昨夏のロンドン五輪ボクシング男子ミドル級で、日本選手として48年ぶり2人目の金メダリストになった村田諒太(27)=三迫=が8月25日、東京・有明コロシアムで、鮮烈なプロデビューを果たした。本来のミドル級より500グラム重い73キロ契約のノンタイトル6回戦で、東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄(31)=ワタナベ=を二回レフェリーストップによるKO(TKO)で倒した。
これを受けて、日本ボクシングコミッション(JBC)は27日、都内でランキング委員会を開き、村田を日本ミドル級1位にランクインさせた。

村田は殊勝にも「僕の体重に合わせて調整してくれた柴田選手に感謝したい。(プロの)リングに立てる幸せを感じた。誰もが認める(世界)チャンピオンになりたい」と話している。

いっぽうで、フットワークを生命線にしている柴田選手は、ガンガン打ってくる村田選手に押されて動けず、パンチの嵐を浴びた。敗れた柴田選手は「プレッシャーがきつく、思う通りに動けなかった」と村田の強さに絶望している。村田はフィリピンのスター、マニー・パッキャオと契約している米プロモーター「トップランク」と契約して、世界を目指している。

「ミドル級は、世界の一部の国でしか普及していないライト級やフライ級とはちがい、世界中に逸材がゴロゴロしている。その中で頭角を現すには、もっとガードを磨かなくてはいけないし、柴田に一発食らったようなポカをしてもいけない」(拳闘ジャーナリスト・ハイセーヤスダ)

それにしても、村田のマネジメントをしているトップランクは、主宰者のボブ・アラム氏が観戦に足を運んでいることから、かなり期待を寄せていることもわかった。

「観客は、女性ファンも多く、今後もボクシングの人気を拡大してくれるボクサーとしても期待できます。現在、WBA、WBO、IBF、WBCと〝チャンピオンだらけ〟となっていて、世界チャンピオンに価値があるかないか微妙な情勢なだけに、新しいボクサー像を作った男として億万長者の道を歩んでほしいです」(スポーツ紙記者)

日本選手初となる五輪とプロ両方の王者を目指す男、村田はファイトマネーが1000万円、最強のWBA王者、ゲンナジー・ゴロフキン(31)と戦いたいと語っている。破格のハンマーパンチは果たして世界に通用するか。注目してみたい。

(鹿砦丸)