木下ちがや氏(こたつぬこ)のツイッターより

 

木下ちがや氏(こたつぬこ)のツイッターより

 

木下ちがや氏(こたつぬこ)のツイッターより

 

木下ちがや氏(こたつぬこ)のツイッターより

 

木下ちがや氏(こたつぬこ)のツイッターより

  

5月28日発売のM君リンチ事件本第5弾『真実と暴力の隠蔽』における、木下ちがや氏、清義明氏、私との座談会が、ある界隈では深刻なインパクトを与えているようです。

当の木下ちがや氏は、5月31日にツイッターで、みずからの発言が「事実無根」として「謝罪」の意を表明されましたが、その後しばらく沈黙の期間があったかと思えば、水面下では動いていたようで、李信恵さんに会って謝罪し、6月8日に「私の鹿砦社の書籍における性差別的、レイシズム的発言の経緯について」という〝謝罪文〟といおうか〝自己批判文〟といおうか、対外的な声明を出されました。

これについて、当の座談会に出席した者として、いささか違和感を覚えざるをえません。木下氏から何の声明も出なければ、「安易に謝罪しないように」との記事をこの通信で再度書こうと思っていた矢先でした。こんな声明を出せば、今後、木下氏がどんな立派なことを言おうが信じられなくなります。人間、一度言ったことを安易に引っくり返すことは信用失墜も致し方ないところです。

◆『真実と暴力の隠蔽』出版の趣旨と木下氏の分析

まず『真実と暴力の隠蔽』(以下「同書」と記す)の出版趣旨を今一度確認しておきたいと思います。極めて単純です。「M君リンチ事件」の判決報告と、第一弾書籍から継続している真相究明が目的です。木下氏にもご参加いただいた〈9項「カウンター」周辺のキーマンに松岡が直撃! 明かされる「しばき隊」の内情〉では、実際に木下氏から私も驚く見解が明かされました。それは、今木下氏が「謝罪」されている李信恵さんの人格や言動についてというよりも(李信恵さんの人格や言動については既に嫌というほどの情報がありました)、「コリアNGOセンターよりも、李信恵さんが上の存在である」との鋭い分析でした。

私はインタビューに応じてくださった各氏に「今からでも遅くないからコリアNGOセンターが仲裁に入るべきだ」との趣旨の発言をし同書161、167ページにその発言が収められていますし、これまでもずっと言って来たことです。私の認識を根底から覆したのは、それに次いでの木下氏の発言でした。この視点を私はまったく持っていませんでしたので、驚愕をもって首肯しました。

◆疑義のある木下氏の「謝罪」声明と座談会の経緯

しかし木下氏は自説を撤回されました。まず、タイトルの「性差別的、レイシズム的発言」の意味が分かりません。くだんの記事を再読しましたが、どこが「性差別的」で、どこが「レイシズム的」なのか、ご教示いただきたいものです。

また、この声明文は、本当に木下氏自身が自発的に書かれたものなのか、草稿は木下氏以外の誰かが書いたのではないか、との疑念があります。木下氏のこれまでの文章と、語感や文章の構成がずいぶん異なっていると感じるからです。具体的には後で述べたいと思います。

くだんの座談会は、きわめて和気藹々にフランクに行われました。口角泡を飛ばし互いを罵り合うこともありませんでした。なんなら座談会の音声データをすべて公開しても構いません。

みなさん、今一度くだんの座談会記事をお読みになってください。木下氏は非常に正鵠を射た発言をなされていて、今のままでは決して解決に結びつかないと3人の意見が一致しました。意義深い座談会だったと記憶します。

この座談会は、木下氏の希望もあり清義明氏が労をとられ実現しました。高校生のホームルームや爺さん婆さんの茶飲み話ではあるまいし、私はあくまでもリンチ事件本の取材の一環として認識していました。出版社が「話を聞きたい」という場合、取材に決まっているでしょう。木下氏にしても清氏にしても(さらに凜氏らその他の方々も)、そう認識されているものとばかり思っていました。

