このところ 「サイバー戦争」という単語をよく聞く。国家間での軍事、金融、食品、貿易につぐかけひきでは「第5の戦争」とも呼ばれる。国境を越えて政府や企業のパソコンに侵入し、データを破壊したり、盗むのが「サイバー戦争」だ。
「はっきりいって、日本の政府のウエブが多国籍ハッカー集団に攻撃されたのは事実ですが、サイバー戦争ではおそらくアジア圏で日本がもっとも遅れています」(全国紙社会部記者)

日本やインドなどを標的にしたサイバー攻撃について、セキュリティーソフト大手のトレンドマイクロ(TM)は3月、「中国のハッカーが関与した」という報告書を米国で公表した。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、このハッカーは四川大学の元大学院生で、現在は中国の大手インターネット企業「騰訊」に勤務しているという。NYTの取材に、元大学院生は「話をすることはない」と答えている。

報告書によると、攻撃は昨年6月から続いており、日本やインドの航空、エネルギー、軍事開発関連の企業に加え、チベット支援活動家らが対象。電子メールの添付ファイルを開けると、パソコンがハッカー側のサーバーに強制接続され、中身が盗み出される仕組みになっていた。日本に送られたメールには東日本大震災の後、福島県の原発周辺の放射能測定結果などが添付されていた。

「中国はスタックスネットと呼ばれるシステムを使って独自のDOS攻撃(ネットワークに侵入して機器を破壊する攻撃)を国家規模で展開しているともいわれる。セキュリティ管理会社によると、アジア圏でのハッキングの最先端は、やはりインドと中国であるという。
遅ればせながら、日本はEU諸国などと連携をとり、サイバー攻撃からのディフェンスに力を入れるという。

サイバー攻撃を冷静に評価した報告書も日本人にとっては聞きたくない結果となった。
セキュリティ会社「マカフィ」が行った、サイバー戦争での日本の対応力査定がよくない結果だったのだ。なんと4段階で3、5の評価と出た。
今回の「サイバー防衛報告書」は、2012年1月にマカフィーがベルギーのシンクタンクと共同で作成した。世界各国の専門家80人へのインタビューと250人への匿名調査を実施し、米国の元国防次官補であるRobert Lentz氏が作った「リスク/迅速性成熟度モデル」をベースに世界27カ国を5段階で評価したという。
「冗談じゃない。公安筋の話では、中国のハッカーが、日本で原発を再稼働させたらオペレーションシステムを狙うと、サイトで豪語しているというじゃないか。また、沖縄に米軍がいるが、指令のシステムを破壊する技術も中国人ハッカーたちはもっているという話だ」(軍事関係者)

米軍はかなりの予算をサイバー攻撃の防御に使っている。
話によれば、遠隔操作で「ターゲット」のパソコンを立ち上げて部屋の様子を録音することさえもハッキングでできるほど技術は進んでいるという。
ただちにサイバー攻撃の対策を政府は行うべきだ。さもないと、今度はネット上がスパイ天国になってしまう。

(渋谷三七十)