実にふざけた展開だ。
7月20日のプロ野球・オールスターゲームで、全セの阪神・藤浪が全パの4番、日本ハム・中田に対して投じた山なりの超スローボールが、なんと示し合わせた余興だったという。1球目だけならいざ知らず、2球目は背中を通り、怒った中田がバットを捨てて…という筋書きだった。ルーキーの藤浪ひとりでできる芸当でもなく、1球目は中田と全セの阪神・西岡という大阪桐蔭の先輩たちと考えたという。2球目は「1球だけではつまらない」と考えた全セの捕手・谷繁(中日)のサインであることがはっきりした。
藤浪に詰め寄る中田を谷繁が止めに行くなど、実に計算されていた余興だ。

プロ野球のオールスターは、かつては王貞治VS村田兆治、清原和博VS桑田真澄など緊張感が漂う戦いが繰り広げられたのだが、いつの間にか、オールスターは緊迫感のない茶番を見せつけられる舞台と成り果てたのだろうか。

アホらしいのは、神宮球場での第二戦で小川(ヤクルト)投手を二番手に据えた原監督の大人げのなさだ。原監督は、第二戦の投手は新人でつなぐ作戦を公言していた。だが新人ながら10勝をあげている小川を先発にはしなかった。

「原が先発に起用したのは、なんと新人の管野(巨人)だった。神宮という舞台で、10勝の小川を2番手にもってくるとは非常識もはなはだしい。ヤクルトの荒木コーチもあきれていました」(スポーツライター)

オールスターは、選手の情報を盗む恰好の草刈場でもある。
「巨人の阿部捕手は、他球団の投手にもち球を全部聞き出すなど研究熱心でした。また、巨人は、日本シリーズのことも考えて、パリーグ各打者への配球をスカウトが分析するなど、球団をあげての臨戦態勢です。オールスターはお祭りなどでなく、情報戦込みの真剣勝負なのです」(前出・スポーツライター)

かつて、松井秀喜とイチローが投手と打者で対戦しようとしたときに、全セの野村監督は、松井に代打を出して、投手・イチローとの勝負を避けた。
「オールスターは遊びではなく、日本シリーズへの駆け引きを兼ねた情報戦であり、スター同士の真剣なぶつかり合いが迫力を生む、伝統のイベントなのです」(ファン)

確かに、菅野VS大谷(日本ハム)の激突など、緊迫感があった。今後もオールスターはお祭りではなく、「真剣勝負」の場であってほしいものだ。

(鹿砦丸)