少し強引な言い方をすれば、閣僚や政治家のオフレコの言動が記事になり報道され問題になるケースさえありますが、くだんの座談会の発言は、社会的に影響力のある学者の発言として極めて貴重なものと考え同書に掲載しました。いささか強引だったかもしれませんが、木下氏が語られた内容に「事実誤認」はないと信じ、かつリンチ事件にこれまでにない鋭い分析を語られ、これはぜひ多くの人たちに知らせるべきだと思い同書への掲載を決断した次第です。批判は覚悟の上、むしろ公共性、公益性を優先しました。木下さん、この期に及んで弁解は恥ずかしいですよ。あなたが発言したことにはきちんと責任を持ち、堂々と対処しましょうよ。

座談会は東京・神楽坂の喫茶店の会議室、そのあと高級日本料理屋の個室、さらに意気投合し水道橋のラウンジで終電近くまで飲み歓談しました。僭越ながら10万円余りかかり、全額私のほうで支払いました。座談会ひとつに、いつもこんな高額な費用はかけません。唯一、帝国ホテルの高級日本料理屋で行ったシールズ・奥田愛基氏の時(『NO NUKES voice』6号に掲載)ぐらいです。

◆座談会での木下氏の発言内容は事実であり正鵠を射ていて有意義だった!

ネットを中心に相変わらず「デマ」だ「糞記事」だという悪罵が溢れていますが、座談会で述べられていることはすべて事実で的を射ていることばかりです。同書に掲載された凜七星氏のインタビューや、ツイッター上での金展克氏らの発信も同様の内容です。「男に媚を売る」「誰とやった、これとやった」……このような趣旨の逸話は、木下氏ひとりが言っているわけではありませんよ、私たちは多くの人たちから同様の話を聞いています。

ただし「カウンター」-「しばき隊」の内部(あるいは近く)にいる木下氏の発言が(一部の人たちにとっては不都合であろうとも)そのことを証明した格好になりました。木下氏の発言が事実であるだけに、ある種の人々には許し難かったのでしょう。李信恵さん自身、脚下照顧、少しは反省したらどうでしょうか!? 「火のないところに煙は立たない」ともいいます。毎晩毎晩飲み歩き、M君リンチ事件の日もキャバクラなど5軒も梯子して、日本酒にして一升ほど飲み泥酔していましたよね? マスコミに持て囃される「反差別」運動の旗手はもっとみずからを律しないといけません。

また、原稿チェックを依頼しなかったことも批判されていますが、その理由は同書で断っていますように、かつて津田大介氏の求めに応じ原稿チェックを行ってもらったところ、実際の発言とはまったく異なるものになっていた苦い経験から、あえてこれをしなかったわけです。せっかく取材できた情報や事実が消し去られたら意味がありません。凜氏ら他の3名の方々も同様です。さらには、直撃取材や電話取材した方々も、津田氏以外は原稿チェックは求めても求められてもいません。

くだんの座談会での3人の発言、なかんずく木下氏の発言ですが、「カウンター」運動の現状を嘆き前向きなサジェッションに溢れています。このような方々が李信恵さんの周囲に多くいれば、解決に向けた対話も可能になると感じた次第です。それぐらい有意義な座談会だったと思っていたのですが……。

座談会当日の木下ちがや氏(右)と清義明氏(左)(『真実と暴力の隠蔽』P.153より)

◆私たちは無闇やたらに自宅に押しかけたり「誹謗」「中傷」などしていません!

それにしても、木下氏がみずからの発言を「性差別的、レイシズム的」と自己評価されたのには仰天しました。到底信じることができませんし、看過できません。

さらに「謝罪」声明では、「鹿砦社に自宅まで押しかけられた方もおり、家族はおびえ、自分もやられるのではないかとの恐れを抱き、精神的に追い詰められていきました」とあります。鹿砦社特別取材班が自宅に押しかけたのは、有田芳生参議院議員(未遂→その後国会前で直撃)と中沢けい氏(『人権と暴力の深層』に掲載)だけ、フリージャーナリストの寺澤有氏が男組No.2の石野雅之氏(のっち)と、有田議員の宣伝カーで身障者と年頃の娘さんのいる合田夏樹氏宅訪問脅迫の〝犯人〟の疑いが濃かった高野俊一氏(チェブ夫)ぐらいで(『反差別と暴力の正体』掲載)、自宅訪問は、むしろ「しばき隊」が得意とする手法です。ちなみに、高野氏は偶然に沖縄行きの当日で、この後沖縄で逮捕されます。

