民主党議員の「追及」を、笑顔でかわす安倍首相。国会での与野党の攻防よりも、TPPを巡る自民党内の内紛のほうが、よほどエキサイトしている。
存在感をなくした民主党は、いったいどうなるのか。
「党大会の雰囲気は、ひとことで言うと紛糾というより哀愁が漂う会だったね。こんなに野次が飛ぶ党大会で果たして民主党は再生できるのかね」(全国紙政治部記者)

民主党が野党転落後初めての党大会を都内で開いた折、与党時代に党を追われた「元同僚」が、野党幹部となって来賓で出席、党を激励する皮肉なシーンがあった。海江田万里代表(63)は、今夏の参院選へ「靴底減らし運動」で反転攻勢を目指す決意を示した。「靴の底を減らして地域を歩くことが必要」という意味らしいが、何も明確な方針がないので、とにかく動け、と言っているに等しい。党再生の兆しは見えない。
「なりふりかまわず、他党や離党者とも連携していくのが民主党の窮地を物語っています。昨年9月、日本維新の会に参加して除籍となった松野頼久衆院議員までが党大会に登場し、『安倍政権の立場はまだ危うい。共闘しながら頑張ろう』と激励する始末です」(民主党関係者)

安倍総理の支持率が72%を超えている。これはいったい何を意味するのだろう。
ANNの調査では、安倍総理大臣が推進する金融緩和、財政出動、成長戦略の3つを柱にする「アベノミクス」を52%の人が支持している。また、日米首脳会談で最大の焦点となったTPP=環太平洋経済連携協定については、「交渉に参加すべき」とした人は半数を超えて51%で、反対は25%だった。

「民主党も経済界も、消去法でアベノミクスに頼るほかはないという状況だ。過日、大企業の社長たちに政府が『賃金をあげてほしい』という要請をした。経済実態が伴っていない中での呼びかけであり、中身ががらんどうだという気がする」(経済ジャーナリスト)
政府は、一般会計で200兆円も足りない税収をどう補填するのかがいまひとつ見えていない。公共事業のバラまきで、建設業界は潤うのだろうが、支持率6%の民主党と72%の自民党は一挙に逆転する可能性もなきにしにあらずだ。
「政府は、縦横無人にコントロールできる日銀総裁を選んだ。なにもかもが『アベノミクス』に寄りかかるのは危険を感じる」(経済ライター)
という声もある。果たして、夏の参議院選挙ではどんな政局を迎えていくのか。

(鹿砦丸)