最新号紹介の続編である。

◆精神医療現場の「子供たちを虐待する」現実 ── 野田正彰「旭川『発達障害』殺人事件 雪の少女の哀しみ」

 

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

精神科医の野田正彰さんによる「旭川『発達障害』殺人事件 ── 雪の少女の哀しみ」に注目したい。

この論考は『娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件』(文春オンライン特集班、文藝春秋)をもとに、事件の背景にひそむ問題点を考察したものだ。その問題点とは、「発達障害のラベルで苦しめられていたこと」への弁護士と編集部の無知ではないかという。

少女は「発達障害」「自閉症スペクトラム症」とされ、本人の言動の多くが「障害の症状」とみなされてしまう。発達障害という認定で、本人の意志や快不快にかかわらず薬漬けにされるのだ。「ひたむきな子どもが発達障害とラベルされ、向精神薬を飲まされ、周囲の子どもから脳に障害のある子としていじめられ、引きこもりと自殺増となって着実に顕現している」

さらには、「いじめ自殺のたびに、各教育委員会は発達障害の学習と支援学級の充足を主張する負のスパイラルが進行している」と、野田は指摘する。

そしてそれは、子どもたちを「病名でグループ化」する。そこに「個の尊重」がないのは自明であろう。

学校での過酷なイジメのはてに、被害者が精神病院に隔離される。そこもまた、医療とは名ばかりの虐待としか言いようのない場所だった。

現場で苦闘する現役医師ならではの、実感がつたわる文章での問題提起をご一読いただきたい。

◆滋賀県警の「セカンドレイプ」 ── 田所敏夫「日本の冤罪 続・湖東記念病院事件」

シリーズ日本の冤罪「続・湖東記念病院事件」(田所敏夫)は、無罪が確定した冤罪被害者への、滋賀県警の「セカンドレイプ」を取り上げている。

その「セカンドレイプ」とは、冤罪被害者の国賠訴訟に対して、県(県警)は準備書面で「原告は犯人だ」としてきたのだ。無罪判決が下りているのに、警察が「お前は犯人だ」というのだ。冤罪を犯した者たちが居直る、前代未聞の事態というほかない。

県側はいったん謝罪し、県警本部長も警察庁へ転勤という、事実上の更迭となるが、それだけではなかった。書き改められた県側の準備書面は、原告を犯人とみなすに「相当の理由があった」という居直りのくり返しだったのだ。

誤りを認めない捜査当局に、冤罪をなくしていく能力はないと断じるほかないであろう。井戸謙一弁護士のインタビューで、非常に簡潔でわかりやすい記事に仕上がっている。

◆機動隊の県外派遣は違憲と、画期的判決 ── 小林蓮実「沖縄とヤマトの連帯が勝利をもたらす」

名古屋高裁(一審敗訴)で争われていた、機動隊の県外派遣に違憲判決が下りた。この、じつに画期的な住民訴訟での判決を解説した記事「沖縄とヤマトの連帯が勝利をもたらす」(小林蓮実)は、半永久保存版であろう。

原告の具志堅邦子は18歳で沖縄をはなれ、名古屋で結婚して30年になるという。1995年の少女暴行事件に大きな衝撃をうけ、愛知で「命どぅ宝の会」に参加した。そして辺野古にも行くようになった。

県警の県外派遣という問題点を衝き、沖縄の闘いを孤立させない。その意味ではヤマトでも可能な闘いに道をひらいたというべきであろう。

◆教員統制のうごきが顕在化 ── 永野厚男「岸田文雄・文科副大臣(当時)の教員統制・いじめ政策」

精神医療現場の問題点、冤罪を生んだ県警の無反省、そして住民訴訟の勝利と、現場を舐めるような取材と見識の最後は、中教審のうごきである。

タイトルは「岸田文雄・文科副大臣(当時=引用者注)の教員統制・いじめ政策」(永野厚男)だ。

中教審「教師の在り方特別部会」の「審議まとめ案」が提出され、レポーターの永野厚男によれば、国家権力の思い通りの教員づくりに道をひらくものだ。

10月31日までにパブリックコメントを終え、教育免許法の改悪が行なわれようとしているのだ。

今回の審議案の問題点を、いくつかピックアップしておこう。

・小学校一年生から道徳・愛国心を教化、君が代を歌えるように指導する。
・社会科で小学校4年から「自衛隊が役立っている」を教える。
・小学校6年では「天皇への崇敬の念」を教える。

そして上からの教員管理、研修の義務化、密室での校長と教職員の「対話」すなわち、自由闊達な議論の封殺、などである。

永野は「教特法」にある自由研修こそが、教育現場に必要だとする。制服や規則問題など、教育現場ががんじがらめである。いまこそ、学校に自由を!である。(文中敬称略)

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業・歴史研究家。歴史関連の著書・共著に『合戦場の女たち』(情況新書)『軍師・官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)『闇の後醍醐銭』(叢文社)『真田丸のナゾ』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『天皇125代全史』(スタンダーズ)『世にも奇妙な日本史』(宙出版)など。

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