この4人のうちの誰が「家族はおびえ、自分もやられるのではないかとの恐れを抱き、精神的に追い詰められていきました」というのでしょうか? また、主語がファジーにも感じられますが、木下さんご自身のことを言っておられるのでしょうか? 座談会までに木下氏の自宅住所に書籍を送ったのは第3弾書籍だけだと記憶しますが、木下さんご自身のことを言っておられるのであれば、えらく被害妄想な書き方です。いずれにしても誰のことか明らかにしてください。

また、「鹿砦社の標的になったことで、これまで社会運動に関わる多くの方が誹謗と中傷を受けてきました。鹿砦社の攻撃により、心身に苦しみを抱えてしまった方もいます。社会運動を離れざるを得なくなった方もいます」とまで断言されておられますが、当日、座談会でも、その後の長時間の歓談でも、そのような話は一切出ませんでした。――私たちは、同書の中にリストアップ(P35~38参照)しているような著名人を「標的」にして、リンチ事件をどう考えるのか、隠蔽に関与したのではないか、等々と、主に電話や質問状(郵送)で問うてきました。末端の活動家や無名の人たちを無闇やたらに「攻撃」したことはありません。このリストの中の誰が「心身に苦しみを抱え」「社会運動から離れざるを得なくなった」でしょうか? 誤魔化さずに具体的に名を挙げてご指摘してください。

こうしたことを踏まえると、この「謝罪」声明文は木下氏が書いたものとは思えません。事実に反し、意図的に鹿砦社を悪者にする物言いです。木下氏が書いたすれば、初歩的な調べもなされていないことがすぐに判ります。学者ならちゃんと調べてから公にしないと恥ずかしいですよ。

逆に問います。リンチ被害者のM君に対し、同書巻頭グラビアのような酷い(殺意に満ちた)コラージュ(あまりに凄惨なのでここでアップできません。同書をご覧ください)を作成し回してM君にセカンドリンチを繰り返し苦しめてきたのは李信恵さんとその界隈の人たちではなかったでしょうか?

さらに木下氏は「この憎悪と悪意に満ちた煽動」とも仰っています。「憎悪と悪意に満ちた煽動」とは、まさに同書巻頭グラビアのコラージュや「エル金は友達」祭りなどを言うのであって、私(たち)は「憎悪と悪意に満ちた煽動」などとは無縁で、従前から再三再四申し述べているように李信恵さんらこの周囲の人たちへの私怨や遺恨からこの問題に関わっているわけでもなく、さらには「カウンター」や「しばき隊」といたずらに諍いを起こそうとしているわけでもありません。私(たち)のやっていることの、どこが「憎悪と悪意に満ちた煽動」なのか、明確にご指摘ください。「この憎悪と悪意に満ちた煽動」と書かれた木下氏の責任です。

繰り返しますが、木下氏は当日の座談会や歓談などで、こうしたことは一言も言われませんでしたよね? そんなに深刻な事態になっているのなら、まずはここのところから、木下氏がかつて某氏にツイートした「土下座して謝れ」というように私を詰(なじ)り話に入るべきだったのではないでしょうか? 

◆木下氏の有益な発言と、このかんの「謝罪」の落差――「謝罪」などすべきではなかった!

