厚生労働省が、人手不足の対策として助成金拡充を検討している、と報じられた。しかし人手不足の業界として「飲食業や流通業」が挙げられたことで、批判される事態になっている。人手不足の飲食業といえば、真っ先にすき家のゼンショーやワタミといったブラック企業と言われる会社を連想させるからだ。「ブラック企業を助けるのか」と懸念されているわけだ。

若い世代は年々人口が減っているので、人手不足は避けられない問題になってくるだろう。しかしそこで「飲食業や流通業に助成金」となると、問題のポイントがずれている。人手不足を人口減の問題と考えれば、出産や子育ての問題であるし、元々、今現在労働人口が激減しているわけではない。

流通はともかく、飲食業は若手に支えられているところが大きい。上でいう人手不足とは目先の新卒や、フリーターの減少ということだ。対策に乗り出すなら、企業に援助するより先に助けるべき人達がいる。バブル崩壊以降、不況でまともに職に就けなかったまま、30代、40代になってしまった人達だ。

就職氷河期以降、雇用状況が回復した時期は何度かある。しかし、それはあくまで新卒の話であって、その時期に就職に失敗した人、あるいは雇用状況が悪い時期に職を見つけられなかった人は、救済されないまま高齢になってしまっている。35歳を過ぎれば若年者雇用の対象でもなくなり、アルバイトすら見つけにくい。会社からしても、同じアルバイトを雇うなら若い人を雇うからだ。新卒の就職状況が改善した年でも、転職(中途)市場はほとんど改善されてこなかった。現在、35~45歳の年長フリーターと言われる人だけでも80万人、契約社員や派遣社員を含めれば200万人にもなる。全体となると自ら非正規雇用を選んだ人や主婦のパート層も含むことになるが、それを差し引いても多すぎる。人手不足と、ごく一部の業種が叫んでいようと、この人口は一向に減っていないのが現状だ。

目先の人手不足で騒ぐぐらいなら、彼らがごく普通に、職に就けるよう動くのが先ではないか。それより先に企業の助成金、となるから「人」より「企業」が主体なのかと思ってしまう。年長フリーターが使いにくい、というのはあるだろう。しかし某飲食店のようにアルバイト不足で次々閉店させるぐらいなら、彼らを雇用してでも運営させるべきではないだろうか。いつまでも若者にすがって(食いつぶして)やっていけると思うべきではない。

年長フリーターにすら見向きもされないような職場環境というのであれば、そんな職場は潰れても已む無し、ということだ。

(戸次義継)