かつて、AV人権ネットワークという活動があった。
バクシーシ山下監督の撮った『女犯2』というAVで、本当にレイプが行われているのではないかと、糾弾したのだ。
出ている女優が、AVに出ることを納得していないというか、AVというものがどういうものか分かっていない、という態度なのだが、そこを男優がレイプしてしまうという内容だ。
ビデオの最後には「この作品はフィクションであり、モデル本人の願望を率直に映像化したものです。決して真実ではございません」という文字が出るが、真実のレイプだとして、AV人権ネットワークは追求した。
バクシーシ山下は呼ばれて、公開討論に応じるなどして、ちょっとした話題になった。

『女犯2』がリリースされたのは、22年前の1990年。
2007年10月に、理論社から、バクシーシ山下著『人はみな、ハダカになる』が刊行された際、巻末に『女犯』の紹介があったことで、理論社に対して回収・絶版を求める抗議運動が起こった。
抗議文には、こう記されている。
「今回の要請書で私たちが問うているのは、山下の映像が実写であるのか、演技であるのか、ではありません。女性をどのように扱っているか、その扱いが発しているメッセージの文脈や意味を問うています」

AVを取り巻く状況は大きく変わった。
レンタルビデオが衰退し、セルビデオが台頭したが、インターネットの浸透で、それも勢いを失っている。
海外のサイトを通じて、日本のトップ女優の無修正動画が、1本当たり200円程度でダウンロードできてしまうのだから、当然だろう。

そんなこともあって、内容が過激になっているのが、今のセルビデオだ。
公衆トイレに拘束されて、次々にやってくる男たちをフェラチオで受け止める。スーツ姿のまま拘束されて服を引きちぎられたOLが、社員の福利厚生として男性社員の欲望を受け止める。尻フェチたちのクラブで尻だけ丸出しで拘束され、攻めまくられる。そんな内容のAVが平気で出回っている。
見る限り女優たちは合意の上で演じているのだとは思うが、「女性をどのように扱っているか」という意味では疑問を感じてしまう。
女性の人権を問う抗議の声は挙がっていないが、実際のセックスでAVを真似する男性も多いので、心配だ。

AVで、このところ定着してきたのが、女性向けのAVだ。
2008年にできた「シルクラボ」というメーカーから、『東京恋愛模様』『デリシャスタイム』などのタイトルが出ている。
監督や脚本、撮影スタッフはすべて女性。男優は女性好みのイケメンで、サイン会が行われ賑わうこともある。
男性向けAVのようにセックスは激しくなく、ゆったりとしている。
だが、女優もいかにもAV女優という感じではなく、普通の女の子なので、男性が見ても興奮する。
女性がどんなセックスを望んでいるか分かるので、男性諸氏も一度は見てみてはどうだろうか。

(F.Y)