私は、くだんの座談会での木下氏の発言に大いに学ぶことがありましたし、木下氏に対するイメージがコペルニクス的転回をしました。くだんの座談会以降、第4弾書籍の編集、M君裁判の本人尋問、判決と、慌しかったことで後手になりましたが、あらためて、木下氏に、このリンチ事件の解決の相談をしようかとさえ思っていた次第です。

木下氏が、拙速で事実に反する「謝罪」をされたことで、逆に問題解決が後退したと感じています。李信恵さんは、木下氏の発言で、あたかも多大の「被害」を受けたかのように振る舞っていますが、李信恵さんは「被害者」ではありません。本当の〝被害者〟はM君です。未だに1円の治療費も受け取っていないM君の救済こそ第一義でなければなりません。キャバクラなど5軒の飲み屋を飲み歩き一升ほどの酒で泥酔し、リンチの現場に居てM君の胸倉を掴んでリンチの先端を切り、M君がリンチに晒されている間も悠然とワインを飲んでいて、さらにはリンチで瀕死の状態にあったM君を寒空の下に放置して去ったという李信恵さんに、たとえ一審判決で「共謀」が認定されなかったからといって人間として道義的な責任がないとは言えません。李信恵さんは常に「人権」がどうのこうの仰っていますが、身勝手な「人権」感覚です。

警告しておきましょう。木下さん、あなたはあまりに拙速に「謝罪」したことで、一件落着し「しばき隊」界隈の愚劣な連中からの攻撃を交わせると思われるかもしれませんが、逆にあなたは学者としての、そして人間としての信用を失い、今後、どのように立派な発言をされても、これまでのようには信用されないでしょう。なぜ、安易に「謝罪」したのですか? 知識人として、せっかく前向きな発言をされたのに、「謝罪」などする必要はなかった、いや、「謝罪」などしてはいけなかったのです。たとえ人権と人格を蔑ろにする連中の恫喝があったにしろ、あなたの学者としての、いや人間としての節を曲げてはならなかった。事実と真実に基づく発言の撤回は、学者生命をみずから放棄するに等しい行為です。

おそらく同書出版直後、「しばき隊」-「カウンター」界隈からの激しいバッシングがあったことでしょう。また、共産党〝伝統〟の〝査問〟もあったかもしれません。シールズ全盛期の2015年、当時京都大学で学んでいた韓国人研究者・鄭玹汀(チョン・ヒョンジョン)さんがシールズを批判した論評を発表するや、「しばき隊」界隈からの総攻撃を受けました。恐怖を感じたと鄭さんや周囲の方々は仰っていますが、この時、先頭に立って鄭さんを攻撃していたのが、あろうことか木下氏といわれます。私がシールズ、それと連携し、鹿砦社が当時経済的にも支援していた反原連(首都圏反原発連合)に疑問を持ったのが、この一件でした。おそらく今回木下氏は、鄭さんが感じた以上の恐怖を感じたものと推察されます。加えて、巷間いわれているように共産党に所属するとされる木下氏は、同党から査問を受けた可能性もあります。同党の査問の厳しさは、1970年代初めこれを経験した、同党の学生・青年組織「民青」(民主青年同盟。当時共産党だった有田芳生参議院議員も所属)のトップだった川上徹氏(故人)の、その名もズバリ『査問』という著書に詳しいですが、関心のある方はこちらをお読みください。

◆せっかく有意義な発言をしながら、M君リンチ事件解決への途は大きく後退しました

いずれにしても、これでM君リンチ事件解決への途は大きく後退し、混乱にさらに拍車を駆けることになりました。木下さん、これでいいのですね? 座談会であなたが言ったように「ろくでもないことに」なりますよ。

やや遅きに失した感はありますが、今からでも間に合います。李信恵さんらはリンチの被害者M君へ自発的に出した「謝罪文」さえ反故にしました。追い詰められ(半ば)強要されて書いた「謝罪」は無効です。あなたは、くだんの座談会の発言に立ち返り、これを機に「しばき隊」-「カウンター」界隈から決別し、一個の自立した〈知識人〉へ脱皮すべきでしょう。

いささか長々と書き連ねてきましたが、最後にもう一言述べさせてください。木下さん、あなたは「鹿砦社などへの始末をつけない限りは~」云々とツイートされていますが、これはどういう意味でしょうか?「始末」をつけるべき相手は、鹿砦社ではなく、別の人たちでしょう。くだんの座談会で、あそこまで言っておいて、また元の木阿弥に戻るのは人間の生き方としていかがなものでしょうか。私たち鹿砦社はあなたとリンチ事件解決に向けた〈対話〉をしたかった。くだんの座談会はその第一歩となるはずだったと今でも思っています。

 

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鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541