はっきりいって、消費税が8%になったあとでも「500円ランチ」を値段据え置きした「さくら水産」などは尊敬に値する。蛮勇と言ってもいい。8%を内税にして税務申告するなど、煩雑きわまるからだ。また、とてもローカルな話だが、水道橋の鹿砦社東京支社のビル前にあるそばの名店「とんがらし」も値段は据え置きだ。

ほか、目立つところでは、生活雑貨を販売する「無印良品」は、消費税が8%になった後も現在販売されている商品のうち約75%の商品に関して、価格を据え置きにしている。レストランの「サイゼリヤ」もメニューの約半数の価格を据え置きにした。アパレルでは「ファッションセンターしまむら」が販売中の商品の価格を据え置き、実質的に3%の値下げだ。

「実は、値段を据え置いた店のほうが、かえって売上を伸ばしています。不思議なことですが、消費税を8%にして108円で販売している『100円ショップ』では、売上を減らしているのです。これこそ心理学の妙で『値段で頑張る店は応援したい』となるのでしょう」(マーケット・アナリスト)
関東を中心にするスーパー「ジャパンミート」でも「消費税据え置き宣言」で「低価格地域ナンバー1を目指す」としている。
消費税分を単純に値段にのせた企業と、それでも据え置きにしてガマンをしてきた企業との差は、確実に縮まりつつある。

ちなみに、マクドナルドの場合は、原則として増税3%分を上乗せするが、看板商品を値下げした。120円だったハンバーガーの販売価格を100円(税込、以下同)に下げ、チーズバーガーも150円から133円に変更した。「100円マック」は価格据え置きで実質的に値下げとなり、プレミアムローストコーヒーSサイズ、ドリンクSサイズ(ミニッツメイドオレンジを除く)、チキンクリスプ、ホットアップルパイなどは引き続き100円で購入できるのだが、こちらも売上げは消費税導入後も悪くない。健闘しているのだ。

デパートなどでは、「消費税5%時代を回顧」セールでもやったほうが人が集まるではないだろうか。そのいっぽうで、書籍は一律に消費税8%なのは残念。いかにも読者をバカにしている。
いずれにせよ、今後とも「据え置き店」を応援したいものだ。

(ハイセーヤスダ)