総選挙といえば、AKB48。衆議院のそれを思い浮かべることはない、という時期があった。
逆に、不祥事といえば国会議員だったが、最近では、AKB48を連想することが多くなった。
なんといっても、峯岸みなみの坊主頭、前田敦子の尻出しが、衝撃すぎる。

罪深いのが、河西智美の「児童ポルノ問題」だ。
東京都青少年健全育成条例の問題で、いったい何を議論していたのか、という話だ。
実際に被害者の存在しない、コミックやアニメを、児童ポルノとして取り締まるのは、表現の自由に反する、というのが、出版社や表現者の主張だった。
この問題では、河西智美の露わな乳房の乳首部分を、自分の手で覆わされる役をさせられた男児という、現実の被害者がいる。

「この写真のどこが問題なのか」と自分のウェブで疑問を投げかけた、発言力の高い著名人もいる。
児童ポルノというと、ロリコン、美少女のエロ、と考えて、男児のさせられたことに考えが及んでいないのだ。
児童ポルノ法には、「児童に自己の性器(性器、肛門又は乳首)を触らせること」を禁じる条項がある。
そもそもそんな法律を持ち出すまでもなく、わけも分からず撮影現場に連れてこられて、裸の乳房に触らせられるということは、男児の人格は著しく踏みにじられている。
写真集が発売中止に追い込まれたのは当然だが、それでも、心に負わされた男児の傷は癒えないだろう。

『AKB48解体全書』(鹿砦社)は、仕組まれた不祥事の裏側を徹底検証している。
地下アイドルから出発し、「会えるアイドル」路線でファンを広げてきたAKB。
どんなアーティストのものでも、レンタルショップでCDを借りてハードディスクにコピーすれば、同質のものが手元に残る現代。ユーチューブでは、無料で動画まで見られる。
CDもDVDも売れなくなっている中、CDに握手券を付けてセールスを伸ばす、AKB商法は、「時代を読んでいる」と思わせた。

しかしそれが今、崩壊を迎えようとしている。
お金にならないからと、握手会を嫌がるようになった、AKBメンバー。昔は本当に嬉しそうに握手してくれたのに、と嘆くファン。
この状況を何とかしようと、不祥事を話題性に繋げようとしたり、ギリギリの線で炎上を狙ったり、それが最近のAKB。
同書では、番記者や元スタッフ、長年のファンらの声を網羅して、その裏側の全貌を明らかにしている。

AKB人気の崩壊は、新たな時代の潮目を告げている。
AKB48を解体することによって、時代を解体している。それが、同書である。

(FY)