうので、それはまた違った意味で面白さがありました。代打として緊急出場のギャンペット・ギャットコンペット(タイ)が対戦しております。

タイ人レフェリーの名前で、ニックネームでアナウンスされる場合があります。公式試合たるもの、これは本名か現役時のリングネームで通して欲しいものです。「マット」と呼ばれていたレフェリーの現役時のリングネームは、テーチャカリン・チューワタナ。本名は、ウィティラム・サマートと言う方のようです。

出場した選手の中には、話題のKNOCK OUTイベントのRIKIXジムから新人・加藤有吾選手と藤野伸哉選手が判定勝利。NKBのテツジムから前島マルコス選手がTKO負け。新天地に出向くことで戦いの場は増え、敗れてもNKBは新化しつつあるようです。

次回のM-ONE興行は11月23日(水・祝)に昼の部でアマチュア大会、夜の部でプロ興行が行なわれる予定です。

かつて対戦したライバルと再会、自然と笑顔になるのも戦い分かり合えた者だけの心理

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」