日本と中国が戦争になるのではないか? そんな心配の声を耳にするが、実際に危険なのは南スーダンだ。
昨年12月23日、政府は、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加している陸上自衛隊の銃弾1万発を、国連経由で韓国軍に無償で譲渡することを決めた。
武器輸出3原則に反するのではないかと批判されたが、その後の動きはマスメディアでは伝えられていない。

「緊急の必要性・人道性が極めて高い」とする日本政府の判断だったが、その後、韓国内では、銃弾の提供を受けることは安倍政権の「積極的平和主義」を後押しすることになる、との批判が高まった。朴槿恵大統領は、銃弾の提供は国連に要請したものだとして、日本への謝意は表さなかった。

南スーダンは2011年、スーダンから独立した。陸上自衛隊は2012年からPKOに参加し、首都であるジュバと周辺で、道路等のインフラ整備などの活動を行っている。

昨年7月、マシャール副大統領が解任された。キール大統領はディンカ族であり、マシャール前副大統領はヌエル族だ。燻っていた民族対立が露わになり、昨年12月15日、ジュバで武力衝突が起こり、国内10州の半分で衝突が発生している。
今年に入ってからも戦闘はさらに激化し、ジュバにある米国大使館からは職員の国外退避が行われている。

自衛隊の国連平和維持隊への参加にあたっての基本方針(PKO参加5原則)は、以下の通りだ。

1.紛争当事者の間で停戦合意が成立していること。
2.当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していること。
3.当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
4.上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
5.武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。

自衛隊がPKOに参加してから紛争が発生したという、初めてのケース。当然のことながら停戦合意は成立していない。

韓国軍が駐留するボルでは、約1000人の反政府部隊が接近。武装集団も横行し、人道支援関連の施設への襲撃・略奪も起きている。

自衛隊のいるジュバでも戦闘が拡大している。PKO参加5原則の5を見れば分かるように、自衛隊が襲われた場合には、防護のための武器の使用は認められている。そこから交戦になれば、日本は紛争当事者になってしまう。どちらに犠牲者が出ても、世論は沸騰する。そうなってから撤退することは可能だろうか。

このまま放っておけば、憲法など改正しなくとも、日本は戦争に加担することになる。
これだけの危険がある南スーダンの情勢を、マスメディアが報じないのも、どこでも議論されないのも異常である。
憲法9条さえあれば戦争が起きないなどというのは、夢物語だ。

(深笛義也)